2009年 秋

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2009年9月

【9月5日】初秋の御池

9月5日の九重連山は晴のち曇。6時過ぎの牧ノ戸峠の気温は16℃。6時過ぎの牧ノ戸峠駐車場にはすでに多くの車が駐車しており、秋の大型連休も待たれる行楽シーズンの走りということで、多くの登山客が押し寄せています。6時30分頃に入山。沓掛山を越えると、登路脇にススキが穂を出しすっかり秋の気配が漂います。風も盛夏の頃とは異なる涼しさで、秋の訪れを実感します。
三俣山山頂付近にガスがかかり、星生山から久住山方面にも時折ガスが押し寄せて来ます。今年が特異な天気ということでもなく、朝の山の天気は刻々と変化するもので、ガスはすぐに晴れ再び押し寄せる状態が続きます。
ガスが押し寄せてはまた晴れる中、再び濃いガスに覆われた御池着。湖面をガスが覆い、ガスの中から人の声が聞こえて来るのですが姿は見えず、幻想的な光景が広がります。御池の水位はわずかに減少したようで、湖岸の岩が少しばかり姿を現しています。今年は9月になっても依然として水位が高く、夏の雨量が多かったことを示しているようです。
中岳と天狗ガ城の尾根にある岩場の上から、ガスの切れ間を待って御池と久住山の定点撮影。依然としてガスが断続的に押し寄せては晴れる天気が続く中、涼やかな風が吹き渡る中岳山頂でしばし至福の時を過ごしました。周囲の景色は盛夏の頃とは微妙に異なる色合いで、緑も気のせいかうっすらと色褪せ始めてきています。10時過ぎに中岳山頂を発ち、天狗ガ城を経て山を下りました。

【9月14日】マツムシソウ

9月14日の九重連山は晴時々曇。8時過ぎの牧ノ戸峠の気温は14℃。今回も超お手軽な中岳までの往復として、8時30分過ぎに牧ノ戸峠から入山しました。
今回は久々に帰省中の長男を連れて親子山行。長期の休みの度にバックパッカーもどきの海外旅行を続けており、今回も韓国から帰国したばかりであります。外国ということで心配ではありますが、学生とはいえすでに成人した大人が自らの意志で行動していることですし、実際心配しても何もできないというのが現実でありまして、何だかな〜。(苦笑)
沓掛山山頂で久々にオアシス氏に会いご挨拶。近況報告もそこそこに先を急ぐと、沓掛山下でこちらも久々の木下氏に会いました。現役を引退されて以降、平日山行が中心になっているようでしばらく会えていませんでしたが、ますますのご活躍の様子はサイトで拝見していたところで、敬服の限りであります。
ススキが涼風に揺れる登路を淡々と歩き、久住分れから御池へ向かいます。上空を時折雲が覆い適度に日を遮ってくれるので、暑すぎず快適です。この夏はいつになく水量が多かった御池も、ずいぶんと水位を下げています。中岳山頂付近では羽アリが大量に発生していて、体中に群がってきます。おびただしい数の羽アリに閉口して、そそくさと中岳を下り天狗ガ城へ向かいますが、こちらでも羽アリに襲撃されてあえなく退散。御池湖岸で早めの昼食を摂り休憩した後、13時過ぎに牧ノ戸峠へ帰着しました。

【9月19日】大船山頂から望む初秋の段原

9月19日の九重連山は晴。6時過ぎの牧ノ戸峠の気温は11℃。午前4時頃、長者原から望むと上空にはガスがかかり星も望めません。竹田市久住町側からの登路は、飯田高原から30分以上アプローチが長くなりますが、単純に大船山頂に立つことが目的であれば、やはりアドバンテージがあります。
7時30分に入山。牛糞の点在するセメント舗装の有氏牧野道をガラン台から入山公墓を経て鳥居窪に向かいます。入山公墓付近には怪しげなトリカブトも咲き、ここでも秋の花は紫色が多いことを実感します。鳥居窪付近にかけての日当たりの良い場所にはマツムシソウも咲いていて、涼やかな風が吹く登路は快適そのものです。
鳥居窪は呼び名のとおり鳥居があったのではないかと推測されますが、登路脇の木立の下に鳥居の上部の笠木?と思われるほぞ穴のある加工石が残っているのみです。いにしえの景観に思いをはせつつ、ナナカマドの真っ赤な果実が目を引く鳥居窪を後にし、山頂へ向かい9時30分に山頂着。岩陰で風を避け、眼下の景色を堪能しつつ大休止。10時を過ぎると、坊ガツルの端々から煙が昇り始めます。2週間前の輪地霧の場所に火入れをして防火帯を作る輪地焼きの作業が始まったようです。10時頃からは山頂を訪れる登山客も増え始め、11時前にはそこそこに賑わうようになりました。11時過ぎに山頂を発ち、往路と逆ルートで山を下りました。

