2006年 冬

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2006年1月
【1月3日】薄雪の九重連山(大船山にて)

1月3日の九重連山は曇のち晴。午前7時頃の飯田高原の気温は−2℃。 午前7時頃の飯田高原から望む九重連山は山頂付近にガスがかかるあいにくの天候です。 吉部から入山する直前の午前8時前、見覚えのある車がやってきたと思ったらやはり春雪氏 でありました。 大船山方面へ向かうということです。 私はひとまず暮雨の滝へ向かいます。登路の積雪は20cm程度で、良く締まった圧雪で歩きやすく快適です。
暮雨の滝は半分程度氷結していますが、滝壺も凍っていません。年末の情報ではかなり氷結していたようでありますが、 このところの暖かさで融けてしまったのでしょう。これからの厳冬期には再びきれいに氷結してくれることを期待するばかりです。 ここから歩きやすい圧雪路を坊ガツルへ向かいます。坊ガツルの野営場付近に着いた午前10時頃には先ほど まで山頂を覆っていたガスも晴れてきました。
大船山登路も良く圧雪し大変歩きやすくなっており、無雪期よりも快適なほどです。段原まで問題なく着きましたが、 冬季の大船山の難関は山頂下の登路で、雪の吹きだまりとなり嵩上げした登路が頭上の樹木との空間を狭くし、這うようにしてしか進めなくなることが多いのです。 本日は全く問題なく、あっけないほど簡単に山頂に着きました。 登路は 嵩上げしていますが、良く締まっており樹木の枝との間にもまだ十分な空間がありました。山頂はすでに10名を超える 登山者がいました。 さすがに強烈に吹く切れるような冷たさの風には長時間は絶えられず、早々に退散です。 5合目付近 まで下ったところで春雪氏が登ってきました。 春雪氏はこの後の大船山 からの下りでは立中山を経由したそうで敬服ものであります。 私の方は、風は強いものの冬の日が暖かな日だまりを与え てくれる坊ガツルでゆっくり休憩し、坊ガツル周辺の雪景色を堪能してから山を下りました。

【1月7日】雨ヶ池付近の霧氷群

1月7日の九重連山は曇。午前9時頃の長者原の気温は−8℃。 県道11号の水分峠からはチェーン規制が出され、圧雪路が続きます。午前10時前に入山、タデ原木道から雨ガ池へ向かいます。 登路は徐々に積雪も増え、雨ガ池手前では20cm程度の新雪があり、積雪は40〜50cmになります。今日は先行者のトレースがあり、これまた快適なスノーハイクです。
天候は相変わらず各山頂付近にガスがかかる状態で、雨ガ池付近の木々には霧氷が着き厳冬の九重連山を飾ります。 坊ガツル野営場付近は4日前に訪れた時に比べ多少積雪が増えています。正午前の坊ガツルの気温は−10℃でしたが、ほぼ無風で寒さは感じません。 体感気温は、特に吹雪き混じりの強烈な風が吹くと0℃程度でも恐ろしく寒いのですが、無風であれば−10℃でもそれほど寒さを感じません。 法華院山荘へ向かい、談話室を借り昼食を兼ねて休憩です。
帰路は北千里ヶ浜からすがもり越を経て下るべく法華院山荘を発ちます。前回の12月17日は新雪が積もる登路で首まで埋もれ悪戦苦闘したところでありましたので、 昨日来の新雪で山荘裏登路のトレースが完全消失しているのを確認し、再び雨が池経由で下るべきか迷うところであります。 結果的には、完全にトレースが消失し膝上まで新雪が積もる場所もありましたが、 その他はおおむね20cm程度の新雪がある程度で、さほど苦労することなく北千里ヶ浜へ着いたのであります。 北千里ヶ浜は今日も風雪が吹き抜け凍てつく寒さです。すがもり越の雪に埋もれた避難小屋で休憩した後、山を下りました。 長者原に帰着した午後3時頃の気温は−5℃で、寒波の影響で終日気温は低いままだったようです。

