2008年 夏

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2008年6月

【5月31日・6月1日】賑わう坊ガツル野営場

【5月31日】
5月31日の九重連山は晴。16時前の飯田高原の気温は16℃。昨夜までの雨もあがり、絶好の野営日和となりました。正午過ぎに自宅を発ち友人と合流。奇々怪々野営集団の結成式を兼ねて昼食で盛り上がり、九重連山へと向かいました。今回も混雑シーズンにはお世話になる吉部の有料駐車場を利用。野営装備を担いだ登山客の一行に紛れて、奇々怪々集団も 行動開始です。緑まぶしい鳴子川沿いの登路を快適に歩き、大船林道を経て、一路坊ガツルへ向かいます。いやが上にも盛り上がる野営の宴に思いをはせつつ、アルコール燃料を担いだ足取りも軽く・・・、と行くと思いきや、テントに宴会の食料を含めると、これはもう普段の単独野営より少々重めの装備でありまして、単独なら4〜5日間の縦走も平気でこなせそうな装備一式担いで、 当然のことながら足取りも重く坊ガツルへ向かうことになりました。
18時頃に坊ガツル着、野営場はすでに多くのテントが設営されており、今夜の坊ガツルは賑わいそうです。夜のとばりが降り、いつの間にか宴会モードへ突入。周囲の騒々しさに負けじと、それでも幾ばくかの良識のかけらは残しつつ、最初は静かに・・・そのうち・・・いつしか・・・と、後で思い返せば毎度のごとく自己嫌悪に陥る醜態?でありました。(苦笑)
満天の星空の下、騒然とした野営場も、心地よい眠りを誘う子守歌とはほど遠いいびきの大合唱が大地を鳴動させるようになり、坊ガツルの夜がしみじみと更けていくのであります。我が奇々怪々集団もまた、そんな周囲の喧噪はものともせず、いつしか酩酊してテントへ倒れ込み寝てしまうのであります。恐るべし酒の威力。(笑)酒の勢いで寝たものの、夜半にあまりの寒さに目覚め、 さすがに夏装備で防寒対策も不十分でして、ひとまずありったけの衣類を着込んで眠てしまうのでありました。

【6月1日】
6月1日、昨夜は意外に寒くて、夜中に目覚めたのですが、朝テントを抜け出して驚きの光景がありました。午前5時前の坊ガツルの気温は3℃。テントには霜が着き、氷も張っています。5月前半なら珍しくもない光景ですが、6月というのに、さすがに冷え込みました。それでも日が差すようになると気温も一気に上昇します。いよいよ恒例の山開き当日を迎え、7時頃から多くの登山客 が坊ガツルを訪れるようになります。午前7時過ぎには野営場の登山客も行動開始です。毎度のこととはいえ、山頂祭が始まる 10時前になると、もう段原から大船山頂付近にかけては牛歩の歩きとなり大混雑しますから、少々早めに山頂へ着いておかなければなりません。私的前夜祭を兼ね前日から入山していたグループに、山開き当日参加の友人も合流し、何だかんだで出発が遅くなってしまい、午前8時30分過ぎに大船山へと向かいます。
山開き山頂祭へと向かう多くの登山客の列にまぎれ、のんびりゆっくり歩きます。段原にはすでに多くの登山客が待機しており、さらに段原から大船山頂へと向かう登路は、一層の混雑を見せます。9時30分過ぎに山頂へ着き、山頂祭までは時間調整と場所確保です。狭い山頂には続々と登山客が押し寄せます。まさに恐ろしいばかりの混雑でありまして、誰一人やってこない 厳冬期の凍てつく山頂を思うと、信じられない光景であります。登山客でごった返す山頂で
Matsuzaki氏発見。朝焼けを三俣山で堪能した後に大船山へ来たそうであります。
マスコミ関係の取材ヘリも飛び交う中、山頂祭は粛々と挙行され、恒例のペナントが配布されると、あっけなく山頂祭は終了であります。依然として山頂へと向かう登山客があふれる登路を段原へと下り、先週ミヤマキリシマが咲き始めていた北大船山へ向かい小休止。ここも多くの登山客で混雑しています。先週咲き始めていたミヤマキリシマも、ずいぶん開花が進んでいます。 前回お知らせのとおり、現状では虫害も少なく良好な花芽が多く、うれしいばかりです。北大船山から段原周辺のミヤマキリシマの状況は以下のとおりです。

北大船山頂付近・・・・7日前後でピークを迎えそう
段原周辺   ・・・・7日から10日前後でピークを迎えそう
米窪周辺   ・・・・7日から10日前後でピークを迎えそう
北大船山南斜面の開花が進んでいます。北大船山周辺では、おおむね次週末あたりに見頃になりそうです。
坊ガツルへ下り、昼食を済ませてからテントを撤去。依然として坊ガツルは多くの登山客で賑わっています。暮雨の滝側の登路を吉部へと戻り、17時過ぎに吉部へ着きました。

