2008年 春

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2008年3月

【3月1日】残雪の三俣山

3月1日の九重連山は曇のち晴。午前9時頃の長者原の気温は−2℃。昨夜は別府市某所で宴会。いつになく爽快な朝を迎え、露天風呂でのんびり暖まり機能回復。強烈な風が吹く別府市街地を8時前に発ち、九重連山へと向かいました。
県道11号(通称:やまなみハイウェイ)へ入ると、「路面凍結注意」の電光掲示のままに絶妙の滑り具合です。気温0℃で微妙なところですが、ともかく実際に滑るので慎重に走ります。スタッドレスタイヤでの雪道ドライブは快適ですが、凍結路は何とも。(苦笑)
長者原へ着いた9時頃、上空には青空が広がりますが、山頂付近にはガスがかかっています。長者原付近でしばらく待機し、9時30分頃に大曲から入山しました。昨夜の雨は九重連山では雪となっていたようで、登路には新雪がうっすらと積っています。今日から3月、すでに季節は春になっているにもかかわらず、2月初旬からの雪がいまだ多めに残っていて、このようなことは近年珍しい気もします。
10時前、紺碧の青空が広がる中を三俣山に取り付きます。西峰から南峰にかけての山頂付近の積雪は、3月にしては多めです。ササの上に20cm〜30cmの積雪があり、日中に一部が融け夜間に再氷結することを繰り返したようで、新雪よりも歩きやすく、締まった雪原を快適に歩けます。快適に歩いていても、油断をすると雪原を踏み抜き、腰元まで雪に埋もれては抜け出すことを繰り返しながら、 本峰を経て南峰へ向かい、風を避けるように山頂付近の雪原を抜け、坊ガツルが見下ろせるテラスに向かうと、すでに先行者が休憩中。絶景を楽しみながらのんびりと昼食を摂り、正午前に南峰を発ち山を下りました。

【3月8日】中岳・天狗ガ城尾根の残雪

3月8日の九重連山は晴。午前6時頃の牧ノ戸峠の気温は−6℃。快晴の朝はさすがに凛とした寒さに包まれています。日の出の時刻もずいぶんと早くなり6時30分頃となっていますので、黎明が薄明かりに変わる6時過ぎにはヘッドランプがなくても足下がかなり明るくなります。徐々に明るくなる中、6時30分頃に入山しました。
扇ガ鼻分岐手前で、星生山の肩から暖かな朝日が注ぎ始め、ほぼ無風の登路はいつになく快適です。西千里ガ浜も依然積雪が多めで、まだ30〜40cm程度の積雪がありそうです。
久住分れの避難小屋(久住山避難小屋)を抜けると、天狗ガ城下から久住山にかけての空池の縁には雪庇状の雪だまりが出来ています。これを踏み抜くと空池に転落することになるでしょうから、要注意であります。一面の雪原も黄砂の影響でしょうか、純白にはほど遠い雪景色を見るに付け、やはり春の訪れを実感するばかりです。御池の湖面は依然として完全氷結しています。湖面からは時折不気味なきしみ音が聞こえ、割れ目も入っています。
中岳・天狗ガ城の尾根にも雪庇状の雪だまりが出来ています。北西の強い風で吹き付けた雪が積もって出来たものでしょう。やはり中岳周辺も3月中旬にしては多めの雪があり、毎度おなじみ天狗ガ城北斜面では、樹木の上に積もった雪を踏み抜くと、胸元まで雪に埋もれてしまいます。先行者のトレースをはずれない方が無難な状態です。ひとまず中岳を経由して天狗ガ城で小休止。