【1月15日】厳冬のイルミネーション

1月15日の九重連山は曇。午前7時過の長者原の気温は−1℃。昨年12月以来厳冬期並の厳しい冷え込みが続いていましたが、 先週からは一転して春先を思わせる暖かさになりました。 昨日はまとまった雨が降り、上昇した気温も手伝って積雪が激減していました。長者原の駐車場に雪はなく、大曲の駐車スペースも完全に雪が融け容易に駐車できます。
朝から低く雲がたれ込め、午前8時前になっても一向に晴れる気配はありません。 8時過ぎに大曲から入山し、すがもり越へ向かいます。登路の積雪は激減しており、久しぶりに地面を見た気がします。 すがもり越付近まで登ると上空を覆っていた雲の 上部が見え始め、青空も覗きます。足下の岩は昨夜までの雨が凍り付いてツルツルに滑ります。 すがもり避難小屋付近でも路面 の岩は完全に氷結し、足下もおぼつかないほど滑りますので慎重に歩きます。
三俣山斜面の木々や岩は、わかりやすくいえば氷をコーティングした状態でガラス細工のようになっています。西峰山頂から 南峰までの木々は見事に着氷し、 霧氷とはまたひと味違う輝きを放ちます。南峰から望むと遠く祖母・傾山系が雲海に浮かび、坊ガツル上空にも雲海が広がります。 山頂付近は強い風が吹きますが凍てつく寒さということもなく、周囲の木々の枝に着く氷 が風に揺れカラカラと音を立てます。4峰山頂付近でしばらく休憩してから山を下りました。 帰路に立ち寄った牧ノ戸峠駐車場で、下ってきたsumisumi氏に会いました。 早朝からご来光ねらいで天狗ヶ城へ行ってきたということでありまして、山頂付近は早朝から晴れており、眼下の雲海が見事であったということであります。 雲がかかっているものと思っていただけに、全く見かけの判断だけでは判らないものです。

【1月21日】中岳と大船山

1月21日の九重連山は曇。午前10時過ぎの牧ノ戸峠の気温は−3℃。 長者原から牧ノ戸峠までの道路はわずかに圧雪し、周囲は再び厳冬期にふさわしい雪景色になっていました。
牧ノ戸峠登山口から快適な圧雪路が続きます。新雪の積雪は10cm程度です。周囲の木々の枝にもうっすらと積雪しており、 昨夜は風も弱い中で静かに雪が降ったことがわかります。すでに多くの登山者が踏み固め適度に圧雪した登路は、無雪期より歩きやすいほどの快適な雪中ハイクです。 西千里ヶ浜付近も新雪が積もり、久住山避難小屋から久住分れにかけても新雪が覆い一面の雪原となっています。
御池へ向かう頃から徐々に風が強まってきました。湖面に雪が積もる御池も一面の雪原で、わずかに残る氷が覗く部分を除けば、 ここが氷結した池であることすらわからない状態です。風を避け池の小屋でしばし休憩。 この避難小屋も近年急激に老朽化が進行しています。長年にわたり厳しい自然にさらされて満身創痍というところです。 築後どれだけの期間が経っているのかわからないわけで、痛み具合から見ると補修というよりそろそろ建て直しが必要な気もします。
正午を過ぎる頃から徐々にガスもかかるようになってきました。池の小屋から中岳方面へ向かう頃、 山頂付近は濃いガスに覆われてしまう状態で、もうこうなると長居は無用でありまして、天狗ヶ城を経由して一気に山を下りました。 予定していた 中岳と星生山もパスし14時過ぎには牧ノ戸峠に帰着。気温は−4℃。曇っていたために気温も上昇しないままでした。
厳冬期の九重連山は、昨年12月に厳しい寒さを経験したことを思えば、むしろ晩冬を思わせる穏やかな寒さでした。 しかし、これから1月末にかけてが1年で最も厳しく冷え込む時期になるわけで、まだまだ長い冬の真っ只中なのであります。

