2006年 秋

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2006年9月

【9月1・2日】三俣山から望む月明かりの久住山と日の出

9月1日の九重連山は晴時々曇。16時過ぎの長者原付近の気温は22℃。やっと秋めいた天候になり、初秋の九重連山を楽しむべく午後から休暇をもらい、 はやる気持ちを抑えつつ一路長者原へ向かいます。
盛夏の野営では登路が日陰となる吉部ルートが定番ですが、気温の方も随分と秋らしくなり、昼間に野営装備を担いでの山行でもさほど苦にならないようになってきたようです。 長者原から雨が池を越えてのルートなど、やっとバリエーションに富んだ楽しみ方ができるわけでありまして、今回は大曲からの入山です。すがもり越へ着いた17時30分頃、三俣山周辺の山頂付近にはガスがかかっています。 断続的にガスは薄れますが、再びガスに覆われる状態が続いており、このまま坊ガツルへ下るべきか、それとも日没を山頂でで迎えるべく三俣山へ向かうべきか少々悩んだところですが、急ぐわけでもなくテント泊の夜は長いので、 ひとまず三俣山へ取り付きます。
ススキが穂を伸ばし、すっかり秋の装いとなった三俣山登路を本峰へと向かう途中も、ガスは断続的に押し寄せ、束の間晴れてはまたガスに覆われる状態が続きました。 周囲を覆うガスも染めながら18時30分過ぎに西の空の雲へと太陽が沈むと、急激に暗くなります。 間もなく上空は煌々と月が輝き、ガスもすっかり晴れるようになりました。 月明かりの登路はヘッドランプがなくても歩けるほどで、思い の外明るく快適です。山頂を下ってからは、お決まりのビールからウイスキーを経て、性懲りもなく酩酊してシュラフに潜り込んだのであります。

9月2日、5時前には再び三俣山南峰へ。朝はとにかく露が深く、スパッツだけ では登路に茂る藪の露を避けるのは困難で、雨具を着用しなければずぶ濡れになります。 この時期の早朝山行では、藪こぎが必要な ルートだけでなく、笹などが膝上まで茂る登路では雨具が必要です。先週の星生山では全く気にもならなかったわけで、 そういえば 牧ノ戸峠から久住山や中岳方面へのルートでは登路を外れない限り草原を歩く場所もなく、藪こぎも不要です。当たり前のことですが、 朝露のことは全く考慮する必要もないわけです。
久住山方面にも登山者のヘッドランプが光っており、今日もご来光目当ての登山者は賢明にも朝露を回避し天狗ヶ城や中岳方面へ向か っているようです。東の空が白み始め周囲が明るくなり始めると、 見事な雲海が広がっていることに気づきました。東の地平線付近には 低く雲がかかっており、実際の日の出の時刻からは少し遅れて、6時前にその雲の切れ間から太陽が姿を現しました。 8時30分頃まで 山頂付近を訪れる人もないまま、静かですがすがしい朝を楽しんだのであります。
大船山にガスがかかり始め、徐々に山頂付近をガスが覆うようになってきた9時頃には山を下りました。 昨日は随分と秋めいてきたよう に感じたのですが、やはりまだ安定した秋の天候にはほど遠いようです。ガスに覆われ日差しが遮られると暑さは感じないものの、さすがに景色は開けず今一歩ということになります。 それでも季節は確実に移ろっており、登路脇にはリンドウも咲き、いよいよ山には秋の気配が濃く漂い始めました。