9時を過ぎると御池や中岳周辺にも次々に登山客が訪れるようになり始めます。御池の湖面を渡りながら歓声をあげる登山客も出現し、今日もまた喧噪の時間を迎えつつあります。早々に天狗ガ城を下り、空池の縁に沿ってできた雪庇の横を通過して久住山へ向かいます。
中岳周辺の賑わいに比べて、今日の久住山は不思議に静かです。わずかに先行の登山客は2人で、そのうち下ってしまうと、山頂付近は貸し切りであります。たまたま今日の登山客には中岳マニアが多く、久住山が空いているのかどうかは不明でありますが、すでに時刻は10時過ぎても西千里ガ浜付近を登ってくる登山客も意外に少なく、しばし貸し切りの久住山頂を堪能してから山を下りました。牧ノ戸峠までの復路では、予想どおり押し寄せる登山客の列と遭遇し、 雪原に伸びる細いトレースでのすれ違いに一苦労。一向に歩くペースが上がらず、牧ノ戸峠に帰着したのはすでに11時30分前でした。沓掛山付近のマンサクのつぼみもまだ堅く、覗き始めた黄色い花弁も初春の寒波に襲われ中々目覚めてくれないようです。次回の山行までは少々期間が空きそうなので、その頃にはそろそろマンサクが咲き始めているかも知れません。

【3月20日】坊ガツルのマンサクと霧氷覆うの大船山

3月20日の九重連山は曇のち晴。午前9時頃の飯田高原の気温は3℃。3月になっても多めに残っていた雪も、もはや名残雪のレベルになり、長者原周辺や坊ガツル付近にもわずかに木陰に残る程度です。
吉部の大船林道入り口へ着くと、あいにくの天気のためか駐車している車は1台もありません。冬から春への端境期でもあり、生命の息吹を感じさせる新緑の季節まではまだしばらくかかりそうなので、通年で驚愕の賑わいを見せる牧ノ戸−久住山のルートは別格としても、この時期は特別なイベントでもない限り静かな山行が楽しめます。
うっすらとガスがかかる森では、頭上の枝先から水滴がしたたります。葉を落としたままの木々の枝には芽吹きの気配が感じられ、冬から目覚めた自然のエネルギーが発散されようとしている生命の営みを実感します。鳴子川を渡り登路に入ってすぐの場所で、春を告げるマンサクの花を見かけ思わず感激!マンサクは満開までは少々かかりそうな気もしますが、坊ガツル周辺まできれいに咲いており、春の到来を知らせる自然の忠実な生命力に感謝であります。
天候も徐々に回復し始め、そのまま法華院山荘へ向かい、昼食を兼ねて大休止。多少風はありますが、雲間から暖かな春の日が注ぐ中で、しばし惰眠をむさぼり、13時30分過ぎに再びガスに覆われ始めた三俣山を望みながら山を下りました。

【3月29日】解氷が進む御池

3月29日の九重連山は晴のち曇。14時頃の牧ノ戸峠の気温は10℃。3月29日に予定されていた坊ガツルの野焼きは、前日まで吹雪いたため4月5日(土)に変更になったそうで、枯れ野が広がる泉水山麓から長者原を経て牧ノ戸峠に着いた14時前、上空には雲が広がります。時折雲間から薄日が漏れるものの、夕暮れ山行は不可でしょうから、お手軽に御池の解氷具合の確認に向かうことにします。
沓掛山のマンサクは、すでにピークを少々過ぎ、昨日までの雨でどろどろにぬかるんで泥濘地と化した登路を淡々と歩きます。15時を過ぎ、久住分れから御池へ向かう頃には、久住山や中岳の山頂付近に人影が確認できるものの、登路を歩く登山客はめっきり少なくなります。御池の縁を回り、中岳と天狗ガ城の尾根にある毎度の定点から解氷が進む御池と久住山を撮影。 小休止の後山を下りました。復路の沓掛山下で「九重の四季」の木下氏に会いしばし情報交換。山麓でフクジュソウやオキナグサの撮影を済ませてから入山したそうであります。沓掛山登路の泥濘地を歩き17時30分頃に牧ノ戸峠へ帰着。早々に帰路につきました。