【1月28日】やわらかな陰影

1月28日の九重連山は曇のち晴。午前9時頃の長者原の気温は−2℃。長者原に着いた午前9時頃には、山頂付近にはガスがかかっていました。 天候も徐々に回復し始めた午前10時過ぎに長者原から入山。雨ガ池を経て坊ガツルへ向かいます。登路の 積雪は激減していて10cm程度です。
雨ガ池へ着く11時頃には、雲もすっかり消え快晴になりました。気温も上昇し風も弱い坊ガツル付近はポカポカの日差しに包まれて実に快適です。 この冬は、初冬から急激に冷え込み、厳冬期並の厳しい寒さが続いていたのですが、本来の厳冬期である1月末になって冷え込みも弱まっています。 しかしながらこのまま春を迎えることはないわけでありまして、束の間の暖かさを楽しむことにしました。 坊ガツル野営場で昼食を摂り、岩にもたれて暖かな日差しを浴びながらゆっくり休憩しました。 冬の陽は優しく、しばしまどろむ夢心地という心境でしたが、その代償で随分と日焼けをしたようで顔が火照っています。
法華院山荘付近の雪も激減し、山荘の屋根に残る積雪もわずかです。 山荘から北千里ヶ浜への登路は、日陰となっているため積雪も多いのですが、良く締まった雪にステップも付いており、 初冬の新雪で悪戦苦闘したことが信じられないほど楽に北千里ヶ浜へ着きました。 快晴の空の下、硫黄山の噴煙は一段と高く昇り、薄雪の北千里ヶ浜はいつになく風も弱く、ここもまた 暖かな日だまりです。 暖かな北千里ヶ浜を経てすがもり越へ向かいます。避難小屋付近も再びわずかに積雪していました。
1月末は1年間で最も厳しい寒さの厳冬期の真っ只中であるわけですが、季節は実に気まぐれで春を思わせる暖かな一日となりました。 激減した積雪とぬかるんだクロボクの登路は晩冬から初春のお馴染みの光景ですが、暖かな一日を締めくくるかのように、すがもり越から長者原への下りでは、 ぬかるんだ登路に足下をすくわれ派手に転倒し泥まみれの山行となり、哀れな姿で長者原に帰着したところであります。

2006年2月
【2月4日】法華院山荘から望む大船山

2月4日の九重連山は曇のち晴。午前9時頃の長者原付近の気温は−7℃。 一昨日からの全国的な寒波の襲来で再び冷え込み、県道11号通称「やまなみハイウェイ」は、水分峠からチェーン規制が出され圧雪路が続きます。
長者原付近も再びうっすらと雪に覆われ、あいにく山頂付近にはガスがかかっており、しばらく待機するもののガスが切れる気配もなく、 午後からは天候が回復するという予報に期待し、午前10時前に大曲から入山しました。積雪は3〜4cm程度で、やっと新雪に覆い隠される程度です。 すがもり越へ着く頃になってもガスは晴れず、こうなると毎度のことでありますが、お決まりの坊ガツルへ向かうことになります。 北千里ヶ浜から法華院山荘への下りは依然積雪も多めで、ステップが新雪に消され、谷沿いの斜面では少々不安を感じつつ慎重に下ります。
法華院山荘を過ぎ坊ガツルへ向かう途中、今日初めての登山者と会いました。坊ガツル野営場も再びうっすらと雪に覆われています。 風が弱いにもかかわらず妙に耳や頬に痛みを感じます。午前11時過ぎの坊ガツル付近の気温は−11℃で、さすがにこの気温では耳も痛くなるはずです。 それでも徐々に天候が回復し始め、ガスが切れて大船山が望めるようになってきました。雲の切れ間から陽が差すようになると、ささやかな暖かさも感じます。
徐々に天候が回復し青空も覗くようになった午後、復路につきすがもり越から三俣山へ取り付く頃には上空に青空も広がりました。山頂付近は強い風が吹き、強烈な寒さです。 この寒さでは長居は無用で、早々にすがもり越へ下り、午後2時過ぎに大曲に帰着しました。厳しい寒さの中にも気のせいか春の足音を感じます。 このまま素直に暖かくなるようなことはないわけで、また何度か厳しく冷え込みながらも確実に春が近づいてくるのでしょう。