【9月21日】すがもり越の朝

9月21日の九重連山は晴時々曇。午前6時頃の飯田高原の気温は10℃。すでに19日に日帰り山行を決行した直後でもあり、再び野営装備を担いで坊ガツルへ向かう気力は・・・・残念ながらありません。(苦笑)
大曲の気温は12℃で、朝から多くの登山客が訪れており、駐車スペースはすでに満車です。装備を確認し6時過ぎに入山、すがもり越で朝駆けを終えて三俣山を下ってきた登山客に会いお話を聞けば、ガスがかかり御来光は・・・残念だったということです。朝露が深そうなので、雨具を着用し西峰に取り付きます。西峰まではほとんど濡れることなく歩けましたが、西峰から本峰まではしっとりと湿る程度に朝露の洗礼を受けます。
本峰付近で一時すっかりガスに覆われる状態になりましたが、南峰に着く8時前には晴れてきました。今年も南峰山頂付近はおびただしい数のリンドウのつぼみが見られ、リンドウに関しては火災の影響は感じられません。坊ガツルを見下ろすテラスに移動すると、野営場付近には5月のGWや山開きの日を彷彿とさせる一大テント村が出現しています。20日の予定のキャンセルがもう一日早く分かっていれば、今頃あの驚愕の賑わいの只中に身を任せていたのかと思うにつけても、はなはだ残念至極という他はないのであります。(涙)
9時を過ぎると南峰にも次々に登山客が訪れるようになります。これ以上長居をしていては、押し寄せる登山客に巻かれてしまいそうですから、そろそろ山を下る時間が訪れたようです。増え始めた登山客と逆行し、?峰から西峰を経由してすがもり越へ向かいます。10時過ぎの北千里ガ浜には、押し寄せる団体さんの列が連なり、シルバーウィークの九重連山は予想どおりの驚愕の賑わいを見せたのであります。

【9月26日】明け行く九重連山(星生山にて)

9月26日の九重連山は晴。4時頃の牧ノ戸峠の気温は13℃。満天の星空が広がり、装備を確認し、4時30分頃に牧ノ戸峠から入山しました。この時刻から御来光に間に合うとなると、星生山か扇ヶ鼻あたりになりますので、迷うことなく星生山に向かいます。
沓掛山から西千里ガ浜までゆっくり歩きすぎて、西千里から星生山取り付いたのはすでに5時30分になろうとしています。黎明のグラデーションが徐々に薄れ、日の出の時刻が刻々と近づく中を西千里から山頂まで駆け登り、5時40分過ぎに星生山頂着。ともかく朝駆けに関しては、諸兄らのように闊達に足取りも軽くというわけには行かないわけであります。原因は今更説明する必要もないほど明確なわけですが、やはり御来光を鑑賞する場所に関する選択肢がないというのは寂しいので、もう少し余裕のある朝駆けがしたいものです。実現できそうにないので、あくまでもこれは希望です。(苦笑)
昇る太陽がそんな思いを知る由もなく、荘厳な朝の儀式は粛々と進みます。6時5分頃、大船山の南側の東の地平線を覆う厚い霞の上に太陽が姿を現し、その後周囲は一気に明るくなります。長引いた梅雨のため7月の野営もままならず、早朝に現地入りしていてもガスに巻かれて撃沈という状況が続いていただけに、何だかうれしい秋の朝です。刻々と変化していく斜光線が描く山々の陰影を楽しみつつ朝食を兼ねての大休止。
限りなく霞みも少ない朝を迎えていたのですが、7時頃に長者原方面から一気にガスが押し寄せて周囲の山を飲み込んでいきます。あっという間に星生山もガスに覆われてしまうほどです。この状態が1時間前に発生していれば、今日の御来光鑑賞も撃沈ということになっていたのでしょう。微妙な気温の差から生じたものでしょうが、この不思議な自然現象には、全く驚くばかりです。ガスは30分ほどで晴れ始め、8時前には再び秋の晴天の空が広がりました。
8時過ぎに星生山を発ち、星生崎を経て御池に向かう頃にはガスの痕跡もない秋空から燦々と秋の陽が注ぐようになります。御池を迂回し、中岳と天狗ガ城の尾根筋のテーブル岩から、毎度の御池と久住山の定点撮影を済ませて小休止。その後天狗ガ城を経て、山を下ります。9時を過ぎると押し寄せ始めろ登山客と逆行するため、あいさつ攻撃を巧みにかわし、10時頃に牧ノ戸峠に帰着しました。

