2008年 冬

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2008年1月
【1月2日】鍋谷を染める夕陽

1月2日の九重連山は曇後晴。午前8時過ぎの牧ノ戸峠の気温は−7℃。大晦日から元旦にかけての寒波襲来で、大分県北部は元旦に朝は平地でも積雪しました。8時過ぎの牧ノ戸峠駐車場には、すでに多くの車が駐車してます。上空にはガスがかかり一抹の不安がよぎりますが、早々に装備を調えて入山です。駐車場でまめ。氏と会い、 まずは新年のご挨拶。その後沓掛山から扇ガ鼻分岐へとガスの中をのんびりと歩きました。登路の積雪はおおむね15cm程度です。10時を過ぎる頃から薄雲の中に太陽の輪郭も望めるようになり、10時30分前には急激に天気が回復。久住分れ発ち、御池・中岳方面への登路へ入ると先行者のトレースは細く、空池縁に出る前にそれも消えています。吹きだまりに捕まり腰上まで雪 に埋もれ苦戦する場所もありましたが、難なく御池に着きました。御池は完全氷結し、中央部を不安なく歩き、中岳へ向かうと先行者のトレースは途中で消えています。天狗ガ城と中岳の尾根にある定点から御池と中岳を撮影してから、天狗ガ城北斜面で膝上まである雪をラッセルし天狗ガ城山頂へ向かいます。星生崎から星生山へ向かうことにし、稜線を快適に歩き、雪の造形である雪紋(シュカブラ)を楽し みつつ山頂へ着きました。広がる雪景色を眺めていると、気づけばすでに15時を過ぎ、往路ではガスに覆われて撮影できなかった星生山や扇ガ鼻斜面を覆う霧氷を撮影しつつ、沓掛山下のカラマツ林付近で夕日に染まる星生山を眺めながら日没を待ちます。17時10分頃、地平線上を覆う雲間に太陽が沈むと間もなく、ガスが山頂付近を広く覆い始めました。

【1月5日】ガス焼けるすがもり越の朝

1月5日の九重連山は晴。午前6時前の長者原付近の気温は−1℃。厳冬期にも関わらず暖かな朝となりました。6時過ぎに大曲から入山し、雪に覆われた登路を淡々と歩きます。黎明に照らされた三俣山上空には徐々にガスが濃くかかり始めています。この日の出直前の山頂のガスというのが鬼門で、希にというか、運良くというか、たまたまというか、御来光山行が叶った場合でも、日の出の直前にガスで撃沈 という不幸な現実に遭遇することが多いのです。
徐々にガスがかかる山頂を眺めつつ、6時40分頃にはすがもり越に着き、避難小屋で風を避けて待機です。早速お湯を沸かし、朝食タイムを快適に過ごしていると、九重連山の一日の始まりを告げるように、東の空にかかるガスを染めながら日の出を迎えたようです。8時過ぎになって登山者が訪れるようになる頃、徐々にガスも薄れ始めた三俣山に取り付きます。依然ガスに覆われる西峰を経て4峰へ向かい、4峰の岩陰で風を 避けながら待っていると、9時30分を過ぎる頃にはすっかりガスも切れるようになりました。消えかかっていた南峰へのトレースをたどり、時折腰まで雪に埋もれながら南峰に取り付きます。南峰登路は圧雪し、ステップが付いて快適に歩けます。南峰山頂からは雪化粧した九重連山が一望できます。坊ガツルが見下ろせるお気に入りのテラスで小休止の後、本峰へ向かいます。10時30分を過ぎる頃から山頂へやって来る登山者が 急激に増え始めました。快晴の空の下、燦々と注ぐ冬の陽を浴びながら、11時30分頃まで賑わうすがもり越でくつろいで山を下りました。