【2月18日】厳冬のイルミネーション(Part.2)

2月18日の九重連山は晴のち曇。午前8時過ぎの長者原付近の気温は−3℃。晩冬を迎えた九重連山は先週の暖かな雨ですっかり雪も融け、 長者原から牧ノ戸峠にかけての道路脇に残る積雪も激減しています。 大曲から牧ノ戸峠方面へ向かい100m程の場所にある星生山直登の登路から、午前9時過ぎに入山しました。 登路にはわずかに残雪が残るものの、登路の路面は氷結しており適度なステップも付き、思いの外歩くやすくなっていました。
星生山北斜面の木々の枝は着氷し、斜面を覆う笹の表面も氷をコーティングしたように氷結しています。 カメラのファインダー越しに氷結した木々の枝が晩冬の陽に煌めいてイルミネーションのように輝き、これもまた一興であります。 星生山頂の尾根付近も わずかに残雪を残す程度で、扇ガ鼻から西千里ヶ浜付近でもほぼ積雪が融けており、 見渡す景色もいよいよ初春の気配を感じさせ ます。それでも山頂付近を渡る風はまだ冷たく、季節が冬と春の間で微妙に揺れながら移ろっているようです。
星生崎から久住分れを経て御池へ向かいます。御池は解氷し始め、薄氷の切れ間に覗く湖面が周囲の山々を映しています。 やはり御池が解氷し始めると春が近いことを実感するわけで、訪れる春を待ちわびながらも行く冬を惜しむという実に不思議な感覚なのであります。 天狗ヶ城を経由し、御池湖畔でゆっくりと休憩し、午後には上空に雲も広がるようになる中、北千里ヶ浜からすがもり越を経て山を下りました。 帰路には湯坪で温泉に浸かり晩冬の一日を満喫した次第です。 温泉を出たところで庭先に咲くマンサクを見かけました。ここでも再びゆっくりと、しかし確実に訪れている春の気配を感じました。

【2月25日】春を待つ御池

2月25日の九重連山は曇時々晴れ。午前7時頃の長者原付近の気温は−2℃。 晩冬を迎えた九重連山では、冬の名残を残す道路脇の積雪がわずかに残るのみで、早くも初春の趣が漂い始めています。 牧ノ戸駐車場に駐車する車も思いの外少なく、午前7時頃には上下の駐車場合わせて4台ほどで、閑散としています。 山が厳しくも煌めく厳冬の積雪期を過ぎ、晩冬期の霧氷も 見られないこの時期には、やはり訪れる人も減るようです。
長者原付近から望むと、上空には青空が広がっているのですが山頂はガスに覆われています。 沓掛山から星生山付近のみガスが薄くかろうじて望めます。閑散とした牧ノ戸峠から入山し沓掛山へ着くと、 朝日が差し始めると急激に気温が上昇するようで、強めに吹く風も何だか暖かなのです。
扇ガ鼻分岐を過ぎる頃からガスが覆い始めるものの、断続的にガスが切れ周囲の景色が望めるようになる状態が続きます。ガスに覆われていた登路脇の木々には霧氷が着いています。 御池付近もやはりガスに覆われ、束の間ガスが晴れ、周辺部から解氷が 進む御池が全容を現します。周囲の木々は霧氷に覆われ、 再びガスに覆われて凍てつく風が吹き抜ける中、しばらく岩陰で風を 避けて待機し、ガスが薄れ始める中久住分れから星生崎を経て星生山へ向かいました。
午前9時を過ぎる頃からガスは徐々に薄れてきましたが、今度は上空に薄雲が覆い始めています。星生山頂を吹く風は厳冬の肌 を刺す風とは明らかに異なるもので、春の気配を感じます。 山頂から望む西千里ヶ浜の登山者も徐々に増えてきました。気温も 随分上昇しており、登路のぬかるみが気になるところで、早々に山を下ります。 さすがに霜柱は見事に融けて、すでに泥濘地と 化した登路は著しく滑ります。転倒すれば間違いなく悲惨なことになりそうです。

