2010年 秋

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2010年9月

【9月4日】初秋の北千里ガ浜と御池

9月4日の九重連山は晴。5時頃の長者原の気温は19℃。異常を通り越してさながら狂気の域に達しつつあるこの夏の烈暑は9月になっても一向に落ち着く気配がなく、連日の最高気温が35℃を超えています。天気予報で、明日の最高気温が35℃を超えるといわれても、すでに聞き慣れてしまって感覚が麻痺してしまっています。9月3日夜、21時頃の大分市街地の気温はまだ30℃を超えて、熱波に襲われた街を抜け一路九重連山へ向かいます。23時前の長者原の気温は19℃。寒さすら感じるほどです。

例によって翌朝の運転が不要という安心感から、酩酊して爆睡。例年9月初旬といえば高原の夜はすっかり秋モードで、サマーシュラフだけでは寒くて寝られない時期になっているにもかかわらず、シュラフカバーも不要なほど快適?な一夜を過ごしました。目覚めは爽快で、しかしながら例によって遅めの目覚めで、朝駆けは到底不可能な5時前です。雲一つない東の空が黎明に染まり、明け行く高原の清冽な朝を楽しみつつ。6時前に入山。星生山から硫黄山の噴煙が朝日に染まり、振り向けば飯田高原に初秋の朝が静かに広がっています。

7時頃のすがもり越は爽快な風が吹き、いつものようにこのまま避難小屋に滞在し至福の時を過ごそうか思うほど快適さです。誘惑を振り切り北千里へ下ると、中岳方面からの陰がススキの穂が揺れる平原に伸び、山陰の陰影とスポットライトのように注ぐ朝日に照らされた荒涼とした大地の光景に思わずうっとり。心地よい風が吹き、北千里も限りなく爽快です。久住分れを過ぎ御池に着いた8時頃、山頂付近を覆っていたガスが一気に周囲を取り巻き、またしてもガスに覆われてしまいました。上空は快晴でガスもすぐに晴れるでしょうから、それでも周囲の景色が見渡せなくなるほど濃いガスを避けて池の小屋でしばし待機します。ガスは30分ほどで晴れ始め徐々に視界も回復してきた8時30分頃に小屋を発ち、中岳へ向かいます。

ガスが断続的に押し寄せては晴れる中岳山頂は強めの風が吹いていましたが、ここもまた実に快適です。眼下の坊ガツルは輪地切りを終え、すでに秋の準備が整っています。阿蘇外輪山にポッカリ浮かぶ雲や、時より押し寄せるガスで視界が遮られる山頂で周囲の眺望を楽しみつつ1時間あまり至福の時を過ごした後、天狗ガ城を経由して山を下りました。

山を下った正午前の坊ガツルの気温は27℃。この夏の異常気象の影響で例年の盛夏並みの気温が続いています。長者原がこの気温ですから、当然といえば当然のことではありますが、14時の大分市の気温は36℃を超えています。休日は空調が効かない職場の異常な暑さの中、流れる汗を拭いながら残務を整理し、帰路に着いた19時過ぎの大分市の気温は30℃。記録ずくめの暑さは誰が考えても異常ですが、この暑さだけは神様にお願いしてもどうもなりませんね〜。

【9月11日】ハガクレツリフネ

9月11日の九重連山は晴。6時頃の長者原の気温は20℃。依然として続く烈暑で、連日平地では最高気温が35℃近くになっています。しかしながら、自然の移ろいは少々リズムを乱してはいても、確実に秋本番へと向かっています。イレギュラはあちらこちらで発生するもので、週末の出勤の予定が、午前中だけポッカリと予定が空いてしまったわけであります。

飯田高原に着いた6時前、三俣山から星生山にかけての山頂付近にはガスがかかっています。吉部から坊ガツルまでの超お手軽山行に即決して、吉部登山口へ向かいます。すでに数台の車が駐車している大船林道入り口から入山、鳴子川沿いの木々が覆う登路に入ると依然薄暗く、大船林道へ抜けるまでは山陰のため朝日も差しません。涼やかな風が吹き、快適に歩いて坊ガツル北端へ着いた7時過ぎ、白口岳から中岳付近にかけてかかっていたガスも晴れ始め、徐々に山頂が望めるようになってきました。