【6月6・7日】北大船山と平治岳のミヤマキリシマ

【6月6日】
6月6日の九重連山は晴。18時前の飯田高原の気温は18℃。山開きを終えた九重連山では、ミヤマキリシマもそろそろ花のピークが目前となり、梅雨入りも間近に迫ります。職場のある玖珠町某所で業務を終え、早々に買い出しに走り、一路九重連山へと向かいます。
飯田高原まで30分弱という、この距離感が何とも絶妙です。居住地と職場とフィールドが完全に一致してしまうのも、何だか悪くない気もするのですが「いつでも好きなときに好きなだけどうぞ!」ってのは、恋愛と一緒で、確実に飽きるのでしょうね。出会いの感動も何もあったもんじゃない。(笑)
吉部に着いた18時前、平日にもかかわらず、さすがに下って来る登山客が続き、吉部の有料駐車場にも、まだかなりの台数の車が駐車しています。早々に装備を確認し、薄暗くなり始めた暮雨の滝側の登路を歩き、大船林道を経て坊ガツルへ向かいます。坊ガツルへ着いた19時30分頃、西の空にかかる雲が染まり、坊ガツルも黄昏れていきます。テント場は先週ほどではないものの、 かなりの数のテントが設営されています。薄暗い野営場にランプを灯してテントを設営し、早速のどごし爽やかなビールを堪能。心地よい酔いが全身をほぐしてくれます。21時過ぎ、隣のテントのイビキがBGMにのように聞こえてくるようになります。日頃からイビキをかく人はもとより、可能性のある方は、是非とも野営装備に、ドラッグストアなどで販売しているイビキ防止用の器具も加えていただきたいものです。(笑)
炊飯場に水の補給に行くと、先客は大船山での夕駆けを終えて下ってきたまめ。氏とピロ氏であります。すでに時刻は21時を過ぎており、このまま山を下って車中泊し、また明日朝駆けというのは、敬服至極であります。しばし情報交換の後、諸兄らは下っていきました。私はといえば、テントの中で、明日の行動予定もすっかり忘れてしまうほど、 更に坊ガツルの夜を深く濃く堪能し、いつしか酩酊して寝てしまったことはいうまでもありません。

【6月7日】
午前4時前の坊ガツルの気温は12℃。夜半の冷え込みも全くなく、見事に爆睡しました。3時過ぎに外を覗くと満天の星空が広がります。テントの中でモジモジしていると、3時30分前には野営場を通り、山頂へと向かうヘッドランプが何組か続きます。せっかくの晴天なので久々の朝駆けを、ということで炊飯場で水を補給し北大船へ向かいます。
坊ガツルを発ったのが4時頃で、日の出前30分前後にの東の空にを染める黎明のグラデーション鑑賞は不可能なわけで、もう少し早く出発すれば良かったな〜と反省しきりであります。樹林帯を抜け、すっかり明るくなった空が望めるようになると、上空には雲がかかっています。段原に着いて東の空を望むと、米窪の縁近くに雲がかかり、切れ間から今正に太陽が光を放ちそうになる直前でした。 山頂へ着くとすでにピロ氏が待機中。今一歩でしたね〜、とご挨拶をしてから、東の空を眺めつつ朝食を済ませます。5時30分頃にはすっかり明るくなりますが、まだ大挙して登山客が訪れる時間帯には早く、北大船山周辺のミヤマキリシマの咲き具合をゆっくりと確認しながら平治岳へ向かいます。
北大船山南斜面の開花は先週お知らせしたとおり周辺では最も進んでいます。北大船山頂北側の一部では虫害が発生していますが、その他はおおむね良好です。虫害が発生しなければ、裏年でもこの程度は咲きますよ!という典型のような咲き具合です。北大船山周辺のミヤマキリシマの状況は以下のとおりです。
北大船山頂付近・・・・8分咲き、満開間近
段原周辺   ・・・・8分咲き、満開間近
北大船山頂北側・・・・6分咲き、満開まで1週間程度
大戸越へ着いた7時頃、すでにかなりの登山客が訪れています。さすがにまだ平治岳登路に山頂を目指す登山客の行列ができてはいませんが、次々に登山客が登路に取り付いているので、行列形成までは時間の問題です。気になる平治岳南の峰や山頂付近のミヤマキリシマの咲き具合は、おおむね以下のとおりです。
大戸越斜面 ・・・・8分咲き、一部満開間近
平治岳南の峰・・・・6分咲き、満開は1週間程度か
平治岳山頂周辺・・・6分咲き、満開は1週間程度か
平治岳も、虫害の発生が少なく良好です。花芽は決して多くはないのですが、北大船山周辺と同様で虫害がなければこの程度は咲きますよ、という典型です。8時を過ぎると山頂付近を訪れる登山客が急増。山頂付近のミヤマキリシマの株の間にできた枝道の隅々にまで登山客が入り込み、自然の景観を堪能するなどという風情とはほど遠いラッシュになります。坊ガツルへ下った9時過ぎ、 早朝は霞みもなくクリアだった景色も、気温の上昇に伴って少々霞むようになってきました。ますますヒートアップし怒濤のように押し寄せる登山客を傍目に見ながら、のんびりとテントを撤去。坊ガツルを発つ11時前には、ミヤマキリシマの時期特有の、異常なまでの人数の登山客が坊ガツルを席巻し始めていたのであります。

【6月13・14日】北大船山のヤマキリシマ

【6月13日】
6月13日の九重連山は晴。20時前の飯田高原の気温は18℃。九重連山のミヤマキリシマもいつしか佳境を迎え、今年も梅雨入りしてしまうと、空模様を気にしながらの山行となります。週間予報では今週末は雨の確率が高いという予報でありましたが、前日になっての予報では、13日(金)〜14日(土)にかけては降水確率も低くなっており、梅雨の中休みのようです。朝、出勤前に大急ぎで 野営装備をパッキングしたため、何かと忘れ物が多くまいりましたが、ひとまず野営は実施できそうです。玖珠町某所の職場を19時前に出て、山間部に伸びる細い道を玖珠町市街地へ下ること30分余。玖珠町中心部のスーパーで買い出しを終え、飯田高原へ着いたのは20時前です。吉部に着き、装備を確認して漆黒の闇が広がる鳴子川沿いの登路から20時20分頃入山しました。
坊ガツル北端へ着き、月明かりがうっすらと照らすようになると、先ほどまでの樹林の中の登路の闇とは対照的で、ずいぶんと明るく感じます。鳥の羽音が聞こえ空を見上げると、黒い飛行物体が・・・。ライトで照らすと目が光っています。これはフクロウなんですかね。かなり大きかったですよ。よもや襲われることはないだろうと思ってはみたものの、小心者の私は気が気でなりません。しばらく頭上を飛んでいたものの、やがて去っていき一安心。(笑)
坊ガツルへ着いた21時40分頃、すでにかなりの数のテントが月明かりに照らされ確認できます。さすがにこの時刻ともなると、薄明かりの灯るテントが1張りだけで、あとは寝静まっています。早速テントを設営し、夕食の準備にかかると、コッヘルのフライパンがない・・。(涙)焼くはずだったウインナーは結局カレーうどんの具となって食べることになり、少々物足りない感じですが、一応栄養補給はできました。
夕食を終えた22時30分過ぎ、明朝に備えて早々に就寝。食べてすぐ寝るのも久しぶりだし、明朝胃がもたれなければ良いけど・・・、などと心配したのも束の間、酒の勢いでいつしか寝てしまったのであります。テントの中でウイスキーを飲みながら、下半身だけシュラフに突っ込んで寝ていたため夜半に一度寒さで目覚め、シュラフに潜り込んで再度爆睡。夜はイビキすら聞こえず、坊ガツルの夜は、静かに更けていくのであります。

