2007年 冬

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2007年1月
【1月8日】久住山登路の霧氷

1月8日の九重連山は曇。午前7時前の牧ノ戸峠の気温は−5℃。今年初山行は、期せずしてまたもやお手軽に牧ノ戸峠から中岳方面です。勢力を増した低気圧の影響で全国的に大荒れの天気が続いており、九重連山でも新たな積雪がありました。新年初山行ということで昨夜は深酒を避け、早めに就寝しました。自宅を発つ頃には上空には雲間から月も覗き、穏やかな一日を予感させる状態でした。九重連山へと向かう途中、上空の月は姿を隠し、湯布院あたりからは雪が舞い始め、どうやら天候は今一歩のようです。ご来光は期待すべくもなく、そうなると必然的に急ぐこともなくなり、しばらくパーキングで仮眠しました。(笑)
県道11号は長者原付近から完全に圧雪路になりました。牧ノ戸峠に着いた6時30分過ぎ、上空を覆うガスのため依然薄暗い状態です。この天候ですからやはり急ぐこともなく、車中で待機して7時頃に入山しました。沓掛山までの登路の積雪は15cm程度です。昨日のトレースが残り、踏み固められた登路は快適そのものです。
沓掛山からは風も強まり、扇ヶ鼻分岐付近では強い風に粉雪が吹き付けるようになりました。西千里ガ浜付近で先行者をパスし、ガスかかる久住分れにある避難小屋でしばらく様子を伺います。相変わらずガスがかかり周囲の眺望は開けず、粉雪が地吹雪のように吹き付けます。
天候は回復の兆しもなく、意を決して御池から中岳方面へ向かいました。先週よりさらに投石が増えた御池の中央部を通り、中岳へ向かいますが、相変わらずガスは濃くかかります。通常このような天候であれば、御池から引き返すところですが、そこは今年初山行とあって、九州本土最高峰の中岳のピークにご挨拶してから引き返すことにしました。
中岳山頂付近も相変わらず濃いガスが覆い、強烈な風が吹いています。撮影のために手袋をはずし10秒もすると手が痛くなるほどです。強烈な風に混じって吹き付けるガスのため着衣も着氷し始め、グラブカバーも真っ白になります。山頂標識にはまさにエビの尻尾を思わせる巨大な固まりが着氷しています。かなりの寒さのため山頂を下り、相変わらずガスに覆われた登路を天狗ヶ城へ向かいます。束の間でもガスが晴れることを期待し、天狗ヶ城下で10時前まで待機したのですが結局ガスが晴れることもなく、天狗ヶ城を経由して山を下りました。

【1月13日】薄雪の段原を望む

1月13日の九重連山は曇。午前11時前の七里田付近の気温は3℃。昨夜は大分市内での宴会で、大分市泊。常宿のビジネスホテルは改装中で、部屋は大幅にリニューアルされており、大浴場まで完備していて感激です。ホテルを発ったのは9時を過ぎ、上空が雲に覆われた中を久住町へ向かいました。
由布市湯平温泉から阿蘇野を経由して竹田市久住町へ抜ける広域農道は所々が凍結しており、注意が必要です。有氏牧野道も日陰になっている一部の路面が200m程度にわたり完全に凍結しており、さすがに完全氷結したツルツルの凍結路ではスタッドレスタイヤも歯が立たず、この冬初めてタイヤチェーンのお世話になりました。そんなことで現地までのアプローチに手こずり、11時30分過ぎにガラン台から入山しました。
登路に入り高度を上げていくと徐々に積雪が深くなります。入山公墓を過ぎ鳥居窪付近からは20cm程度の積雪で、大船山頂下付近の樹間を抜ける登路では30cm程度の積雪があります。しかし先行者のトレースがしっかりと付いていて、段差のある場所にはステップが残り無雪期よりも歩きやすいほどです。良く締まった圧雪でアイゼンは不要でした。
大船山頂は積雪もなく山頂付近の岩上でのんびりと休憩しました。しかしガスが断続的に押し寄せ、坊ガツルや三俣山方面の視界も開けず、景色は今一歩でした。段原からの登路の状況を先行者に聞いたところによれば、ステップが付いていて全く問題なく登れたそうです。時折薄れるガスの切れ間に段原や米窪付近の眺望を楽しんだり御池へ下り氷結した湖面で遊んだりして、かれこれ1時間あまり山頂付近で過ごしたものの、相変わらずガスが晴れる様子もないため山を下りました。

