2005年 夏

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2005年6月

【6月4日】平治岳から望む三俣山

6月4日の九重連山は曇。午前5時頃の飯田高原の気温は14℃。山頂付近にはガスが薄くかかっています。 明日はいよいよ山開きを迎え、名実ともに夏山シーズンにへ突入です。まだ暗さを残す鳴子川沿いの登路を抜け、 大船林道から大戸越へ向かいます。7時前の大戸越では、すでに相当の登山者が休憩しています。見上げる平治岳 南斜面はミヤマキリシマが一面を染め上げており、今日から明日にかけてほぼピークを迎えているようです。
期待薄だった山頂付近はと見れば、何と南斜面はこれまた一面ピンクのジュウタンを敷き詰めた様に染まっている ではないですか。2週前には山頂付近の虫害が進んでおり、広がれば山頂南側の斜面もほとんど咲かないのでは ないかと、あきらめ気味だったのですが、うれしい誤算です。さすがに山頂付近では虫害で壊滅状態というのは 仕方のないところです。午前8時を過ぎると、大戸越から登ってくる登山者が急激に増えてきます。見下ろす 大戸越付近にも登山者が徐々に増えてきており、渋滞に巻かれる前に山を下りました。

【6月5日】平治岳から望む坊ガツルと三俣山

6月5日の九重連山は曇のち晴。早朝はガスがかかり、山開きを迎えた九重連山はガスのために霧雨気味のあいにくの 天候ですが、午後にかけ晴天になるとの予報です。本日は友人と恒例の山行で、おそらく10年ぶりになると思われる ほどミヤマキリシマが咲いた平治岳に向かうことにしました。 午前8時頃昨日より約3時間遅れの入山となり、特に大戸越から平治岳山頂までは都会の朝を彷彿とさせる大渋滞が 発生しています。原因は大戸越から平治岳南斜面の登路にある岩場で、ここはさすがに1人が通るのがやっとで、 ボトルネックになっているのです。大戸越に10時頃に着き、南斜面を登り終えるまで1時間弱でした。渋滞がなけれ ば15分から20分程度ですから、行列ができている割には時間はかかりません。むしろゆっくりミヤマキリシマ鑑賞 をしながら楽しんで登りたいところです。 平治岳南斜面を登り、見下ろす大戸越付近にかけては満開のミヤマキリシマの赤紫色に染め上げられ、まさに圧巻で あります。正午前までガスがかかってはいましたが、これもまた一興でして、ガスに隠されるミヤマキリシマの大群落 を堪能しました。正午前にはガスも晴れ、久住山での山頂祭を撮影したのでしょうか、取材のヘリも飛来し登山者の 喚声と入り交じり実ににぎやか(正確には騒々しい)になりました。

【6月10日】扇ガ鼻のミヤマキリシマ

6月10日の九重連山は曇。ガスが断続的にかかる状態です。まずは、すがもり越から三俣山へ向かいます。 西峰と本峰、4峰の谷部(4峰西斜面)は現在ほぼ満開です。西峰から本峰・4峰へ向かう登路周辺に一部虫害 を受けた株がありますが、その他は極めて良好な花を付けています。三俣山でも虫害が出始めているのですね。 北千里ヶ浜を経由し西千里ヶ浜を抜け扇ガ鼻へ向かいます。こちらもまた驚くばかりの人出です。扇ガ鼻付近は、 平治岳や北大船山のようにミヤマキリシマの株が密集しているのではなく、散在している状態です。遠目には 一面の花のように見えますが、近くに行けば株の間には隙間があるのが分かります。しかしながら平治岳や 北大船山に比べてもはるかに広い範囲に株が存在しており、山の斜面が一面ミヤマキリシマの色に染まって見 えるのです。ミヤマキリシマの開花状況は、まだツボミを残す株も多く、ほぼ満開に近い状態ですが次週にかけて も楽しめそうです。こちらの花も大ヒットで、虫害が全くなく極めて良好な花を付けています。あえていえば 最大の問題は梅雨入りしたあとの天候でしょうか。今年のミヤマキリシマの花は九重連山のどこでも大ヒットで、 虫害を受けた場所を除けば、どこに行っても楽しめる状態です。平治岳はすでにピークを過ぎていますので、 次週にかけての山行なら扇ガ鼻あたりがお勧めです。