【6月14日】
6月14日、午前3時過ぎの坊ガツルの気温は12℃。星空がわずかに望めるものの、どうやら薄雲が広がっているようです。御来光はともかくとして、押し寄せるミヤマキリシマフリークの団体を避けるためには、午前8時頃までが適期であります。
先週より少し早めに3時30分過ぎに坊ガツルを発ちます。夏至が目前のこの時期、大船山頂からの御来光鑑賞に間に合うかどうかは微妙なタイミングであります。段原に着く頃にはずいぶんと明るくなりヘッドランプも不要になります。東の空がわずかに染まっているのが確認できましたが、やはり地平線上を雲が覆い、御来光は撃沈。御来光もボツとなれば慌てることもなく、山頂でのんびりと朝食の準備をしつつ、明け行く段原周辺を撮影します。
朝は薄明かりの中で通過したので確認できなかった段原から望む北大船山方面のミヤマキリシマは、ピークをわずかに過ぎている状態です。すでに咲き終わり枯れの始まった花も混じっていて、明らかにピークも終わりに近づいていることが分かります。

私の意識の中では、すでにミヤマキリシマは終わっていて、今日は残務整理のようなものです。何でもそうですが、喉から手が出るほど欲しくて、長い願望が叶いやっと手に入れることができるようになった場合でも、手元に届くまでは期待もふくらみ一日千秋の思いで待つものですが、実際に手に入れてしまうと急に冷めるなんてことはよくあることです。車もバイクも、恋愛のプロセスもそうですしね。(笑) おそらく平治岳も同じような状態で、先週の様子から考えるともう少し花枯れが少ないかも知れません。段原からは米窪壁を迂回し、火口跡にできた池の周囲を散策して北大船山周辺を歩きます。のんびりし過ぎたのか、北大船山頂に戻ったのはすでに8時過ぎです。
段原付近には団体も訪れるようになり、喧噪が始まりました。大戸越えからの平治岳登路は、意外なほど空いているようではありましたが、時刻も随分下がっていますし、登山客が急増するのも目前ですから、今回は平治岳には行かず、北大船山付近でのんびりと休憩してから坊ガツルへ下りました。
坊ガツルで登山客から聞いた話では、やはり平治岳も全体的にはピークか、ややピークを過ぎた感じで、花期を終えた枯れ花が混じり始めているということです。平治岳山頂付近はおそらくピークになっていると思われます。いずれにしても今年は、花芽は決して多くはなかったものの、虫害の発生がごく一部に限られていたため、良好な花が楽しめたものと思われます。ミヤマキリシマの花の咲き具合は、 様々なファクターが複雑に関係した結果なのでありまして、花季の前によくご質問のメールをいただく中でも「今年の花の咲き具合はどうでしょう?」というのが、実に回答しにくいものなのです。実際現地で年々の状況を現認してみないと、全く分からないというのが正直なところです。
今年最後のミヤマキリシマ情報です。大船山から北大船山は以下のとおりです。多少花枯れは目立つものの、まだつぼみを残していますから、この後1週間程度は楽しめそうです。
北大船山頂付近・・・・満開をやや過ぎ始め
段原周辺   ・・・・満開
大船山頂北側 ・・・・満開
坊ガツルへ下った9時過ぎ、霞みも少なくクリアな景色が続いています。登山客のお話では、平治岳の登山客も先週とは比べるべくもなく少なくて、快適なミヤマキリシマ鑑賞ができたそうで、おおよそ先週が人出のピークであったようです。坊ガツルを行き交う登山客も、先週よりはるかに少なく、九重連山のミヤマキリシマの熱狂もやっと去りつつあるようです。