2006年12月

【12月2日】夢大吊橋

12月2日の九重連山は雨時々曇。午前9時過ぎの長者原付近の気温は4℃。現地はあいにくの雨で、1300m付近からはガスがかかる天候です。 予報では正午頃までの雨で、その後は天候も回復するということでしたので、気長に待つことにして長者原駐車場の隅に車を停め、しばし惰眠をむさぼりました。 時折ガスが薄れ、三俣山頂付近がわずかに姿を現すと、霧氷が付着しているのがわかります。 早くガスが切れないかとやきもきしていると、期待を裏切るかのように再び雨が降り始め、時折その雨が氷の粒に変わるという状態が続きました。正午前になっても天候は回復する気配もなく、 レストランで昼食を済ませてから、雨の合間を縫うように雨具を着けて野営の装備を担いだ 登山者が入山していくのを横目に見ながらも入山を断念し、懸案の大吊橋に向かうことにしました。 実は天候が回復しなければ吊橋ツアーを予定していたという内情もあり、今日は潔いのであります。(苦笑)
やまなみハイウェイを朝日台手前で左折し、筌ノ口温泉方面に向かう途中にある北方エリアに向かいます。 すでに一時の熱狂的な賑わいは終わり、吊橋料金所直前の駐車場に難なく駐車し、すぐに橋を渡ることができました。 さすがに紅葉のシーズンを過ぎて一段落・・と思いきや、小雨が降るあいにくの天候にもかかわらず、それでもまだまだかなりの賑わいです。 とにかく聞きしにまさる絶景で、強い風が吹 き震動の滝を落下する水が風に吹かれて流されている状態です。 風のせいか吊橋もかなり揺れていて、橋を渡り終えても足下が揺れているような感覚が残っていました。 日本一の規模ということで一時的なブームとなったのでしょうが、それでもこの橋からの景色は絶景です。 震動の滝が見渡せる四季折々の景色はこれからずいぶんと楽しめそうです。 冬季には、滝を流れ落ちる水が落下途中で凍って滝壺に氷の山ができるでしょうから、これもまた一見の価値がありそうです。

【12月3日】ガスをまとう中岳

12月3日の九重連山は雪。午前7時の牧ノ戸峠の気温は−5℃。昨日よりもかなり冷え込んでおり、道路脇にはうっすらと雪が残っています。 この冬初めて遭遇する本格的な寒さに体を慣らすのに少々手間取り、7時30分頃に入山しました。 沓掛山斜面を霧氷が覆い、やっと出会えた冬景色に感動です。沓掛山から 望むと、三俣山や扇ガ鼻付近から星生山などの1600m付近からはガスに覆われています。 この条件なら見事な霧氷を堪能できそうですが、西千里ガ浜を過ぎ久住分れ付近からはガスの中に入り視界も急激に悪くなりました。
御池は湖岸から氷結が始まっています。この寒さが1週間も続けば完全に氷結するのでしょうが、来週は寒さもゆるんでくるようですので 完全氷結はまだ先になりそうです。 湖岸を吹く風は強く、体感気温はかなり低くなっています。たまらずに池の小屋に向かいましたが、 よく考えてみると池の小屋は老朽化のために使用が禁止されています。風を避けようと小屋の裏に回ると、やはり休憩中の登山者がいます。 ジャケットを着込んで顔の一部しか出ていなかったのですが、よく見るとMatsuzaki氏ではないですか。 Matsuzaki 氏は3時過ぎに入山し、快晴という予報を信じ中岳山頂で粘ったそうですが、ガスのために撃沈したということです。 Matsuzaki 氏としばし情報交換の後に中岳から天狗ガ城付近を歩きまわりました。 その間もガスの切れ間を待って天狗ガ城下で一時待機しましたが、やはり止まると寒さを感じるようになります。早々に切り上げて11時過ぎには山を下り始めました。
帰着した正午頃の牧ノ戸峠では気温も0℃近くまで上昇していましたが、おそらく午後からも真冬並みの気温が 続いて真冬日となったことでしょう。 その後は早々に帰宅し、先日スタッドレスタイヤに換装した夏用タイヤを倉庫にしまうなど、雑用を淡々とこなしたのは言うまでもありません。