ススキが覆う坊ガツル中央に伸びる道を抜け、野営場に向かいます。野営場にはテントが数張り。初秋の野営はうらやましい限りであります。白口岳方面の山頂のガスは断続的にかかっては消えて、徐々に薄れています。ススキの穂波が風に揺れ、輪地切りを終えた坊ガツルは秋の装いになっています。

法華院温泉山荘に着く頃には、山頂のガスもすっかり晴れて青空が広がりました。山荘前のテーブルで遅めの朝食を摂った後山を下り、吉部に10時過ぎに帰着しました。

【9月18日】大船山頂の夕暮れと野営場の夜

9月18日の九重連山は晴。12時頃の長者原の気温は24℃。朝夕の涼しさが確実な秋の訪れを感じさせつつも、平地では連日30℃を超える残暑というにはあまりに長い暑さが続いています。先週後半は新内閣誕生で何かと慌ただしい霞ヶ関界隈で粛々と仕事をこなし、連休前で17時以降の航空機は全て満席で便の変更は不可能な状態ですから、長引く会議に気をもみつつも無事に北九州空港へ帰着。

予定通り帰宅できたので、18日朝はこれまた予定通り坊ガツル野営山行に出発です。6月の山開き以来のことでありますので、実に3ヶ月ぶりの野営であります。10時過ぎに自宅を発ち、食料を調達して12時前に飯田高原着。吉部から入山し、鳴子川沿いの登山道を快適に歩いて14時頃に坊ガツルに到着です。まずは法華院山荘へ向かい麦酒を2リットル購入して野営場へ向かうと、すでにテント場でくつろぐbocci氏GIN氏らに会いご挨拶。明日の朝駆け予定ということであります。

早々にテントを設営し、15時過ぎに大船山へ向かいます。上空は曇っていますが、三俣山上空の空は雲が切れており、日没に期待できるのではないかな〜、などと希望的観測を懐きつつ16時30分過ぎに大船山頂着。三俣山はわずかに霞み、徐々に微妙な情勢になりつつある山頂でカメラをスタンバイして、傾きつつある陽を眺めながら、日暮れを待つのみであります。山頂で味わうバーボンはまた逸品でありまして、8年もののワイルド・ターキーですら12年ものにも勝る美味さであります。このシチュエーションはまさに自己陶酔の極みでありまして、陰り行く坊ガツルを眺めつつバーボンを飲んでいるなんて、最高にいかしてますよね〜。まさにナルシズムの極地であります。(爆笑)

そんな思いとは裏腹に、日が傾くにつれ西には徐々に雲が広がり、山頂付近にガスがかかり始めました。微妙な情勢になりつつある空を恨めしく思っていた18時頃、久住高原側から山頂へやってきた登山客がいます。夕駆け撃沈の様相が濃くなっていただけに、何とも心強い撃沈仲間ができたものだと、思わずほくそ笑んだところであります。ところが、何とこの方は道迷いをして大船山頂へやってきたということを聞いてびっくり!携帯も持たず、メガネも藪こぎで紛失し、持参していた水も尽きたということでありました。携帯を貸してあげ宿泊先の法華院山荘へ帰着が遅れる旨の連絡をした後、水を分けてあげて、山頂を下り始めました。ヘッドランプも持参していましたし、負傷等は一切なく体力的に余裕がありそうでしたので、私はこのまま最後まで西空を見届けることにしてお別れしました。

10分もしないうちにガスが押し寄せて、三俣山から段原方面は視界ゼロに・・・。見事な撃沈であります。仕方なくヘッドランプを灯して山頂を後にしました。段原下まで下ると、先ほど山頂で別れた登山客が登路に座っています。慣れない登路ですから、慎重に下っていたのでしょうが、非常用に持参されたヘッドランプも決して明るいものではなく、不安なようです。再度水を分けてあげてから、坊ガツルまでガイドしてあげることにしました。

足下を確認しつつ慎重に下ったため、山頂から坊ガツルのテント場まで2時間近くかかりましたが、ガイドした登山客も無事坊ガツル着。法華院山荘の灯りも確認できたので、野営場でお別れしました。丁重にお礼を頂いた上に、「ビールでも飲んでください。」と過分な謝礼までいただき、恐縮してしまいます。「困っているときはお互い様ですから〜」と、お断りはしたのですが・・。(苦笑)

