2010年 春

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2010年3月

【3月6日】雨のすがもり越

3月6日の九重連山は雨。8時頃の長者原の気温は9℃。週末は雨の予報であります。自宅付近からすでに雨で、強くなることはないものの弱い雨が降り続けています。飯田高原に着いた8時前になっても依然として雨・・・・。車中で待機すること2時間あまり、やっとガス雨になりました。

すがもり越まで歩いて、ガスが晴れれば三俣山のピークを軽く回ることにして雨具を着用し10時過ぎに入山しました。気温は10℃前後でしょうが、湿度が高く雨具を着用していると蒸し暑くなるのです。ガスに煙る登路を淡々と歩き、硫黄山取り付け道路のセメント舗装路をのんびり歩きます。一段とガスが濃くなる登路を再び淡々と歩いてすがもり越へ向かいます。

ガスに包まれたすがもり越に着いた正午前、ガス雨が降り続けています。雨に濡れたすがもり避難小屋のベンチにシートを敷いて大休止。しばし至福の時を過ごします。昼食を済ませ、13時過ぎまでのんびりとコーヒータイムを満喫した後に、再び往路を引き返します。ガスは一段と濃くなり、周囲の景色も見渡せないまま指山観察路入り口付近の駐車場に14時過ぎに帰着しました。

【3月14日】坊ガツル木道と改築中の避難小屋

3月14日、7時前の長者原の気温は9℃。またしてもガスがかかり霧雨が降っています。曇りという予報を信じ7時過ぎに大曲から入山、ガスが覆うすがもり越へ向かいます。坊ガツル避難小屋建て替え工事の進捗状況を確認するために、のんびりと坊ガツルまで歩くことにしました。

ぬかるむ登路を抜け硫黄山取り付け道路を経て、ガスかかるすがもり越へ向かいます。先週半ばの雪がわずかに残る登路を淡々と歩きすがもり越へ着いた8時前、依然としてガスが濃く避難小屋の中を一通り撮影してから北千里へと下ります。
山荘へ着いた8時30分前になってもガスは濃く、山荘もガスに埋もれます。ともかく今回の山行の主目的である坊ガツル避難小屋建替工事の進捗状況を確認すべく坊ガツル野営場へ急ぎます。木道付近にさしかかった8時30分頃、急激にガスが晴れて大船山方面まで見渡せるようになりました。自然は実に気まぐれで、その後はしばらく青空も広がり燦々と初春の日が注ぐ晴天になりました。

野営場のテントを横目で見つつ、工事中の避難小屋に着くと、果たして以前の避難小屋は見事に解体され更地になっています。小屋の状況はセメントで固められた屋根部分が塗装した薄鉄板?で覆われ、小屋の壁面が白色に塗装され始めています。さすがに工事中の小屋の内部には立ち入ることもできず、詳細は不明ですが、室内は2区画に別れているようです。完成とお披露目の日を楽しみにしつつ、ピークを迎えたマンサクを堪能しながら坊ガツル野営場周辺を散策しました。

法華院山荘へ戻り、談話室前のベンチで燦々と注ぐ初春の日を浴びながらしばし至福の時を過ごします。9時30分頃になり、鉾立峠を越えてガスが流れ込むようになりました。上空のガスも徐々に広がり始め、10時過ぎに法華院山荘を発つ頃には、太陽も望めなくなっていました。北千里ガ浜への登路をのんびり歩き、ガスに覆われた北千里ガ浜を再び淡々と歩き、すがもり避難小屋もスルーして大曲に11時30分頃に帰着しました。

【3月20日】氷吹き寄せる御池

3月20日の九重連山は晴のち曇。7時過ぎの長者原の気温は13℃。荒れ模様という予報とは裏腹に、薄曇りの空が広がり、少々風が強い他は、一見平凡な朝を迎えたかのようでした。のんびりと自宅を発ち、コンビニで朝食を調達し長者原に着いた7時過ぎ、強い風が吹き木々がうねりをあげています。早春にもかかわらす気温は高めで、これから待ち受ける苦難を予想だにしないまま7時30分過ぎに大曲から星生山直登の登路へ入山しました。

高度を上げるにつれ風が強まり、樹林帯を抜けササ藪の原に出ると強烈な風が吹き付けるようになります。斜面を吹き抜ける横風でふらつきながらさらに高度を上げると、直立することが困難なほど風が強くなってきます。ササ原で風をよける場所もなく、時折登路にうずくまり風をよけながら星生山稜線に出ると、体ごと持って行かれそうな激烈な風に足下がふらつき危ないことこの上ありません。これほどの悪条件は久々の経験でありまして、山頂へ着いた9時前にはすでにヘロヘロであります。(苦笑)山頂を回り込み硫黄山を眼下に望む北西側の岩に座り少々安堵したものの、この強風の中で星生崎への稜線を歩けるのかどうか・・・。