【12月10日】三俣山から望む大船山

12月10日の九重連山は曇のち晴。午前7時頃の長者原付近の気温は0℃。 予報では徐々に天候も回復するということですが、濡れた路面に加えガスがかかり山は見えません。 7時過ぎに大曲から入山し、すがもり越 で様子を見ることにしました。すがもり越が近づくにつれて風も強まり、登路の岩が氷をコーティングしたように凍って滑ります。
8時過ぎのすがもり越付近の気温は−3℃で、小屋のベンチも凍っています。西峰山頂付近では強い風が吹き抜け、 登路は完全に凍り付き、山を覆うササの表面も凍り付いています。どうやら昨夜来の雨が 凍り付いた雨氷のようです。 登路脇の樹木や枯れたススキも完全に凍り付いており、風に吹かれてカラカラと乾いた音を発しています。
南峰へ向かいますが相変わらずガスが晴れる気配はありません。南峰に着いた10時前、やはり周囲はガスに覆われ全く視界が開けま せん。 ところが寒風が吹く山頂から、薄れたガスの向こうからわずかに太陽の光と輪郭が望めるようになり、やがて周囲を覆っていたガスが急激に薄れ始めました。 天候の回復は速く、10時20分頃には断続的にガスがかかるものの青空がのぞきまぶしい太陽も姿を 現しました。
大船山が雲海の向こうに姿を現す頃には上空に青空も広がり、冬の日に照らされた山頂付近の霧氷が輝きます。本当に久しぶりの晴天です。 断続的にガスはかかるものの、中岳から久住山方面を覆っていたガスも薄れはじめました。 暖かな冬の日が注ぐようになると、脆い氷の芸術は徐々に壊れ始めます。凍っていた登路も融け始めぬかるんできます。 4峰山頂南側で、風を避けゆっくりと休憩し昼食を済ませてから山を下りました。 帰路はぬかるんで著しく滑る登路に悪戦苦闘し、足下は泥にまみてしまったのは言うまでもありません。