【1月14日】中岳霧氷群の向こうに大船山を望む

1月14日の九重連山は曇のち晴。午前8時前の牧ノ戸峠の気温は−5℃。3連休最終日、休日出勤も重なり連休最終日にやっと出かけた九重連山は早朝から曇り空です。国民宿舎コスモス荘のそばで凍結した路面の絶妙の滑り具合を感じましたが、まだ路面に積雪はありません。8時前はまだガスが濃く、沓掛山に霧氷が確認できる程度で視界は開けません。
風もなく、ガスに覆われた登路では、路面を覆う霜柱にわずかに雪が重なり、これが融けるとやっかいな泥濘地になりそうです。9時30分前になって一気にガスが晴れ始め、星生崎上空には青空が広がり久住山も望めるようになり、避難小屋に着く頃にはすっかりガスも晴れて、上空には青空が広がります。
日当たりの良い場所は周囲の木々を覆う霧氷も繊細ですからすぐに融けそうで、大急ぎで御池へ向かい、中岳に駆け登ります。中岳東面を覆う霧氷群の向こうに坊ガツルを雲海が覆い、大船山が雲海に浮かぶように姿を現しています。絶景を堪能し登路が泥濘地と化すこと前に、大急ぎで中岳を下り、尾根筋の定点で御池を撮影してから天狗ガ城へ向かい、すでにぬかるんでしまった登路に苦闘しながら山を下りました。

【1月19日】坊ガツルから望む朝の中岳方面

1月19日の九重連山は晴。午前7時前の飯田高原の気温は−5℃。薄明で明るく、ヘッドランプも不要になった7時過ぎに吉部から入山。登路にはうっすらと積雪もあり、雪明かりというのか森の中に入っても十分に明るく歩きやすい状態です。7時15分を過ぎ、間もなく日の出の時刻を迎える頃になると一気に明るくなります。大船山の陰になる坊ガツルにはやっと朝日が注ぎ始めたばかりで、坊ガツルを蛇行する鳴子川の川面に朝日を浴びた山々が映ります。8時頃の気温は−5℃で、それなりに冷えてはいますが、晴天であることを考慮すれば放射冷却でもっと冷え込んでも良いような気もします。
炊飯場で小休止の後、大船山登路へ。積雪もわずかで、無雪期と変わらない歩きやすさです。大船山頂付近は霧氷で真っ白になっており、段原付近から望む山頂方面は、晴天に恵まれ、燦々と注ぐ冬の陽に輝き圧巻の美しさです。山頂付近の霧氷は北斜面のみで、南斜面にはほとんど付着していません。
御池と山頂付近で1時間あまりのんびりと休憩し、11時頃に山頂を発ち、坊ガツルに駆け下ります。微風の坊ガツルで、暖かな冬の陽を浴びながら、のんびりとランチタイムを楽しみ、吉部への復路、葉を落としている木々の枝先に望む上空には徐々に雲も広がり始めてはいましたが、おおむね晴天に恵まれ山行を満喫できました。