【6月21日】大戸越のオオヤマレンゲ

6月21日の九重連山は九重連山は曇のち雨。午前7時過ぎの長者原の気温は19℃。県内に大雨注意報が出される状況では、何とも・・・。週末の山行は完全にあきらめていたところ、21日朝目覚めてビックリ。何と雲間から空が見えているではありませんか。大急ぎで装備を調え自宅を発ちました。長者原に着いた7時頃、さすがに山の天気は厳しくて、山頂付近にガスが濃くかかっています。 ミヤマキリシマの喧噪が去り、驚愕の賑わいを見せた長者原付近の駐車場も閑散としています。牧ノ戸峠へ向かいますが、こちらはガスがかかり、更にはガス雨も降り条件が悪いため大曲まで下り、7時30分頃入山しました。
すがもり越から北千里ガ浜付近にかけてはガスがかかっていましたが、法華院山荘が望めるようになるとガスも消えて、坊ガツルは完全にクリアです。法華院温泉山荘に着いた8時30分頃、一時ガス雨が強くなり山荘の休憩所で待機します。すぐに雨も止んだため、坊ガツル野営場へ向かいます。こちらもテントは1張りもなく、閑散としています。山開きからミヤマキリシマのピークとなった先週まで、 驚愕の賑わいを見せていた野営場も静まりかえり、あの賑わいを思うと、今ははまさに夢の跡。
当初は、大曲から坊がツルまでの往復という予定でありましたが、大戸越付近のガスも時折薄れているようなので、気になっていたオオヤマレンゲの開花の様子を見たくなるというのが人情というものであります。大戸越へ着いた10時過ぎ、周囲のミヤマキリシマも枯れ花と化し、九重連山の羨望を集めていた平治岳も静まりかえっています。相変わらずガスが濃くかかっていますが、近景を撮影するなら支障 はないようです。はやる気持ちを抑えて、オオヤマレンゲの咲く登路に入ります。今年も無事ご対面と相成ったオオヤマレンゲはすでに開花し、枯れ花も点々とありますから、先週前半にはすでに開花していたものと思われます。
撮影を始めようとカメラを取り出していると、ポツポツと大粒の雨が降り始めました。これは完全な本降りの前兆です。大急ぎで準備をしている間にも、雨は徐々に強くなります。ただでさえ足場の悪い場所で、雨をたっぷり含んだ斜面は脆く異常に滑ります。三脚を固定することもままならず、雨も強まる中、大急ぎで撮影。このような緊急の状況でありましたので、撮影した画像のヒストグラム確認も忘れ、 オオヤマレンゲの花弁が白飛びしてしまうお粗末な有様で、白飛びに気づいたときにはすでに雨も強まり、雷鳴まで聞こえる悪条件となり継続を断念しました。結局撮影できたのはわずかに5分間程度で、撮影した画像のうち、ぶれや白飛びがないものは数カットしかなく、その他は全てボツであります。(苦笑)
一気に強まる雨の中、雨具を着用し、近づく雷鳴におびえながら、坊ガツル避難小屋まで下ります。雨脚も強まり、ぬかるんだ登路は泥濘地と化し、その上を雨が流れる川になっています。くるぶしの上まで何度も登路の泥に埋もれ浸水したため、シューズの中にも少々水が入り何だか気持ち悪くて・・・。避難小屋に着いて小休止していると、雨も小康状態となったため、ひとまず法華院山荘まで退却。稜線上でなくて幸いですが、山で遭う雷は恐怖です。山荘に着いて一安心したものの、雷鳴が聞こえ雨脚も強くなったため、休憩所で昼食を摂りながら様子を伺います。再び雨が小康状態となり、雷鳴も途絶えて1時間あまり経った13時前に山荘を発ち、北千里ガ浜へ 向かいます。ここからは断続的に降る雨の中を、ただ淡々と歩くだけです。追い打ちをかけるように、すがもり越に着く頃から雨脚が一気に強まり、強烈な雨になりました。

【6月28日】鳴子山のオオヤマレンゲ

6月28日の九重連山は九重連山は曇のち雨。午前5時過ぎの牧ノ戸峠の気温は16℃。天気は、午前は曇で午後から雨という予報です。もっとも山の天気は更に厳しものでしょうから、およそ午前はガスに覆われてガス雨が降り、午後にかけて本格的な雨になるという天気になりそうです。
28日朝、5時前になっても薄暗さが残る状態です。牧ノ戸峠に5時過ぎに着いたときには、駐車場にはわずかに4台が駐車するのみです。さすがに梅雨真っ盛りということもあって駐車場も閑散としています。6時頃に入山し、雨後ではありますが、登路は意外にぬかるんだ場所もなく、咲き残るミヤマキリシマやニシキウツギの咲く登路を快適に歩きます。星生崎下付近にさしかかった7時前にガス雨が降り始めたため、避難小屋に入り一時待機します。徐々にガスも濃くなり避難小屋も完全にガスに覆われてしまいます。先週は山行中に雷雨・豪雨に遭遇し恐ろしい目に遭ったので、今日は無理はせず、このまま天気の回復が厳しいようであれば避難小屋でコーヒータイムの後に山を下ることにするつもりで様子を伺います。30分ほどでガス雨は止み、この先の登路の状況を考慮し、雨具を着用し避難小屋を発ちました。
鳴子山に着く頃にはガスが一段と濃くなり、尾根をガスが流れ視界は5〜10m程度になりました。オオヤマレンゲの群生地が一望できる岩に立っても視界は開けず、全体的な開花の状況は全く把握できません。それでも登路脇には花を咲かせた株が点在し、つぼみもあります。一部の状況から推測するのもはばかられますが、先週の大戸越より開花は遅めのようで、およそ次週末にかけてオオヤマレンゲの開花 が続くものと思われます。それにしても北斜面の状況が気になるところです。私と同様に、奇特にもこのような天気の中、木々からしたたる水滴の洗礼を受け、ずぶ濡れになりながらもオオヤマレンゲの撮影に来られたという登山客に聞いたところでは、北斜面を下ったところにかなり咲いていますよ、ということであります。
鳴子山のオオヤマレンゲは、ほとんどの花が頭上に咲いています。梅雨時でたっぷり雨を含んで滑る登路は足場も悪く、撮影には悪条件です。それでも、先週のように雷に遭うことがないだけでも幸いでありまして、薄暗い森の中で、したたる水滴に濡れながら撮影をしていると、頭上の葉を叩く雨音が・・・。ついに雨が降り始めたようです。雨は徐々に強まり9時前には本降りになりましたので、早々に退散します。
牧ノ戸峠に10時20分頃帰着。一時止んでいた雨が再び強まり始めました。梅雨時とあって駐車場は空いています。ひとまず今回も前半は雨に遭わず何とか・・・、いや、むしろ山行を強行した気配が濃厚でありますが、昨夜は飯田高原まで30分弱という至近距離に宿泊していたわけで、雨が降っていなければ入山したいというのが人情というものであります。(笑)それにしても、報道では例年になく梅雨時の 降水量が多いということで、前半にかなりの雨量があったようです。これからいよいよ梅雨後半に入り、集中豪雨禍に遭うことがないよう祈るばかりです。雨にもすっかり飽きてしまい、梅雨明けが待たれる毎日です。