2008年4月
【4月5日】坊ガツルの野焼きに霞む大船山

4月5日の九重連山は晴のち曇。6時過ぎの飯田高原の気温は1℃。体調不良の状態が1週間続いています。無理にならないように大曲から坊ガツルまで往復することにして、7時頃に大曲から入山しました。坊ガツルの野焼きが行われるわけで、その観賞を兼ねてお手軽な山行です。登り始めて間もなく血行が良くなると一段と鼻水が増量し、喉はゼーゼーと音を立て咳も出始めて、あられもない形相で怪しげに登路を歩くことになりました。実に情けない限りであります。(苦笑)
わずかに雪が残るすがもり越の避難小屋で小休止した後、北千里を経由し、こちらもまだ登路脇に雪が残る登路を法華院温泉山荘へと下ります。天気もまずまずで、絶好の野焼き日和であります。野焼き前の坊ガツル野営場付近を散策すると、ピークは過ぎつつあるものの、まだマンサクの花も十分に楽しめます。アセビのツボミがずいぶんと膨らんで、山が本格的な春を迎えようとしていることを実感します。
9時30分前には、野焼きのスタッフが坊ガツル入りし、班ごとに持ち場へ配置されていきます。予定どおり10時頃に風下の坊ガツル北側から火が入り、その後は各区画ごとに風下から火入れを行います。風下からの火で草原が半分ほど燃えたところで、風上から火を入れると一気に燃えあがり、あっという間に漆黒の大地が広がり、火入れから1時間弱で今年もまた初春の風物詩である坊ガツルの野焼きが終了しました。

【4月12日】フクジュソウ咲く

4月12日の九重連山はうす曇。7時過ぎの七里田付近の気温は6℃。野焼きを終えた長者原周辺もすっかり春支度が整い、何度かの雨を経て、草原が一斉に新緑に覆われる時期も目前に迫っているようです。飯田高原を抜け男池から阿蘇野へ向かう道では、山肌に山桜の薄い色付きと木々の芽吹きが柔らかな緑を重ね、絶妙の彩りで春を演出しています。今、まさに九重連山の麓では不思議にうれしくなる躍動の春が訪れています。
春先の牛の放牧が始まるまでは有氏牧野道のフェンスは開けられており、ガラン台まで車で登れるので、大船山頂や黒岳方面に向かうには30分程度の時間短縮ができます。早々に装備を確認し8時頃にガラン台から入山。体調不良のまま迎えた4月ということで、まともな山行も出来ずじまいで、この1ヶ月あまりの体力の衰えはいかんともしがたく、ガラン台から大船山頂までのルートですらきつく感じた次第で、何ともお恥ずかしい限り。歩き始めて間もなく咳が出始め、喉はゼーゼー鳴り、 まだ完全に風邪も回復していないことを実感したためペースを一気に落とし、登路脇のバイケイソウの芽吹きや、クロモジやツクシショウジョウバカマの花を鑑賞しつつのんびりと歩いたため、ガラン台から大船山頂まで2時間弱もかかってしまいました。
わずかに残雪の残る登路をのんびり歩き、10時前に山頂へ着くと、男池からとガラン台から入山したという先行の登山客が2人。山頂を吹く風は依然冷たく、岩陰で風を避けて毎度の絶景を楽しみました。先週なかばには北部九州で雷を伴う強烈な雨に見舞われたため、段原周辺の火口跡には池が出現しています。見下ろす坊ガツルは、野焼きを終えた後の先週なかばの雨で、焼け跡の灰も落ち着き始めています。山頂で小休止した後、御池側を通り東尾根へ向かいます。 こちらも谷筋には依然として雪が残っています。枝先にはクロモジの花が咲き、芽吹き始めた木々の芽も力強く、生命の息吹を感じつつ山を下りました。