2008年2月

【2月1日】厳冬の中岳と大船山・星生山から望む久住山

2月1日の九重連山は晴。午前9時過ぎの牧ノ戸峠の気温は−6℃。この冬も、近年暖冬傾向が続き、一定の降水量はあるのだが、気温が高く雪にならずに雨が降ることが多いのだということでありまして、この冬後半にかけて雪景色に会えるのかどうか気になるところです。長者原付近に全く積雪はなく、大曲付近から路肩に積雪が見られるようになり、牧ノ戸峠駐車場にはしっかり雪があります。
沓掛山登路も圧雪し、どうやら一定の高度からは雪が降っているようです。10時前に雪を踏みしめて入山しました。燦々と注ぐ冬の陽は暖かく、ほぼ無風という状態では、暑くなってきます。沓掛山からは徐々に雪も深くなり、登路脇で15cm程度はありそうな程です。西千里ガ浜のケルンもすっかり雪に隠れ、星生崎付近の霧氷群の上には真っ青な空が広がり、思わずほくそ笑む絶好の冬山行日和です。
久住分かれ付近もすっかり雪景色で、真っ白くなった久住山も一際大きく見えます。中岳下の御池に着くと、ここも一面の雪景色で、御池中央部にトレースが着いています。積雪は15cm程度と厳冬期にしては少なめですが、すっかり厳冬の装いとなった御池周辺の
景色にただ感激です。御池を渡り、のんびりと中岳へ向かい、天狗ガ城との尾根で登山客とご挨拶。さすがに久住山周辺は平日でも登山客が絶えません。
中岳山頂で周囲の景色を眺めながらのんびりと昼食を楽しんでいると、顔をマフラーで覆いサングラスをかけ耳を覆う帽子を着用した女性がやってきました。この雪景色ですから、当然雪焼けは避けられず、特にご婦人は日焼け防止のため重装備の方が多いだけに、大変だな〜、などと思ったところ、マフラーをはずしてくつろいでいたのは、なんとアクティブレンジャーのヒロエちゃんです。ザックには指導員の腕章が着い ていましたから、良く見れば気づきそうなものですが・・。(苦笑)しばし情報交換の後、私は先行することにして天狗ガ城へ向かいます。
わずかに雲は多くなったものの午後も晴天が続いています。このまま下るのももったいないわけで、これまたいつもの星生山へ向かいます。星生崎から山頂への稜線では、所々に50cm程度の雪の吹きだまりもありますが、先行者のトレースがあり楽に歩けます。星生山頂で絶景を楽しんだ後、西千里ガ浜へ下り、冬の晴天を楽しみながらゆっくりと山を下りました。
沓掛山下付近で、何やら見覚えのある2人がお話中。ヒロエちゃんとMatsuzaki氏であります。平日山行で、誰も知り合いはいないだろうと予想していただけに、思わぬ展開にビックリ。しばし情報交換の後に、牧ノ戸峠へと帰着しました。
予想外の晴天に感謝、平日にお休みをいただけたことに感謝、そして何より雄大な九重連山の景観に限りない感謝の一日でありました。晴天の山行でしっかり雪焼けして、入浴時にお湯で顔を洗うとヒリヒリ。鏡を覗くと、雪焼けの赤ら顔に加え、額には帽子で焼けなかった筋が付いた哀れな顔が写っていたのは言うまでもありません。(笑)

【2月3日】雪が覆う坊ガツル木道

2月3日の九重連山は曇。午前10時頃の長者原付近の気温は−1℃。2月2日から続く平地の雨は、九重連山では雪となっているようです。自宅付近は全く積雪はありませんでしたが、中津市耶馬溪町から玖珠町へ抜ける深耶馬溪付近から道路の積雪も増え、九重町役場から飯田高原へと向かう道は、湿った雪で車体の底を擦るほどの深い轍ができている場所もありました。ノロノロ運転の 車を先頭にした長い列にもまれながら、自宅から3時間あまりかかって、やっと長者原へ着いたのはすでに10時前です。
タデ原木道には先行者の足跡が残り、見上げる三俣山はガスに覆われています。かろうじて指山が望めるかな、と思う間もなくガスが切れて、真っ白になった三俣山が望めたりします。雲間から差す日に照らされ、頭上からの落雪の洗礼を受けながら、雨ガ池へ向かいます。徐々に日も陰り、雨ガ池に着く頃には見上げる三俣山にも完全にガスがかかり、すっかり曇り空になっています。雨ガ池は積雪20cm程で、 木道もほとんど雪に埋もれています。時折頭上から落ちる雪を浴びながら坊ガツルへと下ります。
正午過ぎからは小雪も舞い始めましたので、避難小屋へ向かいます。しかしながら、避難小屋は10名ほどの先客で満杯です。軒先で雪を避けて坊ガツルを眺めていると、やがて先客は退散し、今度は貸し切りの避難小屋は閑散として寂しいばかり。(笑)
昼食を終えた13時過ぎには、雨ガ池方面もガスに霞み始め、三俣山山頂は完全にガスに隠れて見えなくなっています。舞い降りる雪が、薄く積もり始める中、再び雨ガ池を経て、長者原へと下りました。

