2004年 春

四季のトップへ / 春 /   /  / 

2004年3月

【3月6日】雪景色の雨が池

3月6日の九重連山は雪。午前10時頃の長者原付近の気温は0℃。3月になり、いよいよ早春迎えることとなりますが、 今日は一転して冬に逆戻りです。長者原は雪が舞うものの、時折三俣山も望める状態です。長者原付近の積雪も思いの外 少ないのですが、駐車場には車も少なく、入山する人もわずかで、たで原木道には先行者の足跡もありません。 坊がツルを目指し、雨が池を越えます。木々の枝が風にあおられて唸りをあげてはいましたが、登路の風は比較的弱いの です。荒れ模様の天候の時は、樹木がなく吹きさらしのすがもり越よりも、雨が池を経由する方がはるかに楽です。
坊がツル付近の積雪は10cm程度です。踏みしめて歩く雪は心地よい音を立て、冬の名残を感じさせます。穂を出した ネコヤナギにも雪が積み寒々としています。野営場には訪れる人もなく、雪景色で再び冬景色に逆戻りしていました。 帰路は長者原に帰着するまで1人の登山者とも遭うこともなく、行く冬の余韻を静かに楽しみました。
雪は午後にかけ強くなり、長者原に帰着した頃には駐車場は10cm程度の積雪があります。気温も−5℃まで低下して いました。平地では春を迎え、思いがけない雪道に少々油断したドライバーも多いと見え、圧雪路でスタックした車や、 スリップして接触事故を起こした車を見かけました。晩秋や早春の雪には、無防備な車が多いので要注意です。

【3月13日】牧ノ戸峠のマンサク

3月13日の九重連山は快晴。14時頃の長者原付近の気温は10℃。このところ季節がめまぐるしく冬と春の間で 揺れています。14時に牧ノ戸峠から入山。登路は大変ぬかるんでおり、くるぶし付近まで埋もれます。沓掛山から 扇が鼻にかけては、多くの登山者がロープを張っている外の枝道を歩いており、しばらくこの状態が続くと、枝道が 広がり植物が踏み枯れてしまいそうです。
わずかに雪が残る星生山頂からの眺望はすばらしく、噴煙を噴き上げる硫黄山の向こうに三俣山や大船山が望めます。 中岳から天狗ヶ城付近も山の北斜面にはまだ雪が残っています。午後の日差しを浴びながら山頂付近の岩陰でゆっくり と周囲の景色を楽しみました。
帰路は星生山から大曲への直登ルートを下ります。残っている雪が氷結した場所も多く、下るというよりも滑り落ちる という状態で、40分ほどで大曲に下りました。急登ですので、雪が残る時期には少々手強いようです。
大曲から牧ノ戸峠にかけての道路脇のマンサクが開花し始めています。指山のマンサクも開花し始めたようで、 長者原付近から望むと、指山斜面が黄色く色づいています。日増しに暖かくなり、九重連山も、本格的な春へと 動き始めたようです。

【3月20日】三俣山南峰から望む坊がツルの野焼き

3月20日の九重連山は曇。午前9時前の長者原付近の気温は5℃。曇り空のためか少々寒さを覚える天候です。本日は 九重連山に春を告げる坊がツルの野焼きが行われます。すでにご存じのとおり、九州屈指の高層湿原である坊がツルの植生は 人工的な野焼きで保たれてきました。ここ坊がツルでも長らく放牧が営まれ、牧草を確保するために野焼きが行われ、自然と 人間が共生してきたわけですね。坊がツルで放牧が行われなくなり、野焼きも途絶えていましたが、2001年に復活 しました。
午前10時過ぎに坊がツル野営場付近からまず火が入り、やがて坊がツルの周囲から、次々と火が着けられました。 燃えさかる炎は坊がツルを焼き尽くしていきます。火が燃え広がって行く様子を望みながら、南峰から坊がツルへと 下りました。ここでkyoko女史、dual-k氏、せせらぎの 春雪氏、九重の四季の木下氏と合流。火入れから1時間30分 程度で、坊がツルは漆黒の大地に姿を変えました。それにしても、さすがにこれだけの面々が一堂に集まると、さながら 九重連山関連ホームページのオフ会でありまして、昼食をともにしながらしばし歓談しました。

【3月28日】平治岳山頂での開山際

3月28日の九重連山は快晴。午前8時過ぎの飯田高原の気温は5℃。今日は法華院温泉山荘の主催で4年前から始まり、 春の恒例行事として定着した感のある開山祭です。午前8時過ぎに吉部から入山、鳴子川沿いの大船林道をショートカット する近道を経由して、大船林道4号集木路から平治岳北登路を山頂へ向かいます。
先週に続き、九重の四季の木下氏、せせらぎの 春雪氏がやってきました。午前11時過ぎに開山祭が始まり、山頂での神事の後、記念品を配布。30分程度で終了です。
坊がツル野営場付近は炊飯場の工事が始まっており、小型の重機も乗り入れています。鳴子川を渡る橋も架け替えの工事 が始まっており、坊がツルもまた景観を変えようとしています。坊がツル周辺の山の斜面には、マンサクの株が黄色い花 を付けており、ピークは過ぎようとしていますがほぼ満開の状況です。快晴の空を望みながら、マンサクの花を堪能しつつ ゆっくりと休憩して山を下りました。