−13周年のごあいさつ−
おかげさまでWebサイトも13周年を迎え、飽きもせずお付き合いいただいた皆様に、限りない感謝です。そして、九重連山を撮り始めて早くも20年を超えました。よく続いたものだと我ながら感心するやらあきれるやら。
多くの人と九重連山で出会い、いつしか会えなくなった人も数知れません。遠方に転勤してしまった人、そして九重連山をステップに本格的に山を始めた人、他のフィールドに移っていた人もたくさんいました。他にやるべきことを見つけて、そこへ移ってくことは結構なことだと思います。私は次のステップを見つけられず飽きずに九重連山を撮り続けています。
自分自身、このまま撮影を続けて行くのか、突然止めてしまうのかも明言できません。しかしながら、結果的にステップアップできずに、今のフィールドを撮り続けて行くのかと、最近少し弱気にもなったり寂しく思うことがあります。しかし、それはそれで良いのかも知れません。いわゆる不易と流行という安直な切り分けはしたくないところですが、時代が変化しても変わることなく、そしてしたたかに撮り続けていければ、と希望しています。

2009年10月

【10月3日】大船山のブロッケンとガラン台のウメバチソウ

10月3日の九重連山は晴。6時頃の七里田付近の気温は14℃。昨日の雨も夜には上がり、星も望める空が広がります。有氏牧野道からガラン台へ向かう6時30分前、東の地平線を覆う霞の上に太陽が現れ、周囲は一気に明るくなります。ガラン台へ着くと、大船山や天狗岩方面はやはりガスに覆われています。予報では晴天ということで、このガスもやがて晴れるという期待を込めてガラン台を発って間もなく、森の中に大型の動物を発見し、一瞬凍りつきました。
肝をつぶして、引くに引けないまま観察すると、どうやら大きな角があるので鹿のようです。襲ってくることはないのでしょうが、指笛のような鳴き声を上げながら徐々に近づいてくるので、心臓もバコバコであります。(苦笑)
ついに格闘の時が訪れるのかと覚悟を決めていたところ、鳴き声も徐々に遠ざかっていき、木々にまぎれて姿も見えなくなりました。逃げるように先を急ぎ、山に響く鳴き声が遠ざかる中を鳥居窪へと急ぎます。鳥居窪付近ではナナカマドの真っ赤な実が目立つようになっています。鹿の興奮もすっかり冷めて淡々と歩き、テラス岩からススキの台地を過ぎると、うっすらとガスが覆うようになります。ガスが発生している割には登路周辺の木々の水滴もほとんどなく、濡れることなく大船山頂下に出ました。
8時45分頃の山頂付近は濃いガスに覆われています。時折ガスが流れて薄れ、上空から太陽が照らすと坊ガツルを見下ろす岩場にブロッケンも出現。再び濃いガスに覆われては晴れる状態が続き、10時前には、すっかりガスも晴れ、周囲には大パノラマが広がるようになりました。
御池へ下り、湖岸から周囲の様子を確認すると、ドウダンがわずかに染まり始めているところで、ピークは10日から2週間後ではないかと推測されます。毎年大船山の紅葉のピークと見事にバッティングするろ実家の農作業(稲刈り)が、10月20日頃から始まるということですから、10月18日からの週がピークになる公算が高いと思われます。今年も御池の紅葉に思いを馳せつつ農作業をしなければならないという切ない現実が待っているかと思うと、何とも・・・。(涙)
大船山を発ち、ガラン台へ下ります。これもまた毎年恒例のウメバチソウ撮影。繊細な造形には全く感心するばかりのウメバチソウですが、葯が落下していたり花弁が虫食いになっている花が多く、中々完全な花に巡り会えません。11月初旬頃まで飯田高原周辺の草原のあちらこちらに多数咲いていますので、しばらくは楽しめそうです。