【9月9日】オタカラコウ咲く坊ガツル木道付近

9月9日の九重連山は曇のち雨。5時過ぎの長者原付近の気温は21℃。安定した秋の天気にはほど遠く、秋雨の 気配が濃厚な九州北部では、午後にかけ雨になるという予報です。 10日(日)の天気も怪しい状況ですので、午前 には急ぎ足の山行を終える予定です。実際は現地に着いてから、もしも雨ならばゆっくりと温泉に浸かるなり、方々に設置されている東屋(あずまや)で 雨の九重連山をのんびりと鑑賞すればよいだけで、雨の中を入山する気は全く ないので、まあお気楽な山行というところでしょうか。
入山した5時30分過ぎにはヘッドランプがなくてもなんとか足下が確認できるほどで、徐々に 明るくなる登路をゆっくりと歩き、6時頃にすがもり越へ着きました。周囲の山にはガスがかかり、視界は開けません。 ガスがかかっていることもあり、ここは坊ガツルまでのお手軽山行に決定して、北 千里ヶ浜を法華院山荘へと急ぎます。山荘上の砂防ダムの工事は進んでおり、 法華院温泉山荘と阿弥陀堂の間の谷川には工事用の取り付け道路も造られていました。
坊ガツル野営場へと向かう木道付近にはススキが揺れ、オタカラコウやアケボノソウも咲き、すっかり秋の装いとな っていました。野営場に着く頃には三俣山斜面に朝日も差し、 平治岳上空には青空も望めるようになっていました。 すっかり安心して炊飯場で遅めの朝食をのんびりと朝食を摂っていると、さすがに気まぐれな山の天気はそんなに甘くなかったようで、 すぐにガスが山を覆うようになりました。
ガスの霧雨が降る中、法華院山荘からすがもり越へと急ぎます。すがもり避難小屋まで戻った9時頃には雨粒も大きくなり、大曲に帰着し長者原付近まで下った頃には本格的な雨となりました。

【9月15日】雨ヶ池木道

9月15日の九重連山は曇時々雨。11時過ぎの長者原付近の気温は19℃。今回もまた安定した秋の天気にはほど遠く、束の間晴れたもののまた秋雨が続く九州北部には台風も接近しており、 天候は予断を許さない状況です。16日 の週末からの3連休は、どうやら雨模様になりそうで、特に17日から18日にかけては台風が接近し、大荒れの天気 との予報で、野営はおろか山行すらままならない状況のようです。
標高1300m付近からガスがかかる状態ですので、ひとまず雨ガ池を経由して坊ガツルへ向かうことにして、11時 過ぎに長者原から入山しました。昨年の集中豪雨禍で甚大な被害を受けた九重連山では、 依然その爪痕が深いまま残さ れており、三俣山麓の長者原付近から法華院温泉山荘付近まで、現在大がかりな治山工事が進行中です。
雨ガ池付近にはガスがかかり、時折小雨も降ります。ピークを過ぎているもののマツムシソウが咲き、雨ガ池一面には ヤマラッキョウがピークを迎えつつあります。野営場へ向かい、炊飯場で昼食です。 あいにくの天気にもかかわらずテントも1張り設営されていました。
天気は一向に回復する気配もなく、ガスもますます濃くなる状態ですので、再び雨ガ池を経由して下ることにしました。 雨ヶ池付近のガスは往路より一段と濃くなっていましたがガスによる小雨はほとんどなく、14時を過ぎる頃には上空に 太陽の輪郭も望めました。しばらく待機しましたがそれ以上の回復は望めず、長者原へと下ります。
長者原へと下る途中の15時頃に、アクティブレンジャーのヒロエちゃんと会いました。 先方は4名ほどで登山道周辺の点検中だったのでしょうか。 天気も小康状態のままタデ原へと下り、木道散策をのんびりと楽しみました。