【4月19日】バイケイソウの芽吹き

4月19日の九重連山は曇。6時過ぎの長者原付近の気温は5℃。予報では晴となっていたものの、実際には朝から雲が多く、上空は雲に覆われ、1200m付近からは完全にガスに覆われるあいにくの天気です。長者原付近でしばらく待機したもの、一向に回復する気配もなく、7時過ぎにタデ原木道の散策を兼ねガスに覆われた雨ガ池方面へと向かいました。
タデ原木道をのんびり歩き天気をうかがいましたが、一向に回復する気配もないままに8時前にガスに霞む森に中へ入り、まずは雨ガ池に向かいます。高度を上げるにつれ一段とガスも濃くなる中、ガスに霞む周囲の大地や木々の枝先には、柔らかな緑があふれています。雨ガ池は完全にガスに覆われ、木道もガスに霞み視界は数メートル程度という悪条件の中、ひとまず坊ガツルへと下ります。
坊ガツルも、野焼き後の大地の色が、幾度かの雨を経て黒から茶に変わっています。野営場付近にテントが2張り。その後も野営の装備を担いだ登山客が次々に訪れていましたので、春の坊ガツルの夜は賑わいそうです。10時前になり上空のガスに切れ間が見られ、時折白口岳あたりが望めるもののガスが晴れる気配は薄く、法華院山荘へと向かい小休止。その後北千里ガ浜からすがもり越を経て長者原へ下るべく山荘を発ちました。ガスに覆われた北千里が浜を淡々と歩き、賑わうすがもり避難小屋を横目で見つつ、後はもう長者原へ下るだけです。

【4月26】ミツバツツジとツクシシャクナゲ

4月26日の九重連山は晴時々曇。7時前の飯田高原付近の気温は5℃。例年のこととはいえ、GWが近づくと気になるのは黒岳のツクシシャクナゲの咲き具合です。春先の雪で、少々季節が遅れ気味の気もしますが、自然は実に気まぐれですから、現地で確認しないと何ともいえない、というのが現実です。飯田高原を経て新緑の男池を経由し、白水鉱泉の白泉荘へと向かいます。白泉荘の採水場は、7時過ぎにもかかわらず炭酸泉の水汲みに訪れる人が散発的に到着し、採取者から利用料を徴収する料金所?にもすでに職員がいます。 装備を確認し、7時30分過ぎに入山。先週は咲き始めだった白泉荘そばのシャクナゲは、現在ほとんどの株が満開です。コバノミツバツツジも開花し、新緑に覆われる森は大地の息吹を発散しており、正に春爛漫であります。
シャクナゲは標高900m付近の白水分れ付近までは、咲き始めた花が散見されます。それにしても今年はつぼみが少なめなのが気になります。昨年も花が少なめだったので、続いて今年も慎ましやかな咲き具合ということになりそうです。2005年に大咲きし、2006年もそれなりに咲いて、2007年は控えめに咲いて、そして今年は一段と慎ましやかな咲き具合ということでしょうか。シャクナゲの株が群生する標高1100m付近にある阿蘇野集落が一望できるテラス場の岩場付近でも、つぼみは極端に少ないようです。少ないながらも、しっかりと開花に向けて準備中 ということで、色付き始めたつぼみもあります。1100m付近からシャクナゲの樹がトンネルを作る1200m付近の大地まで、さらに山頂付近にかけては、少なめに付くつぼみも堅く、開花は2週間以上先になりそうです。
標高1300mの前岳山頂付近は、やっと木々の芽吹きが始まったばかりで、新緑の季節はこれからです。当然ながらシャクナゲのつぼみはここでも少なく、まだ堅く締まったままで開花はかなり先になりそうです。山頂付近は風が強く、岩陰で風を避けて小休止。気がつけば先ほどまで注いでいた日差しがなくなっています。西から雲がかかり始めているようです。こうなると長居は無用とばかりに10時前に山頂を発ち、再び白泉荘へと下ります。10時を過ぎる頃、上空はすっかり雲に覆われ、小雨が降ってきました。本降りになりそうな気配はなかったものの、一気に下って 11時頃に白泉荘へ帰着しました。