【6月12日】三俣山西峰下のミヤマキリシマ

6月12日の九重連山は曇時々晴。午前5時前の長者原付近の気温は14℃。今日は前回6月10日に駆け足 での山行となった三俣山に早朝に入山し、余裕を持って楽しむ予定です。大曲の駐車スペースは満車で、路肩 に駐車する車両が増えてきました。大急ぎで坊原付近まで駆け登ると、長者原に朝日が差し始めました。 すがもり越から三俣山西峰へ向かうと、間もなく三俣山の陰がすがもり越を横切り星生山麓へと伸び、すがもり 小屋付近に朝日が注ぎます。清冽な九重連山の朝が訪れました。西峰の稜線に着く頃には随分と日も高くなり、 4峰と西峰の谷に広がるミヤマキリシマの群生地も徐々に朝日に照らされていきます。
刻々と変わりゆく朝日に照らされたミヤマキリシマの様子は見飽きることがなく、西峰付近の岩場に座り込み しばらく景色に見とれていました。1時間あまり景色を眺めていたでしょうか、4峰の肩越しに西峰の谷に 日が注ぎ始める中を4峰から南峰へ向かいます。4峰付近もミヤマキリシマはほぼ満開です。ここでも今年は 花が多く、大鍋付近でも斜面を染めるミヤマキリシマの花が楽しめます。南峰の坊がツルを見下ろすお気に入り の場所でしばし休憩し、再びゆっくりと本峰付近を回ってから山を下りました。

【6月18日】ミヤマキリシマを映す御池の湖面

6月18日の九重連山は曇時々晴。午前8時、長者原付近の気温は17℃。先週までに比べると長者原駐車場 の車も激減しています。すでにミヤマキリシマの花がピークを越え一時の熱狂的な喧噪は去って、静かな山行 が楽しめるようになりました。北千里ヶ浜で振り返ると、三俣山斜面がまだ濃いミヤマキリシマの色に染まって います。久住分れから望む天狗ヶ城や、空池の東側斜面も点在するミヤマキリシマの株が花を咲かせ、かなりの 見応えを感じます。今年はやはりどこでもミヤマキリシマ大当たりで、これはもう簡単に花期の終焉を宣言で きる状態ではないのであります。御池湖面に映るミヤマキリシマを撮影し、久住分れを経て星生山へ向かいます。 星生崎から山頂へ向かう稜線の西千里ヶ浜側斜面にもまだミヤマキリシマの花が残っています。山頂付近で眼下 に広がる景色を楽しみながらゆっくりと休憩し山を下りました。

2005年7月
【7月2日・3日】イブキトラノオ咲く坊ガツル

7月2日の九重連山は曇のち雨。前日の予報では午後から天候も回復するということで、一路九重連山へ。午前 8時過ぎ、長者原に着く頃には小雨模様です。今日は気長に待つことにしましたが正午前には雨脚が強まり雷ま で鳴り始めました。いくら何でも雷雲が発生していては入山は無理ですので、潔くあきらめて温泉へ向かい、止 む気配すらない雨を恨めしく思いつつ退散です。
明けて7月3日、午前6時前の長者原の気温は19℃、ガスがかかるあいにくの天候です。それでも雨は降っ ておらず、結局坊ガツルまで往復してきました。午前6時頃にガスかかる大曲から入山。すがもり越へ近づく につれ視界は徐々に悪くなり、10m程になりました。すがもり越では強烈な風が吹き抜けています。それで も厳冬の吹雪いていた頃に比べるべくもなく、遙かに楽な山行です。相変わらずガスで視界は10m程度で、 強烈な風が吹く北千里ヶ浜を抜け法華院温泉山荘へ下ります。ミヤマキリシマの頃の喧噪が信じられないよう に静まりかえった法華院山荘付近では、本当に静かに時間が流れているようです。坊ガツルへのガスで霞む 景色も、何だか幻想的で夢見心地で、閑散とした野営場付近の空気は確かに野営の日の朝に感じる草の香り なのですね。流れるガスと強い風に夏草が揺れる景色を楽しみつつ、炊飯場でしばらく休憩してから、再び 法華院山荘を経由して山を下りました。