【9月23日】残照の久住山と御池

9月23日の九重連山は晴。15時前の牧ノ戸峠駐車場はほぼ満車で、周辺の道路脇にも多くの車が駐車しています。土曜日というだけではなく、秋分の日と も重なり、 秋の行楽シーズン只中ということで多くの登山客が押し寄せているようです。15時に入山したところで、牧ノ戸峠か ら沓掛山への登りでは下ってくる登山客の数に圧倒されます。韓国語とおぼしき言語も飛び交い、 さらには白人の登山客も混じり 英語での会話も聞こえてきます。ここ九重連山にもインターナショナルな雰囲気が漂うようになったのですね。
西千里ヶ浜付近にさしかかった16時前には行き交う登山客もほとんどいなくなり、喧噪に包まれていた久住山周辺にも再び静寂 が戻ってきたようです。徐々に傾きつつある夕日照らされた久住山を望みながら、 のんびりと久住分れから御池へ向かいます。 御池から中岳へ向かう途中でMatsuzaki氏と会い、 しばし情報交換。中岳で休憩してこれから星生崎あたりで夕暮れを楽しむという ことでありました。
御池から池の小屋へとさしかかると、小屋の周囲にロープが張られ入り口に利用禁止の表示がされています。昨年来急速に崩壊が進んでおり、かなり危険な状態と思われていたところで、 これはもう仕方のないところでしょう。それにしても厳冬期には随分とお世話になる避難小屋で、是非とも早急に補修なり再建なりをお願いしたいところです。
17時頃、中岳に着く頃には徐々に秋の日も傾き、坊ガツルには三俣山の影が伸びていきます。見下ろす坊ガツル野営場にはたくさんのテントが張られ、秋の野営を楽しんでいます。
中岳山頂で暮れゆく九重連山を眺めていると、木下氏がやってきました。久住山を経由して来られたそうで、 今日はここからは 木下氏に同行させてもらうことにして、日没を中岳山頂で迎え、 その後は月明かりもなく真っ暗な登路をヘッドランプの 明かりを頼りに下りました。牧ノ戸峠へ下った20時過ぎ、 駐車場にはMatsuzaki氏 やKajitani氏らも待機中でありました。 気づけばすでに20時30分前、上空には満天の星空が広がり、このまま野営ができれば申し分ないところですが、さすがに明朝の作業も気になるところで、 やむを得ず挨拶も早々に帰路につきました。帰宅後はお決まり の深酒モードで、性懲りもなく酩酊。そして目覚めればすでに朝。大急ぎで刈り払い機(エンジン付きの草刈り機)を持参して、 自宅近くの河川の土手を刈る作業に参加です。しかし、そこは手慣れたもので、腰上まで茂り藪と化した土手斜面の草刈り作業をさりげなく?こなしたところであります。

【追伸】
今回の更新で、「ようこそ九重連山へ」のサイトをインターネットに公開して以来無事10周年を迎えました。長らくのご愛顧に ひたすら感謝であります。10年前は「ホームページって何?」ということで、 説明しても判らない人が圧倒的に多かったものです。 10年の流れを説明するだけでも、新しいサイトが作れそうなほど多くの出来事があったわけです。 がしかし、そんなことをしても中年オヤジの懐古趣味と笑われそうなので、ここは潔くやめます。やはり10年は長かったかな〜と思いつつ、自分で自分を褒めてあげる意味も込め、 今夜も祝杯の美酒に酩酊することになりそうです。(苦笑)

【9月29・30日】大船山から望む秋の夕日と坊ガツル輪地焼き

9月29日の九重連山は晴。14時頃の吉部登路入り口付近には、平日にもかかわらす10台を超える車が駐車しており、さすがに秋の山行シーズン始まりというところでしょうか。 吉部から大船林道にかけては、法華院山荘上の砂防ダム工事のためのミキサー車など大型車両が頻繁に通行し、砂埃が舞い上がります。
14時過ぎに吉部から入山。鳴子川西岸の上湯沢山麓の登山道経由で 坊ガツルへ向かいました。坊ガツルから法華院山荘への道も大幅に拡幅され、大型の重機やミキサー車も難なく通行できます。 「登山者優先」の標識が設置され、工事車両も例外なく徐行してくれて有り難い限りですが、やはり砂埃との闘いとなります。
法華院山荘でビールを調達し、坊ガツル野営場に向かいます。野営場にはすでに数張りのテントが設営されており、 大船山方面から下ってくる登山客も次々に通り過ぎていきます。 炊飯場裏の水場にビールを冷やしテントを設営した16時過ぎに 大船山へ向かいます。西の空には雲が多くて鮮烈な夕景は望むべくもなく、18時前には西の地平線を覆う雲間に太陽が沈んで 行きました。
坊ガツル野営場に着いた19時頃、周囲はすっかり宵闇に包まれ上空には雲間から星も覗きます。天気予報では明日は曇りという ことで、明朝はのんびりと惰眠を貪る予定であります。 無風の野営場は思いの外暖かで、テントサイトに揺れるススキと上空の雲間から垣間見える星が何よりの肴で、抜群のロケーションの下で知らず知らずに盃を重ね、 期せずして思いの外早くテントに転がり込んだのであります。寒さに目覚めるとまだ22時過ぎ、どうやら酩酊してシュラフに下半身だけ突っ込んで寝ていたようです。(苦笑) 念のため夏用のシュラフを2枚重ねシュラフカバーも使用して寝ることにしました。0時過ぎに今度は暑くて目覚め、シュラフカバーとシュラフのサイドジッパーを開けてまた寝ました。