【1月20日】わずかに雪が残るすがもり避難小屋

1月20日の九重連山は晴時々曇。午前11時過ぎの長者原の気温は8℃。例年であれば厳冬期には大曲の駐車は積雪のため不可能になるところですが、暖冬で積雪が少ない今冬は楽々と駐車できました。11時30分過ぎに入山、まずはすがもり越 へと向かいます。
厳冬期にもかかわらず、全国的に暖冬で積雪も随分少なくなっています。すがもり越付近の積雪もわずかで、例年この時期には雪に埋もれてしまうすがもり避難小屋のベンチも問題なく使用できます。小屋のベンチに腰掛け、こんなに雪が少ないのは地球規模の温暖化の影響かな・・・と思うにつけ、多少の変動こそあれ、これから冬は毎年このように暖かくなるのではないかと妙に不安になるのです。
北千里ガ浜を経由し坊ガツルへと下ります。坊ガツル野営場へ向かうと木道付近に積雪はなく、時折暖かな日差しも注ぎ何だか初春の雰囲気すら漂っています。遅めの昼食を食べ、暖かな日差しがあふれる坊ガツル野営場で1時間あまり休憩しました。14時頃になると上空に雲も広がり始めましたので、三俣山を経由して下ることにしました。

積雪期は使えないことが多い三俣山南峰への直登ルートも、登路入り口に向かってみると、わずかに残る積雪に足跡が残っています。南峰から下ってきた人があるようで、下れるなら登ることも可能です。さすがにクロボクの登路は雪が融けた水をたっぷりと含んでズルズルに滑り悪戦苦闘しましたが、無雪期並に1時間少々で南峰山頂に着きました。南峰山頂下の坊ガツルを見下ろすお気に入りの場所で景色を堪能してから、本峰を経てすがもり越へ下りました。

【1月27日】霧氷付く中岳西斜面

1月27日の九重連山は曇のち雪。午前9時前の牧ノ戸の気温は−5℃。九重連山への道々で峠越えの路面は一部凍結しており、圧雪路とも氷結路とも異なる滑り具合に翻弄されつつも、無事に長者原に着きました。
牧ノ戸峠駐車場の路面は、うっすらと雪が積もっています。思いの外車が少なく、駐車場は空いていました。9時過ぎにわずかに積雪した牧ノ戸峠から入山しました。沓掛山から久住山周辺にかけての登路の積雪は数センチ程度で、周囲の木々は見事な霧氷に覆われています。霧氷に覆われた登路を、西千里ガ浜から久住分れの避難小屋付近にかけ徐々にガスが濃くなる中を順調に歩きます。久住分れ付近からはガスが切れる頻度も著しく少なくなり、ガスに覆われて周囲の景色もほとんど望めなくなりました。
御池付近では強烈な風が吹き抜け着衣にも霧氷が着き始めました。ガスに覆われ景色も望めないまま御池の氷結した湖面を渡ろうとしていると、湖面が風にあおられて波立つような音がします。不思議に思いガスで視界も利かないので御池の湖岸を回ってみると、なんと天狗ヶ城下付近の湖面が一部解氷しているのです。暖冬で暖かな日が続いているとはいえ、厳冬期に御池が解氷するというのはまれで、このような状態ですとさすがに湖面中央部を歩くのは気が引け、恐る恐る湖岸を歩きました。まだ湖面の氷は十分に厚く、今夜からの寒気の侵入で再び氷結するのでしょうが、今年の暖冬傾向はこんな所にも影響があるのかと、その深刻さを実感したところです。

