2003年 夏

四季のトップへ /  / 夏  /  / 

2003年6月

【6月1日】水を湛えた御池

6月1日の九重連山は晴。早朝は濃いガスに覆われていましたが、午前9時過ぎから徐々に薄れ、青空が見え始めました。 6月第一日曜は恒例の山開きです。遠方からも多くの観光客が訪れ、大変なにぎわいです。長者原から牧ノ戸峠周辺には 道路脇にも駐車する車がつながっており、駐車場探しに苦労したため、牧ノ戸峠から入山できたのはすでに9時を過ぎて いました。人波にもまれながら、渋滞の沓掛山を越えるのに1時間程度を要し、久住分れ付近に着いた頃には、すでに 山開き山頂祭の直前です。久住分れ付近から山頂にかけては長い列ができており、あまりに多くの人出に少々引いてしまい、 久住山頂へは向かわず中岳へ向かいました。中岳山頂も多くの人で混雑しており、すぐに御池周辺まで下り、快晴の空の下 で、同行の友人と、これまた恒例の宴会であります。(笑)
登路脇のミヤマキリシマはまだつぼみも多く、次週にかけて見頃を迎えます。久住山へのルートでは扇が鼻付近に群生地が あり、こちらも同様の状況です。中岳山頂から望む平治岳付近は、少々霞んではいるものの、ミヤマキリシマの花色に染まって おり、これはもう大変気になるところです。
正午前には快晴になり、一日歩いていたのですっかり日焼けしてしました。昨日まで台風の余波の風雨が強かったため、天候が 心配されましたが、幸い今年の山開きは天候に恵まれ、遠方から来られていた方々も快適な山行ができたのではないかと 思います。山開きを終え、いよいよ九重連山も初夏を迎えようとしています。

【6月15日】ミヤマキリシマ咲く三俣山

6月15日の九重連山は曇。予報では、本日は梅雨の中休みで、午後にかけ天候は回復傾向とのことです。天候の回復に期待し、 午前9時頃に遅めの入山です。2週ぶりの山行で、その間にも山行された方々から平治岳や大船山方面の情報をいただき、 平治岳方面のミヤマキリシマは、虫害はあるものの花は例年以上に見応えがあったそうです。先週がほぼ花のピークで、今年は すでにピークを過ぎているとのことでした。そうはいえ、平治岳方面が気になるところではありますが、そのようなことで本日は 三俣山でゆっくりくつろぐことにして、すがもり越から山頂へ向かいました。
三俣山は、ほぼミヤマキリシマが満開の状態です。予想外の花の多さに驚き、まさに「三俣山あなどりがたし」という心境です。(笑)
例年5月末から6月中旬までは、ほぼ毎週ミヤマキリシマの花を求め、平治岳や大船山方面への山行が主で、三俣山に来ることは なかったと思いますので、本当のところこれだけ花が咲いているとは知りませんでした。これまでミヤマキリシマの群生している 場所といえば、平治岳や北大船山周辺、扇が鼻付近という認識でしたが、さしずめ今年の三俣山は新発見というところです。
そういえば、情報をいただいた方々からも「今年は1995年以来の花の多い年ではないか」ということでしたので、そのために 三俣山でもこのように花が多かったのかも知れません。特にW峰や南峰の西側斜面に花が多く、もしかすると虫害が進んでいる 平治岳山頂付近よりも見応えがあるのではないかと思わせるほどです。さすがに平治岳のように樹間の隙間がないほど群生しては いませんが、雨上がりで一段と映える木々の緑とのコントラストが見事です。
山頂付近は断続的にガスがかかり、時折大船山や平治岳が望めるものの、午後にかけてガスは一段と濃くなってきましたので、 早々に山を下りました。

【6月21日】中岳を映す梅雨の御池

6月21日の九重連山は曇。先週の台風も過ぎ、梅雨の中休みというところです。山開き以来、先週までミヤマキリシマ鑑賞の登山客で 熱狂的なにぎわいをみせていた九重連山も、今日は落ち着きを取り戻しています。それでもまだ名残のミヤマキリシマが咲いており、うわさどおり 今年は例年になく花が多かったのでないか、と思ったりもしています。本来群生地である平治岳や北大船山周辺のミヤマキリシマには表年と裏年があり、 隔年で花の多い年になっていました。しかしながら、このところ虫害が進み、花が多いのか少ないのかすら判らない状態です。
「今週の一枚」にありますように、満々と水をたたえた御池の湖面に映る天狗ヶ城や中岳周辺の木々の緑も一段と濃くなっています。 曇ってはいましたが、動いているとうっすらと汗がにじんできて、湖面を渡る風が心地よく感じられます。御池周辺にも、すでにピークを 過ぎていますが、まだミヤマキリシマが咲いており、周囲の緑とのコントラストを楽しみながら、快適な山行が楽しめました。
次週末の天候も気がかりなところですが、梅雨時は仕方のないことです。次週も山行ができ、九重連山の様子をお知らせできることを期待 しながら山を下りました。