山頂にこのまま居続けるわけにもいかず、岩にしがみつきながら星生崎手前まで着いたところで、強風の中でのさらに強力な突風で一瞬体が浮いて飛ばされそうになり肝を冷やしましたが、何とか久住分れまで下り一安心。9時30分頃からガスがかかり初め、押し寄せるガスが徐々に濃くなります。空池から御池にかけても強烈な風が吹いていましたが、星生山稜線に比べるとチョロいものであります。強風で御池の水がに吹きあげられ雨のように降り注ぐ中、御池の縁を迂回し池の小屋に待避。本当にこの池の小屋の存在は有り難いもので、うなりをあげる強風とは無縁の世界です。
1時間あまり待機し、一向に晴れる気配のないガスの中を北千里ガ浜を経てすがもり越へ向かいます。今回の山行はガスと風という二重の悪条件のためほとんど撮影もできずに、池の小屋まで往復しただけになりました。

【3月27日】薄雪のすがもり越

3月27日の九重連山は晴。7時過ぎの長者原の気温は−5℃。春爛漫を思わせる暖かな日が続いたかと思えば先週半ばからは一転して冬に逆戻りしたかのような寒さが訪れ、26日朝には県道21号別府一宮線(通称やまなみハイウェイ)にはチェーン規制が出されました。

7時30分頃に大曲から入山。今年も暖かな冬となったせいで、雪の感触も十分楽しめないまま春が訪れた気もするのですが、春の到来を実感していた矢先に再び雪を踏みしめて入山するなんてのは、何とも・・。(笑)この状況ですから、坊ガツルの野焼きは延期になるでしょうから、今回は三俣山へ軽く往復することにしました。

淡々と歩いてすがもり越に着くと、周囲の木々は霧氷に覆われ、春のすがもり越はまるで冬に逆戻りしたかのような光景が広がっています。三俣山西峰登路のササは雨氷でコーティングされ、朝日に輝いています。木々の枝には厳冬期を思わせる見事な霧氷が着き、登路には名残雪がうっすらと残ります。西峰登路周辺も4峰下の木々も霧氷に覆われ、燦々と注ぐ日に照らされクリスタルのようにきらめきます。本峰を経て、霧氷に覆われた南峰登路を通過して南峰へ向かいます。南峰山頂はうっすらと雪に覆われ、ここもさながら冬の装いです。例によって坊ガツルを見下ろすテラスに移動し、至福の一時を過ごしました。

2010年4月

【4月3日】改築された坊ガツル避難小屋

4月3日の九重連山は晴。7時過ぎの長者原の気温は1℃。延び延びになっていた坊ガツルの野焼きも3月31日に無事終了したとのことで、野焼き後の野営場周辺の景色も気になるところです。底霧が漂う玖珠の盆地を抜けると上空には初春の日が燦々と注いでいます。午前7時過ぎの長者原Pにも登山客の車が増え始める中、少々風は冷たいものの穏やかな春の日が注ぐ長者原付近はいつもと同じ光景が広がり、春霞で少々霞んでいます。少々のんびりして8時過ぎに入山、すがもり越を経て坊ガツルへ向かいます。

延び延びになっていた坊ガツルの野焼きは先月末31日(水)に無事終わったとのことで、先週三俣山山頂から望んで以来気になっていた改築を終えた新坊ガツル避難小屋の確認に向かいます。北千里ガ浜を抜けると眼下に広がる坊ガツルはすでに真っ黒というより雨で炭灰も落ち着いたようで黒褐色になっています。谷川の護岸工事も終わり静かになった法華院山荘を抜け、野焼きを終えた褐色の坊ガツル野営場をそそくさと過ぎて待望の坊ガツル避難小屋に向かいます。

野営場付近では工事中に車両が通行していた場所の保護マットが撤去され、敷き詰めていたブルーシートを取り除き地面を平たくする作業が最終段階を迎えています。作業を終えたばかりのクロボクの地面は凍結していましたが、融けるとかなりぬかるみそうです。待望のすがもり避難小屋に着き、まずは新築の避難小屋の周囲を一周して、いよいよ入り口のドアを開けると・・・・いや〜これはもう感激です。