2007年2月

【2月3日】薄雪の久住山登路

2月3日の九重連山は晴で午後はガスに覆われました。午前7時頃の牧ノ戸の気温は−9℃。週末からの積雪で、九重連山は再びうっすらと雪景色になりました。牧ノ戸峠駐車場には多くの車が駐車し、散発的に登山客が入山しています。

装備を確認して早々に入山。明け行く登路上空は一段と明るくなり始め、沓掛山の東屋がある展望台で、涌蓋山頂が朝日に染まり始めたのを確認しました。上空は快晴で、今日もまた九重連山へ多くの登山客が訪れる喧噪の一日が明けていきます。沓掛山付近の積雪は10cm程度ですが、高度を増すにつれ徐々に積雪も増え扇ガ鼻分岐付近では15〜20cm程度の積雪があります。西千里ガ浜から久住分れを経由し御池へ向かいます。登路では強い風にあおられて雪煙があがり、容赦なく吹き付けます。顔面に当たる雪粒は痛いほど冷たいのです。

先週一部が解氷していた御池は、再び氷結しているようでした。しかし天狗ヶ城下付近はやはり氷が薄く、ピシピシと不気味な音を発し、凍った湖面に亀裂が走り、ひび割れた氷の割れ目から水が吹き出しています。先週すでに解氷が始まっていた御池は、再度完全なまでに氷結することはありませんでした。このまま徐々に解氷していくのか、再び完全氷結するのかは不明ですが、暖冬傾向を考慮すると再度の完全氷結は難しいのかもしれません。御池を周回し中岳から天狗ヶ城を経て、再び御池で小休止し、久住分れから星生山へ向かいます。星生崎から星生山頂への稜線付近は強烈な風にあおられ、雪煙があがり雪粒が吹き付けます。雪煙に霞む縦走路の撮影中に頬に痛みを感じて触ってみると、なんと薄い氷の膜が顔面の半分に張り付いていたのです。吹き付けた雪粒がジャケットのフードの隙間から入り込み、体温で融けて再び凍り付いたようです。さすがに痛みを感じるのも当然で、稜線の寒風にあやうく凍結処理される前に気づいて幸いでした。(苦笑)

正午を過ぎる頃、西からガスがかかり始め扇ガ鼻付近を覆っていきます。牧ノ戸峠に帰着する頃には、山頂付近はすっかりガスに覆われるようになりました。13時頃に牧ノ戸峠に帰着した頃の気温は−3℃。長者原のレストランで昼食を済ませ、帰路につきました。

【2月10日】長者原のマンサク咲く

2月10日の九重連山は曇。午前9時過ぎの飯田高原の気温は3℃。上空は曇り、山頂付近にはガスがかかっています。折しも今日からは長者原付近で九重氷の祭典が開催されるわけですが、長者原からの入山を避ければ、さほど混雑に巻き込まれることもなさそうです。間もなく初春を迎えようというこの期に及んで、山頂の霧氷を堪能しようという気力もなく、結局吉部から坊ガツルまでのお手軽山行に決定です。(苦笑)
暖冬といわれたこの冬を象徴するかのように、無雪の登路を快適に歩き、大船林道へと合流し坊ガツルへ向かいます。さすがに坊ガツル周辺では昨夜も氷点下まで冷え込んだようで、氷が張っています。
坊ガツル野営場にはテントが一張りありました。見上げる大船山頂は霧氷で白くなり、「おいでおいで!」と手招きをしているようにも思えましたが、当初から今日の山行は坊ガツルが目的地でありますので、野営場周辺をのんびりと散策することにしました。川沿いを歩きながら目を凝らして観察すると、やはりマンサクが咲き始めています。先週の山行で牧ノ戸峠上の沓掛山付近のマンサクがずいぶんとツボミを膨らませていたのが気になっていたのですが、その後沓掛山で咲きかけの株を見かけたという情報ももらいました。憶測ではありますが何だかマンサクの開花が例年よりも多少早いような気もします。しかし、毎年およそ2月中旬頃からは沓掛山あたりでも咲き始めるので、今年の開花が本当に早いのかどうかは不明です。