2008年5月

【5月3・4日】三俣山に沈む夕陽と坊ガツル野営場の夜と朝

5月3日の九重連山は晴。10時前の飯田高原付近の気温は13℃。今日は坊ガツル泊なので慌てることもなく、午前7時に宿を発ちコンビニ弁当で朝食を済ませた後に飯田高原に向かいます。
吉部の大船林道入り口へ着いた10時前、当然のことながらこの時刻になりますと道路脇の駐車スペースはすでに満車で、久しぶりに有料駐車場のお世話になりました。一泊¥1,500の駐車料金を支払い、広々とした駐車場でゆっくり装備を確認し、10時過ぎに入山。今日は時間もたっぷりあります。輝く新緑もまぶしい鳴子川沿いの登路を緑を堪能しつつ歩き、周囲の森に目をやると、春を彩る可憐な花が咲いています。
坊ガツル北端から、野焼き後の大地に徐々に緑が芽生え始めた坊ガツルの中央を横切り、野営場に着いた12時前、すでにカラフルなテント村が出現しています。中央部付近から徐々に拡大していくテント村は、子どもの歓声が響き、犬がテントの間を駆け回り、おまけにグラブまで持参してキャッチボールを始める親子も出現するという、いつもながらの賑わいです。さらに「この暑さは何だ!」というほど5月だというのに暑く、気温は20℃を超えています。驚愕の賑わいに恐れおののきつつも、テントを設営して法華院山荘へビールの買い出しです。買い出しを終えテント場 に戻ると、更にテントの数が増えています。昼食を済ませた後、坊ガツルを散策し、15時前に大船山へ向かいました。
16時頃の大船山頂は貸し切りで、心地よい風が吹く山頂は快適です。日没まではまだ2時間ほどありますので、愛飲しているWILD TURKEY(バーボン)で夕陽に乾杯!今夜は坊ガツル泊ですから、気兼ねなく飲めますね〜。抜群のロケーションで、夕陽を眺めながらバーボンを飲んでいるなんて、最高にイカしてるな〜。ついグラスを夕陽に掲げて「乾杯!」なんてポーズを決めてみたりします。ああ、何というナルシズム。(爆笑)などと、何だかよく分からないのですが、自己陶酔に浸りつつ、なんちゃってケビン・コスナーは夕暮れを待ちます。2時間後、なんちゃってケビン・コスナー の熱い期待とは裏腹に、太陽は地平線を覆う霞の中にいつしか吸い込まれ、空が残照に染まることもなく、実にあっけない日没・・・。こうなると何の未練もなくて、ヘッドランプを灯しビールの待つ坊ガツルへまっしぐらであります。(笑)
テント場に戻った20時過ぎ、すぐ隣にテントが2張り新設されています。「いやー、近くで迷惑をかけますね〜」と、お隣の住人から焼酎をいただきました。熊本と宮崎から来られたという隣人は、すでに宴会モードに突入しています。毎度のことながら驚愕の賑わいを見せる坊ガツルは、さながら大衆酒場の様相を呈しています。酒場が進化?して、巨大騒音発生源に変化する頃、大地を揺るがし響き渡るいびきに負けじとテントに転がり込み、酩酊して爆睡。恐るべし酒の威力。今年もまた、こうして喧噪の夜がしみじみと更けていくのであります。

5月4日、アラームの音がむなしく響き目覚めた3時過ぎ、テントの外を覗くと満天の星空が広がります。朝駆けには好適な天気のようでありますので一瞬迷ったものの、そこは意志の弱い私のことでありますから、再びシュラフに潜り込んで恥ずかしながらの朝寝であります。(苦笑)目覚めたのは周囲が明るくなり始めた5時過ぎ、気温は9℃。
テントからはい出し、小高い岩の上からテントを数えてみると80張を超えています。この場所から見えない場所に張られているテントもありますから、実際は90〜100張程度はあったのでしょうか。テント場の活動が始まる頃にはお湯を沸かし、朝食を済ませてコーヒータイム。朝日が三俣山西斜面を下って来るものの、何だかそれもおぼろげで、天気は高曇り気味です。やがてテント場に朝日が注ぎ始めると、妙に暖かな風も吹き始めます。7時前、朝日が注ぎ始めた頃の気温は12℃。今日は昨日の続きで、 春の森を散策すべく早々に撤去を始め、8時30分過ぎに野営場を発ちました。
帰路、昨日に続き新緑まぶしい鳴子川沿いの登路を、目を凝らしながら歩きます。昨日は、つぼみしか発見できなかったヤマシャクヤクもポッカリと一輪咲いています。少々ピークを過ぎ花弁が微妙に開きすぎてはいますが、春の日を浴びて森の中に咲く様子は神秘的ですらあります。イチリンソウ、チゴユリ、ユキザサなど白色の花が目立つようになると、春も後半へさしかかったことを実感します。
山を下り駐車場を発つまでは、心地よい疲れも手伝って山行の余韻に浸っていたのですが、やまなみハイウェイへさしかかってビックリ。何と大渋滞であります。長者原あたりでのんびりしようかな、などという当初の予定はあっけなく吹き飛んで、そそくさと退散することに・・・。(涙)気を取り直して、麓の温泉へ直行。温泉に浸かると、思わず悲鳴を上げたくなるほど腕と首筋が痛いのであります。そうです、当然のことながら、しっかり日焼けしています。それも半端な日焼けではありません。この時期はやはり、環境問題と併せ身体への害が指摘され、何かと社会問題化 している紫外線対策もお忘れなく。