避難小屋内は2室になっていて、北側(坊ガツル側)から入室して最初の部屋は木製のベンチと棚が備え付けられ、奥の部屋は回廊のように木製の床が設置されています。荷物を別の場所に置きマットとシュラフで寝るだけなら20人は寝られそうな広さで、意外に広いのです。感激の坊ガツル野営場で祝杯をあげ、時折小屋を訪れる登山客と情報交換しつつ2時間あまり過ごしました。さすがにまだ寒く、マットも持参していないのでのんびりと寝転ぶというわけにもいきません。これだけ整った避難小屋ができたのですから、大切に使いたいものです。

11時頃に名残を惜しみつつ避難小屋を出て山を下ります。まだ坊ガツルを渡る風も冷たく、雨ガ池から指山観察路を通り硫黄山取り付け道路の駐車スペースに12時30分頃帰着。野焼きを終え春の日があふれる長者原付近でのんびりしてから帰路に着きました。野焼きを終えた長者原付近では、1ヶ月ほどで黄スミレも咲き、GWの頃には三俣山や前岳のツクシシャクナゲも咲き始めることになります。また今年も山が鮮やかに染まる季節が徐々に迫ってきました。

【4月10日】日平峠から望む涌蓋山と涌蓋山山頂

4月10日の九重連山は晴。爆睡し自宅をのんびり発ち九重連山へ向かいます。曇り空ではありますが、雨が降る気配はありません。低く雲がかかっていて、四季彩道路の九重連山を一望できる町田の日平峠から望むと九重連山山頂付近にはガス雲が覆っています。天ヶ谷貯水池の向こうにそびえる涌蓋山はすっきりとしています。涌蓋山は九重連山の北西に位置している孤立峰で、このようなことはよくあるわけですが、このところなかなか足が向かずにすっかりご無沙汰でした。

涌蓋山へのルートもたくさんありますが、やはりスキー場側の一目山から快適な草原の牧草地の中を歩き、みそこぶし山から涌蓋越えを経て山頂へ向かうというのが個人的にはお勧めのルートです。今回は時間もないので、湯坪先の牧野道を通り一気に涌蓋越えから山頂へ向かいます。最初は延々と続く牧野の取り付け道路を歩くのですが、何だか以前と様子が違います。よく考えてみると野焼きがされていないのです。この時期は毎年野焼きをしていたはずなのに、これも近年の人手不足や野焼き事故の影響かな、などと考えるのは早計というもので、実は以前牧野だと思っていた場所はヒノキが植林され、鹿などの獣害対策のためにネット柵が設置されているのです。どうりで野焼きをしていないはずです。

一体どれほどの期間涌蓋山にご無沙汰していたのか記憶になく、帰宅後に山行記録を見ても記載していません。由布岳や涌蓋山などのお手軽な山行は記録も画像も残していないことが多く、そのために不明なのです。ヒノキの植林がなされたことを忘れていたのかどうかも定かでないので、2〜3年は来ていないような・・・そんなに長くもないような・・・、何とも不明です。(苦笑)

湯坪からの牧野道を淡々と歩き、涌蓋越え手前のササ原では昨夜の雨で濡れたササの洗礼を受け、スパッツを着用していなかったズボンの裾はずぶ濡れ。涌蓋越えから背後に開ける眺望を楽しみつつ緩斜面をのんびりと歩き、最初のピークである女岳に着きます。先行の登山客とご挨拶を交わし山頂へ向かうと孤立峰の涌蓋山は周囲の眺望が抜群に良く、すでに癒しモードに入っていることにふと気付きます。(笑)

春浅い山頂は、これまた抜群の眺望で360度の大パノラマが楽しめます。シートを広げて寝転び、徐々に雲が薄くなり日差しが照りつけるようになった青空を眺めてしばしまどろみの時を過ごします。ぼーっと九重連山を眺めるのもまた一興というもので、10時過ぎには九重連山山頂を覆っていたガス雲が消えていきます。午後は出勤のため、名残を残しつつ山頂を下り、そそくさと飯田高原を通過して由布市で昼食を済ませ大分市の職場へ向かいました。

【4月17日】春の久住山と御池

4月17日の九重連山は晴。8時前の牧ノ戸峠の気温は2℃。朝のんびり自宅を発ちコンビニのおにぎりをほおばりながら夜明けを迎え、これまたのんびりと九重連山へ向かいます。朝日が注ぎはじめると気温も上昇し初め、底霧が覆う玖珠町山間部の気温が−1℃だったにもかかわらず、牧ノ戸峠に着いた7時30分頃にはすでに2℃になっています。前述のように標高が低くても地形により寒気が溜まっているのかも知れません。長者原には駐車する車も少なかったのですが、さすがに牧ノ戸峠は他の登山口と一線を画す賑わいです。7時30分過ぎには下の駐車場はすでに満車に近く、上の駐車場にも車が駐まり始めています。これまたのんびりと装備を確認し、8時前に入山しました。セメント舗装の沓掛山登路をゆっくり歩き、沓掛山に着くと霜柱が登路を覆い、さながら冬の雰囲気です。気温が上昇して融けると泥濘地と化すことは必至ですから、早々に山を下る方が賢明なのでしょうが、何しろ8時頃に入山しているわけで、中岳付近まで往復すれば帰着するのは早くても11時過ぎになります。こうなると開き直って慌てずに山行を楽しむのが賢明であります。