2004年4月
【4月3日】三俣山のマンサク

4月3日の九重連山は薄曇。このところすっかり暖かくなり、気軽な春の山行です。マンサクが山肌を黄色く染める ほど咲いている指山から三俣山北斜面を経由し北峰へ向かいます。現在、指山から三俣山北斜面ではマンサクが満開です。
今年は3月に気温が低めに推移したためか、マンサクも花期が長いような気がします。三俣山北斜面のマンサクも ピークを迎えているようです。マンサクの花が山肌を黄色く染め咲いているとはいっても、登路から望むと頭上に 咲いており、むしろ三俣山北斜面のマンサクは指山山頂付近から観賞するのが最も美しいような気がします。
大鍋から小鍋にかけは北斜面に雪が残り、マンサクも咲いており、冬と春が同居しているようです。山頂付近は風も 強めでしたので、南峰の坊がツルを見下ろせる場所でしばらく休憩した後、早々に山を下りました。

【4月10日】春の息吹(法華院山荘裏にて)

4月10日の九重連山は晴。平地では、新緑のシーズンを迎えようとしていますが、九重連山ではこれから芽吹きが 始まるところです。星生山直登ルートを経て山頂へ向かいます。山頂付近の稜線を渡る風は春を感じさせ、汗ばんだ 体に心地良く感じます。
久住山周辺の景色はまだ冬枯れのままで、少々単調です。厳冬期には完全氷結していた御池も、当然ながらすっかり 解氷し、春の暖かな日差しのもとで昼食を楽しむ登山者のグループが目立ちました。暖かな日差しに覆われた池の小屋 を経て、白口谷を法華院温泉山荘へ下ります。白口谷では、谷を流れる水音と小鳥の鳴き声が谷に響いており、ここ でもまた春を実感しました。

【4月17日】水温む

4月17日の九重連山は晴。午前9時頃の飯田高原の気温は18℃。暖かというより、暑さを感じます。吉部から 鳴子川沿いの登路を坊がツルへ向かいます。冬から目覚めた春が、このところの陽気で一気に動き始めたようで、 周囲は木々の芽吹きと新緑の息吹に包まれています。鳴子川の水も温んできて、瀬音も心地よく聞こえてきます。 登路脇には、様々な花がひっそりと咲いています。平地の菜の花やレンゲのような派手さはありませんが、思わず 足を止めて見入ってしまうほど可憐な花々です。
大船山頂でも、陽気に誘われて登山者が増えてきました。午後からは数名単位の登山者のグループが次々と訪れる ようになります。山頂付近を渡る風が心地よく、半袖でも寒さを感じません。一見冬枯れのままの木々も、よく 見ると芽吹きが始まっており、確かな季節の移ろいを感じます。終日半袖のシャツを着用していましたので、 首筋や腕がすっかり日焼けをしました。

【4月24日】輝く木々の新緑

4月24日の九重連山は晴。木々は芽吹き、九重連山にも遅ればせながら春の息吹を実感する景色が広がり始めています。 長者原から雨が池を経由し、三俣山の各山頂付近を歩いてきました。長者原から雨が池へは、幼い黄緑色の葉が木々の 枝に広がり、春の陽を浴びて輝いており、新緑の柔らかな優しさを感じます。
朝方は氷点下まで冷え込んでいるようで、日陰には霜柱も残っています。雲が時折太陽を遮り、山頂付近を渡る風も 今日は冷たく感じます。それでも風を避けて、雲間から春の陽がさんさんと注ぐと暖かくなります。まだしばらくは 少々冷え込む日もあるのでしょうが、季節の確実な移ろいを実感しました。
こうなると気になるのは前岳から高塚付近のシャクナゲの様子です。例年ゴールデンウイークの頃が前岳付近の花の ピークを迎えるいるようです。通常、三俣山よりも前岳付近では花のピークが少々早いようです。今年も、ゴールデン ウィーク中に、例年どおり白水鉱泉から前岳と高塚山を経由して男池へ戻るルートを新緑とツクシシャクナゲの花を求めて 歩いてみる予定です。