【6月29日】雲かかる鳴子山と白口岳

6月29日の九重連山は曇。雲は薄く、時折薄日が差す天候でした。幸いにも今週末もまた梅雨の中休みです。午後にかけ天候 も回復するとの予報でしたので遅めの到着となり、10時過ぎに入山しました。思った以上に天候の回復は早く、すでに雲はなく 早朝からでも十分に歩けたようです。今日は入山時刻が遅かったため、すがもり越から三俣山の各山頂を巡るお手軽コースでの 山行となります。
さすがに梅雨時とあって昨日までの雨で、あちらこちらに普段は見かけない池や小川ができています。いつもながら西千里ヶ浜 には小川ができ、三俣山大鍋にも池ができ、南峰から望むと佐渡窪あたりにも水がたまって池のようになっています。午前中は 昨日までの雨上がりのため空気も澄んで、遙か遠くまで澄んでいましたが、午後には徐々に霞んでくるようになりました。
ミヤマキリシマの花も散り、熱狂的なにぎわいを終え九重連山は、まさに「夢の跡」という雰囲気です。喧噪が去って、安堵と ともに寂しさすら感じます。それでも周囲の緑は一段と濃くなり、気温が上がって無風の谷間などでは蒸し暑く感じるものの、 稜線を渡る風は実に心地よく、本格的な夏の一歩手前まで近づいていることを感じさせます。

2003年7月
【7月5日】風に揺れる坊がツルのイブキトラノオ

7月5日の九重連山は曇時々雨。朝から強めの雨が降っていましたが、午前10時頃には雲も切れ、時折薄日も差し始め ました。終日断続的に小雨が降る状態でしたが、大きな崩れはありませんでした。
雨が小康状態になったのを見計らい、約1ヶ月ぶりになる坊がツルを目指すことにしました。足下のぬかるみも気になるところ ですので、吉部からは大船林道を利用します。暮雨の滝そばを通る通常の登路ですと、坊がツルまで約1時間程度ですが、 大船林道を経由すると約20分程度の遠回りになります。しかしながらこちらは整備された林道ですから、雨天時も快適に 歩けます。
梅雨の坊がツルは緑が濃く、登路脇にはイブキトラノオが草原を渡る風に揺れています。雨上がりの坊がツルキャンプ場は 水がたまり、テントも設営されていません。避難小屋の軒下を借りて時折ぱらつく小雨を避け、しばし休憩です。
教員に引率された数名単位の高校生が次々と訪れていましたが、来週は九州内の高校山岳部の大会が開催されるそうで、その予行 だそうです。初日は岳麓寺から大船山と平治岳を経て坊がツル泊。翌日は中岳と久住山、黒岩経由で泉水山麓にある九重少年 自然の家のキャンプサイト泊だということです。そろそろ梅雨末期ですので、天候が心配されるところです。雨天ですと、 野営の装備を担いでの移動や、また雨中の野営はかなり辛いものがありますので、天候に恵まれまれることを期待する ばかりです。

【7月13日】ノリウツギ咲く法華院からの登路

7月13日の九重連山は曇時々雨。1300m付近からガスがかかり、視界が開けません。すがもり越から西千里ヶ浜にかけ てもガスがかかり、水量も多い西千里ヶ浜にできた川の音で、やっとすがもり越から下ってきたことがわかるほどガスが濃い 状態でした。視界はおおむね10m程度で、土地勘のない人には目視で登路を歩くには少々厳しいと思われるほどです。 正午までは、時折小雨が降るものの大降りになることもありません。法華院山荘から坊がツル付近にかけてもガスがかかって おり、先週より視界が開けない悪条件でした。
坊がツル付近は、あいにくの天候にもかかわらず、数名単位の団体が訪れています。炊飯場が占拠されていましたので、時折 降る小雨をしのぐ場所もなく、すぐに法華院山荘まで引き返し、そのまま山を下りました。入山から2時間強で、大曲に帰着 し、長者原付近でしばし休憩してから帰路につきました。
九重連山までの道路の斜面は、梅雨末期の強い雨で至る所に土砂が流れた跡が残り、重機が出て道路の土砂を撤去している ところもあります。1週間程度で梅雨も明けると思います。晴天に恵まれ、稜線を渡るすがすがしい風に吹かれながらの山行 が待ち遠しいこの頃であります。