空池の縁を迂回し、御池から中岳へ向かうと10人ほどの先行するご高齢の団体さんがいます。中岳山頂に着くと山頂付近を占拠し関東方面から来られたと思われる口調で賑やかに歓談していましたが、そのうちのガイドの男性がオカリナで坊ガツル賛歌を演奏し初めました。オカリナの音色は決して嫌いではなく、雰囲気を演出するために演奏するという気持ちは分かるのですが・・・・・。お願いだから山は静かに楽しんでちょうだいねっ、というのが切なる願いであります。お隣の方のたばこの煙もほぼこのたぐいでありまして、何遠慮なく自然の中で美味しくたばこを楽しんでいるのでしょうが、風下で臭いをかがされるのは堪ったもんじゃありません。などと、どうもお疲れの時は愚痴っぽくなってしまいがちです。(苦笑)それぞれのスタイルで山行を楽しめれば良いわけですから、こんなことを感じるなんてのは、自戒せねばなりません。

中岳を下り、天狗ガ城との尾根にある毎度の定点から春浅い御池と久住山の景色をぼんやりと眺めます。依然として御池周辺は冬枯れのままで、それでも春の日差しが燦々と注ぐと、心なしか緑が戻って来ているような気もするので不思議です。すでに10時30分を過ぎ徐々に融け始めた霜柱のせいで登路はぬかるみ初めていることでしょうから、ここはもう開き直って天狗ガ城山頂付近で眼下の御池を眺めながらの大休止。しばし至福の時を楽しんでから山を下ります。復路はやはりドロドロの泥濘地と化した登路に悪戦苦闘、靴には泥が付着して重くなり、せいぜい滑って転倒しないように細心の注意を払いながら無事牧ノ戸峠へ帰着しました。

【4月24】黒岳のツクシシャクナゲとミツバツツジ

4月24日の九重連山は曇のち晴。7時過ぎの阿蘇野の気温は6℃。GWが目前に迫り、そろそろ気になりはじめるのが前岳のシャクナゲです。春先の不順な天気のため日照時間が異常に少なく、寒の戻りで4月半ばになっても雪が舞うこの春は、きっと花も遅くなっていることは想像に難くないところでありますが、何しろ自然は気まぐれですから実際に確認してみないと分からないものです。

7時過ぎに白泉荘前に着くと、すでに水汲みの料金徴収が始まっていました。それにしても朝からたくさんのポリタンクを積んで炭酸泉を汲みに来る人の多さは驚くばかりであります。気になる咲き具合は、白泉荘付近のシャクナゲは現時が見頃です。今週後半になると枯れ花が混じり始めるかも知れません。新緑の森にみなぎる大地のパワーを吸収しながら徐々に高度を上げていくと、標高900m付近の白水分れ付近までは、およそ開花直後の株が目立つところです。

すでに咲いている株も、花の痛みは皆無で、今週末にかけて見頃を迎えそうです。
阿蘇野集落を一望できる標高1100m付近にあるテラス岩付近では、つぼみから花弁が覗き咲き始めの株が目立ちます。昨年は麓からテラス岩付近まで一気にピークを迎えた感がありましたが、今年は高度に応じて順調に麓から山頂にかけて開花が始まっています。やはり寒の戻りのためでしょうか、昨年より花は遅れ気味で、GW頃には1100m付近が最もきれいに咲いているかも知れません。もう一つ気になる花芽の付き具合の方は、大咲きした2005年よりは少ないのですが、昨年より少し多めかな・・、端的に言えばまずまずの印象を受けました。1100m付近で一気に咲けば見応えがありそうです。1100m付近から山頂にかけてはまだつぼみも堅く、花弁も全く見えない状況ですから、開花はGW以降になると思われます。全体的に昨年より花期は遅れ気味です。