【12月16日】ガス覆う西千里ガ浜

12月16日の九重連山は曇。午前5時30分頃の牧ノ戸峠の気温は0℃。上空は満天の星空で、ヘッドランプを灯して入山しました。 沓掛山までの舗装路は霜が覆い少々滑りやすく、ライト に照らされた登路が煌めいています。満点の星空に加え、久住山上空には欠けた月も輝いています。 沓掛山からは登路の霜柱も徐々に発達?し始め、扇ガ鼻付近まで来ると10cm程度はありそうな霜柱に覆われています。
冬至が近いこの時期の日の出は7時を過ぎます。早朝5時過ぎに日の出を迎える夏至の頃に比べると、寒ささえ我慢できれば意外なほど容易にご来光鑑賞もできそうです。 気温0℃というのはこの時期にしては暖かですが、さすがに山頂付近では風も吹き抜け寒いだろうということで、西千里ガ浜のケルンの付近で時間調整です。 6時30分頃には久住山上空も徐々に白み始めます。地平線付近に雲が見えますから、太陽が姿を現すのは実際の日の出の時刻より10分〜15分程度遅くなりそうです。 7時前に星生山頂へ着くよう西千里ガ浜を出発したのですが、山頂目前で扇ガ鼻方面から急激にガスが押し寄せ、あっという間に周囲は真っ白に・・・。 山頂付近に先着した登山客と「もう少しだったのに残念ですね〜。」と、互いの健闘をたたえつつも、ガスで撃沈したのは私だけではないという、妙な連帯感と気休めも込めての挨拶を交わし、 落胆を紛らわすように岩陰で風を避け気分転換の朝食です。山の天候というのは全くこんなもので、真っ白になった山頂からは周囲の景色も全く望めません。
通常ガスは断続的に濃くなり薄くなりということを繰り返すもので、少々は景色が望めることを期待しつつ、稜線を通り星生崎から久住分れを経て御池へ。 さらに使用禁止となっている池の小屋外壁で風を避けながら、10時前まで待機をしました。その間全くガスが薄れることもなく、 ひたすら真っ白な周囲を見つめて落胆と哀愁に満ちた時間が静かに流れて行ったのであります。 この後天候が回復する望みも薄く、早々に山を下り帰路につきました。ここまで見事に撃沈すると、むしろあきらめもつこうかというものです。(苦笑)

【12月18日】冬の装いの中岳

12月18日の九重連山は曇りのち晴。午前9時過ぎの牧ノ戸峠の気温は−3℃。 予報では午後から天候も徐々に回復するということで、 夕方まで粘ればご来光で撃沈した一昨日のリベンジは完遂できそうです。
この冬初の圧雪路に少々緊張したところですが、雪道に慣れないこの時期は意識的に強めにブレーキをかけてみたり、 アクセルを強く踏んで車を滑らせてみたりということを何度か試すと、もうすっかり滑る雪道にも慣れ快適なスノードライブを楽しめるようになります。
登路の積雪は5cm程度で、徐々に深くなり西千里ガ浜付近からは10cm程度になりました。ガスは濃いものの徐々に上空は明るくなり、これはもう完全に回復モードです。 久住分れ付近にある久住山避難小屋で早めの昼食を兼ねて時間調整をしていると、時折久住山もガスの向こうに望めるようになり、雲の切れ間からは青空も覗きます。
御池は一部を残してほぼ氷結しています。たった2日でこれほど氷結するとは、さすがに気温が低かったのでしょうね。 それでも完全氷結にはほど遠く、湖面を歩いて渡ることができるまでにはまだまだ強烈な寒波の力が必要です。御池の縁を回り、 中岳と天狗ガ城の尾根にある岩場の定点で氷結した御池と久住山を撮影し、天狗ガ城山頂でガスの切れ間を待って中岳と大船山を撮影。 すでに時刻は3時を過ぎ、周囲の登山者も下って行き、貸し切りの山頂で絶景を独り占めです。
再びガスが山頂付近に押し寄せてきましたので、日没を待たずに山を下ります。久住山避難小屋付近では青空も望めましたが、 再びガスに隠れてしまいます。徐々に日も傾き、16時を過ぎると黄色みの強い夕日になっていきます。 沓掛山頂で16時30分から17時まで夕日に染まる星生山を眺めて小休止し、日没直前にガスが押し寄せてきてあえなく退散と相成りました。

【12月24日】氷結する御池(大船山頂)