2008年7月
【7月5日】ガスかかる白口岳

7月5日の九重連山は曇。午前8時過ぎの長者原の気温は20℃。5日朝4時頃、大分県北部の自宅付近では強烈な雨に見舞われ、早朝の出発を断念。御来光鑑賞は諸兄らにお任せするとして、夏場は特に暑さを避けるため、朝が得意でない私ですら早朝の山行が多くなるのですが、今日はのんびりと自宅を発ったため、職場のある玖珠町中心部を7時30分頃通過し、何だかこのまま会議に出席するかのような錯覚すら覚えるのであります。(苦笑)
8時過ぎに長者原に着き、時折強まるガス雨が小康状態になるのを待ちます。9時30分頃に指山観察路から入山し、指山下を迂回し雨ガ池方面へ向かいます。雨ガ池付近は涼やかな風が吹き快適です。雨後にもかかわらず雨ガ池に水が溜まっていなかったので、近日の雨量は少なかったのかも知れません。
坊ガツル野営場は少々風も強めでしたが、昼食を兼ねてのんびりと休憩。その後野営場周辺を散策してから法華院温泉山荘へ向かい、まめ。氏とぴろ氏と再会。再びしばしの情報交換の後に北千里ガ浜からすがもり越を経て山を下りました。
梅雨も末期になり、例年のことですが集中豪雨禍の心配もあります。何より災害が発生せずに、早く梅雨が明けてくれることを期待するばかりです。

【7月12日】水量を増す御池

7月12日の九重連山は曇。午前6時前の牧ノ戸峠の気温は16℃。九州北部では、先週初めに例年より2週間近く梅雨が明けました。連日続く暑さで、すっかり夏の訪れを実感する毎日が続いています。予報では週末は曇で金・土曜は一時雨ということで、梅雨明けを待って坊ガツルでの野営を実行するはずでしたが、これは断念。結局11日(金)から12日(土)にかけて雨は降らなかったので、残念な状況であります。
キャンピングカーが居並ぶ長者原Pを横目に見ながら、牧ノ戸峠へ向かいます。曇り空ですが、すぐに天気が崩れる気配もなく、久々に雨に追われずに山行が楽しめそうです。午前6時に入山し、涼風の渡る登路を快適に歩きます。登路周辺にはノリウツギが花を咲かせ始め、山肌が白く染まるのも間もなくです。登路脇にはシライトソウが咲き、白色の花が目立つようになると、ここでも夏を実感するところです。
西千里ガ浜にさしかかった7時頃、一気にガスが流れ込んで、周囲の視界が効かなくなります。その後も断続的にガスが押し寄せる状態が続く中で、御池を経て中岳から天狗ガ城へ向かいます。本日は、お手軽山行というということで、天狗ガ城山頂でのんびりと休憩し、某所でモウセンゴケ群落を観察してから山を下りました。
復路ではシライトソウが無残にむしられてしまっている場所も目立ち、実に残念です。先日の地元紙に、牧ノ戸峠周辺で景観回復のため植林したミヤマキリシマの状況を調査したところ、4割近くが無くなっていて、盗掘に遭ったり踏みつぶされたのではないかという記事が掲載されていました。これは端的な例で、様々な価値観が交錯する摩訶不思議なルートゆえに、登路周辺の植物も人災に遭う確率が高くなるようです。もはやマナーとかモラルというレベルを超えている、そんな昨今の悲しい現状です。

【7月19日】ノハナショウブとショウキラン

7月19日の九重連山は雨のち晴。午前7時前の長者原付近の気温は20℃。接近する台風の余波なのか、先週後半から不安定な天気が続き、午後から雷雨に遭うことが増えています。朝、自宅付近では雲間から星も覗いています。職場のある玖珠町を通過する頃、万年山(はねやま)にはガスがかかり、九重連山も全く望めないばかりか、雨が降り始めているのです。

雨ならば急ぐ必要もなく、九重町町田を過ぎる頃から断続的に雨が強くなったために、あちらこちらに寄り道をしながら7時前に長者原着。弱い雨はガス雨のようでもあり、それでも時折ザッと強く降ったりして、車中で待機。雨が小康状態になるのを待って硫黄山道路からすがもり越に向け入山しました。

すがもり越避難小屋に着く10時頃、再び雨が降り始めました。間もなく野営装備を担いだ登山客で小屋は一杯になります。断続的に小雨が続き、他の登山客はその後の行程を考慮してか、三俣山や法華院、久住山方面へと発っていきます。毎度の気まぐれ山行の私なんぞは、このまま雨が続けば引き返すつもりで、誰もいなくなった避難小屋でのんびりと休憩です。動いていると蒸し暑く感じたものの、 さすがに2時間あまり避難小屋の中でじっとしていると寒くなり、雨具を着用し昼食を済ませます。撤収する頃に雨が止んで、すがもり越を覆っていたガスが急激に晴れ始めました。あいにく山頂付近にはガスがかかったままですが、こうなるとまずは坊ガツルへ向かうべく正午過ぎに避難小屋を発ちます。

法華院温泉山荘付近では砂防ダムの工事が進んでおり、重機の作業音が聞こえています。早々に山荘を過ぎて坊ガツルへ向かう頃、上空には雲間から青空も広がり始め、さらには強烈な夏の日差しも注ぎ始めました。わがままなもので、日が注ぎ始めると今度は異様に蒸し熱くて、腕にも足にも汗が流れると曇ってくれないものかと思ってしまうのであります。さすがに盛夏に炎天下を移動するのは辛い。(笑)