9時30分に山頂着。寒風が吹く山頂から望む高塚山方面(前岳山頂から高塚山は見えませんが)はガスがかかっています。異様に寒いのでウインドブレーカーを着用し、山頂南側の日当たりの良い場所に移動し大休止。ガスが切れた束の間、よく見ると風が吹き付けていた木々には霧氷が着いています。さすがに春先の天気はこんなもので、山行時は防寒対策をお忘れなく。

10時30分頃まで1時間弱山頂にいましたが、その間訪れる人もなく静かな山を堪能しました。しかしながら、復路の下りではさすがに10名程度の団体さん数組に遭遇し、進路を譲る待ち時間がもどかしい。山を下った後は、白泉荘付近のシャクナゲ鑑賞です。自生している株とは異なり、手入れがよいのか1株に着く花も多く見応えがあります。現在ピークを迎えており、炭酸泉の水汲みを兼ねてお手軽なシャクナゲ鑑賞にはお勧めかと思います。

2010年5月

【5月1・2日】三俣山に沈む夕陽と坊ガツル野営場の夜と朝

【5月1日】
5月1日の九重連山は晴。12時過ぎの飯田高原の気温は15℃。GW5連休の初日、坊ガツル野営場で恒例の野営であります。九重連山へ向かう道々、思いの外車は少なく、中津市耶馬溪町の新耶馬溪付近もガラガラに空いています。新緑が限りなくきれいな時期なのに、やはり人出が遅れ気味?なのか、それとも、人の流れが変わったのかは不明です。
玖珠町で食材を調達し昼食を済ませ、飯田高原を通過して吉部着。有料駐車場の駐車車両は数台。道路脇の駐車スペースに難なく駐車でき、混んでいるだろうと思っていただけに拍子抜けするほどです。ほぼ昨年と同じで、野営を楽しむ登山客の出足は遅いようです。13時に入山、新緑に覆われ始めた鳴子川沿いの登路を快適に歩きます。某所のヤマシャクヤクは唯一咲いていた1株を除けばまだツボミで、開花まではあと数日はかかりそうです。登路脇のミツバツツジや、暮雨の滝付近に咲くシャクナゲを堪能しつつ大船林道に合流します。

大船林道に出て間もなく、小走りでやって来た女性の登山客から「この道は長者原へ行く道ですか?」と聞かれたのですが、どうやら長者原への導標を見落としたようです。「吉部へ出て長者原へ行くこともできますが、距離を考えると戻った方が賢明ですよ〜。」と答えたのですが、以前大船林道への登路脇に「この広い道は長者原へ行く道ではありません」という趣旨の看板が出ていたのですが、今はすっかり字が消えて用をなさなくなっています。

これだけ大きくルートを外すこともあるのだなと妙に感心していた?ところ、坊ガツルへ出て原因判明。雨ガ池への登路は流水で荒れてしまったので、付け替え工事を行っています。道標とガイドロープが張られた直後で、直前まで道標はなかったとのことです。
まずは法華院山荘で夕食用のビールを調達し、そそくさと野営場に向かいます。やはり予想どおりテントは少なく、昨年ほどは閑散としていませんが、これは一体・・・。静かな夜を堪能するため、中心部から離れた場所にテントを設営して間もなく、周囲は某高校の山岳部の春合宿のテント3張と教員のテントに囲まれてしまいました。何だかな〜、坊ガツルでも現実逃避はできないようであります。(笑)

夕食準備を終え、16時前にテント場を発ち大船山へ夕駆けです。黄砂のため少々霞んでいるようで撃沈の可能性が濃厚でありますが、今日は野営なので時間はたっぷりあります。焦ることもないわけで、のんびり大船山へ向かい17時に大船山頂着。まだ日は高く、日没までは2時間はかかりそうです。山頂を吹く風は冷たく、フリースやウインドヤッケを着込み、手袋をして準備完了、早速お楽しみタイムであります。傾き行く夕陽は至極の肴でありますが、ほどほどにしておかないとテント場へ下りの足下がおぼつかなくなりそうです。(苦笑)自制心を発揮し、日没までの2時間余り山頂で至福の時を過ごしました。

果たして夕駆けの結果はどうだったかというと、予想どおりぼんやりした夕景でほとんど焼けることもなく、19時頃に三俣山の向こうに落日していきました。早々にテント場へ戻り、待望の夕食タイムであります。満天の星空を肴に乾杯、いつになく静かな坊ガツルの夜は深々と更け、性懲りもなくいつしか酩酊してテントに転げ込み毎度の爆睡。酔って声高に話し、それが終わったと思う間もなく驚愕のイビキをとどろかせて爆睡する酔客も皆無で、拍子抜けするほど静かな坊ガツルの夜は静かに更けていったのであります。