【10月10日】染まり始めた三俣山

10月10日の九重連山は曇のち晴。4時頃の長者原付近の気温は6℃。上空を雲が覆い、雲間からぼんやりとした月の輪郭が望めます。東の空は雲が厚く、撃沈の疑念があれば、朝駆けは即中止できる潔さには、我ながら感心するばかり。折角麓まで来ているのだから、ということになるのでしょうが、これがまたうれしいような悲しいような・・・・、のんびりと朝食を食べ、夜明けを待ちます。お決まりの惰眠をむさぼり、午前6時に大曲着。すでに数台の車が駐車スペースで待機中です。6時過ぎの大曲付近は気温5℃で、車から降りると寒さに慣れていないので刺激が強すぎです。(苦笑)すぐにフリースを着込んで、6時30分頃、すっかり明るくなった後に入山しました。歩き始めると暑くなり、どんどん脱いで結局半袖のシャツになってしまいました。(笑)
曇っていたためか朝露はそれほど多くなく、ほとんど濡れずに硫黄山道路を抜けすがもり越へ着きました。三俣山西峰斜面を朝日が照らしては、再び雲に隠れ日が差さなくなります。太陽が雲に隠れては再び現れる度に日が差しては陰る状態が続く中、すがもり避難小屋でしばし休憩の後に西峰へ取り付きます。西峰登路は意外に朝露が多く、雨具のパンツを着用。先行の2人の登山客も、後続の登山客も雨具を着用していません。かなり濡れているはずだと思っていたのですが、西峰山頂を経て登路本峰下で、朝のご挨拶を交わしたときには、パンツは完全に濡れていました。今しばらく早朝の三俣山周辺の山行では雨具が必需品です。
西峰から本峰へ向かうと、4峰下のドウダンはわずかに色付き始めています。これはもう大鍋付近への期待が一気に膨らむところでありまして、大急ぎで本峰へ着くと、やはり大鍋付近もうっすらと染まっています。本峰下、北峰との鞍部、北峰山頂付近は色付きが早く、全体としては大鍋壁全体が染まり始めているところです。本峰からは北峰へ下るお鉢巡りのルートに入り、大鍋へと下ります。大きな荒れはありませんが、相変わらず急傾斜で滑りやすく、これからの紅葉シーズンは登山客で混雑するでしょうから、落石にも注意が必要です。
大鍋を縦断してから小鍋の様子を確認しましたが、こちらは少々地味な色付きです。全体が暗い色付きなので、早いんだか遅れているんだかが、分かりづらいのです。(苦笑)
坊ガツルを左手に見下ろしながら南峰へ向かいます。南峰山頂付近は、3週前より一段とリンドウが増えており、今年も相変わらずの豊作であります。毎度のように坊ガツルを見下ろすテラスへ移動し、大休止。眼下の野営場にはテントが設営されています。
10時を過ぎると、いつもの喧騒が南峰にも押し寄せるようになり、5人・10人という単位での団体の登山客が増えてきました。今回もまた押し寄せる登山客に逆行するので、あいさつ攻撃を巧妙にしのいで、11時過ぎに大曲に帰着。温泉へ直行し、至福の一時を過ごした後、午後から所用のため大分市へ向かいました。