2004年5月
【5月1日】前岳のシャクナゲ

5月1日の九重連山は曇りのち晴。黒岳方面のシャクナゲを確認してきました。男池駐車場発で、白水鉱泉から前岳を 経て高塚山へ向かい、風穴から男池へ戻るルートで、シャクナゲの時期と紅葉シーズン限定のおすすめルートですね。
気になるシャクナゲの状況ですが、新聞報道でも「花は少なめ」ということでしたので、予想はしていましたが、今年 は昨年よりも一層花が少なくなっています。開花の状況はおおむね例年並みで、前岳の中腹から山頂付近ではまだツボミ も多く、来週あたりまで花を楽しめそうです。
前岳から上台ウツシを経て高塚山へ向かいます。登路の周囲にはムシカリの花が咲いています。時折ムシカリの花の合間に シャクナゲが咲き、花々の競演が楽しめます。高塚山頂も登山者は少なめで、大型連休中という事を考慮すれば、この静かさは 驚きです。例年この時期の高塚山方面は相当にぎわいを見せるのですが、どうしたことでしょう。
風穴の氷室跡には、たっぷりと氷が残っています。周囲は冷気が漂い、神秘的な雰囲気です。黒岳原生林は輝く新緑 に覆われ、文字りの森林浴を堪能しました。
休憩時間も含め、総行程6時間30分で再び男池駐車場へと戻ります。14時頃の駐車場は、意外にも大型連休中とは 思えないほど空いていました。

【5月8日】指山のミヤマキリシマ

5月8日の九重連山は晴のち曇。今回は三俣山周辺のシャクナゲの様子を確認すべく、指山から三俣山大鍋経由で 南峰へ向かいました。普段は比較的静かなこのルートも、シャクナゲのシーズンとあって登山者も多めです。 指山斜面から三俣山北峰付近の登路脇にはシャクナゲの花が点在して咲いています。ツボミも多く、まだしばらくは 花が楽しめそうです。手軽にシャクナゲの花を観賞でき、山頂付近の景色も良い指山から三俣山のコースは、この 時期のおすすめコースなのであります。下りのコースもバリエーションにも富んでおり、飽きない山行が楽しめそうです。
指山から三俣山にかけては花々の競演で、ひときわ目立つものだけでも、ツクシシャクナゲ、イワカガミ、クサボケ、 ミヤマキリシマ等々が登路脇に競って咲いています。山頂下の大鍋付近ではシャクナゲの株は多いのですが、ツボミをつけた 株は大変少なく、数株程度が大鍋壁でツボミを膨らませている程度でした。西峰から4峰へ向かう登路脇のシャクナゲの 株はやっとツボミの先から花の色が見えてきたところです。
山頂付近を渡る風は実に心地よく、日焼けを気にしなければ、半袖で活動する方が快適なシーズンとなりました。 陽気に誘われ、登山者も徐々に増えています。

【5月14日】大船山のイワカガミ

5月14日の九重連山は晴。平治岳と大船山方面のミヤマキリシマの開花状況を確認してきました。平治岳や北大船山 周辺のピークはおおむね例年並みで、6月の上旬頃と推測されます。あと3週間程度はかかりそうです。6月6の山開き の頃にはきれいな花が楽しめそうです。しかし、何しろ自然は気まぐれです。天候次第では前後することもあると思います。
残念ながら今年も虫害が広がっており、大戸越付近から北大船山周辺では、相当数の株が葉を食われ、花芽も荒ら されています。樹勢を落とした株は、食い荒らされた葉が枯れたように茶色になっており、痛ましいばかりです。 これから花のピークにかけては、例年一層虫害が進みます。今年もまた北大船山周辺が一面ミヤマキリシマの花に 染められた状態は目にすることができそうにありません。
山開きの6月6日まであと3週間。今年の山開きは大船山で開催されます。異常とも思えるあの喧噪には少々閉口 しますが、これもまた恒例行事でありますので、今年も友人と参加を予定しています。これから約1ヶ月、梅雨入り までの間、山が一年で最も華やぎ、最も賑わうシーズンです。結局のところ、喧噪だのなんだの言っても、きれいに 咲いたミヤマキリシマの花を堪能したいというのが人情というもので、私もまたその一人なのであります。

【5月22日】平治岳南斜面から望む三俣山

5月22日の九重連山は曇。鳴子川に沿って大船林道をショートカットし、平治岳北登路から山頂へ向かいます。 時折薄日が差す登路を黙々と歩き、途中ほとんど撮影もしなかったため、平治岳山頂まで1時間30分で到着しました。 山頂付近は次々と登山者が訪れています。山頂西側斜面の虫害はひどく、茶色く変色した株がほとんどです。虫害を 受けていない株も、花芽は少ない状態です。一方、平治岳南側のピークの大戸越からの斜面では、こちらも花芽は 少ないものの、上部はほとんど虫害がなく良好な花が楽しめます。山頂付近より南斜面の方が花は早めで、満開に 近い株も一部にありますが、ピークは、ほぼ1週間から2週間後というところでしょう。
大戸越付近も多くの登山者が休憩をしています。ミヤマキリシマの花の時期ならではの賑わいですね。坊がツルへ下ると ここも多くの登山者で賑わっています。テントもすでに数張り張らており、新しく張られるテントも増えていきます。 坊がツルでゆっくり休憩し、満開のハルリンドウや咲き始めたマイヅルソウなどを撮影しながら、山を下りました。


四季のトップへ / 春 /   /  /