12月24日の九重連山は晴。午前8時頃の久住町七里田付近の気温は−2℃。 順調に高度を上げ、入山公墓分岐付近で小休止しているとなにやら森の中を徘徊する動物の気配がします。 がさがさと音を立てて近づいてくるようで、2頭いる黒い影はどうやら来年の干支の動物のような気もします。 来年を待ちきれず、お出ましになったのかもしれませんが、これはもう冷や汗ものです。危機到来ということで、大急ぎでザックを背負い入山公墓方面へ走ります。 ヘロヘロになって入山公墓へ着き、もしもここで遭遇することがあれば、返り討ちにすべく太めの木の枝や石があるのを確認して耳を澄ませますが、気配はありません。 無事に難を逃れたようで一安心し、日だまりの鳥居窪を経て大船山頂へ向かいます。気温もかなり上昇してきた上に無風で、汗が流れます。
山頂が近くなると登路に雪も残り、心地よい雪の感触を確かめつつ御池へ下りました。中岳下の御池(みいけ)よりも規模が小さいため、御池は完全に氷結していました。 さすがにまだ氷は薄いようで、湖面に乗るには勇気が必要ですが、これから厳冬期に向けて氷結した湖面を歩く際はアイゼンを装着するなどしないと、 当然のことながら氷結した湖面は恐ろしく滑るわけで、大転倒する危険性があります。おっかなびっくり湖岸を歩いてみましたが、ピシピシと音を立てる氷が不気味です。
正午過ぎからは上空に雲が広がり始めましたので、山を下りました。例の入山公墓付近も無事に通過した頃、登ってくる登山者がいます。この時刻から山頂へ向かうということであれば、 おそらく夕景ねらいだろうと思ったわけで、何とその登山者はMatsuzaki氏 でありました。
その後木下氏 も大船山頂で夕景を待っているとの連絡があり、 偶然にも今回は時間差で3人が大船山へ向かったことになりました。帰路の高速道路 を走行中、 沈む太陽が西の空を染めているのが見えましたので、おそらくMatsuzaki氏木下氏 の両氏ともに絶景を楽しむことができたことでしょう。

【12月30日】氷結する御池(中岳下)

12月30日の九重連山は快晴。午前7時頃の飯田高原の気温は−11℃。この冬一番の寒波は去ろうとしていますが、 快晴の朝は放射冷却で冷え込んでいます。霜に覆われて真っ白になった飯田高原の夜明けを楽しんでから、牧ノ戸峠へ向かいました。 牧ノ戸峠までは断続的に圧雪路となるチェーン規制です。
午前8時前の牧ノ戸峠駐車場にはすでに10台以上駐車し、8時前には次々に登山客が入山していくようになります。 沓掛山までの登路の積雪はわずかで、先行者に踏み固められ圧雪しています。 沓掛山からは凍結した登路になりますが、積雪も登路を薄く覆う程度で2週間前より遙かに少なく、 山を下る午後には泥濘地と化してしまうことでしょう。気温は低くても無風で寒さを感じることもなく、凍結具合の気になる御池へ向かいます。
やはり冬本番を迎えた御池は完全氷結していました。湖面にはミニ版の御神渡り(おみわたり)様の氷の盛り上がりもみられます。 時折湖面を覆う氷の間から「ゴポゴポ、ピシピシ」と不気味な音が聞こえてくるので、 中央部を横断するのはさすがに少々恐怖を感じます。御池を後にして中岳から天狗ガ城へ向かい、山頂で小休止しました。 見下ろす御池の湖面では、歓声を上げながら御神渡り様の氷を砕いて投げたり、湖岸の氷を砕いたりと、やりたい放題の破廉恥な登山客も登場し、 暖冬の九重連山はますます混沌とした様相を極めてきたのであります。
自然の造形は自然のままが美しいと思うわけで、誰しも砕かれた御神渡り様の光景を目の当たりにすれば感動も今ひとつです。 なぜ自然の造形をそっと鑑賞し、後から訪れる多くの人と感動を共有しようとしないのでしょう。 再び御池へと下り、散乱した氷の欠片や一段と増えた投石を目にするに付けても、様々な思いが交錯するのであります。
何はともあれ、本年最後の山行は晴天に恵まれて気温も上昇し、冬らしさには欠けるものの快適な山行となりました。 本日は九重連山に関するサイトでお馴染みの、木下氏や まめ。氏をはじめOASIS氏、 さらには帰省中のsumisumi氏も牧ノ戸から入山しており、 早朝から日没までという時間差こそあれ、それぞれのスタイルでの山行を敢行されていたようであります。


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