【7月16日】ノハナショウブ

7月16日の九重連山は曇。午前7時頃の長者原付近の気温は24℃。この梅雨、渇水から一転して豪雨となり、 時間雨量80mm超を記録した九重町では、九重連山はもとより飯田高原周辺から筋湯付近で、死者を含む甚大 な被害が出てしまいました。九重連山へ向かう道々でも、崖崩れや路肩の流出、橋の損傷による通行止めが九重町 から庄内町にかけての各地にあります。九重町から玖珠町にかけては、上空にヘリが飛び、川に流されて行方不明 となっている人の捜索が引き続き行われています。
大曲から入山し、三俣山頂へ向かいます。この付近の登山道に豪雨の影響はほとんどありません。時折厳しく刺す 盛夏の日差しを浴びながら、三俣山西峰から本峰、南峰を経由し、坊ガツルへ下ります。法華院温泉山荘上の三俣山 南斜面で大規模な崩落が発生し、土石流が流れた跡が残ります。
坊ガツル野営場付近で見頃となったノハナショウブを撮影していると、春雪氏 がやってきました。登山道は三俣山西から北斜面の崩落が激しく、土石流によって消失した場所もかなりある そうで、相当な荒れ具合のようです。情報交換をし法華院山荘へ向かいます。山荘下の鳴子川は荒れ放題で、 法華院山荘から阿弥陀堂へ架かっていた橋も流出しています。阿弥陀堂のあった場所にも流木がたまり、山荘の中 にも土砂が流れ込んだということで、清掃に追われる山荘前では土にまみれたシート類を洗って干していました。 裏手の三俣山斜面は深くえぐれ、砂防ダムを越えて一気に土石流が流れた跡が残ります。自然の猛威の前に人間の 力はもろく、日常生活が脅威にさらされるという現実があまりにも生々しく、恐怖すら感じます。

【7月23・24日】坊ガツル野営場の朝

7月23日の九重連山は晴。午前10時頃の飯田高原に気温は24℃。この夏初の野営で、午前11時前に吉部から 入山しました。鳴子川沿いの大船林道をショートカットする登路を抜け大船林道にでると、やはり先日の大雨の被害が 目立ち、林道は流水で大きくえぐれ、谷を流れてきた流木が散乱している場所あります。さすがに炎天下の移動 にはまいってしまいます。野営場に着き、ひとまず避難小屋の軒先で休憩して、夕刻から再び移動することに決定 です。法華院山荘に向かい、自販機でビールを買っていると木下氏 と会いました。長者原から雨が池を越えてきたそうで、崩落した場所も多く相当な荒れようだそうです。 昼食を摂ってから避難小屋の軒先の日陰にマットを敷いて15時過ぎまで休憩し至福の一時を過ごした後、大船山へ 向かいます。16時を過ぎた大船山頂には誰もやってきません。ここにもおびただしい数のトンボが飛来し、木々の 枝先に停まっています。日没近くまで山頂で待機しましたが、大気は霞んだ状態で日が傾くにつれ坊ガツルに伸びる 光芒も今一歩で、三俣山の肩に沈んでゆく太陽を追うように坊ガツルへ下りました。夏の野営場は大にぎわい。騒々 しいままに夜も更けていきますが、例によって星空を眺めての酒宴もまた格別であります。

7月24日、午前5時を過ぎ西の空に月が傾き始める頃、野営場は目覚めます。朝露も深くなく、決して好天とは 言えないまでも快適な朝になりました。坊ガツル付近を散策し暑くなる前に撤収です。鳴子川を渡る風が吹き暑さ 知らずの鳴子川沿いの登山道を下り吉部へ戻りました。