早速炊飯場側で酒宴中のピロ氏とフェアビュー氏の宴席に割り込んで、まずはビールを1リットル飲んで喉の渇きを潤します。その後月明かりに照らされたテントへ戻り、バーボンを堪能したところであります。どこで飲んでも性懲りもなく繰り返す失態でありまして、見事に酩酊して爆睡。翌朝の体たらくはあえていうまでもないところであります。(苦笑)

【9月19日】坊ガツル野営場の朝

9月19日午前6時前の坊ガツルの気温は19℃。この時期にしてはかなり高い気温になっています。大船山上空にはうっすらとガスがかかり、三俣山頂付近に朝日が注ぎ始めています。朝露を帯びたテントが乾くまで気長に待つことにして、シートを広げ曇り空が広がりつつある坊ガツル上空を眺めつつ、撤収を始めます。朝食を済ませ、テントの朝露が乾く頃には昨夜の余韻も回復しました。(苦笑)

薄曇りの坊ガツルを10時30分頃に発ち、鳴子川沿いの登路をのんびりと歩いて12時30分頃に吉部へ帰着しました。何ともあっけない坊ガツル野営山行でありましたが、坊ガツルの夜景を肴に美酒を味わうこともできましたので、合格点です。何より道迷いの登山客をガイドできたのは良かったな〜と、何だか自分で自分をほめてあげたい気分ですね。(笑)

【9月25日】すがもり越の朝

9月25日の九重連山は晴。5時頃の長者原の気温は11℃。前夜、職場から長者原に直行し、現着した22時頃には小雨も降り、山には濃いガスがかかっていたので、安心して飲んだのが災いして、見事に爆睡。明けて25日朝、上空には中秋の名月から数日が経過した月が煌々と輝き、凛とした朝の気配が漂っています。徐々に黎明に染まりつつある東の空を眺めながらのんびりと装備を確認し、5時30分頃に指山観察路付近から硫黄山取付け道路を経て入山しました。

月明かりに照らされた登路はヘッドランプも不要なほど明くなっています。取付け道路をショートカットする坊原付近登路は朝露を帯びたササが茂るため雨具を着用。再び硫黄山下で取付け道路と合流する頃には周囲の山の山頂付近に朝日が注ぎ始めています。すがもり越に着くと大船山上空にはすでに太陽が昇っています。朝のすがもり越は毎度のことながら実に快適で、ここで朝食を摂り、喧騒が始める午前9時前までベンチに寝転がって惰眠をむさぼろうかという誘惑につい負けそうになります。しかしながら、そこは山頂へ向かうべく誘惑を断ち切り、すがもり越で30分ほど小休止した後西峰登路へ取り付きました。

秋恒例のリンドウのつぼみがあふれる西峰から本峰への登路をのんびり歩いて8時過ぎに南峰着。さすがに山頂付近は風が強く、寒さを感じます。早速お気に入りのテラスに向かい、遅めの朝食タイムを楽しみます。眼下の坊ガツル野営場にはテントが数張りあり、大船山山頂付近にはガスもかかっています。三俣山付近にも時折ガスが押し寄せては消える状態が続きました。

9時前になると南峰山頂付近も徐々に賑やかになり始め、そろそろ山頂付近には登山客があふれ始める時刻になったようです。喧騒にもまれる前に山を下るべく南峰を発ちました。西峰を下りすがもり越に向かい始めた9時30分前、眼下のすがもり避難小屋には登山客が次々に訪れるようになっています。混み始めたすがもり越スルーして、10時過ぎに指山観察路入り口に帰着しました。

おかげさまで、今回の更新でサイトの開設から14周年を迎えました。飽きもせず14年間お付き合いいただいた皆様に限りない感謝であります。ネットの世界は日進月歩ならぬ分進秒歩の速さで24時間眠ることなく進化し続けていますから、基本レイアウトを14年間変更しないまま続けてきた私のサイトなんぞは、生きた化石みたいなものです。(笑)今後も気負わず、お気楽に続けて行くつもりですので、末永くお付き合いいただけますと幸いです。