【2月16日】春を待つ御池

2月16日の九重連山は晴のち曇。午前9時前の牧ノ戸峠の気温は0℃。上空は薄曇りで雲の切れ間から薄日が差しています。平日山行で牧ノ戸峠に着いたのはすでに9時前です。冬と春の端境期にあって、景色も中途半端なこの時期はさすがに平日の登山客は少なく、数台の車が駐車しているのみです。早々に入山し、沓掛山から扇ガ鼻分岐へと淡々と歩きます。登路はあたかも積雪があったかのように真っ白に霜柱が覆います。おそらく気温が上昇すれば完全な泥濘地と化すことは間違いありません。
扇ガ鼻分岐付近に差しかかる頃、上空に自衛隊のヘリが飛来し何度か九重連山上空を旋回した後、扇ガ鼻上空でホバリングしています。今日の山行の主目的は御池の解氷具合を確認することです。扇ガ鼻分岐でヘリやジェット機に見とれていたので、すでに11時を過ぎています。上空の雲はますます濃くなり、天候面の不安も感じ始めたため、大急ぎで御池へ向かいます。天狗ヶ城下を経て御池へ着くと、やはりぽっかりと大きな氷の穴が開いていて砕けた氷片が風にあおられて揺れています。暖冬とはいえ、さすがにまだ2月ということもあり、強烈な風にあおられた湖水が湖岸の岩や木々、枯れ草に凍り付いて不思議な光景を作り出しています。自然の造形は、およそ人間の想像をはるかに超え、こんな不思議な創造物を創り出すのですね。全く感心することしきりであります。
御池湖岸の氷の造形を楽しんでから、湖岸を迂回して中岳へ向かいました。ここもさすがに平日とあって貸しきりでした。山頂を吹く風は冷たいのですが風を避ければ思いの外快適で、岩陰に隠れてのんびりと昼食を食べ休憩しました。その後、天狗ヶ城を経て久住山へ向かいます。久住山頂はさすがに平日とあって訪れる人も少なく、1時間あまり山頂付近で景色を堪能している間、数組のグループが訪れたのみです。登山客がデポしたザックを荒らし、食料を盗む悪戯カラスが山頂付近に2羽飛来しています。黒々とした羽もつややかで、さすがに登山客から奪取した食料で栄養状態も良好のようです。(苦笑)
山頂標識に停まるカラスを撮影していると、なにやら不気味な音が・・・。なんとザックの上に置いていた18−35mmレンズが落下して岩の上に転げていたのです。大あわてで拾い外傷を確認したところ、岩に当たってマウント付近の塗装が一部はげています。カメラに装着し動作確認のため撮影してみると、絞り羽根が正常に動きません。(涙)18−35mmといえば、デジカメでの使用では27−52mm相当の広角から標準相当のレンズで、常用レンズだけにダメージは大きいのです。これはもう、敵対視しているカラス君のたたりに違いありません。恐るべし悪戯カラス。
少々憂鬱な気分のまま、グチャグチャ・ピチョピチョと様々な擬音を駆使しても到底表現しがたいほどにぬかるんだ登路を下り牧ノ戸峠に帰着し、気を取り直して温泉で汗を流してから帰路につきました。ちなみに落下して故障したレンズは修理に出し、修理見積まで2週間程度かかり、修理が完了するまでさらに日数が必要ということす。その間広角レンズなしでの山行となるわけで、本当に困ったことになりました。
九重連山の冬も間もなく明け、黒々とした大地が広がる野焼きを終えると、いよいよ春本番となります。そまた1年が過ぎたのだという妙な感慨に浸る今日この頃であります。