【7月31日】(番外編)由布岳から望む九重連山

7月31日は番外編で久々の由布岳山行です。景色はすっかり夏の装いで、正面登山口から望む飯盛ガ城山麓の 草原の緑も一段と濃くなっています。朝の雨をやり過ごしてから自宅を出て、午前11時前に正面登山口から入山。 見上げる山頂付近にはうっすらとガスがかかっています。梅雨末期に九重町に甚大な被害を及ぼした豪雨禍の 影響でしょうか、合谷越手前の登山道に崩落した場所があり、迂回路が付けられています。その他はほとんど 被害もなく登路も荒れていません。西峰と東峰の分岐となるマタエ付近は、ガスに覆われて視界も今一歩です。 東峰山頂付近にかけての登路脇には、夏の花が露をまとって咲いています。それでも山頂付近にはすでに2組 の登山者があり、後続の登山者もやってきます。13時ころからガスが濃くなり始めましたので、早々に下り ました。下り終えた14時過ぎ、山頂付近のガスは再び薄くなっていましたが、登山口でしばし休憩し別府市 街地へ向かった15時過ぎ、別府市街地付近では強烈な雨が降りました。予報どおり、やはり大気は不安定で、 大分県下は各地でにわか雨に見舞われたということです。

2005年8月
【8月6日】盛夏の御池

8月6日の九重連山は晴。午前6時前の長者原付近の気温は18℃。牧ノ戸峠から6時過ぎに入山しました。樹木が少 なく視界がよい反面、日陰がほとんどない牧ノ戸から久住山へのルートでは、特に盛夏の炎天下に移動するのは辛い ものがありやはり早朝の移動がお勧めで、日が高くなるにつれて気温は上昇しますが、炎天下で滝のような汗を流し ながら移動することを考えると雲泥の差で、文字通りすがすがしい朝の空気を吸いながらの山行は、何だかとても 健康的で心地よいのです。登山者は思いの外少なく、通常なら恐ろしく賑わう久住山へのルートも閑散としています。 まず久住山へ向かい、山頂から久住高原や阿蘇付近の景色を楽しみます。やはり久住山頂からの望む景色はスケール も大きく圧巻であります。登路脇に点在するノリウツギが白い花を咲かせ盛夏の濃い緑に映えるアクセントとなって いました。濃い影に沈む空池を望みながら、御池を経由して中岳へ向かう頃、山頂付近には時折ガスがかかるように なってきました。天狗ヶ城山頂でしばらく休憩した後、登路脇の花を撮影しながら山を下りました。

【8月13日・15〜16日】(番外編)大山(弥山)山頂にて

8月13日の鳥取県西部地方は雨のち曇。大山寺から正午前に入山。今回はもっともポピュラーなルートである大山寺 から弥山(みせん)への夏山登山道を歩きます。登路は最後までガスに覆われ、眼下の景色はおろか周囲の景色も望め ない状況でしたが、それでも弥山(みせん)山頂には次々に登山者が訪れていました。
8月15日の朝の大山では時間雨量92mmという記録的な降水がありました。16日にかけて天候も回復傾向という 予報で、16時に大山寺から入山。ガスがかかる中、夏山登山道を黙々と山頂へ向かいます。山頂避難小屋に着いた 18時過ぎ、ひとしきり激しい雨が降り、まさに間一髪のタイミングでした。 大山山頂避難小屋は春から秋にかけては管理人が常駐し、大変きれいに整備されています。南側の屋根一面を覆う巨大な ソーラーパネルが設置され、20時までは小屋内部に蛍光灯がともりますし、バイオトイレも完備されており実に快適 な施設です。今年はお盆前からの天候不順で、宿泊者も少なかったという管理人のワタナベさんのお話しどおり、本日 の避難小屋の宿泊者は私と管理人、そして管理人の知り合いという外国人の3人でありました。小屋の東側の窓の下、 山頂標識が望める1階に就寝場所を確保します。タイマーで管理されているという小屋の蛍光灯は20時過ぎに消灯し ました。屋外では強い風がうねりをあげ、夜中に2度ほど吹き抜ける風の音で目覚めました。