ということで、坊ガツル野営場付近も早々に通過し、雨ガ池へと向かいます。木々が覆う登路に入ると実に快適です。ノハナショウブが一面に咲く雨ガ池を過ぎ、再び日陰の登路に入ります。指山観察路分岐付近でショウキランを撮影し、これまた日陰で快適な指山観察路をのんびり歩いて山を下りました。

【7月25・26日】夏の大船山頂にて

【7月25日】
7月25日の九重連山は晴のち曇。15時前の飯田高原の気温は28℃。平地の気温が35℃近くの酷暑になっていますから、さすがに暑いといっても、この気温は快適です。飯田高原から望むと山頂付近にガスがかかる天気で、果たしてこのまま雷雨に遭わず野営が楽しめるのかどうか、少々の不安はあります。テントの設営や撤収時に雨に遭わなければ、雨そのものは一時的なものでしょうから問題ないのですが、 怖いのはやはり雷。テントを打つ強烈な雨音に混じって、天地を切り裂くような雷鳴が聞こえてくるというのはどんな感じなのでしょう。経験したくもないですが。(笑)
吉部から鳴子川沿いの登路を快適に歩き坊ガツル北端へ向かいます。曇り空とはいえ湿度が高く、樹林に覆われた無風の登路を歩き始めると滝のように汗が流れ脱水症状を起こしそうな暑さです。幸い坊ガツルも山頂を覆う雲が広がり日差しは遮られていましたので、炎天下を歩くことはなくて助かりました。あまりの暑さに耐えきれず、まずは法華院温泉山荘へ直行。渇きを癒す至極の喜び500mlを一本流し込み、 ベンチに座りガスがかかる大船山を放心状態で眺めやっと正気に戻りました。
法華院山荘で1時間あまり休憩した後、夕食用のビールを調達し坊ガツル野営場に向かい、テントを設営して早速の夕食です。お隣のテントは、昨年と一昨年も7月後半にお会いした大分市から来られている2人連れでありました。夕食にモツ入りの焼きそばの差し入れを頂き、この場を借りてお礼を申し上げます。ガスがかかる山頂付近を眺めつつの一人宴会は至極の一時で、いつしか20時前になり、 夜のとばりが坊ガツルを包み始めると間もなく、テントに転がり込みWILD TURKEY(バーボン)で2次会です。当然のごとく酩酊して寝てしまったのはいうまでもありません。

【7月26日】
7月26日、3時前にテントの外を覗くと月明かりが注いでいます。月明かりに照らされた山頂にはガスもかかっているようですが、このまま朝を待つのもシャクなので、朝駆け敢行を決定。3時頃の気温は17℃です。大船山頂が近づくにつれ上空のガスも薄れ始め、段原に着く頃には東の空が黎明に染まり始めています。御来光の期待も高まる中、山頂へ着いたのは4時30分頃。時々刻々と変化していく東の空の色も、 日の出前30分前後がもっともきれいに見えるようで、上空の濃紺から地平線近くの朱色へと絶妙のグラデーションを描いています。三脚を据え、カメラを構えて日の出を待ちます。時折ガスが押し寄せ、山頂付近を覆うため、少々の不安はありましたが、こうなると運に任せるしかないのであります。
5時10分、東の地平線を覆う雲の上に太陽が姿を現し、荘厳な朝のショータイムの始まりです。山を染める朝日が、刻々と角度を変え、徐々に太陽が昇ってくると山々の陰影もまた深く濃くなっていきます。山頂に押し寄せるガスが朝焼けに染まり、ブロッケンも現れます。日の出から30分間で、ショータイムも終わり、徐々に強い日が差すようになると夏の一日が始まります。
抜群の眺望を楽しみ、徐々に暑くなり始めた8時前に山頂を発ち坊ガツルへ下ります。気温が上昇し始めると、今度は急に暑くなってきます。早々に野営装備を撤収し、坊ガツルを発つ頃には、再び山頂付近をガスが覆い始め、時折日差しも遮られるようになってきました。

2008年8月
【8月2日】朝のすがもり越

8月2日の九重連山は晴のち曇。6時過ぎの長者原の気温は21℃。すがすがしい朝の長者原付近の駐車場にはキャンピングカーが大挙して押し寄せ、まさにオートキャンプ場の様相を呈しています。一応駐車場内でのお泊まりはダメという表示はあるようですが、こんな既成事実を見せられてしまうと、何とも・・。朝日が差しす長者原付近はどこぞの陸上部の練習も行われ、犬の散歩をする人ありと、 様々なスタイルで高原の朝を満喫しています。
高原を渡る風がいつになく強く、そのためもあって朝露も深くないようです。6時30分頃に大曲から入山。まずはすがもり越へ向かいます。大曲から入山してすぐに夏草が茂る登路を歩くのですが、朝露はほとんどなく、いつになく快適です。すがもり越に着いた7時頃、閑散とした避難小屋は心地よい風が吹き抜け快適そのものです。時間に余裕があれば、心地よい風に吹かれ、すがもり避難小屋で惰眠をむさぼるという選択肢もありますが、 今日は時間に追われての山行のため、そんな誘惑には負けずにそのまま西峰に取り付きます。
西峰山頂を渡る風も快適です。山頂付近にも朝露はなく、全く濡れることもなく涼風に吹かれながら本峰山頂を経て南峰へ急ぎます。南峰の坊ガツルを見下ろすお気に入りのテラスで小休止。大船山は少々霞んでいます。南峰から4峰へ向かう8時30分頃、先ほどまで青空が広がっていた星生山付近にガスが押し寄せるようになっています。西峰を経て、すがもり越へ着く頃には上空はすっかりガスに覆われてしまいました。 先週も日の出の頃は快晴でしたが、3〜4時間あまりで山頂にガスが発生しており、盛夏の強い日差しのため山の天気は混迷を極めているようです。