【2月9日】早朝の氷の祭典準備・雪に煙るすがもり越

2月9日の九重連山は曇。午前7時前の長者原付近の気温は−3℃。3連休は九重氷の祭典が開催されます。幸いなことに、今年は長者原周辺も先日来の雪で冬の装いとなり、加えて周辺の道路は県道11号別府-阿蘇・一ノ宮線(通称やまなみハイウェイ)にも、気合いを入れて融雪剤を散布したためか、完全な圧雪路にはなっていません。
長者原に着いた7時前、薄明かりの空からは粉雪が降り、徐々に明るくなり、うっすらと望めるようになった三俣山山頂もガスに隠れています。こんな天気ですから、あわてて入山する必要もなく、徹夜で作業をしたのでしょうか、まだライトが灯り最後の準備に余念のない氷の祭典の会場で、「お疲れ様で〜す」と気持ちだけで慰労であります。
7時30分前に大曲へ移動し、相変わらず山頂付近にはガスがかかる中を入山し、すがもり越へと向かいます。先週来の雪の上に、新たに降った雪が積もり、トレースが消えかけている場所が多く、慎重にルートを探りながら歩きます。わずかに残る先行者のトレースの痕跡を見落とすと、膝上まで埋もれる場所もあります。曇り空の下で真っ白な雪原の景色は、わずかにガスがかかっていることも災いし、コントラストがきわめ て低く、カメラのオートフォーカスすら正常に動作しないほどのっぺりしています。肉眼でもどこが岩なんだかトレースの痕跡なんだか、非常に分かりづらい状態なのです。
以前降った雪が平均20cm程度残り、その上に新雪が5cm程度積もった登路にトレースの痕跡を探しつつ、すがもり越着。気温−5℃で、ほぼ無風。すがもり越から見上げる三俣山西峰斜面はガスで完全に隠れています。ガスが薄くなることに期待し、避難小屋で小休止 です。ガスが晴れなければ、このまま三俣山頂へ向かっても、新雪の積もる登路をガスに巻かれて歩くだけになりそうです。この気温ですから立ち止 まっていると急激に寒く感じ始めますので、一向に晴れる気配のないガスを避けて坊ガツル方面へ向かうことに決定です。北千里ガ浜れから法華院温泉山荘へと下るルートは、トレースが消えかかっている場所もありましたが、おおむね良好でステップの付いた登路は、無雪期よりも歩きやすいほどでした。
山荘へ下った9時30分前、再び雪が舞い始め、早速先週に続いて、坊ガツル野営場の様子見に向かいます。野営場にはすでにテントが1張り。帰路も野営装備を担いだ登山客何組かとすれ違いましたので、今夜の坊ガツルは冬の野営を楽しむ登山客で賑わうことになりそうです。徐々に登山客が増え始めた10時前、坊ガツルを発ち、法華院温泉山荘を経由して北千里ガ浜へ向かいます。降り続く雪が 再び積雪 し、往路の足跡が消えている場所も一部ある中、北千里ガ浜へ着くと、相変わらず降り続ける雪とガスに覆われ、視界は2mもなく完全にホワイトアウトです。こんな天気の日は、土地勘のない人が入山するのは、自重した方が賢明です。しかしながら、最後は自己責任ですからね。「やめろ」といわれると行きたくなるというのが人情でありまして、天の邪鬼(あまのじゃく)なあなたには、「雪やガスに負けちゃーいけませんよ。天気?そんなの関係ね〜!どんどん入山して、ばりばり道に迷って、厳しい冬の九重連山の過酷な自然を思う存分楽 しんでください!それが醍醐味ちゅうもんですわ。」と胸を張ってお勧めしておきます。(笑)