2010年10月

【10月2日】秋の御池

10月2日の九重連山は曇。4時頃の長者原の気温は14℃。前日夕刻長者原に直行。珍しく早めの目覚めとなった4時前、山頂付近にガスがかかっているものの、上空には星が望めます。これほどの好機は珍しいわけで、迷うことなく4時過ぎに牧ノ戸峠から入山。

沓掛山の東屋がある第1展望台付近から薄いガスの中に入り、沓掛山山頂付近ではガスがかかりヘッドランプの光が乱反射して視界も定まらなくなってきます。この時刻からであれば、かろうじて星生山での御来光観賞ができそうな感じではあります、その期待も空しく、ガスはますます濃くなり西千里付近でいよいよ撃沈の様相を呈してきたのであります。すでに時刻は5時を過ぎ、星生山へ向かうかどうか迷うところですが、迷った時は潔くやめるという鉄則を遵守して星生山はパス。星生崎から久住山避難小屋、久住分れ付近では、ガスでほとんど視界が効かない状態です。

御池湖岸で風を避けしばらく待機。時刻はすでに6時前で、日の出の時刻を過ぎヘッドランプも不要なほど明るくなりました。ガスが多少薄れているようなので、中岳へ向かい6時頃に中岳山頂着。相変わらずガスがかかっていましたが、時折ガスの切れ間から上空の雲がわずかに染まった様子を垣間見ることができるものの、再び濃いガスの中に消えていきます。見事な撃沈にもめげず、のんびりと朝食タイムを楽しみ、ガスが薄れることに望みを託しつつ7時過ぎまで1時間あまり中岳山頂で待機しました。その間に山頂を訪れた登山客は1名。静かな朝を満喫したところであります。

【10月10日】染まり始めた大船山段原斜面とウメバチソウ

10月10日の九重連山は曇。9時頃の七里田付近の気温は16℃。紅葉が気になる大船山へ向かうべく有氏牧野道から牛糞の点在するセメント舗装の登路を淡々と歩き、ガラン台を経て山頂へ向かいます。口蹄疫の防疫のため一時通行できなくなっていた有氏牧野道も通行できるようになり、この秋も様々なルートから大船山へアプローチできるようになり嬉しい限りであります。

2つめのフェンスを過ぎたあたりで、「高塚山」と書かれた山頂標識を担ぎ上げる数名の関係者と会いご挨拶。このところ久住連山の山頂標識が新設されていますが、今回は高塚山の山頂標識を設置し直すとのことです。スコップや山頂標識を担ぎ上げる一行を追い越し、ガラン台を経由して大船山頂へ急ぎます。鳥居窪付近から見上げる山頂方面はガスがかかり、わずかではありますがガス雨も降っています。ガスの切れ間からは青空も覗いていますので、天気が崩れることはないでしょうが、やはりガスがかかっていると少々憂鬱になります。

久住高原を見渡すテラス岩を過ぎ、御池湖岸の登路から大船山頂を見渡すと、山頂付近には多くの登山客が風を避けるように待機しているようです。賑わう山頂は、しばしガスがかかっては晴れる状態が続いています。ガスの切れ間に段原方面を望むと、岩場のドウダンはかなり色付いており、段原斜面もわずかに色付き始めています。このまま順調に色付いてくれれば、1週間から10日でピークを迎えそうです。例年並みか多少遅れ気味というところでしょうか。

賑わう山頂から御池湖岸に下り、湖岸のドウダンが染まり始めた様子を堪能しつつ昼食を兼ねて大休止。御池周囲のドウダンは一部で色付きが進んでいますが、やはり全体的には1週間から10日程度でピークを迎えそうです。週末としては次週末が好機でしょうが、実際のピークは10日程度先かな・・・・、という感じです。

湖岸で至福の一時を過ごしていると、聞き覚えのある声が聞こえてきます。間もなくマスターことMatsuzaki氏登場です。昨日から坊ガツルで野営中ということで、手際よく焼きそばを作っていたのには感心しきりであります。紅葉に関しては、個人的には2週間後の23〜24日の週末でも、まだ見応えを残していて欲しいな〜と思うところでして、実は次週末の16〜17日は恒例の実家の秋の収穫で、当然ながら山行は出来ません。(涙)悲しいことに、一部の例外となった年を除けば、大船山の紅葉のピークと見事にバッティングするのであります。しかしながら、今回の御池周辺の色付き具合からは、2週間後もかなりの見応えがありそうな気もします。いずれにしても、思いを巡らせながらも、山行が出来ない事実はいかんともし難いものがあります。