【5月2日】
テントを揺らす風音に目覚めた4時過ぎ、外を覗くと星空が広がっています。昨夜の余韻が残り、朝駆けする気にもなれず再びシュラフに潜り込み朝寝を楽しみます。すっかり明るくなった6時過ぎ、隣のテントの様子がにわかに慌ただしくなっています。漏れ聞いたところによれば、同校の生徒が部活動の事故で亡くなり、急遽合宿を中止して帰校するそうであります。早々に撤収を始め、何だか気もそぞろでテントを撤収し、合宿組が野営場を発った8時過ぎに私も誘われるように野営場を発ちました。

薄雲が広がっていた空もいつしか青空になり、春の日が燦々と注ぐ大船林道を抜け鳴子川沿いの登路を新緑を堪能しつつ歩きます。吉部に帰着した10時過ぎ、依然駐車スペースにはまだ空きがあり、有料駐車場も、昨日よりわずかに車が増えた程度です。野営客だけでなく、登山客も少々寂しくなっているようで、GW後半は果たしてどうなるのかも気になるところであります。

【5月8日】新緑とすがもり越

5月8日の九重連山は晴。9時頃の飯田高原の気温は14℃。GW5連休が夢のように終わり、巷の11連休とはほど遠い喧騒の毎日が始まったところであります。飯田高原へ着いたのは9時を過ぎ、上空には薄く雲が流れ、空気もすっかり澄んでいます。朝駆けにはまずまずの条件だったはずで、朝駆け専科の諸兄らには久々の恵みの天気となっているはずです。

指山観察路付近の駐車スペースから早々に入山し、坊原からすがもり越へ向かいます。気温もすっかり高くなりすぐに汗が流れるようになります。心地よい汗を流しすがもり越へ着くと、避難小屋には涼風が吹き絶好の休憩場所となっています。小休止の後に三俣山西峰へ取り付き、最近すっかり霞んでいた空気も澄み渡り遠景がはっきり望める中を順調に歩きます。

先々週の前岳山行後に気になっていた三俣山のシャクナゲですが、?峰と本峰の谷は全く咲いていません。咲いていないというより花芽がないのです。どうやら今年は、前岳山頂付近や三俣山など高度のある場所ではシャクナゲは不作のようです。前岳の標高1000m付近まではそれなりの咲き具合で例年並みのようでしたが、山頂近くにかけては全くの不作で、三俣山も同じ状況です。

4月中旬の寒の戻りで遅れ気味だった山頂付近の木々の枝先にも芽吹きが始まり、山全体が躍動し始めています。三俣山南峰のお気に入りのテラスで、久々に澄んだ絶景を楽しみつつ昼食を楽しみ、絶景を楽しんでから山を下りました。長者原周辺の野焼き後の大地にも芽吹きがはじまっています。泉水山麓斜面にはワラビ狩りの人が点々と歩いており、春の深まりを実感する光景が広がっています。

短時間の山行だったので、すっかり油断していたのが原因ですが、温泉で腕を湯に浸けて思わず悲鳴をあげそうになりました。霞がなく澄んだ空気のためもあってか、恐ろしく日焼けしています。毎年4月後半から夏にかけて徐々に肌を焼いていくように心掛けていますが、とりわけ山行の際はしっかりとした日焼け対策をすることをお勧めします。

【5月15日】星生山の新緑と新設された中岳山頂標識

5月15日の九重連山は晴。4時頃の飯田高原の気温は4℃。昨夜は久しぶりに職場から飯田高原へ向かいます。毎度のこととはいえ、性懲りもなく爆飲して爆睡。目覚めたのはすでに4時、寒かったことも手伝いシュラフから抜け出す気も失せ、朝駆けの決意も空しく2度寝を決め込んでしまいました。(苦笑)

6時30分過ぎ朝日が注ぐ牧の峠から入山、爽快な朝の登路を快適に歩きます。初春は黄砂や霞で景色もぼやけていたのですが、このところ週末の空気は透明感も高く周囲の眺望も抜群です。沓掛山から星生山周辺まで木々が一気に芽吹いた葉を広げ、蛍光色に輝く緑が山肌を覆い始めています。鍋谷から星生山にかけて斜光線が差す斜面の緑を撮影しながらのんびりと歩きます。

西千里を抜け爽快な微風が吹く登路を快適に歩き、久住分れから御池へ向かいます。阿蘇方面や由布岳の眺望も良く、青空が広がる中で春を満喫しつつ御池を迂回し中岳へ向かいます。中岳山頂に着いた8時30分過ぎ、山頂は閑散としています。少々様子が違うな〜と思い、何気なく見ていると山頂標識が新しくなっています。先日大船山の山頂標識が新しくなっていたのですが、同じ形状の山頂標識が設置されています。