【2月24日】夕陽に染まる三俣山の霧氷

2月24日の九重連山は曇のち晴。14時前の長者原付近の気温は4℃。上空は薄曇りですがうっすらと日が差しています。今週末の山行は未定でしたが、意外に早く所用を終えた11時頃から九重連山へ向かいます。
長者原へ着く頃、上空には太陽の輪郭が覗き薄日も差しています。三俣山頂には霧氷が見られます。昨日から今日午前にかけ、曇っていたので、暖冬とはいうもののこの時期の霧氷は想定内の現象です。それよりも指山斜面や黒岩山付近が点々と黄色くなっており、マンサクが咲いているようです。2月下旬ですから少々早めではありますが、そろそろ晩冬から初春へ移ろう自然の息吹を目の当たりにして、また1年が経ったという感慨を感じます。
早々に大曲から入山し、14時30分過ぎのすがもり避難小屋の気温は2℃です。上空はすっかり雲も切れて青空が広がります。天候も回復してきましたので、霧氷着く三俣山へ向かいます。西峰からの登路は霧氷に覆われる中、上空は青空が広がり冬の日に照らされた霧氷が輝きます。南峰に向かい、坊ガツルを見下ろすお気に入りの展望台に着いたのが16時頃で、日没までまだ2時間近くあります。

意外なほど暖かな中で、のんびりと坊ガツルを見下ろしながら休憩しました。16時を過ぎると本峰や4峰山頂付近にいたグループもすでに下ったようで、山頂付近は閑散としてきます。西へ傾く太陽は、注ぐ陽も黄色味を増していきます。本峰から4峰を経由して西峰へ着いたのが17時30分過ぎで、そのまま西峰の山頂をわずかに下った霧氷群の中で風を避けて夕日を眺めます。待つことしばし、18時頃に西の地平線上を覆う濃い霞の中へ晩冬の太陽が沈んでいきました。

2007年12月

【12月1日】大船山上空の明けの明星

12月1日の九重連山は早朝晴。8時過ぎから曇。5時前の飯田高原の気温は−6℃。晴天に恵まれ穏やかな初冬の朝です。凛とした寒さが覆う飯田高原も、冬期のように肌を切る寒さではなく、気温は低いのですが、意外にも体感する寒さはそれほど感じません。
冬至が近づくこの時期は、日の出の時刻も夏至の頃より2時間は遅くなります。12月初旬はまだ7時前ですが、冬至を過ぎる頃には7時15分を過ぎます。多少の寒ささえ我慢すれば、比較的容易に御来光を鑑賞することが出来る好機です。5時頃に大曲からヘッドランプを灯して入山。歩き始めると徐々に暑くなります。すがもり越では風も強く、再び着込んで三俣山西峰に取り付きます。東には明けの明星が輝き、黎明に大船山のシルエットが浮かびます。徐々に明け行く東の空を眺めつつ、西峰に着くと4峰付近は傘雲のようなガスに覆われています。
?W峰に着き、カメラを構えた6時30分頃、地平線から上空にかけて染まる黎明のグラデーションも消え始め、東の空はすっかり明るくなります。上空に雲もなく快晴。今日もまた荘厳な朝の儀式を迎えます。強い風が吹き付けるレンズのフードも、霜のような氷が着いてしまいます。日の出前から2時間あまり4峰山頂付近で絶景を堪能しつつ過ごしましたが、手足はもちろん体の端々から痛みを感じるほど冷えてきます。
すっかり明るくなった後は、山頂下の岩陰で風を避け朝日を浴びながらの朝食です。朝食を終えて元気100倍と行きたいところですが、足先が冷たくて感覚がない・・。(苦笑)本峰へ向かう8時過ぎ、ガスが押し寄せ始め、久住山から星生山方面まですっかり雲に覆われてしまいました。飯田高原方面にも雲が広がっています。午前9時頃には完全に曇り空になり、すがもり避難小屋で小休止です。9時を過ぎると、先週の久住山周辺ほどではないにしろ、登山客も増え始めます。早々に山を下り、冷えた体を温泉で暖めてから車中で仮眠をして帰路に着きました。