2週間後の結果はいずれお知らせすることにして、ひとまず東尾根を経て大船山頂を下り、ガラン台でウメバチソウを撮影してから長者原へ戻りました。夜は友人の手配で、長者原某所の別荘で恒例の秋宴会であります。各地から持ち寄った名品・珍品を肴に、酒宴は延々と続き、毎度のごとく酩酊して爆睡してしまったのであります。(苦笑)

【10月23日】三俣山の紅葉

10月23日の九重連山は曇。5時前の長者原の気温は14℃。先週末(10月16・17日)は実家の農作業のため山行を休止。大船山御池の紅葉のピークと実家の農作業のタイミングが毎年見事にバッティングしており、気もそぞろではありましたが、邪念を捨て刈取りに専念したところであります。22日夜、職場のある大分市を発ち、気になっていた紅葉の確認のため九重連山へ向かいます。時折月が覗くものの、暈(かさ)がかかっています。三俣山頂付近には傘雲がかかっており、少々天気も怪しげです。

明けて23日朝、さすがにこの時期は登山者も多く、1人2人と早朝からヘッドランプを灯して入山していく登山者を見送った後、5時過ぎに指山観察路入り口付近の硫黄山取付道路から入山しました。風が強めに吹いていたので、坊原付近の硫黄山取付道路をショートカットする登山道の笹もほとんど露を帯びていません。ヘッドランプに徐々にガスの水滴が映るようになり、再び硫黄山取付道路に合流した頃には、周囲はすっかりガスに覆われてしまっています。

先週のブランクを解消すべく、大船山段原付近のドウダンの紅葉を確認してから、三俣山に引き返すつもりでいたのですが、このガスではそれも何だか無駄なような・・・・。元来お気楽山行でありますから、無駄なことはやめて、お手軽山行に切り替えるのもたやすいことであります。すがもり避難小屋に着く頃には、今回の目的地はを三俣山に決め、束の間でもガスが晴れてくれることを願うばかりです。避難小屋に着くと、九重の四季の木下氏も含め、すでに数名の登山客が待機中です。このガスですから、ここで滞留するという選択肢もあるのでしょうが、抜け駆けして三俣山へ向かうしかありません。(笑)

避難小屋で30分ほど待機し、7時過ぎに雨具を着て三俣山西峰登路へ取り付きます。吹き付けるガスとガスに濡れた登路の笹で、たちまち全身が濡れて行きます。先行する登山者も10mほど間隔が空くと見えなくなる状態で、周囲の視界が全く開けないまま西峰から本峰へ向かいます。本峰山頂にも、すでに先行した登山客が待機中です。ガスが強い風に乗って押し寄せ周囲の景色は全く確認できません。せめて風を避ければ、まだ少々待つこともできるでしょうから、ひとまず大鍋の底に下り風を避けて待機することにします。

クロボクの路面がズルズルに滑り、滑りこけそうな登路を下り、ガスに巻かれた大鍋の底に出ました。やはり、ここも濃いガスに覆われており、ドウダンの紅葉に染まる大鍋壁を望むこともできません。風を避けしばらく待機したものの、一向に切れる気配にないガスに包まれたままですから、意を決して大鍋を縦断してお鉢巡りのコースに戻り、小鍋を見渡すビューポイントに向かいます。紅葉時期は三脚を立てたカメラマンが陣取り、なかなか場所を譲ってくれない苦難のポイントでありますが、今日はさすがにこのガスで撮影者は皆無です。

南峰下まで戻り、ガスが切れるのを待って再び待機。三俣山取り付きから2時間30分ほど経過した9時30分過ぎには、潔く?あきらめて山を下りました。すがもり避難小屋まで戻ると、あいにくの天気にもかかわらず大混雑する驚愕の賑わいです。マスターのスペシャルドリンクをごちそうになり、10時30分頃にすがもり避難小屋を発ち、長者原へ戻りました。1週間のブランクの後、満を持しての山行は、見事に撃沈でありました。(涙)