【8月11・12日】(番外編)米子の夜景、明け行く大山

【8月11日】(帰省中の鳥取にて)
8月11日、大山寺に着いた8時頃の気温は24℃。天候は晴れで、山頂付近にはガスがかかり始めています。夏山登山道から弥山を目指し、8時30分頃に夏山登山道から入山しました。
今年も無事に山頂での一泊が楽しめることとなり、実に喜ばしいところであります。例によって今年も少々迷った末に、4年続けてお世話になっている弥山山頂の避難小屋へ向かいました。弥山山頂の避難小屋は、米子市周辺の夜景や日没・ご来光鑑賞の場所としては、ユートピア小屋付近より背景となる景色が良く、ロケーションは優れています。そんなこともあって、どうしても足が向いてしまうのですが、 やはり静かな避難小屋の夜を楽しみたい場合は、ユートピア小屋の方がお勧めです。
大山寺登山口付近の標高は800mで1710mの山頂までは標高差が約900mあり、行程は約2.8kmです。毎度のことながら、8合目付近まで延々と続く急登で、盛夏は恐ろしく暑いのです。今回は風も弱く、移動はやはりひたすら暑さとの戦いでした。幸い10時頃からガスが出てきて、直射日光を遮ってくれたため少しは楽になりましたが、恒例のように滝のような汗を流し、山頂に着いたのは11時30分過ぎで、気温は22℃でした。
相変わらず山頂付近は賑わっていましたが、盂蘭盆前の11日(月)という曜日の関係からか登山客も少なめです。今年は山頂避難小屋の売店がなぜか閉まっていて、冷たいビールを確保できなかったので少々残念であります。常連さんとおぼしき地元の方に聞いたところによれば、常駐する人員がいないので山頂の売店を開けられないそうだということです。
少々後悔したものの、昼食を兼ねて早速水割りで乾杯。その日が傾くまで小屋の日陰で惰眠をむさぼり、山頂付近の登山客が下ってしまった16時頃からは、貸し切りの山頂でおよそ3時間余りの間、気温18℃の涼風に吹かれながら、傾いていく夕陽を肴に延々と至福の時を過ごしたのであります。
17時前に2人の子どもを連れた倉敷から来られたという登山客が登って来て、今夜の避難小屋の宿泊客は私を含めて4人です。山頂から中海や宍道湖の向こうに沈む夕陽を堪能しました。夕食を済ませてから、再び貸し切りの山頂から避難小屋の向こうに米子市の街明かりや日本海のイカ漁の漁り火を鑑賞しました。タイマーで管理された小屋の照明は20時に消えます。ランタンの明かりを灯し、明日へと思いをはせ、いつしか酩酊して寝てしまったのはいうまでもありません。

【8月12日】(帰省中の鳥取にて)
明けて8月12日、例年になく静かな夜となり、快適すぎるほどの環境に思わず爆睡して、気づけばすでに4時前。気温は18℃で、晴天の割には朝の気温は高めのようです。避難小屋の外は満天の星空で、それでも黎明の空は徐々に明るくなっていきます。すでに山頂標識付近には5〜6人の登山客が御来光鑑賞のために到着しています。カメラと装備を確認して、早速弥山山頂でスタンバイ。
黎明の剣ヶ峰上空には冬の星座であるオリオン座が輝き、やがてそれも徐々に朝焼けに埋もれていきます。夜景が朝の明かりに切り替わる5時6分頃、東の水平線に太陽が現れます。大山の経度は東経134度で九重連山は131度程度で、経度が3度程度少なく標高はほぼ同じ1700m強ですから、単純に考えると約12分ほど日の出が早いことになります。徐々に明るくなるにつれ、剣ヶ峰から烏ヶ山の向こうの蒜山付近に雲海が広がっているのが望めるようになってきます。
5時30分頃には燦々と朝日が注ぐようになり、山頂付近を散策してから小屋へ戻り、装備を撤収。折角の絶景ですから、小屋の外で景色を楽しみつつ朝食です。7時を過ぎる頃からは、御来光鑑賞の登山客と、日中のファミリー登山の登山客との入れ替わりの時期を迎えるようです。8時前に避難小屋を発ち、周囲の木道を散策し9時頃に山頂付近を下りました。ガスもなく、6合目避難小屋までは、眼下に米子から弓ヶ浜にかけての絶景を堪能しつつ下ります。
次に大山を訪れることができるのは、おそらく年末の帰省時か、はたまた来年の夏になるのでしょう。これまた例によってメジャーな夏山登山道ルートの山行でありましたが、眼下に広がる景色もすばらしく、この夏も楽しい山行ができたことに、毎度のこととはいえ、限りない感謝であります。

【8月16日】るり色の宝石、ヒゴタイ

8月16日の九重連山は曇のち雨。7時前の牧ノ戸峠の気温は18℃。長者原付近にはキャンピングカーが押し寄せ、早朝から多くの観光客が闊歩しています。晩夏にさしかかった九重連山は、盆休みに続く週末とあって、いつにない喧噪にあふれています。山頂付近にガスがかかっていますが上空は晴れているので、牧ノ戸峠から 中岳あたりまで歩くことにしました。11日から12日にかけての伯耆大山の後遺症が残っているようで、少々足が重いためリハビリを兼ねてお手軽山行です。(苦笑)
牧ノ戸峠駐車場は、あいにくガスに覆われてはいるものの、下の駐車場はほぼ埋まっており、次々に登山客が入山していきます。装備を確認し、7時過ぎに入山しました。東屋のある沓掛山第1展望台もガスの中。淡々と歩いて沓掛山山頂に着いても、当然ガスの中にあって、周囲の景色は全く開けません。
登路脇に咲くサイヨウシャジンや気の早いマツムシソウ、コバギボウシなど晩夏から秋にかけて紫色の花が目立つわけで、ガスの滴を帯びた花を堪能しつつ西千里ガ浜から久住分れに向かいます。
相変わらずガスが濃くたちこめる中、御池を迂回して中岳山頂へ向かいます。山頂には数人の登山客がいて、ガスの中思い思いに晩夏の九重連山を満喫しているようです。中岳を発ち、天狗ガ城との尾根の定点でガスが晴れるのをひたすら待ちます。強い風が吹き抜ける尾根をはずれ、それでも寒くなり上着を着ておよそ1時間余り待ちましたが、結局久住山が望めるほどガスが切れることはありませんでした。