【12月8日】霧氷付く久住山下の道標と氷結する御池

12月8日の九重連山は曇。午前6時前の牧ノ戸峠の気温は−2℃。先週には初冠雪の便りも聞かれ、確かな冬の訪れを感じます。午前6時に入山し、ゆっくりと沓掛山登路を歩きます。沓掛山山頂から望む東の空には、わずかに山頂付近を望める久住山付近に細々とした月が浮かびます。星生山から扇ガ鼻付近にはガスがかかっているようです。間もなく雲の切れ間に朝日の光芒が伸び始め、雲が切れている三俣山方面が染まり始めました。薄明かりの扇ガ鼻のガスが切れると霧氷で白くなっています。初冬の霧氷は実に繊細な造形で、朝日が昇り気温が上昇するとたちまち融けて落下してしまいますから、初冬の晴天の日は、早朝に鑑賞するに限ります。整備作業が進む登山道の霜を踏みしめながらも、はやる気持ちを抑えて、扇ガ鼻分岐へ急ぎます。
沓掛山付近は全く霧氷もありませんでしたが、扇ガ鼻付近からは冬景色に変わり、周囲の木々には霧氷が着き、登路はうっすらと雪も残っています。時折ガスがかかる久住山もうっすらと冠雪しており、季節は確実に冬へと向かっていることを実感する景色が広がっています。
久住山頂へ向かうと、強烈な北風がガスを巻きながら吹き付ける登路の道標は霧氷が着き、山頂付近にかけての登路脇の木々は見事な霧氷群となっています。閑散とした山頂では時折ガスが切れて周囲の景色が開けるものの、再びガスが押し寄せ眺望が開けなくなります。耳が痛くなる寒さで、パーカーのフードをかぶり冬装備に切り替えて寒さをしのぎます。午前8時過ぎの久住山頂の気温は−5℃、ガス混じりの強い風が吹き付ける山頂は、さすがに厳冬期並とはいきませんが、完全な冬の装いです。それでも午前9時前に山頂を下り御池へと向かう頃になると、登山客がやって来るようになります。その後も山を下るまでに、久住山へ向かうと思われる団体の登山客が何組も登っていきましたので、牧ノ戸峠から久住山へのルートは、確かに景色も良くて、何よりもお手軽ということで、四季を問わず賑わう九重連山でも特異なルートです。久住山へ向かう登山客の列は、聖地巡礼に向かう敬虔な信者のようなもので、信仰に近いものすら感じます。
空池を抜け御池へ着くと、御池は完全氷結しています。先週一度融けたということで、見苦しい投石は湖底に沈んでおり、投石もなくきれいです。ガスに覆われる中、御池を迂回し中岳分岐から天狗ガ城を経て久住分れへと下りました。時刻はすでに10時前となり、避難小屋の軒を借り、朝食というよりブランチをのんびりと楽しみました。ガスの切れ間を縫って久住山を撮影しながら休憩していると、いつもホームページにご来訪いただいているというご夫婦からお声掛けをいただきました。「お天気が良くて、良かったですね。」と何気なくご挨拶したのですが、よく考えてみると実にトンチンカンな挨拶でありました。ガスが薄い早朝に入山した私にとっては、確かに朝日に照らされた霧氷も楽しめ、ガスが薄いうちに山頂からの景色も垣間見られたわけで、まずまずの天気だったのですが、これから久住山や御池方面へ向かわれるとなると、すっぽりとガスに覆われて全く景色も開けない中を歩かれるわけで、恐縮であります。(苦笑)