【10月30日】三俣山の紅葉

10月30日の九重連山は曇。6時頃の長者原の気温は8℃。台風接近の予報が出ていたためか、登山客の出足も鈍いようで、6時頃の長者原駐車場は思いの外閑散としています。先週は霧氷の便りも聞かれた九重連山では、例年紅葉時期からの余韻が11月中旬まで続き、雪が舞い始める直前まで驚愕の賑わいを見せるものですが、今朝は意外な静けさです。山頂付近にはわずかにガスがかかっているものの、大撃沈となった先週に比べるべくもない好天であります。

6時過ぎの大曲駐車場も数台の車が駐車しているだけでしたので余裕で駐車でき、6時30分頃に入山し前回の大撃沈のリベンジに三俣山へ向かいます。すがもり越に着く頃には山頂のガスもすっかり晴れて、わずかに朝の日が注ぐようになりました。風もなく、閑散としたすがもり避難小屋があまりにも快適だったので、避難小屋を独り占めしてくつろぐのも一興でありますが、ここはやはり三俣山大鍋付近の紅葉の様子を急いで確認したいものでありますから、誘惑を振り切り西峰へ取り付きます。

西峰を経て、4峰と本峰の谷にあるドウダンを確認すると、すでに完全にピークを過ぎています。前回の大撃沈の山行で、わずかに確認した限りでもすでにピーク後半のようだったので、こんなものでしょうか。4峰から南峰西斜面にかけてのドウダンも完全に彩りが褪せて落葉し始めています。間もなく11月、山の紅葉はすでに山頂から麓へと下っています。今年は少々紅葉が遅れ気味とはいえ、それでも確実に麓へと下っているのは明白です。

本峰から望む大鍋の北峰から小鍋にかけては、意外なことに三俣山山頂付近ではかろうじて一部分が彩りを残しており、これはうれしい誤算であります。小鍋の全容を確認すべく南峰下からお鉢巡りのコースに入り、小鍋を見下ろすビューポイントへ向かいます。ピークは過ぎていても、日が差せばそれなりの色を出してくれそうなのですが、期待させるように雲の切れ間から太陽が覗きそうになっては隠れ・・・、ついに日が差すことはありませんでした。

南峰へ戻る途中、大鍋が望める枝道に入り、ど真ん中に堂々と残されたウ○コを危うく踏みそうになる危機に遭遇しました。枝道とはいえ何で登山道の真ん中にウ○コがあるのか、一体どんな心境でこんな場所にウ○コとティシュを散乱させたままにしたのか、生産者を問い詰めてみたくなるほどです。山では致し方なくオーガニックということもあるのでしょうが、もう少し控えめに処理をお願いしたいものです。

危機を回避した後は、閑散とした南峰の坊ガツルを見下ろすテラスに座り、ゆっくりと休憩です。大船山段原周辺の彩りは完全に褪せていますが、坊ガツル周辺では色とりどりの木々が散在し遠景ながらも色彩の妙を楽しめます。閑散としていた三俣山も9時30分を過ぎると団体の登山客が登って来るようになりました。台風の影響を心配して、少々出足が遅かっただけのようで、10時過ぎに下ったすがもり越は、往路とは一変し大混雑。大曲付近も道路脇の駐車スペースは完全に満車で、さすがに秋の混雑が続いているようです。

2010年11月

【11月6日】秋の星生山と暮れゆく北千里

11月6日の九重連山は晴。13時頃の長者原の気温は15℃。週末は日付が変わった午前1時過ぎに帰宅。少々多忙な週末を過ごしたところであります。6日(土)は朝のんびりと自宅を発ち、中津市深耶馬溪の染まりかけた紅葉を堪能しつつ九重連山へ向かいます。13時前に長者原に着き、しばし休憩の後に薄雲の間から太陽が注いでいる中、牧ノ戸峠からを入山。まずは星生山へ向かいます。すでに13時過ぎにもかかわらず、隣国からのお客様が多数久住山をめざしており、とにかく声が大きい国民性?もあって、こちらまで元気になりそうです。