いつ頃からか、お手軽に山頂に着くことができる三俣山や中岳周辺のピークには私設の山頂標識が乱立し、朽ちた後は放置されて見苦しい状態になっていました。新設された山頂標識以外は片付けられ、雑然としていた山頂もすっきりとしています。新設された標識をよく観察すると、山名が記されている2面のうち片面は彫りがあり、もう一方には彫りがなくペイントで山名が書かれています。

しばし山頂で周囲の眺望を楽しみつつ休憩し、周囲の山を見渡すと山頂に何だか新しい山頂標識があるようです。天狗ガ城は確実に新設されている様子が伺えたので、早速確認へ向かいます。中岳と天狗ガ城の稜線の毎度の定点で徐々に緑が回復し始めた御池と久住山を撮影し、天狗ガ城山頂へ向かいます。

中岳山頂からでも確認できたとおり、やはり天狗ガ城山頂標識は新設されていました。こちらも同じように片面に彫りがあり、片面はペイントで描かれているものです。以前あった塔婆のような私設標識は撤去され、ここもすっきりと片付いています。先週の三俣山では、本峰に私設標識が乱立し見苦しくなっていましたが、折角の機会ですから、是非とも山頂に私設の造物が持ち込まれないように期待したいものです。

【5月22日】平治岳のミヤマキリシマとギンリョウソウ

5月22日の九重連山は晴のち曇。5時頃の飯田高原の気温は15℃。先週より10℃以上暖かな穏やかすぎる朝を迎えた九重連山では、雲がかかる東の空がしばし朝焼けしています。そろそろ気になりはじめたミヤマキリシマの開花具合確認のため、平治岳へ向かうべく6時30分過ぎに吉部から入山しました。予報では天気が徐々に崩れ午後は雨になりそうですから、早々に山行を終えて下らなければなりません。

登路を木々の葉も一段と濃さを増し、樹間から望む空は曇り空から青空へと変わっていきます。やがてやわらかな日も差すようになり、鳴子川沿いの登路を抜け、大船林道から大船林道4号集材路を経て平治岳北登路へ向かいます。周囲の森にはギンリョウソウの怪しげな白い花が落葉の間から頭をもたげています。

ミヤマキリシマ開花時期になると利用者の急増で荒れる平治岳北登路は、ハシゴ場の付近では相変わらずクロボクの急登の登路が滑りやすい状態ですが、それ以外にはまだほとんど路面の荒れはありません。順調に高度を上げ、平治岳山頂を望む平治の尾の平地付近に着くと、やはり開花が始まっている株があります。ほとんどの株はつぼみから花弁の色が確認できるほどの開花状況です。早咲きの株もありますが、少数です。

平治岳山頂付近のミヤマキリシマはまだつぼみも堅く、開花まで2週間程度、ピークはおそらく6月中旬以降になると推測されます。昨年5月23日<に比べても全般に開花は1週間以上遅れています。やはり4月中旬の寒の戻りが影響しているのかも知れませんが、シャクナゲも含めて花の開花が全般に1週間から10日程度遅れ気味です。

平治岳南の峰へ移動し、大戸越を見下ろす岩場で大休止。山を渡る風も心地よく、しばし至福の時を過ごします。平治岳南斜面も大戸越斜面もやはり昨年に比べて1週間以上開花が送れています。こちらもピークは6月中旬となりそうです。平治岳山頂付近から大戸越にかけて花芽は例年並みの付き具合で、昨年よりは少なめという感じです。現時点で虫害の発生は確認していませんので、順調に開花すればそこそこの咲き具合となりそうです。

予報では午後の降水確率が高く、空には雲も広がってきているような、いや・・・変化していないような??この後の行程は、当然北大船山から段原周辺の状況を確認して・・・、といきたいところですが雨に遭うのはやはり気が重い。経験則からいえば、「迷った時は潔く止める」というのが鉄則で、欲をかくとロクなことがないという例も幾多経験しました。空は晴れてきているようにもありますが、大戸越で小休止の後に山を下ることにして、大戸越から平治岳を巻いて大船林道終点へ向かう登路をゆっくりと下りました。

ミヤマキリシマに関しては、まだ一部の早咲きの株が開花し始めたばかりで、気まぐれな自然のことですから、今後の天気いかんで、全体の咲き具合はどのように変化するか不確定要素が多すぎます。しかしながら、個人的な見解では、やはり昨年より1週間から10日は送れているようです。ということは、ピークが6月中旬となるということです。