8月16日3:30頃、物音に目覚めるとすでに登山者が避難小屋に入ってくるところでした。窓から望むと、弥山 の山頂標識の向こうにオリオン座が輝いています。再び目覚めた4:30過ぎ、避難小屋にはすでに数組の登山者が 訪れています。5:00を過ぎ、薄明かりが広がる頃、私もマットやシュラフを撤収し小屋の外に出ました。周囲は 濃いガスに覆われています。あきらめて小屋に入ろうかという瞬間、あっという間にガスが晴れ、東の空から太陽が 眩しく輝きます。剣ヶ峰斜面を強烈に吹き上げるガスが朝日に染まり、息をのむ美しさです。そのままおよそ40分 ほどガスが晴れていましたが、再び山頂付近は濃いガスに覆われ視界も開けなくなりました。その後も時折ガスが晴 れる程度で、相変わらず強烈な風とガスで景色も望めず、あきらめて山頂を後にしました。天候は今一歩でしたが、 何とか待望の1泊での大山山行も3年ぶりに実現しました。弥山山頂で剣ヶ峰の向こうの日の出も望めましたし、大満足 です。ユートピア小屋に比べるとメジャーでお手軽とはいえ、弥山の山頂避難小屋も超おすすめで、今度は弥山山頂 で2泊くらいはしたいと思いつつ、帰路につきました。

【8月20日】泉水山麓のヒゴダイ

8月20日の九重連山は曇のち雨。午前7時前の長者原付近の気温は19℃。午前7時頃に大曲から入山。各山頂付近に ガスがかかる中、三俣山へ向かいます。登路脇にはイタドリやママコナ、ノギラン、フクオウソウなどが花を付けています。 ススキも穂を出し、高原は早くも秋の気配が漂っています。断続的にガスが押し寄せる山頂付近は、視界も今一歩です。 吹く風は涼しいというより寒さを感じるほどで、いよいよ夏も末期にさしかかったことを実感した次第です。南峰の坊ガツル を見下ろす場所でしばらく休憩し、坊ガツルへと下りました。野営場のテントは2張。ススキが穂を出した秋の高原での 野営はまた格別でしょう。天候が良ければ満天の星空と月を愛でながら、ススキの揺れる野営場で一足早い?月見酒を楽しめ るのでしょうね。2週間ぶりの九重連山でしたが周囲の様子は一見あまり変わってはいないようにも見受けられます。 それでも登路脇に咲く花は、徐々に夏から秋の走りを感じさせるものへと替わってきています。穂を出したススキが揺れる 坊ガツルの景色を目にすると、確かな秋の訪れを実感します。

【8月27・28日】三俣山西峰のススキ

8月27日の九重連山は晴。午前11時頃の長者原付近の気温は27℃。先日ラムサール条約に登録されたタデ原湿原にも、 いつになく多くの観光客が訪れ、長者原駐車場には観光客を乗せた観光バスが次々にやってきます。タデ原木道周辺は ススキが穂を出し、ヒゴダイが風に揺れ、一段と赤みを増したアキアカネが晩夏の風に吹かれて飛んでおり、すっかり秋 の気配です。過ぎゆく夏を惜しみつつ、この夏最後の野営です。15時過ぎに大曲から入山し、三俣山西峰へ向かいます。 ススキが穂を出した西峰山頂付近に着く頃から徐々にガスが発生し、4峰山頂付近はガスに霞んできました。山頂を吹く 風は早くも秋風で、涼しいというより寒さを感じるほどです。18時頃にはすっかりガスに覆われたため、北千里ヶ浜へ 下りました。北千里ヶ浜から望むすがもり越の上空が残照に照らされる様子を眺め、九重連山の夕暮れを迎えました。 薄暗い坊ガツル野営場に着いた20時前、野営場はテントであふれています。喚声を上げる人こそいませんが、騒々しい ままに夜が更けていきます。更けゆく夜の雲間から望む星空を肴に心地よい酔いを楽しみ、明朝に期待を馳せつつ酩酊し てテントに転がり込みました。

8月28日午前4時過ぎ頃、見上げる空はすっかり雲に覆われ、ご来光を望むにはあまりにも酷な状態です。深夜には 少々風も吹き、曇っていたため朝露もありません。早々に装備を撤収して様子見ですが、明るくなるにつれ天候は一層 悪くなっていきます。こうなるともう山を下った方が賢明です。野営場を発った6時過ぎには小雨も降り始め、法華院 山荘に着く頃には一時雨脚も強まりました。予想どおりの展開に苦笑しつつ、山荘の休憩所で7時過ぎまで雨を避けて 休憩し、雨脚が弱まったのを見計らい、一気にすがもり越を経由して8時過ぎに大曲に帰着しました。


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