【10月17日】三俣山の紅葉

10月17日の九重連山は曇。10時頃の長者原付近の気温は13℃。午後から晴天という予報ではありましたが、三俣山山頂にはガスがかかってます。今日は朝食を終えてからのんびりと自宅を発ったため、長者原に着いたのは10時を過ぎていました。
夕刻からも所用のため時間がかかる大船山はパスして、お手軽な三俣山への選択肢しかないわけですが、さすがにガスがかかる三俣山へ直行するのも悩ましいものです。少々時間的には厳しいものの、晴天になるまでの時間待ちを兼ねて雨ガ池からすがもり越へと三俣山を横断することにして、10時過ぎに指山観察路から入山し、落ち葉のジュウタンを踏みしめながら雨ガ池に向かいます。
指山観察路から雨ガ池周辺、三俣山の北斜面から東斜面にかけてはカエデの紅葉が進み、さながら錦絵巻のような艶やかさを演出しています。紅一色の山も見事ですが緑が混じった光景もまた美しく、山肌を染める紅と緑のコラボレーションを楽しみつつ雨ガ池に着きました。木道周辺にはススキが茂り、ピークを終えた山ラッキョウが迎えてくれます。見上げる三俣山西斜面は、山頂から山裾に向け紅葉が染め上げているように見えます。大鍋の紅葉が気になりつつ、大急ぎで小鍋壁へ向かうルートに入りました。
小鍋付近はドウダンが艶やかに色付き、先週に比べると色付きが急速に進んでいるようです。大鍋が見渡せる場所まで移動すると、大鍋の北峰斜面もそこそこの色付きです。大鍋・小鍋壁を巡回する通称「お鉢巡り」のコースにも多くの登山客が入り込み、登路でのすれ違いに苦労します。大鍋・小鍋付近はほぼ今週中が色付きのピークになりそうです。
紅葉の感激に浸っていると、何と本峰山頂付近から大合唱が聞こえてきます。次々と曲を替え、およそ15分程度も続いたでしょうか。歌っている団体さんはどんな気持ちなのか推し量ることもできませんが、歌声は山々に響き渡り、景観や雰囲気を台無しにしています。これだけ多くの登山客がいる中で、単なる騒音源にしかならない合唱を行うなど、いかがなものかと思うのです。
野営の日に坊ガツルでもリーダーに扇動?されて合唱している団体がいましたし、中岳山頂で坊ガツル賛歌を歌っていた団体もいました。おそらくツアーか何かのメニューに組み込まれているのでしょうが、歌声を扇動しているリーダーはもとより、参加者も本来的な意味での確信犯で、迷惑な行為であることは全く自覚していない恐るべき登山客であります。最近偶然にも、同様の行為に出くわすことが多いのか、はたまた流行の兆候があるのかは不明ですが、触発された誰かが真似て、このような行為がこれ以上エスカレートしないことを願うばかりです。「お願いだから、静かに楽しんでちょうだいね。」って言いたい気分ですよ〜。聞こえてくる歌声を聞くに付けて、だんだん気分が悪くなってきました。その後先ほどの団体さんが南峰に押し寄せていたので、南峰は避け、?峰にも本峰にも寄らずに早々に山を下りました。紅葉は素晴らしかったけど、何だか無益な山行・・、というと少々言い過ぎなので、摩訶不思議というか実に複雑な心情を抱えたまま帰路に着きました。これって一体何なのでしょう??

【10月24日】大船山の紅葉

10月24日の九重連山は曇。6時頃の飯田高原の気温は11℃。曇り空の上空にはガスも漂い、山頂にうっすらとかかっています。薄明かりの飯田高原では、秋の深まりと共に紅葉が確実に山から麓へと下り始めています。吉部へ着いた6時過ぎ、すでに路肩の駐車スペースはほとんど満車に近くなっています。吉部から大船林道や暮雨の滝コースは坊ガツル方面への最短コースのため近年登山客が急激に増えていますが、有料駐車場が整備されて以来、まず駐車する場所がないということもなく助かります。
6時40分に入山。鳴子川沿いの大船林道をショートカットする登路を淡々と歩き坊ガツルへ向かいます。大船林道を抜け、坊ガツル北端に着くと、わずかにガスがかかる山頂付近はすでにピークを過ぎて色付きが失せ始めていますが、見上げる三俣山北東斜面のカエデが先週より一層色付いているようです。坊ガツルが近づき周囲の木々の色付きがはっきり確認できるようになってくると、ピークを迎えている様子が確認できます。坊ガツル付近でも、すでに紅葉は山頂から確実に下っています。
坊ガツル野営場にはテントが設営され、早朝から野営装備を担いだ登山客も続々と訪れ、一張りまた一張りとテントが増えていきます。今回も日帰り山行となった私としては、実にうらやましい限りであります。それにしても、今年は夏の天気が不安定で、長引いた梅雨のために、坊ガツル野営も5月以来結局3回のみ。地元勤務の利を最大限に活用し、金曜の勤務終了後に玖珠町で買い出しをして温泉に浸かり、飯田高原某所泊ということは度々あったので、そこそこの回数の飯田高原泊はしているのですがお手軽すぎて・・・。やはり坊ガツル野営のロケーションには到底およびません。
そんなことで、早々に坊ガツルを発ち、再び淡々と大船山へ向かいます。徐々に高度を上げ、鉢窪付近が見渡せるようになると、今がピークの染まり具合です。段原直下から望む段原西斜面から大船山頂直下のドウダンはすでに色が褪せ始め、落葉が増えて木々の枝に残る葉が少なくなっています。日差しもなく沈んだ色彩の山肌は、終演を迎えた段原付近の紅葉に、諸行無常というか、ものの哀れすら感じさせます。日本人のDNAに刻まれた散り際の美学です。
曇り空のため撮影もそこそこに淡々と歩いたため、通常のペースより30分程早めの9時10分過ぎに大船山頂着。山頂から望む西斜面の紅葉の滝?もすでに彩りが褪せ始め、落葉も進んでいます。御池湖岸の紅葉も落葉が進んでいて、山頂付近の紅葉は幕引き目前です。山頂付近の紅葉がすでにピークを過ぎているであろうことは、容易に予想できたところでありますが、ともかく自分の目で確認したいというのが人情というもので、あわよくば最後の輝きが鑑賞できるかも知れないという淡い期待を抱いていたのもまた事実です。実際はピークに行き会わせなかった負け惜しみみたいなものですか。(苦笑)
山頂から御池へ下り、再び山頂で小休止の後、徐々に登山客が増え始めた山頂を発ち坊ガツルへと下ります。段原から坊ガツルへ下り始めた10時過ぎ、押し寄せる登山客に逆行するため狭い登路で度々停まっては進路を譲りつつ下ることになりました。テントが一段と増えた坊ガツル野営場で小休止の後に山を下り、吉部着11時40分過ぎ。吉部から大船山頂往復5時間という大急ぎの山行となりました。