【12月15日】三俣山から望む大船山方面のガス焼け

12月15日の九重連山は曇。午前5時過ぎの長者原付近の気温は−2℃。午後から出勤のため、正午前には自宅へ戻らなければならないという状況での慌ただしい山行となりました。九重町役場横からの四季彩ロードで、地蔵原を見渡す場所まで出ると、 スキー場方面の空が妙に明るく、12月22日のオープンに向け、夜を徹して急ピッチでの雪作りが行われているようです。6時前に大曲から入山、うっすらと雪の残る登路を淡々と歩いてすがもり越へ向かいます。すがもり越に着いた6時30分前、徐々に明るくなり始める東の空がうっすらと染まりますが、上空にはガスがかかっています。気温−5℃のすがもり避難小屋で風を避けて小休止して、三俣山に取り付いたのはすでに7時前。西峰中腹のガスの中に入る直前には、東の空が朝焼けに染まり、西峰斜面を覆う霧氷群の向こうに流れるガスが染まる様子を確認できました。
西峰からはすっかりガスに覆われました。遠景は望めませんが、登路脇の木々に着く霧氷は厳冬期並に成長しており、冬を実感する光景が広がります。繊細でもろい初冬や晩冬の霧氷も一興ですが、やはりこの冬始めて目にする本格的な霧氷は感激ものです。4峰から 南峰へ向かい、登路を覆う霧氷の洗礼を受けて全身真っ白になり南峰へ着きました。山頂付近はガスに覆われ、凍てつく世界です。
早々に南峰を下り、大鍋を見下ろす場所で風を避けて遅めの朝食を摂りながら、ガスが切れるのをひたすら待ちました。経験則ではありますが、相当に濃いガスがかかっていても、意外に束の間の切れ間というものがあり、瞬時周囲に絶景が広がるということが多いわけで、こうなると忍耐力の勝負です。(笑)
待てども晴れぬガスに耐えかねて、再び4峰を経て西峰へと下ります。山頂付近滞在のタイムリミットが迫る9時前になっても、結局ガスが切れる気配はなく、すがもり越へと下ります。避難小屋で小休止してから、大曲へ戻る10時前、振り返る三俣山はガスも切れ、上空の雲間からは青空も覗く天気となりました。

【12月21日】氷結する御池

12月21日の九重連山は曇。午前6時過ぎの牧ノ戸峠の気温は−1℃。6時前に長者原に着く頃には、先ほどまで見えていた星もほとんど隠れるようになり、予報は的中のようです。駐車する車も皆無の牧ノ戸峠へ着き、6時過ぎに入山です。沓掛山を越え、扇ガ鼻分岐にさしかかる頃にはヘッドランプも不要になります。
登路は霜に覆われており、霜柱を踏みしめながら西千里ガ浜を過ぎ久住分れにある久住山避難小屋へ向かいます。避難小屋横のバイオトイレ通称バイオレットは、設置当初から冬期の使用は出来ないということがアナウンスされていましたが、今冬も使用不能になり、入り口の扉はロックされています。
さすがに平日ということで、8時前になっても訪れる登山客は皆無で、立ち止まってじっと耳を澄ますと、硫黄山の噴気の音と、わずかな風の音以外は何も聞こえません。完全な静寂という程ではありませんが、ただただ静かな山を独り占めできます。
まずは氷結具合を確かめるべく、空池の縁を経て御池向かいます。やはり御池は完全氷結しています。何度か融け、再氷結を繰り返したようで、湖面には不思議な模様が描かれています。この様子を見ると、まんざら暖冬ということでもないのでしょうが、それにしても今年は積雪がほとんどないというのが不思議です。明日12月22日には九重スキー場がオープンするわけで、完全な冬モードに入るわけであります。それでも久住山周辺の景色は、画像で見る限りでは晩秋と見まがうほどの状況です。

【12月24日】(番外編)冬景色の由布山頂

12月24日は曇りのち晴。午前10時過ぎの由布岳正面登山口付近の気温は5℃。遅めに目覚めた朝、前回の山行から2日経過し、九重連山の様子も気になるところであります。その後特段の天気の変化はなく、相変わらず暖かな日が続いているため、今回はお手軽な由布岳への足慣らし山行に出かけてきました。
毎度のことながら自宅からゆっくり向かっても1時間弱で着く由布岳は裏山感覚で気軽に登れますし、意外にも眺望も良くてお気に入りです。久住山行の合間に、年間数回程度は歩いていますが、サイトに掲載することはまれです。
日出生台演習地から聞こえてくる腹に響くような大砲の発射音をBGMにして、10時30分過ぎに入山。登山口付近は風も弱く、樹林帯に入ると汗が流れます。あまりに暑いのでペースを落として、12時前に西峰と東峰の分岐であるマタエ着。ここからは周囲の木々に見事な霧氷が付き完全な冬景色です。
霧氷付く東峰山頂で昼食を摂り、のんびりと休憩してから早々に山を下り、温泉に直行です。本年最後の山行は、かくもイージーに終えたところであります。次回の山行は年明けの九重連山ですね。

本年のご愛顧ありがとうございました。


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