明けて9月30日、再び目覚めた3時過ぎ、曇り空を期待しテントの外を覗くとなんと満天の星空が広がっているではありませんか。これはもう惰眠を貪るどころの話ではなく、 速攻で大船山へ向かうことにします。3時過ぎの坊ガツルの気温は6℃です。大船山頂が近づくにつれ風も何だか暖かさを感じるようにも なったわけで、どうやら盆地状の地形になっている坊ガツルは、 晴天の夜間に放射冷却で冷えると周囲の山頂より気温が低下するようです。
山頂へ着いた5時前、東の空は濃い雲に覆われています。予想されたことではありますが、今回は大外れで、ご来光は望むべくもありません。すでにヘッドランプも不要なほど明るくなってきたのですが、 上空を覆う鱗雲が申し訳なさそうに染ま るのみで、太陽は一向に姿を現しません。6時30分前になり、やっと雲間から朝日が差すようになりました。米窪から段原西斜面が斜光を受け、 濃い陰影を残しながら徐々に明けていきます。三俣山北西斜面に大船山の影が伸び、幸いにも九重連山の朝と呼ぶにふさわしい光景を楽しむことができました。
7時を過ぎる頃からは、山頂に登山客が訪れるようになり、太陽もやっと雲間を抜け、さんさんと秋の日が照らすようになりました。坊ガツルへと下り撤収を終えた9時過ぎ、 野営場に法華院山荘の作業車がやってきました。今日は来春の野焼 きに備えての輪地焼きが行われるということです。次々と作業を行う人が訪れ、坊ガツル周辺に散開して行きます。 9時30分過 ぎに坊ガツル周辺から煙が昇り始めます。輪地焼きの煙が坊ガツルに立ちこめる中、煙に霞む大船山に思いを残しつつ山を下りま した。

2006年10月

【10月7・8日】雨ヶ池のヤマラッキョウと北千里ヶ浜の夜明け

10月7日の九重連山は曇。正午前に自宅を発ち九重連山へと向かいます。秋の行楽シーズン只中 ということで駐車場には満車。駐車場所探しに少々時間を費やすことになり、 14時30分過ぎに入山しました。タデ原木道から望むと 1500m付近からガスが覆い、三俣山頂も望めません。雨ガ池を経由して坊ガツルへ向かうことにします。 先日来行われている指山山麓の治山工事はかなり奥まで重機が入り、工事が進んでいます。
登路は、わずかに染まり始めた木々の葉の覆われ、落葉も増えてきました。雨ガ池はヤマラッキョウの花が満開で、紫色の花が一面に咲いています。マツムシソウはすでにピークを過ぎてはいますが、 まだ花は十分に楽しめます。天気は雲間から時々日が差すものの、一向に回復する気配もないままで、16時30分過ぎに坊ガツル野営場に着きました。すでに多くのテントが設営され、 早くも宴会モードに突入 しているグループもあります。周囲の山は濃いガスに覆われており、本日の行動はここで終了にして、ススキ覆う野営場の草原の隙間にテントを設営し、 抜群のロケーションを肴に17時過ぎから格別の味わいのビールを賞味したところです。
18時過ぎには暗くなってきます。気温は10℃で、かなり寒く感じ るようになったためテント入りシュラフに半身を潜り込ませ、ウイスキーを飲みながらラジオを聞こうとしていると、 何とテントをたたく雨音が聞こえてくるではないですか。ひとしきり降った後にすぐに止みましたが、やはり野営で雨に遭うと憂鬱な気分になります。それでも予報では明日も快晴ということで、 一晩中強めの風は吹き続けたものの、その後は雨に遭うことはありませんでした。