【10月31日】ススキ覆う三俣山南峰

10月31日の九重連山は晴。5時頃の長者原の気温は8℃。5時30分に大曲から入山。なぜか登路は妙に生暖かく、間もなく11月を迎えようとしているのに初秋のような不思議な感じです。東の空は三俣山に隠れていますが、シルエットが浮かぶ空は徐々に明るくなってきます。すがもり越えに着いた6時過ぎには、ヘッドランプを消灯しても歩けるほどになりました。このまますがもり越で日の出を迎えるべきか少々思案の後、ひとまず三俣山西峰に取り付きます。
西峰に着いた6時30分前、一点の雲もない大船山上空は黎明の色付きから、朝日を待つ明るさに変わってきています。日の出の時刻を迎えていますが、東の地平線には霞がかかり、実際の御来光はもう少し遅くなりそうです。西峰付近でも登路の朝露は皆無です。淡々と歩いて?峰着。ジャストタイミングで大船山頂の南に太陽が姿を現し、三俣山頂に朝日が注ぎ始めました。
東の空に一点の雲もなく、景色もわずかに霞んで、荘厳な朝の儀式は今日も粛々と挙行されたのであります。?峰から南峰付近のドウダンもほとんど落葉し、大鍋・小鍋もすでに紅葉の痕跡すら残していません。さすがに山頂付近の紅葉は完全に終わっています。
南峰山頂下の坊ガツルを見下ろすお気に入りのテラスに向かい、のんびりと朝食を摂ります。九重連山の紅葉は完全に山から麓へとピークが移り、早くも冬枯れの様相を呈した山頂付近は秋と冬の端境期となり、景色も何だか中途半端。それでも朝の日は心地よく、10月末にしては気温も不思議に高めのため全く寒さも感じず、朝食後は草原にシートを敷いて寝転び、しばし至福の時を過ごしました。

2009年11月

【11月7日】秋の中岳

11月7日の九重連山は晴。8時前の牧ノ戸峠の気温は7℃。先週前半には初雪の便りも聞かれ、霧氷も見られたところでありますが、週後半は一転して暖かな朝を迎えています。先週30日(金)の夜に車のドアに左手人差し指を挟んで、爪の付け根に巨大な血豆ができてしまいました。31日(土)指が痛くて寝たんだか寝てないんだかもうろうとして目覚め、三俣山に日の出ぎりぎりの朝駆けをしましたが、山行途中から歯が痛みだし、痛みに耐えつつ帰宅。月曜から徐々に痛みがひどくなり初冠雪と霧氷の便りが聞かれた火曜日は撃沈。鎮痛剤でしのいで1日耐え、木曜の勤務を終えた後に歯科の治療を受けました。
例年のことで10月の紅葉時期の余波が続き、11月初旬も驚愕の賑わいを見せる九重連山ですが、実際は秋と冬の端境期で冬枯れの単調な景色に覆われています。とりわけ牧の峠から久住山周辺へのルートは、この時期に天気が良ければ快適なハイキングコースで、九重連山の中でも一際賑わう特異なルートです。そんなこともあって、すでに8時前の牧ノ戸峠の下側駐車場は満車。駐車スペースのラインを引き直しているので、駐車できる台数も減っています。
鍋谷から星生山周辺の木々も完全に落葉し、それでも朝の斜光線が山肌の凹凸に微妙な陰影を作り目を引きます。今回のメインは、改修工事が始まった池の小屋の様子を確認することでありまして、工事が始ったことは聞いていましたが、どんな様子になっているのか情報もなく気になっていました。しかしながら、池の小屋のことも何かと気にしつつも、三俣山と大船山の紅葉にかまけて、9月末を最後に中岳方面へはすっかりご無沙汰でしたから、今回はもう池の小屋にまっしぐらであります。(笑)
御池を迂回し、池の小屋に着くと工事中の看板が設置されロープが張られています。果たして工事は佳境を迎えたのか、外壁は以前の石組みが残され、隙間にモルタルが詰め込まれています。天井部分は以前の朽ちた鉄筋がむき出しになっていた屋根部分が撤去され、新たな天井が作られていますが、以前より背が低くなっているようです。完成時期は不明ですが、一応工期は11月30日となっています。池の小屋は厳冬期には実に心強い存在で、この冬は何かとお世話になりそうです。
工事中の池の小屋周辺を確認してから、中岳へ向かいます。山頂へ着いた9時50分頃は登山客もまばらでしたが、一息ついた10時を過ぎる頃から団体が次々に訪れ、気がつけば20人以上の登山客で山頂付近は混雑するようになっています。山頂付近がさらに賑わい始めた10時30分頃、久住山方面には時折ガスがかかるようになりました。そろそろ退散の時が迫っています。早々に中岳山頂を後にして、天狗ガ城を経由して山を下りました。秋から冬へと移ろう季節の狭間を埋めるように驚愕の喧騒が山をんでいます。牧ノ戸峠へ帰着した正午前、当然ながら駐車場は完全に満車。周囲の道路脇も隙間がないほど車が駐まっています。11月中旬以降の本格的な冷え込みが始まるまでは、今年もまた驚愕の喧騒が続くことになりそうです。