【2月11日】すがもり越の朝

2月11日の九重連山は晴のち曇。午前6時頃の長者原付近の気温は−5℃。3連休最終日、予報では晴れの天気であります。2日前、ガスに巻かれホワイトアウトの山行となったわけで、そのリベンジということで、再び九重連山へと向かいます。
6時30分に大曲から入山。2月を迎え、日の出の時刻も徐々に早くなり、すでにヘッドランプも不要なほど明るくなって、2日前のガスに巻かれた山行がウソのように晴れた空は、徐々に日の出が近づき焼けていきます。わずかに染まる硫黄山の噴煙を望みつつ、7時前にすがもり越着。すでに東の空からは薄日が漏れ、荘厳な九重連山の朝の儀式が始まっています。明け行くすがもり越の景色を堪能した後、避難小屋 で風を避けて、これまた荘厳な朝の儀式ともいうべき朝食であります。
8時過ぎに三俣山西峰へ取り付きます。すがもり越から西峰山頂までの標高差はわずかでしょうが、西峰山頂が近づくにつれ徐々に雪が深くなり、山頂付近では50cmを越える積雪があります。先週からの積雪は、山頂付近では雪を降らせ、麓では雨から雪になったようで、標高の高い場所ほど積雪が多くなっているようです。
西峰から本峰へ向かう登路も積雪は50cmをはるかに超え、トレースが付いていればこそ楽に歩けるわけで、新雪をラッセルしながら歩いた先達に限りない感謝であります。無雪期よりも楽なほど簡単に本峰山頂を経て南峰に着きました。南峰山頂も雪に覆われています。坊ガツルを見下ろすお気に入りのテラスに向かうべく、トレースのない雪原に踏み込むと腰まで雪に埋もれて悪戦苦闘。今回の山行で、最大の難所 だったのは実はこの山頂からのルートでありました。山頂付近に降り積もった雪は、地面を覆う笹の上に積もっていて、積雪している部分を踏み抜くと下は空洞になっています。登路は、さらに周囲よりも低くなっていることが多く、吹きだまりのようになっているわけで、平坦な場所以上に積雪が多いのです。
毎度のテラスから望む坊ガツルには、テントが設営されているのが分かります。さすがに連休最終日とあって、9時を過ぎて次々に撤収して行きます。南峰山頂へ戻った頃には、すでに時刻は9時30分を過ぎ、?峰や本峰付近にも次々に登山客が訪れるようになりました。上空にかかる雲のため、久住山方面や大船山方面が陰になり始めた中、西峰を経てすがもり越へ下ります。
10時を過ぎ、すがもり避難小屋も多くの登山客が休憩中です。一段と雲が広がる中、11時頃に大曲へと帰着し、早々に帰路に着きました。

【2月16日】氷結する暮雨の滝・法華院山荘から大船山を望む

2月16日の九重連山は曇のち晴。午前6時過ぎの飯田高原の気温は−5℃。粉雪が舞い始め、薄明かりに望めるようになった三俣山頂付近もガスに覆われています。2月15日の地元紙に掲載されていた暮雨の滝がほぼ氷結しているという記事を検証すべく、吉部へと向かいます。
ヘッドランプも不要になった6時30分過ぎに入山。吉部から、鳴子川西岸を左手に鳴子川の瀬音を聞きながら 坊ガツルへ向かう登路の積雪は20cm程度。先行者の足跡は雪で消えていましたが、新雪がわずかに積もるものの、新聞報道を読んで暮雨の滝へ見物に向かった人も多かったと見えて、トレースはしっかり残っていて全く苦労なく歩けます。薄暗い森の中に伸びる登路を抜け、すっかり明るくなった中をのんびり歩き、暮雨の滝着。
確かに滝そのものはかなりの凍り具合です。しかしながら、記事を軽く読み流すと、実際は「滝は(中略)、右岸側は水が流れているものの、ほとんどの部分で滝の上から滝つぼまでが、つららで結ばれた。」とあるので、滝つぼまで完全に凍っているとはどこにも書いていないのです。毎年撮影に訪れているという方の「これだけ凍るのは7年ぶり。」に、ついつい安直な私は完全氷結した暮雨の滝を想像してしまったわけで あります。山行記録ダイジェスト版2004年1月24日 の滝つぼの半分以上が氷結した画像を掲載していますが、この時の方が凍っていたような気もします。
氷結した暮雨の滝に着き、滝をのんびりと眺めて1時間あまり経過した8時30分頃、後続の登山客がやってきました。撮影場所を譲り、坊ガツルへと発ちます。森を抜け坊ガツル北端にに出ても、相変わらず粉雪が舞い、見上げる山頂にはガスがかかっています。さすがに空腹になったので、法華院山荘へ向かい、談話室を借りて遅めの朝食です。10時前に急激にガスが晴れ始め、大船山頂が望めるようになりました。上空には依然雲が多めとはいえ、雪が舞う朝の天気が信じられないほどの好天です。予想外の展開になり、朝食もそこそこに、大急ぎで大船山へ向かいます。
積雪期の大船山では山頂直下の吹きだまりとなる部分の積雪深が気になるわけです。今日は、先行者が4人いるようなので、ラッセルで苦労することなく山頂に立てるだろうと思っていると、5合目下で還暦をはるかに過ぎた感のある実にゆっくりしたペースの2人組を追い抜いてしまいました。残るステップから推測するに、この先に先行者は2人であります。万が一追いついた場合には、トレースの消えた登路を先頭になってラッセルするのは少々気が重いわけであります。(笑)やはりそこは、美しき日本人の感性というか文化というか、謙譲の美徳ということで先を譲り、そのトレースをちゃっかりお借りするということが良いのかな〜、などとあらぬ思いを巡らせていたところ、段原から望む山頂下を登っていく先行者を確認して一安心。
段原から山頂までの登路は、例によって吹きだまりとなり、膝上まで新雪が積もる場所があります。しかし、雪質はかなり水分の多いもので、急傾斜の登路でもしっかりとキックステップが効きます。先行者が付けたトレースをたどり、難なく山頂に着きました。晴天の空の下、山頂から望む雪景色の九重連山は神々しいばかりの絶景であります。吹き抜ける風は、頬や耳が痛くなるほど冷たく、ジャケットのフードをすっぽり被り、ひたすら美しい山頂からの景色を堪能しました。