明けて10月8日、寝付きも早ければ目覚めるのも早くて、ふと目覚めると時刻は3時。通常なら再度寝てしまうところですが、異様なほど明るいので外を見てみると、 上空を覆っていた雲が切れ始め、煌々と月明かりが照らします。中秋の名月から2日経過しているところですが、ほぼ満月の月明かりは明るく、野営場が月明かりに照らされて幻想の世界が広がっています。 そんな中で、3時過ぎには、早くも 大船山へ向かうグループもありました。今後の行動予定に迷いながらもじもじとしている間に、4時前後までにはさらに一組が大船山へ向かいました。 意を決して私も早々に撤収を決め、北千里ガ浜から三俣山へ向かうことにします。気温は6℃と、それなりに冷え込むようになり、紅葉も一気に加速しそうです。月明かりの登路は明るく、 ヘッドランプがなくても歩けるほどです。まだ眠りの中にある法華院温泉 山荘を過ぎ、北千里ガ浜はずれに着いた5時30分前には東の空が白み始めました。大船山のシルエットの上空の空は、 オレンジ色から ダークブルーに絶妙のグラデーションを描き、刻々とその色が変化していきます。
朝日を迎えるまで1時間弱、ここで待つことにします。やがて星生山頂付近が、そして硫黄山の噴煙も朝日に染まり始めてしばらく、6時30分頃にやっと朝日が注ぎ始めました。 荒涼とした季節感の乏しい北千里ガ浜はずれで迎えた朝、自然の織りなす情景に今回もまた限りない感謝であります。
すっかり明るくなると次は大鍋付近の紅葉も気になるところで、すがもり越えから三俣山へ向かいます。西峰から本峰付近までは強烈な風が吹いています。秋の深まりに合わせて、 4峰下や大鍋付近のドウダンの葉がわずかに染まり始めており、このまま順調に朝夕の寒さが 続けば10下旬には見事な紅葉が楽しめそうです。
本峰山頂付近で風を避けながら待機すると、8時過ぎには徐々に登山客が増え始め、9時を過ぎる頃には団体の登山客も訪れるようになりました。 混雑し始めた登路で再び挨拶攻勢に遭いながらすがもり越へ下ると、ここにも次々と登山客がやってきます。また今日も喧噪の一日を予感しながら山を下りました。