【7月26日】夏草濃い白口岳付近

7月26日の九重連山は晴。例年より長めの梅雨がやっと明け、久々の晴天の山行です。遅めの到着となった午前10時前 の牧ノ戸峠の駐車場はすでに満車に近く、梅雨明けを待って入山する登山者であふれています。登路では輝く夏草が風に揺れ 、うっすらと汗ばんだ肌に稜線を吹く風が心地よく感じます。久住山頂手前で、いつも当ホームページを見ていただいてる という方から声をかけていただいたりしながら、ゆっくりと夏を堪能しながら歩く久住分れから久住山頂にも多くの登山者 が訪れています。夏本番を迎え、今年も多くの方に九重連山の自然の景観を楽しんでもらえることと期待しています。
大変残念なことに、先日登山に訪れた小学生の遭難事故がありました。牧ノ戸峠から久住山へのルートは、春から秋までは、 天候が良ければ手軽で安全に歩け、雄大な九重連山の自然を楽しめるために、家族連れから学校関係の野外活動など、実に 多くの人が訪れています。転倒による骨折などの事故は時折発生しますが、今回のような遭難事故はほとんど発生しません。
しかしながら今回の事故は、時折ガスが濃くなるという天候で、脇道に入り込んで道に迷ったために発生しています。 その後も、ガスが濃く強い雨も降るという悪条件の中で捜索も難航し、2日後に発見されるというものでした。
特に学校関係の団体で九重連山を訪れる方は、登路にある分岐の場所を確認し、必要な人員を配置するなどの配慮を、 天候等の条件に応じて適切に行う必要がありそうです。

【7月30・31日】大船山頂から望む雲海

7月30日・31日の九重連山は晴。例年になく遅めの梅雨明けとなった今夏、満を持して7月30日から31日にかけ、 今年初の野営を楽しみました。30日は暑さが一段落する夕方に入山しました。盛夏の野営では、装備は少なくて済み ますが、炎天下の移動は辛いものがあり、早朝または夕方の移動が快適です。 坊がツルに到着した午後6時過ぎ、鹿児島から学生のグループも訪れ、一般客も含め、すでに10張りを超えるテントが 設営されていました。テントを設営し終える頃、大船山頂付近は夕日に染まり、キャンプ場は薄暗くなっていきます。
翌朝は、早々に大船山に向かいます。、山頂に着く頃にはすっかり昨夜の余韻?の二日酔いも覚めました。(苦笑) 山頂からの眺望は一面の雲海で、祖母山や由布岳山頂がわずかに雲上に頭を出しています。山頂でゆっくりと雲海を堪能し、 11時頃に大船山を下りました。坊がツルに戻った昼頃には、朝露に濡れたテントも乾き、撤収も容易です。
これから9月まで、夏の野営を楽しむ登山者で坊がツルキャンプ場はにぎわいます。炊飯場があり水も確保できますし、夜も シュラフカバーだけでも十分に寝られる程度です。夏の後半には、少々寒さを感じることもありますので、薄手のシュラフも 持参された方がよいでしょう。手軽に野営が楽しめる坊がツルは、1年を通じてにぎわいますが、ピークはやはり夏場です。 平日でもテントが張られていることが多いようですので、一人で来られてもあまり心細い思いをしなくて済みます。