【2月23日】晩冬の中岳

2月23日の九重連山は曇のち晴。午前9時頃の長者原の気温は2℃。長者原へ着いた9時頃、依然山頂付近にはガスがかかるものの、予報どおり天候は回復傾向と見えて上空を覆う雲も徐々に切れ間が出ているようです。
9時30分過ぎに牧ノ戸峠から入山、沓掛山登路は圧雪した雪に覆われてはいるものの、雪は適度に柔らかくアイゼンがなくても歩けました。扇ガ鼻分岐へ着く頃に急激にガスが晴れ始め、上空には青空が広がりました。西千里ガ浜は30cmを超える積雪があり、適度に圧雪しています。
久住分れの避難小屋付近から久住分れを経て御池へ向かう登路には圧雪した雪が残り、適度に柔らかい雪に覆われた登路は平坦で、無雪期よりも歩きやすいほどです。圧雪した登路を快適に歩き御池に着くと、そこには一面の雪原が広がり、ここが池であることが信じられないほどです。2月下旬になってもこの程度の雪が残っていることは珍しく、やはり今年は山頂付近の積雪は多かったようです。
中岳と天狗ガ城の尾根に着くと、中岳山頂にはすでに数名の登山客がいます。さらに中岳を登っていく登山客が続いており、山頂付近は混雑しそうな雰囲気です。毎度の定点に移動すると、その先の天狗ガ城方面のトレースはきれいに消え、雪の深い天狗ガ城北斜面が、おいでおいでと手招きをしているようです。誘いにのって天狗ガ城へ向かうと、やはり北斜面では樹木の上に積もった空洞を踏み抜き、胸元まで雪に埋もれてしまいました。接地面積を増やすべく四足歩行で泳ぐようにして斜面を抜け、雪面にキックを打ち込みながら天狗ガ城山頂へ向かいます。山頂には足跡もなく、本日最初の訪問者であったようです。
山頂付近は、直立することが困難なほどの強烈な風が吹いています。ジャケットのフードを被り風を避けても、フリースの手袋では手の感覚がなくなり痛みを感じるほどで、グラブカバーを着用しました。山頂付近で周囲の景色を撮影し、やはり長居は無用とばかりに山頂を下ることにしました。