【8月24日】晩夏の御池

8月24日の九重連山は曇時々晴。7時頃の長者原の気温は18℃。暑かった夏も、いよいよ終わりを迎え、平地でも朝夕にはすっかり涼しくなってきました。今回も山頂付近にガスがかかっていますが、上空は晴れているので天気の回復に期待し、大曲から中岳周辺まで歩くことにして、午前7時過ぎに入山しました。
朝露が残る登路を淡々と歩き、すがもり越へ向かいます。見上げる三俣山山頂付近もガスに覆われています。北千里ガ浜中央には、昨日からの雨のためか、小川が出現しています。周囲にはススキが穂を出し、初秋へと移ろう季節を実感させる光景が広がります。空池の縁を迂回し御池へ向かいます。依然として山頂付近には断続的にガスがかかる天気が続いていますが、徐々にガスの切れる時間が長くなっているようです。御池周囲の登路を経て、 中岳と天狗ガ城の尾根にある毎度の定点へと向かいます。時折ガスが押し寄せ、中岳付近もガスに覆われる状態が続きます。尾根筋の定点から御池の向こうに望む久住山を撮影し、天狗ガ城へ向かいます。すでに9時を過ぎ、晴天であれば強い日差しが注ぐ時刻になっているのですが、幸いガスのかかる曇り空が日差しを遮ってくれたおかげで快適です。あまりの快適さに山頂付近で1時間あまり休憩し、気付けばすでに10時を過ぎています。
天狗ガ城を下り、久住分れから星生崎へ向かいます。避難小屋から星生崎登路脇には、ススキが穂を出し、ここでもすでに秋の気配が濃厚です。星生山頂付近でガスの合間に時折姿を見せる周囲の景色を楽しみながら昼食を摂り、1時間あまり休憩の後、大曲へと下りました。

【8月30・31日】晩夏の坊ガツルにて

【8月30日】
8月30日の九重連山は曇。14時前の長者原の気温は18℃。いよいよ九重連山にも秋が訪れようとしており、待ちに待った週末、夏の終わりを坊ガツルで満喫しようということで、天気には不安を感じつつも、予定どおり坊ガツルで野営を敢行することとなりました。
晴天であれば暑さを感じる登路も、曇っているので快適です。少々汗は流れますが、それも宴のための準備運動と思えば楽しいものです。すがもり越に着いた15時頃、三俣山西峰にはガスがかかり、時折ガスが薄くなるものの、西峰の上部は姿を現すことはありません。すがもり避難小屋の外壁で涼やかな風に吹かれながら1時間弱待機しましたが、ガスが晴れる気配はあるものの、これはもう一気に坊ガツルへ向かえという思し召しと判断して、北千里ガ浜へ下り、法華院山荘へと向かいました。
17時前に法華院山荘へ着き、まずは自販機で購入した500mLを一本流し込みます。30分あまり山荘外でガスが薄れ始めた大船山を望みつつ至福の一時を過ごした後、野営場へ向かいます。山荘にはNHK「新日本紀行ふたたび」の撮影スタッフが訪れているとのことで、10月4日放送予定の撮影が行われているとのことでした。
野営場にはすでに20張程度のテントが張られ、行く夏を惜しむかのように晩夏の坊ガツルを満喫するような賑やかさがあります。炊飯場で水を汲んで、いよいよ宴の開始です。暮れゆく三俣山を望みつつ至極の時を過ごし、テントに転がり込んでからは最近お気に入りの持参した自己ブレンドのワイルドターキー(バーボン)とブラックニッカ(ウイスキー)のブレンドウイスキーをおいしくいただき、至極のテントライフを満喫したのであります。

【8月31日】
8月31日、昨夜は毎度のことながら酩酊して寝てしまったわけで、何時頃だったのか全く記憶にないわけでありまして、不覚をとってしまいました。(苦笑)目覚めたのは4時で、時折テントを叩く雨音が聞こえています。テントの外は真っ暗で、ガスがかかっているようです。雨もガス雨のようです。ガス曇りのため、気温18℃と暖かな朝です。
朝駆けは断念し、うれしいような悲しいような朝寝を決め込んで再度シュラフに潜り込みます。いよいよ目覚めた5時30分過ぎ、周囲はぼんやりと明るくなっています。やはり濃いガスに覆われ、ガス雨が断続的に降っています。雨の中での撤収は久しぶりだな、と思いつつガス雨の止んだ隙に速攻で撤収して炊飯場でパッキングしようとしたのですが、ここもすでに団体さんに占拠されています。
避難小屋へ移動して、軒を借り朝食を済ませてからパッキングし直し、ガスの晴れるのを7時過ぎまで待ちましたが、その間2〜3分程度ガスが切れただけで、依然として濃いガスに覆われたままです。ガス雨の切れ間に法華院山荘へ移動し、さらに8時30分まで待機しましたが、一向にガスが晴れる気配もなく、断念して山を下ります。
すがもり越の気温は16℃、強烈な風が吹き、避難小屋の中をガスが吹き抜ける状態でしたので、そのまま大曲へと下ります。大曲帰着は10時で、依然として山頂付近にはガスがかかる天気が続きました。


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