隣国からのお客様に巻かれながら、一気に星生山着。雲の切れ間から晩秋の陽が注ぎ、すでに紅葉のピークを過ぎた山肌にしばし暖かな空間を作ってくれます。星生山頂はおびただしい羽アリが舞い、休憩していると首筋から着衣の中にも入り込んでくる始末。さすがにこれには閉口し、少々風が吹いていても、羽アリに襲撃されるよりはましですから、岩場に移動してジャケットからウインドヤッケまで着込んで、しばし晩秋の九重連山を堪能しました。

流れ行く雲間から注ぐ晩秋の陽が流れ行くままに、星生山頂から静かに過ぎていく時間を堪能し、15時過ぎに星生崎へ向かいます。久住分れ付近にも、隣国からの団体のお客様が多数いて、とにかく大きな声で気勢をあげているのには驚きます。そういえば、一時ウォン安でお客様が途絶えていた時期がありましたが、最近また隣国からのお客様の団体が増えてきています。近隣の国とは色々ともめ事を起こさずに、スポーツや文化交流などでのライバルとしてなら大いに友好関係を維持したいものですが、最近何かときな臭い国際関係には頭が痛いところであります。何かできるわけじゃないんですが。(苦笑)

暮れゆく三俣山に注ぐ晩秋の陽を望みつつ、すでに北千里ガ浜は星生山の陰に入る中、硫黄山の噴煙が徐々に傾く夕陽に照らされるようになって行く光景を楽しみつつ、すがもり越に向かいます。すがもり越付近にも隣国からのお客様が休憩中で、何か話しかけられたのですが、何を言われているのか当然理解できるはずもなく、笑顔でコミュニケーション。(笑)

17時過ぎに山を下った後は、諸兄らとの宴会場へ直行。温泉で汗を流してから、四方山話に花を咲かせつつ、静かに更けゆく飯田高原の夜を堪能したのであります。日付が変わっても尽きることのない諸兄らの体力?に敬服しつつ、1時過ぎには酩酊して爆睡。当然ながら、翌朝は撃沈です。温泉で暖まり朦朧とした意識を回復させた後に宿を発ち、帰路につきました。

【11月13日】晩秋の紅葉

11月13日の九重連山は曇。6時頃の長者原の気温は7℃。前夜遅く職場のある大分市から長者原に直行していたのでありますが、目覚めたのはすでに6時前、自宅の出勤時より遅い起床です。(苦笑)

遅くなりついでですから、ゆっくり朝食を摂り牧ノ戸峠に移動。すっかり明るくなって、長者原から入山する登山客も増え始めていました。大曲付近は道路工事のため路肩の駐車が規制されており、紅葉時期の余韻が続き、驚愕の賑わいのを見せるこの時期には少々厳しい環境です。長者原から牧ノ戸峠にかけての県道11号は、路面の荒れが目立っていたのでやむを得ません。

7時30分頃に牧ノ戸峠から入山。登路には霜柱も見られ、登路脇の岩には一部氷も張り付いています。長者原あたりは朝の気温も7℃程度でしたが、山頂付近では氷点下まで冷え込んでいたようです。霜柱を踏みしめ、久住分れから天狗ガ城へ向かいます。

阿蘇方面から、由布岳にかけて意外に眺望はすぐれており、昨日の黄砂は一体・・・・。しかしながら底霧のように残っているのが、黄砂を含む空気のかたまりかな〜と思うほど、怪しげな底霧?がいつまでも残っています。天狗ガ城でしばし周囲の眺望を楽しみ、中岳との稜線から、池の小屋付近を散策。池の小屋前の上宮跡?にはなぜか壊れてしまった石仏が鎮座しており、在りし日を思わせるように優しく稲星山方面を向いています。詳しいことは知りませんが、信仰や修験の場だった九重連山には、あちらこちらに石仏があったりして、これもまた何かしらミステリアスでおもしろそうな素材です。

【11月20日】明け行く硫黄山・晩秋の由布岳と平治岳

11月20日の九重連山は晴。6時過ぎの飯田高原の気温は−3℃。湯布院ICから県道11号(通称やまなみハイウェイ)を飯田高原に向かい、飯田高原が一望できる朝日台を過ぎると薄明かりの千町無田付近に底霧が立ちこめています。ラベンダー園入り口付近から飯田高原ドライブイン付近にかけての低地には冷気が溜まっているようで、気温は−3℃で周囲は霜で真っ白です。長者原付近は0℃でしたから、随分暖かく感じます。さすがに気温0℃ということで、今期初めて冬用のジャケットと手袋を着用して、7時過ぎに大曲から入山。