2007年12月

【12月6日】氷結する御池

12月6日の九重連山は雪。午前7時頃の牧ノ戸峠の気温は−7℃。例によって昨夜の余韻が残り遅めに自宅を発つことになりますが、終日雪マークの予報なのであわてることもありません。それでも平日の出勤時より1時間ほど早く6時過ぎに玖珠町を過ぎ、九重町町田付近からはわずかながらも圧雪路となり、久しぶりの雪道の感触を感じながら快適なスノードライブです。
沓掛山登路は絶妙の凍り具合で、薄雪の下は氷で滑ります。体も寒さに慣れていなければ、思考の方も少々準備不足と言うことで、簡易アイゼンが必要な季節になっていることも完全に想定外というお粗末。沓掛山からは微妙にガスも出てきて、粉雪が舞う天気です。耳が痛くなる寒さでパーカーのフードを被り、フリースの手袋とグラブカバーを着用しても手がかじかみそうになります。牧ノ戸峠にツアーバスが駐車していましたので、先行の団体客が入山しているはずで、登路にはトレースが残りますが、それもうっすらと雪に覆われて消えそうになっています。淡々と歩いて西千里浜へ。星生崎下付近にかけて行われていた登山道の整備作業も終了したのか、設置されていた資材置き場も撤去されています。久住分れの久住山避難小屋前は氷結しており氷に覆われてツルツル!思わぬトラップに危うく滑って転倒しそうになりました。(苦笑)
2週間前に完全氷結していた御池湖面は、一部が波打っており再び解氷していたようです。湖岸を迂回し凍てつく池の小屋を恨めしく眺めつつ、小屋の陰でしばし風を避け待機。厳冬期には池の小屋が使えると本当に有り難いもので、是非とも整備をお願いしたいところであります。
中岳と天狗ガ城の尾根に出てしばしガスが切れるのを待ちますが、一向に切れる気配もなく毎度の御池と久住山の定点撮影は断念。ちょうど先行していた40名近い団体が久住山を経由してから中岳方面へやってきたところで、ガスの中を中岳へ向かっていきます。しばらく尾根筋で待機していたので足先や指先が痛くなり始め、天狗ガ城を経由して久住分れへ戻ります。避難小屋で小休止してから山を下りました。

【12月13日】明け行くすがもり越

12月13日の九重連山は晴のち曇。午前6時過ぎの飯田高原の気温は−3℃。先週の第2波の寒波が去ってからは、比較的暖かな日が続いています。13日も冬にしては暖かな朝となり、大曲付近は0℃でした。黎明の空は明るくなり、かろうじてヘッドランプも不要になった大曲から6:30頃に入山。登路脇の水たまりは完全に凍結し、霜柱が覆う登路を淡々と歩きます。暖かといえども、冬の九重連山はさすがに平地とは異なる冷え込みです。登路から望む上空は薄雲が朝日に染まり、やがて星生山や三俣山、遠く涌蓋山の山頂付近に朝日が注ぎ始めました。荘厳な朝の儀式は粛々と挙行されるわけですが、すがもり越で風に吹かれつつ三脚を立てて撮影のためにじっとしていると、さすがにしんしんと冷えてきます。暖かといえども冬の朝は寒さもまたひとしお、ということで、風を避けすがもり避難小屋の外壁に隠れます。
三俣山西峰が朝日に染まり、徐々に日が照らす場所がすがもり越へと下って来るものの、三俣山頂より200m近く高度の低い場所なので、山陰から太陽が現れたのは7:40分頃です。1時間弱すがもり越で過ごし、三俣山西峰へ取り付き、再び淡々と山頂へ向かいます。凍てつく西峰を経て本峰へ向かう途中、4峰から呼び声が!(笑)よく目を凝らすと「九重の四季」の木下氏であります。しばし情報交換後の8:30頃、急激にガスが涌き始め、一気に山頂付近にも押し寄せるようになりました。雪が残り凍てつく登路を慎重に歩き、南峰山頂へ向かいます。閑散とした山頂は冷たい風が吹きます。坊ガツルを見下ろすお気に入りのテラスに移動し小休止。徐々に押し寄せるガスの合間に、久住高原に注ぐ天使のはしごは見放題。快晴とはいわないまでも、今日もまた自然の造形に感謝した後、すっかりガスに覆われた山頂を下りました。

【12月20日】明け行く九重連山(Part.1)