2003年8月
【8月9・10日】夕暮れが迫る雨が池

8月9日の九重連山は曇りのち晴。台風10号が各地に被害を残して過ぎ去った翌日、さすがに秋のように台風一過とは いかず、正午過ぎまで山頂付近はガスに覆われています。徐々に天候が回復し始めた午後5時、長者原から入山しました。
今回の台風では相当の雨量があったようで、登路は流水に洗われていたる所でえぐれており、雨が池は木道も水没するほど 水を蓄えています。夕暮れ迫る中、午後7時過ぎに坊がツルキャンプ場着。薄暗くなってきたキャンプ場は、すでに20張 程度のテントが張られ、高校生の団体も訪れており、先週の平日を遙かにしのぐ相当なにぎわいです。それでも夏場の週末 であれば平均的な状況です。すでに足下もおぼつかないほど飲酒されて、テントに転げ込む男性もいました。(笑)
テントを設営し、法華院温泉山荘の浴場に向かいます。法華院山荘もかなりのにぎわいで、食堂は歓声にあふれています。 夕闇にシルエットが浮かぶ大船山を望みながら、ゆっくりとお湯につかって疲れをいやした後、酒類を調達しキャンプ場に 戻る頃にはすっかり暗闇で、ヘッドライトを点しました。月明かりに照らされた夜景を肴に、テントサイトで静かに盃を 傾けたいところではありますが、さすがにこれだけの人出があれば必然的ににぎやかなわけで、歓声をあげる人こそいませんが、 それなりに騒々しいまま夜も更けていきます。
明けて8月10日は晴。昨夜は冷え込んで、夏用のシュラフとシュラフカバーでも、この時期にしては珍しく寒さを感じました。 下界でも夜は冷え込んだということですので、台風の余波の冷え込みだったようです。朝露が多く、テントが乾くまで、 今回も大船山頂への往復です。午前9時過ぎに山頂着。この時間帯はまだ登山者もまばらです。米窪から段原にかけては ノリウツギの花が咲き、山肌が白っぽく見えています。徐々にガスがかかってきましたので、坊がツルへと下りました。
撤収の後、復路は再び雨が池を越えます。雨が池周辺にはすでにマツムシソウも咲いており、秋が迫っていることを感じ させます。

【8月23日】穂を出し始めたススキ(背景は黒岩山)

8月23日の九重連山は曇。時折雲間から薄日がさすものの、午後にかけて徐々にガスがかかってくる状態でした。 冷夏といわれた今年の夏ですが、先週は律儀にも残暑がぶり返し、久々に夏らしい天候となりました。おかげで 今日の九重連山も曇り空にもかかわらず、かなりの蒸し暑さを感じました。
午前9時頃の長者原付近の気温はすでに27℃程度。風も弱く、歩き始めると汗がしたたります。それでも、 さすがに山頂付近を渡る風は爽快で、汗ばんだ体でじっとしていると少々寒さを感じるようにもなってきます。
高原の季節の訪れは平地より一足早く、ススキが穂を出し、気の早いリンドウも咲き、アキノキリンソウやイタドリの 花も咲いて、秋の気配です。
三俣山から望むと大船山頂はすっかりガスに覆われており、正午頃には三俣山頂付近もガスに覆われ始めました。 晩夏を迎えると、特に午後からの天候には注意が必要です。にわか雨に遭って濡れるだけならかまわないのですが、 雷に遭うと非常に怖い思いをします。大変危険でもありますので、天候には十分注意して山行を楽しみたいものです。

【8月30日】オタカラコウ咲く坊がツル木道

8月30日の九重連山は曇。午前8時前には1500m付近からガスがかかり、時折薄日が差し雲の切れ間から青空が覗く ものの、天候は午後にかけて下り坂という予報で、断続的に小雨も降っています。このような状態でしたので、今回の 山行は坊がツルまでの往復です。
午前8時頃に大曲から入山。すがもり越から西千里ヶ浜にかけては、時折ガスが切れて眺望が開けるものの、 再びガスに覆われて視界が開けません。法華院温泉山荘に着く頃、一時雨が強く降り始めましたが、間もなく小康状態になり、 坊がツル野営場付近まで歩いてきました。このような天候でもテントが張られ、行く夏を惜しむように野営を楽しんでいる人 もいますが、雨中での撤収はかなり辛いものがありますので、明日にかけ天候が回復することを願うばかりです。
坊がツルはススキが穂を出し、一面のススキの原となっています。8月10・11日の野営以来3週間ぶりの坊がツルは すっかり秋の装いです。季節はゆっくりと、しかし確実に夏から秋へと移ろい、高原の短い夏が終わろうとしています。
正午頃にかけ天候は一時回復し、雲間から青空も望めましたが、相変わらず断続的に小雨が降る天候が続き、野営を楽しむ 登山者には少々厳しい夏の終わりの一日となったようです。


四季のトップへ /  / 夏  /  /