残念ながら今年のミヤマキリシマのピークには出会えなくなるということなんですね〜。(涙)今年は6月中旬から6月末まで関東某所への長期出張があります。3週間山行も出来ず、当然ですがサイトの更新もできません。サイト開設以来初めての経験でもあり、何ともいえない心境ですが、こればかりは仕方がありません。せいぜい週末の秋葉原散策で気を紛らわしてくることにしましょう。(笑)

【5月29日】大船山のイワカガミと開花目前のミヤマキリシマ

5月29日の九重連山は晴。5時過ぎの長者原の気温は10℃。いよいよ次週は山開きとなった5月最後の週末、遅れ気味のミヤマキリシマの状況も気になるところでありまして、先週に続き平治岳と北大船山付近の様子を確認すべく吉部へと向かいます。道路脇の駐車スペースにはすでに多くの車両が駐車しており、有料駐車場にも車が駐まっています。はやる気持ちを抑えて、6時30分頃に入山しました。

鳴子川沿いの登路を快適に歩き、大船林道に出る頃には薄曇りの空からわずかに陽も注ぐようになり、徐々に濃くなる緑が鮮やかに見えます。大船林道4号集木路は木々が茂って薄暗くなっています。なぜか先週はなかった倒木が集材路に倒れかかっていたりするのですが、それほど荒れた天候があったかな〜と不思議な感じです。

相変わらずよく滑るクロボクの登路は、登山客の増加で徐々に歩き難くなってきました。特にハシゴ場の付近では、雨天後はズルズルに滑って要注意です。順調に高度を上げ平治岳北斜面に広がる平地である平治の尾に着くと、先週よりミヤマキリシマのツボミが膨らんでいます。すでに8分咲きの株もあり、美しさに思わずため息が出そうになります。しかも、今年は虫害がなく、実際この後の山行でも随所で確認したのですが、現時点で虫害は皆無です。

気になるミヤマキリシマの開花状況ですが、山頂付近から平治岳南の峰にかけてツボミは決して多くはないものの、現状で虫害は皆無ですから、満開となればかなり見応えがあると思われます。大戸越を見下ろす平治岳南の峰でしばし小休止。薄曇りの空は晴れて心地よい日が差すようになっています。

平治岳山頂付近 ・・・ 虫害が皆無で花芽は良好。ピークまでは2週間程度。
山頂南斜面   ・・・ 山頂付近に同じ。
南の峰     ・・・ 大虫害が皆無で花芽は良好。ピークまでは2週間程度。
大戸越付近   ・・・ 8分咲き。現状では虫害は皆無で花は良好。

大戸越から北大船山へ向かう途中でかなりご高齢(70代かな?)の数名のご婦人のグループに出会いました。荒れた登路を下るのに苦労されていましたが、大船山を迂回して大戸越に下っているのですからかなりの健脚です。それにしても近年ご高齢の登山客が確実に増加しています。以前はご高齢の団体に会うと、そこはかとなく漂うサロンパスの香りに卒倒しそうになったものですが、最近はそれもなく闊達と歩く団体さんが多いのです。私なんぞは70代まで生きている自信が全くなくて、よしんば生きながらえていても、晴耕雨読ならぬ晴飲雨飲の酔いどれ爺と化していることは確実で、山行なんてとても・・・・自信がありません。(苦笑)

北大船山付近も、現状では虫害は皆無で良好な株がほとんどです。ツボミの状況は昨年よりは少なめですが、このまま虫害が発生しなければ、かなり見応えがありそうです。実際のところミヤマキリシマの表年だ裏年だといっても、近年は虫害による影響で、何だかよく分からなくなっているのが実態です。本来なら今年はやはり裏年ということなんですが、それ以上に虫害による影響が大きいのが実態です。気になる北大船山付近のミヤマキリシマの状況は以下のとおりです。

大戸越側斜面  ・・・ 花芽はこの付近では例年どおりで、少なめ。
米窪周辺    ・・・ 虫害は皆無。ピークまでは2週間前後。
北大船山頂付近 ・・・ 虫害は確認されず、ピークは10日から2週間前後。

こちらも、現状では虫害は確認できず良好です。4月の著しい寒の戻りで傷んだと思われる株は一部にありますが、限定的です。このまま開花までに虫害が発生しなければ、かなり楽しめそうです。10時前になり、段原付近でも徐々に登山客も増え始めたので坊ガツルへ下ります。野営場にはすでにテント村が出現しつつあり、その後も野営装備を担いだ登山客が次々にやってきましたから、今夜の坊ガツルはかなりの賑わいとなりそうです。


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