【10月21日】明け行く九重連山と三俣山の大鍋の紅葉

10月21日の九重連山は快晴。午前5時頃の長者原付近の気温は5℃。すでに長者原の駐車場には多くの車が駐車しており、さすがに秋の行楽シーズン只中というところでしょうか。 大曲の駐車スペースに もすでに数台の車が駐車し、エンジンをかけたまま待機中の車もありましたので、早朝に現地に着き明るくなるまでしばし仮眠中ということなのでしょうか。東の空が白み始める中、 ヘッドランプを灯し5時過ぎに入山しました。
すがもり越に着く6時前には、大船山上空がすっかり明るくなり、すがもり避難小屋も薄明かりの中に輪郭を現し始めました。明けゆく九重連山を撮影しつつしばらく休憩した後、 北千里ヶ浜はずれを経由し坊ガツルへ下りました。まだ眠りの中にある法華院山荘を過ぎ、坊ガツル野営場に着きました。6時30分過ぎの坊ガツルの気温は3℃で、霜に覆われています。 坊ガツルの炊飯場で、持参したコンビニ弁当に味噌汁という実に豪華な?朝食タイムです。30分ほど休憩した後、 7時過ぎに大船山へ向かいました。
大船山登路は、登路を覆っていた木々も落葉が進みすっかり明るくなっており、枯れ葉の香りがあふれています。落葉を踏みしめ順調に 高度を上げると、8時前の大船山頂からはすでに下ってくる登山者もいます。 山頂では数名のカメラを構えた登山者もいて、さすがに喧噪の一日を予感させます。山頂から望むと大船山の影が坊ガツルへと延び、太陽が高くなるにつれ徐々にその影が短くなります。 朝日に照らされた段原付近の紅葉は、現在ピークを迎えているようです。劇的というほど彩度は高くはありませんが、例年並みにドウダンの葉が鮮やかに染ま っています。御池へ下ってみると、 こちらは少々ピークを過ぎているようではありますが、それでもまだ十分に彩りは楽しめます。
九重連山の紅葉のピークは、実家の 秋の収穫時期と完全にバッティングしており、例年の例では実家の稲刈りの日前後が大船山の御池では紅葉のピークという、 実にわかりやす い予想ができてしまうのです。これがまた水晶玉で未来を予見する占い師の予言よりよほど確実性があり、現地を見なくても紅葉のピーク が判ってしまうという神業にも近い偉業ともいえ、 本当に助かります。(苦笑)そんなことで御池付近ではピークを少々過ぎていることは 想定内でありましたが、ともあれ自身の目で現認することもでき、 ひとまず納得です。9時30分を過ぎる頃には徐々に登山者も増え始めましたので坊ガツルへと下りました。
坊ガツル野営場で休憩した後、三俣山南峰直登ルートへ取り付きます。 坊ガツルの向こうに望む大船山の段原付近のドウダンがきれいに染まり、大船山から鉢窪にかけては緑も混じる見事な彩りで、現地で近景を望むより遠望している方が きれいに見えるようです。
三俣山の大鍋・小鍋付近の紅葉は現在ピークを迎えており、ドウダンが紅に染まり黄や緑も混じる極彩色の彩りが大鍋・小鍋を覆っています。 本峰から北峰を経て大鍋・小鍋を1周する通称「お鉢巡り」のコースは登山者があふれ、紅葉のピークを迎えた三俣山は大混雑です。

三俣山本峰で色付く絶景を堪能した後、山を下りました。本峰から下る途中で、 プライベート山行中のアクティブレンジャーのヒロエちゃんと 会いました。普段は業務で山行?しているわけで、 休日も山行というのは全く敬服ものであります。
混み合うすがもり越から14時30分頃には大曲へと帰着し温泉へ直行です。のんびりと浴槽に浸かると疲れも一掃されます。こうなると次は燃料補給でありまして、 自宅に帰り着くなり近くのコンビニで買ったビールを堪能したところです。行く秋の紅葉も堪能し、温泉も楽しむことができ、これで私の中では先週のブランクはひとまず精算されました。ああ、良かったな〜。(笑)

【10月28日】星生山の紅葉

10月28日の九重連山は晴のち曇。午前7時過ぎの長者原付近の気温は9℃。午前7時過ぎの長者原のビジターセンター側の駐車場はほぼ満車に近い状態でしたが、 やまなみレストハウス側は随分と空いています。 この時刻には入山していく登山客も急激に増えてきます。長者原を過ぎ大曲に駐車し、牧ノ戸峠まで歩くこと30分弱、ウォーミング アップも兼ねて適度な距離です。 道路脇の紅葉も進み、カエデの色付きも鮮やかです。
牧ノ戸峠に着いた8時頃には、売店前の下側に ある駐車場はすでに満車で、登山口からは続々と登山客が入山していきます。声高に話す妙齢?のご婦人方のグループや家族連れ、 バスで訪れた団体の人波にもまれながら沓掛山の舗装された登路を歩くと、のんびりしたペースで汗も出ません。 それにしても、なぜ牧ノ戸峠 から久住山へのルートは、 他のルートに比べこうも桁違いに登山客が多いのか不思議です。しかも大多数の登山客は久住山までの単純な 往復であり、 何だか聖地巡礼向かう敬虔な信者にも似た異様な雰囲気すら漂う長蛇の列が延々と続くのであります。
沓掛山南斜面から鍋谷にかけてのドウダンの色づきはピーク で、カエデ類もきれいに染まっています。扇ヶ鼻分岐手前では星生山西斜面もきれいに色付き、見応えがあります。 振り返ると沓掛山からは登山者の列が切れ間無く続き、これはもうのんびりしていると大変なことになりそうなので、早々に切り上 げて久住分れへと急ぎます。 久住分れから御池・中岳方面へ向かうと登山客の一群からも離れ静かになります。その後も天狗ガ城あ たりから望むと、久住山へ向かう登山客の流れは一向に衰えることなく延々と続いていたのであります。
秋の深まりとともにそろそろやってくる寒波で、例年10月下旬からは霧氷の便りも聞かれるところですが、今年はこれまで天候も 小雨・高温傾向のまま推移しており寒波襲来の気配もありません。 次週は連休で、しかも日本一の規模といわれる吊り橋もオープンし、 遠方からも多くの観光客が訪れることになりそうです。