12月20日の九重連山は晴。午前6時前の牧ノ戸峠の気温は1℃。さすがに冬の九重連山だけあって、ヘッドランプを灯して入山した6時前の沓掛山登路で早速試練を受けることになります。先週の平地の雨が九重連山では雪となり、融けた雪が凍結して沓掛山登路は極端に滑りやすい状態です。よもやこれほど凍結していようとは思いもせず、簡易アイゼンを持参していなかったため慎重に登りました。これがそもそもの誤算の始まりであります。
日の出は7時10分前後ですから、6時前に牧ノ戸峠から取り付いても、少々急げば星生山頂でかろうじて黎明のグラデーションは鑑賞でき、御来光は余裕で迎えられるはずだったのですが、沓掛山頂まで30分を要してしまい、その後はかなり焦りつつ急いだのであります。黎明に浮かぶ久住山のシルエットも横目で見つつパスして、まずは御来光に間に合うよう山頂へ向かいます。毎度のことながら、急ぐときはいやおうなく年齢を実感するもので、気持ちは若い頃のままでチョロいつもりでいるのですが、体の方は全然チョロくなくて、かろうじて日の出の直前に星生山頂に到着。さすがに風の吹き抜ける山頂は寒く、まずはしっかり着込んで準備万端。
すでに稲星山と天狗ガ城の向こうに望む地平線を覆う霞の上は日の出の直前の明るさで、すぐに荘厳な朝の儀式が始まります。涌蓋山付近には九重連山の影が伸び、徐々に山肌に朝日が差し始めていきます。扇ガ鼻の向こうには阿蘇山系が望め、明け行く星生山頂でしばし太陽の演出する冬の朝の光景を楽しみました。
ショータイムを楽しんだ後に、山頂下の岩陰で風を避け朝食を摂っていると稜線をガスが吹き上げてきます。不思議に思い山頂へ登ると、なんと阿蘇方面から涌蓋山方面は濃いガスの中で、今にもガスの固まりが星生山頂へ押し寄せて来そうな勢いです。この展開は先週と同じなのですが、先ほどまで晴天でガスのかけらもなかったのに、わずか10分少々でガスに覆われようとしているとはさすがに驚きです。日の出後のわずかな気温の変化のなせる業なのかもしれませんが、全く山の天気は予想を超える展開を見せます。
早々に山頂を発ち、ガスが吹き上げてくる稜線を星生崎へと向かいます。星生崎では少々お粗末ではありますがブロッケンも出現。ガスに覆われた登路を淡々と歩いて久住分れを過ぎ、天狗ガ城へ向かう頃には一時ガスも薄れました。御池でまめ。氏とぴろ氏とハナに会いしばし歓談。完全氷結した御池湖岸を経て中岳との尾根に出たところで、天狗ガ城に朝駆け後に中岳でガスの様子を撮影していたというbocci氏にも会いご挨拶。毎度の定点から、御池とガスに隠れる久住山を撮影した後、一気にガスが巻き始めた山を下りました。

【12月27日】明け行く九重連山(Part.2)

12月27日の九重連山は晴。午前5時過ぎの牧ノ戸峠の気温は−5℃。極端な冷え込みはないものの、凛とした冬の朝を迎え、気も引き締まる思いです。冬至前後は日の出の時刻が遅く、比較的楽に御来光に間に合うように山頂に立てる絶好機ですからこの期を逃すのは実にもったいない。欲をいえば、もう少し積雪があれば申し分ないのですが、そこまで自然は用意周到に条件整備はしてくれません。(笑)
入山したのはすでに5時50分前です。沓掛山登路は凍結していますが先週より条件は良く、登路に残る雪も全体的に少なめです。ヘッドランプに照らされた登路を淡々と歩き、牧ノ戸峠から駆け登って1時間余り、強めの風が吹き抜ける山頂で、淡々と明け行く九重連山を堪能しました。東雲の空は薄い雲が覆い見事な焼け具合です。天狗ガ城や中岳上空は炎上し、紅に染まる空は先週とは比べものにならない濃い朱色に染まる感動の光景です。すっかり明るくなった山頂で小休止してから稜線を星生崎に向かいます。雨氷に近い着氷した木々が風にあおられて揺れ、ガラスの触れ合うような音を立てています。
久住分れを経て御池付近に着き、一部が解氷した御池を迂回し、中岳と天狗ガ城の尾根の定点から御池と久住山を撮影。天狗ガ城山頂下の南斜面で風を避け、氷結した眼下の御池の向こうに広がる稲星山、さらに祖母・傾山系を遠くに望む絶景を肴に、遅めの朝食を兼ねてのんびりと休憩しました。牧ノ戸峠から久住山へのルートは、毎度のことではありますが9時を過ぎると久住山へ向かう登山客が一気に増え始めます。星生崎下を避難小屋前へと下って来る登山客が徐々に増え始めたのを確認し、凍てついていた登路がゆっくりと融け始め泥濘地と化す前に山を下りました。


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