【5月11日】緑の坊ガツル

5月11日の九重連山は雨のち曇。長者原付近もガスに覆われ、周囲の景色も見渡せない状態です。午後からは晴れ間も覗くという予報に望みを託し、ひたすら待つことにしました。9時30分を過ぎる頃、入山し始める登山客も増え始め、遅ればせながら雨具を着用し指山自然観察路から入山しました。
指山の北西に伸びる観察路もガスに覆われて薄暗く、霧雨が降り頭上の木々の枝先から落下する水滴の洗礼を受けながら歩きます。雨ガ池を下り、坊ガツルも目前となった11時頃には、天気も一時的に回復し上空から薄日も差し始めます。霧雨もすっかりあがり、雨具を脱いで徐々に緑が濃くなる坊ガツルの真ん中にを歩き、11時30分頃に野営に着きました。
あいにくの天気のためもあってか、坊ガツル野営場にはテントも皆無で、信じがたいほど静まりかえっています。訪れる人もない野営場で小休止した後、法華院温泉山荘へ向かいます。さすがに山荘付近で休憩する登山客はいましたが、ここも驚愕の賑わいを見せた1週間前とは比較にならないほど、実にゆっくりと時間が流れている感じすらします。
北千里ガ浜へ着くと再びガスに覆われます。ガスの中から登山客の声がするのですが、全くどの方向から聞こえて来るのか見当がつかないほどのガスの濃さです。すがもり越へと向かい、避難小屋で小休止してから、一気に山を下り長者原へ帰着しました。

【5月17日】地蔵原の底霧

5月17日の九重連山は晴。6時頃の長者原付近の気温は8℃。長者原へ着いた6時頃、相変わらず駐車場にはキャンピングカーが駐まっていて、車外に椅子を出してくつろいでいます。一応車での宿泊はダメ!っていうささやかな掲示はあります、もうこれは現実的な対応が必要ではないかと・・。
6時30分頃に牧ノ戸峠から入山し、朝日が注ぐ登路を快適に歩きます。沓掛山東斜面では、少々ピークを逸した観はあるものの、まだシャクナゲの花が楽しめます。晴天にもかかわらず意外にも、この時間帯には登山客もまばらです。
周囲の緑を堪能しつつ朝日が注ぐ登路を快適に歩き御池の縁を迂回して中岳へ向かいます。中岳山頂では先客のご婦人方の歓声が響いており、早々に退散して天狗ガ城へ向かいます。
見下ろす御池は、まだ水温がそれほど上がらないので藻類の繁殖もなく、湖底が望めるほど澄んでいます。周囲の景色を堪能しながら、大休止です。あまりにのんびりし過ぎて、9時を過ぎてしまい、すでに久住山方面には山頂を目指す登山客の列ができはじめています。
山を下る途中で、中学校の合宿で久住山へ向かう団体に遭い、すれ違いに難儀してしまいました。そうです、他でもない挨拶攻撃に遭うんですね。(笑)昨今何かと議論のかまびすしい青少年の健全育成に資するべく、がんばってお返事を返しましたが、全くこっちの身にもなってみろ、と言いたくなるほどの連続攻撃でありました。(爆笑)