2006年11月

【11月4日】すがもり越から望む大船山

11月4日の九重連山は晴。午前9時頃の長者原付近の気温は14℃。本日は恒例の友人との秋山行。紅葉の時期は少々逸した ものの、山頂から麓へと色付きが移る紅葉を楽しみつつ、 深まり行く秋を堪能しようという計画です。地元では10月末に開通 した大吊橋の大混雑が伝えられる中、長者原周辺も登山客で大賑わいです。折しも秋の行楽シーズン只中ということで、例年の こととはいえ、 今年はまた一段と混雑が激しくなっているようです。
9時過ぎに大曲から入山、すがもり越へ向かいます。すがもり越にも次々に登山客が訪れますが、さすがに紅葉の時期を終えて いるため、 一時の熱狂的な混雑は回避され幾分静かになっています。すがもり越から北千里ヶ浜周辺にかけては、秋の深まりと ともにいつしか草紅葉も冬枯れの気配に代わり、早くも晩秋の装いで、 平地より一足早く晩秋から初冬の雰囲気が漂い始めてい ます。そういえば今年の秋は記録的な小雨とともに高温傾向のまま推移しています。例年10月後半には霧氷も観察され、 11 月初旬には初雪の便りも聞かれるところですが、未だその気配もありません。天気予報によれば、次週あたり冬型の天候となる ようで、そろそろ初雪や霧氷が観測されるかもしれませんね。
ススキの穂も完全に穂綿になり、風に吹かれて穂綿が漂います。すっかり冬枯れの気配が漂う九重連山は、移ろいゆく季節の 端境期で景色も少々単調です。 北千里ヶ浜から望む中岳から天狗ガ城斜面に広がるススキの穂綿が銀色に輝く様子を楽しみつつ のんびりと歩きます。久住分れにさしかかると、これもまた毎度のことながら、 登山客の列が延々と久住山へ続いています。 登山客の歓声そして笑い声、妙齢?のご婦人方の嬌声、さらには子どもの泣き声から母親が子どもを叱る声、犬の吠え声まで混じり、 延々と続く人波は、今日もまた喧噪とともに絶え間なく久住山へと続くという、なんとも摩訶不思議な様相を呈しているわけで、 考えてみると、そんな人波の真ん中にいる自分も何だか不思議な存在です。(苦笑)
うねりのように続く人の流れを抜け星生山へ向かいます。当然星生山も賑わっており、昼時とも重なり昼食中の登山客に混じり 周囲の景色を堪能しつつ、のんびりと昼食を楽しみました。秋の空は高く、 硫黄山の噴煙は一段と白く、単調な冬枯れの景色の 中にも、晩秋から初冬へと移ろいゆく季節を感じることができます。星生山頂下から大曲へ直接下る急傾斜のルートは、 以前は登路をササが覆い藪こぎを強いらていましたが、今回久しぶりに通ってみると、登路を覆っていたササが刈られ、大変に歩きや すく整備されていました。
山を下り長者原付近に戻ると相変わらずの混雑で、大吊橋を訪れた観光客の車が長者原の交差点の信号で長い列になっています。 やまなみハイウェイは車列が途切れることがなく、 いつになく混雑した九重連山周辺は終日大賑わいでした。