【11月14日】晩秋の紅葉

11月14日の九重連山は曇。9時前の長者原の気温は9℃。1200m付近からは濃いガスに覆われ、長者原付近ではガス雨も降っています。断続的に降るガス雨も本降りの雨になることはなさそうなので、9時30分過ぎにタデ原木道から入山。散り残る紅葉・黄葉の森をのんびり歩き雨ガ池へ向かいます。
木々が落葉して、すっかり明るくなった森はすでに晩秋の気配が濃厚です。例年11月後半になると本格的な降雪があり、一時的に雪景色になることが多いのです。週明けから少々冷え込みそうですが、どうなりますか。
秋から冬への季節の狭間にあって、とらえどころのない時期ではありますが、紅葉が終わり散り残る木々の葉が秋風に揺れる様も一興というもので、憑かれたように紅葉を追いかけた熱狂が信じられないほどの静けさが戻ってきました。そう思えば、登路の濡れ落ち葉もまた愛おしいものです。高度を上げるにつれ徐々にガスが濃くなり、木道の荒廃が一段と進んだ雨ガ池も幻想の雰囲気でありまして、すっぽりとガスに覆われています。
坊ガツルに下ると法華院温泉山荘の重機が作業中です。坊ガツルは一面のススキの原で、曇っていて風も吹くので、何だか寂しげです。大船山や平治岳はガスに覆われ、三俣山や白口岳など周囲の山頂付近もすっぽりとガスに覆われており景色は見渡せません。それでも野営場には、決して数は多くないものの、テントが設営され始めています。
正午頃から時折雲間から日が差すようになり、大船山上空のガスも切れ始めました。せっかく日が差し始めたので、貴重な晩秋の日を浴びながら景色が見渡せる法華院山荘の屋外のテーブルを借りてのんびりと昼食です。再びガスが山頂付近を覆い、また切れるという状態を繰り返しながら、12時30分頃には一時ガス雨も降り始めましたので、早々に山を下ることにしました。山荘から北千里ガ浜にかけては行き交う登山客も皆無で、閑散としています。荒涼とした北千里ガ浜は冬枯れの広がる晩秋の景色が一段と寂しさを感じさせます。すがもり越えに着く13時過ぎ頃には、周囲のガスもすっかり晴れて秋の陽が注ぐようになり、周囲の景色も一気に開けてきました。相変わらず登山客の歓声が響くすがもり越の避難小屋を横目で見つつ、一路長者原へ下りました。