【5月25日】平治岳・大船山のミヤマキリシマとイワカガミ

5月25日の九重連山は曇時々晴。7時前の飯田高原の気温は16℃。昨日の雨の名残が明け方まで続いたようで、様子見にしばらく待機して、ガスが薄れ始めた7時30分過ぎに吉部へと向かいました。
平治岳と北大船山付近の様子を確認すべく8時前に吉部から入山、揺れる木々の枝先から落ちる水滴の洗礼を受け、濡れた登路脇の木々に触れて着衣も湿り気を帯びてきます。鳴子川沿いの登路を抜け、大船林道に出る頃には時折陽も注ぐようになり、雨に濡れて輝く緑が一段と鮮やかに見えます。集木路を平治岳北登路に向かうと、周囲の森には落ち葉の積もる地面から頭をもたげたギンリョウソウがうつむき加減に花を咲かせています。
雨をたっぷりと含んでズルズルに滑るクロボクの登路と格闘しつつ、順調に高度を上げていきます。平治岳北斜面に広がる平地付近に着くと、すでにミヤマキリシマが咲き始めています。しかしながら、虫害を受けたように傷んだ株も多く、少々さみしい限りです。山頂を目指して再び喬木の茂る森に入り、雨をたっぷり含んだクロボクの路面と格闘し、平治岳山頂に着きました。そろそろミヤマキリシマ鑑賞の登山客であふれているのではと思いきや、意外にも山頂は閑散としています。さすがにまだ5月末で、少々ミヤマキリシマのピークには早くて、登山客も少なめだったのかも知れません。

気になるミヤマキリシマの開花状況ですが、山頂付近から平治岳南の峰にかけては現状では虫害も比較的少なく、ツボミは決して多くはないものの、満開となればそれなりに楽しめそうです。しばし天気の回復を期待して小休止。その間も断続的にガスがかかり、大船山も見えたり隠れたりといいう状況です。大戸越を見下ろす岩の上でしばし休憩した後大戸越へと下りました。平治岳周辺のミヤマキリシマの状況はおおむね以下のとおりです。
平治岳山頂付近 ・・・ 虫害も少なく良好。ピークまで2週間以上か。
山頂南斜面 ・・・ 山頂付近に同じ。
南の峰 ・・・ 虫害も少なく良好。ピークは10日から2週間程度
大戸越付近 ・・・ すでに満開に近い株もある。虫害が少なく比較的良好
大戸越から北大船山へ向かう途中で40名あまりの団体に遭い、狭い登路ですれ違いにかなりの時間をロスします。これからミヤマキリシマのシーズンにかけて、このような状況には度々遭遇するもので、登りも下りもあったものではなく、長蛇の列となって行動する団体さんは無敵です。(苦笑)巻き込まれた場合は、運が悪かったということで、素直にあきらめるしかないのであります。

北大船山付近も、現状では虫害が少なく良好な株が多いようです。さすがにツボミの状況は大咲きした2005年には比べるべくもなく慎ましやかではありますが、このまま虫害が広がらずに咲けば、そこそこの見応えがありそうです。ミヤマキリシマの表年だ裏年だといっても、近年は虫害による影響で、何だかよく分からなくなっているのですが、本来なら今年はやはり裏年ということなんです。気になる北大船山付近のミヤマキリシマの状況は、おおむね以下のとおりです。
大戸越側斜面 ・・・ 虫害が進んでおり、開花は微妙
米窪周辺 ・・・ 虫害も少なく良好。ピークまでは2週間以上か。
北大船山頂付近 ・・・ 咲き始めた株もあり、ピークは10日から2週間以上
こちらも、現状では虫害が少なく良好です。開花までに虫害が広がらなければ、そこそこに楽しめそうですが、これも自然のなせる業で、シャクトリムシとミヤマキリシマのマッチレースみたいなものですかね。大船山頂は断続的にガスがかかるため、撮影のタイミング調整を兼ねて眼下に広がる坊ガツルを眺めながら昼食タイム。昼食を終えて坊ガツルへ下り始めた12時30分過ぎ、相変わらずガスが断続的に山頂を覆います。登山客で賑わう坊ガツルを経て、吉部へ14時30分頃に帰着した後、温泉にのんびりと浸かり帰路に着きました。


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