【11月18日】三俣山の向こうに由布岳を望む

11月18日の九重連山は曇のち雨。午前7時前の牧ノ戸峠の気温は3℃。午前8時頃までは雲は厚いものの、上空を覆う雲間から時折 太陽のシルエットも覗く状態でした。
九重連山では、2週間前に霧氷と初雪の便りが聞かれたところで、やっと晩秋から初冬へと向かい始めたようです。 例年11月初旬には通称「やまなみハイウェイ」の長者原から瀬ノ本間にチェーン規制が出されるところですが、今年の秋から冬にかけて最初のチェーン規制 は出されていないようで、 これも少々遅れ気味の気がします。この秋は、やはり小雨高温傾向のまま推移していきそうです。
熱狂的な賑わいを見せていた秋も終わりを迎えたようで、登山客も激減していました。 午前7時前の牧ノ戸峠駐車場には、10台程度しか駐車していません。早々に入山し沓掛山まで駆け登り、岩陰で風を避けて絶景をおかずに遅めの 朝食です。2週間空けただけで、 こんなにも懐かしく感じるのは何だか不思議です。遠く由布岳周辺が雲海の上に姿を現し、朝焼けの 残照にわずかに色付いています。7時を過ぎるとすっかり明るくなり、 雲間からは太陽のシルエットも覗き、時折薄日も差していました ので、よもや急激に天候が崩れるとは思いもせず、のんびりと朝食を楽しみました。
登路は霜柱が覆っており、この霜が融け恐ろしくぬかるんだ登路ではスパッツが必需品です。登山客の激減した登路をのんびりと歩き、 ついこの前まで大混雑していた久住山へ向かったところです。 久しぶりの久住山頂は閑散としており、誰もいません。山頂から望む阿蘇方面は雲が低くたれ込み始め、すでに雨が降っているような雲行きです。こうなると当然のことではありますが、 やはり長居は無用で久住山頂を下り御池へと向かいます。先行の登山客が1名いただけで、 こちらも閑散としていました。記録的な小雨となった秋のためか、御池の水量は随分と低下していました。 午前9時30分頃から小雨が 降り始め、やがて本降りになってきましたので早々に山を下りました。

【11月25日】タデ原から望むガスかかる指山

11月25日の九重連山は曇。午前7時頃の長者原付近の気温は7℃。季節はすでに晩秋から初冬へと移ろう時期にさしかかり、 少々遅れ気味とはいえ初雪と霧氷が訪れ一気に冬へ向かうかと思いきや、この冬は暖冬という予報を裏付けるかのように高温傾向の秋が続 いています。 長者原付近の気温があと5℃低ければ山頂付近には霧氷も着くのでしょうが、長者原から望む三俣山は低くたれ込めた雲 の中に隠れその姿さえ望めません。 ガスによる霧状の小雨が降る中、午前7時過ぎに大曲から入山しました。
ガスに覆われた登路を黙々と歩き、すがもり避難小屋に向かいます。 すがもり越付近もやはりガスに覆われており、視界も開けません。 天候が回復傾向であれば、午後からはガスが切れることも多いのですが、予報では午後からは曇りから雨になるようで、 ガスが晴れる 望みは薄いようです。8時過ぎまで待機しましたが、やはり一向にガスが晴れる気配もなく、北千里ヶ浜を経て坊ガツルへ向かいます。
法華院温泉山荘上の砂防ダムの工事は継続中で、8時30分頃からは今日の作業が始まったようで、重機のエンジン音も聞こえてきます。 法華院山荘でも、 山荘裏の発電施設がある小屋の補修工事が始まっていて、工事関係の車が乗り入れていました。依然ガスがかかる中を 坊ガツル野営場へと向かいます。野営場には、 あいにくの天候ではありますがテントが設営されています。炊飯場でしばらく待機しまし たがガスが晴れる気配もありません。やむなく法華院山荘まで戻り、休憩所を借りて再び10時過ぎまで待機しましたが、 ガスは断続的 に濃くなり、やはり晴れる気配もない状況でした。
すがもり越を経て大曲に帰着した11時過ぎには長者原付近には薄日も差しています。その後長者原へ下り、薄日の差すタデ原木道をのんびりと散策してから飯田高原で遅めの昼食を食べ帰路につきました。


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