霜柱こそ目立ちませんが、登路は凍結し融ければぬかるみそうです。バリバリと音を立てる凍結した登路を歩き、硫黄山取り付け道路からすがもり越へ向かいます。今回のルートはすがもり越に着いてから決めることにしています。雨具は持参していますが、登路の朝露が多ければすがもり越から北千里を経て中岳へ向かい、白口谷を下り法華院へのルート。朝露が少なければ、三俣山のピークを巡回です。

気温が低いので、ササに着く朝露も凍結しているかと思ったのですが、予想通りすがもり越付近は飯田高原より気温が高く冬用ジャケットも不要なほどです。しばし避難小屋で休憩の後、三俣山西峰へ取り付きます。上空は快晴にもかかわらず、朝露はほとんどありません。盛夏の頃はずぶ濡れになるほど朝露が多かったわけで、確実に季節が晩秋から初冬へと移ろっていることを感じます。

朝日を浴びながら三俣山西峰から4峰を経て南峰へ向かいます。陽が昇り気温が上昇したこともあるのでしょうが、無風の山頂付近は長者原付近よりはるかに暖かです。平治岳の向こうに望む由布岳周辺には、雲海状の雲が広がり始め、由布岳も飲み込まれていきます。
快晴ですからいずれこの雲も消えるのでしょうが、朝の景色は時々刻々と変化していきます。

三俣山南峰のお気に入りのテラスで、お決まりの大休止。眼下の坊ガツル野営場にはテントが3張りあります。9時前から1時間あまり至福の時を過ごしている間に、テントも増えてきました。9時30分を過ぎると山頂付近にも登山客が増え始めます。おいしく過ごせる時間もそろそろ終わりです。早々に山を下り、11時前に大曲に帰着しました。

【11月27日】氷結し始めた御池

11月27日の九重連山は晴。5時過ぎの長者原の気温は−5℃。先週朝の飯田高原に漂っていた冷気も冬の到来を予感させたのですが、今回は本格的な冬の走りといえるほどの凛とした心地よい冷え込みの朝を迎えました。まだ寒さに順応していない晩秋から初冬にかけての冷え込みは、少々体に応えます。山行の際も、そろそろ冬の寒さに対応する装備が必要になっています。

5時30分過ぎに牧ノ戸峠から入山。日の出まで1時間強、この時刻から御来光観賞が可能な山頂は扇ヶ鼻か星生山あたりになります。ヘッドランプに照らされた登路は黒々と光り、先行者に踏まれた霜柱が白々と光ります。冬を思わせる寒さですから、できるだけ汗をかかないようにペースを押さえて歩きます。これがまた実にもどかしく、黎明の空が徐々に明るくなって行くのを感じつつ、西千里ガ浜から星生山へ向かいます。

6時50分頃、中岳南肩からの日の出を迎えます。雲一つない晴天で、ピーカンの空には染まる雲も何もなく単調な御来光ですが、何よりも清々しい清冽な御来光はまた格別です。山肌を照らす朝日を堪能した後は、強い風が吹き寒さも一際厳しい山頂を早々に発ち星生崎から久住分かれ方面へ向かいます。星生崎で憧憬の九重のgin氏に会いご挨拶。先を急ぎ、気になる御池に向かいます。さすがに一夜の冷え込みで凍結することはありませんが、それでも湖岸には氷が張っています。湖岸で氷の造形を撮影中のsumisumi氏に会いしばし情報交換。御池湖岸を迂回し中岳へ向かいます。

少々強めの風が吹くものの、風を避ければ日が注ぐ山頂は快適です。中岳山頂付近で、風を避け至福の一時を過ごした後、登路がぬかるむ前に山を下ります。快晴の空が広がる中、通年驚愕の賑わいを見せる牧ノ戸峠から久住山周辺のルートは、10時を過ぎるとさすがに登山客が増え始めます。霜柱が融け、徐々にぬかるみ始めた登路に足下を滑らせながら、11時前に牧ノ戸峠へ帰着。山を下った後は、のんびりと温泉に浸かり晩秋の九重連山を満喫したのであります。


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