【11月21日】霧氷着く三俣山

11月21日の曇。13時過ぎの長者原の気温は3℃。午前は職場のイベントで、玖珠町某所で業務であります。10時頃の玖珠町の気温は8℃で、標高200m付近でこの気温ですから、当然九重連山の山頂付近は氷点下です。曇り空で山にはガスがかかり、玖珠町中心部からも九重連山は望めません。
長者原に着くと、三俣山にはガスがかかっていますが、時折切れるガスの合間に望む山頂付近には霧氷が着いているのが確認できます。13時30分頃に大曲から入山、三俣山へ向かいます。ぬかるむ登路を淡々と歩き、すがもり越が近づくと登路には雪が見られ始めます。避難小屋付近では霧氷が見られ、避難小屋の中には雪が吹き込んでいます。
西峰へ取り付くと周囲は徐々に霧氷に覆われ始め、西峰山頂付近から?峰にかけても見事な霧氷原が広がっています。確実な季節の移ろいに寒さも忘れるほどで、時折登路に残る雪を踏んでは1年ぶりとなる懐かしい雪の感触を確かめつつ、吹き抜ける寒風が晩秋から初冬へと移ろう季節の足音を感じさせてくれます。
本峰へ着く頃には山頂付近もすっかりガスに覆われるようになり、大鍋周辺も全く見渡すことができなくなりました。こうなると早々に退散した方が賢明です。適度な寒さで妙に温泉が恋しく、山を駆け下ってから至極の一時を過ごしたことは言うまでもありません。

【11月22日】氷結し始めた御池

11月22日の九重連山は雪のち雨。午前10時頃の長者原の気温は5℃。友人と合流して一路九重連山へと向かいます。山開きの日の野営以来であります。長者原付近から望む三俣山は、昨日の霧氷も消失しています。昨日より微妙に暖かく、この気温ですと山頂付近が雪になるか雨になるかという実に悩ましいところです。
10時30分に牧ノ戸峠から入山。完成した池の小屋で昼食を楽しんでから山を下ろうという、実にお気楽な山行であります。周囲の景色も単調で、淡々と歩いて扇ヶ鼻分岐にさしかかる頃になると雪が降り始めました。登路脇の木々の枝先にも霧氷が見られるようになり、確実に高度を上げていくと気温が下がっていることが確認できます。舞い落ちる雪もきれいな結晶で、自然が作り出す冬の芸術を楽しめました。
久住分れ付近からは霧氷が見られ、御池周辺は霧氷に覆われています。御池はわずかばかり凍り始めているものの、まだ完全氷結するには余りにも早すぎです。まもなく12月ですから、強烈な寒波が3〜4日続けば、一気に完全氷結する可能性はあります。湖岸の木々は繊細な冬の造形である霧氷が覆い、周囲の景色は完全な冬景色です。
時刻は間もなく12時30分になろうとしており、池の小屋へ向かいます。小屋の中を覗くと、やはり満室。(笑)団体の登山客であふれています。座る場所を空けていただき、窮屈ながらも何とか昼食の場所を確保したところです。
昼食を終え、天狗ガ城を経由し牧ノ戸峠に15時30分過ぎに帰着。早々に牧ノ戸峠を発ち、友人が手配してくれた長者原某所の別荘で後発の鍋部隊と合流。当然ですが、その後は露天風呂に浸かり、しっかりと暖まった後で豪華な宴が延々と続いたことはいうまでもありません。

【11月28日】晩秋の坊ガツル

11月28日の九重連山は曇。8時過ぎの長者原の気温は8℃。長者原から望む山頂付近はガスがかかっています。もう迷うことなくお決まりの坊ガツル周遊コースに決定して、8時30分頃指山自然観察路から坊ガツルへ向かいます。落葉を敷き詰めた登路はガスがかかり、幻想の雰囲気です。木々の枝先から落ちる水滴の洗礼を受けながら雨ガ池へ向かいます。雨ガ池はうっすらとかかるガスに包まれ、荒れた木道が晩秋の景色と相まって哀愁を誘います。依然として山頂付近にはガスがかかり、大船山も望めません。
坊ガツルへ着いた10時頃になり、時折雲間から秋の日が注ぐようになります。坊ガツルの気温は8℃で、曇り空だと寒さも感じます。わずかばかり日が注ぐだけで本当に暖かく感じるもので、自然のパワーは実に偉大です。久々に野営場にもテントが設営されていません。驚愕の賑わいを見せたGWや山開きの日、さらにはミヤマキリシマのピーク時の週末の喧騒は一体何だったのかと思わせるほどの静けさです。
炊飯場で小休止の後、法華院山荘を経て北千里ガ浜へ向かいます。北千里ガ浜は毎度のごとく風が吹き抜けています。淡々と歩いてすがもり越を経由し山を下りました。晩秋の九重連山では、牧ノ戸峠から久住山へ向かう特異なルートは相変わらずの賑わいを見せているものの、冬を目前にした坊ガツル周辺は随分と静かになり、寂しさすら感じるほどです。また当分は静かな山行が楽しめそうです。


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