2011年 冬

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2011年1月

【1月1日】暮雨の滝

1月1日の九重連山は雪のち晴。8時頃の飯田高原の気温は−7℃。年末からの寒波の襲来で一面の雪景色となった九重連山への今年初山行です。大晦日の夕刻から降り始めた雪は、夜には平地でもうっすらと積もり始めました。雪は断続的に強くなり、しかも1月2日はかなり寒波も緩み平地では雨になるかもということですから、気になる暮雨の滝の凍結具合を確認するには、元旦しかないのであります。

やまなみハイウェイは朝6時頃から除雪作業が始まりますから、積雪があっても深夜や早朝でなければまず通行できないということはありません。さすがに幹線道路をはずれると除雪の始まる時間も遅く、千町無田から吉部へ向かう道路付近は、周囲の畑や牧草地と区別がつかない場所もあります。吹きだまりもでき、四駆車でも通るのを躊躇するほどの状態です。

吉部登山口付近の積雪は30cm程度で、昨日までの雪に新雪が積む状態です。早々に装備を確認し8時30分過ぎに入山。先行者はあるようですがトレースは完全に消えています。登路の積雪は40cmを超え、斜面では膝上から腰元まで埋もれます。細くてもトレースが付いていれば楽な雪の登路も、さすがに膝上まである積雪をラッセルしながら歩くとなると最初から体力勝負となります。

10時に暮雨の滝入り口へ着き、腰まで雪に埋もれ木々から降りかかる雪に全身まみれながら滝へと下ります。期待しつつ滝壺へ下ると、残念ながら暮雨の滝は完全氷結まで後一歩というところです。さすがに鳴子川は細い川とはいえ、この程度の寒波では完全氷結はしないようです。以前も何度か完全氷結の一歩手前の状態を確認したこともありますし、完全氷結しているという情報を聞き駆けつけたものの、すでに滝壺が一部融け始めていたということは何度かあります。水滴も散らない状態まで凍り着いてしまう完全氷結は、見たことがありません。そもそも休日にそれほどタイミング良く寒波が襲来するはずもなく、何度か完全氷結はしているのでしょうが、運悪く週末まで保たないということなのでしょう。

暮雨の滝で1時間あまり過ごし、再び登路へ戻ると依然として新たなトレースは付いていません。坊ガツルからの下りの登山客に期待したところですが、再び膝上まである雪をラッセルしながら坊ガツルへと向かいます。坊ガツル北端の林道に出る手前で、林道側から10mほどトレースが付いていましたが、雪が深かったため引き返したようです。(苦笑)

坊ガツル側からやってきた大船山の復路という登山客としばし情報交換。坊ガツルから段原まで数名で先頭を交代しながら雪をラッセルし、3時間かけて段原まで着いたものの、あまりの風の強さと腰上まである雪で大船山頂アタックは断念し、下ってきたということであります。それにしても元旦から積雪した大船山頂をめざすとは、そこまでストイックにならなくてもと思うのですが、それはもう本人の意志の問題でありますので何とも・・。

強めの風が吹き抜け、雪煙が巻き上がる坊ガツルを横断し野営場に着くとテントが2張。越年野営にしては少なめであります。風を避けて坊ガツル避難小屋へと待避し、先週に続き避難小屋で至福の一時を過ごすのであります。気温は−6℃で、決して暖かいなどという生やさしいものではないわけですが、風を避けられる避難小屋は別世界です。

上空に青空が広がり始め、日も差しだした13時頃に坊ガツルを発ち、再び往路を引き返します。すでにかなりの登山客が歩いたトレースは太くなり、往路とは比べものにならないほど楽に下れました。吉部から坊ガツルまでの往路は2時間30分ほどかかったのですが、復路は1時間30分ほどで、無雪期と変わらないコースタイムで歩くことができ、14時30分に吉部へと帰着しました。ひとまず新年の初山行を無事終えることもでき、今年もまた何とか無事に山行を続けていけることを期待するばかりであります。

【1月8日】西千里から望む久住山

1月8日の九重連山は晴。6時頃の飯田高原の気温は−16℃。沓掛山付近の積雪は30cm程度で、登路にはトレースが付いて大変歩きやすくなっています。明け行く九重連山を眺めつつ徐々に高度を上げていくと、沓掛山付近で三俣山の山肌が徐々に朝日に染まるようになってきました。

扇ヶ鼻登路にも星生山登路にもトレースはなくラッセルする気力も涌いてきませんので、あえて踏み込むことはせずに西千里ガ浜を過ぎ、久住分れへ向かいます。風が強く積雪も少なめの久住分れも雪化粧して、昨年冬以来の雪景色を楽しみます。久住山頂や天狗ガ城山頂には朝駆けの登山客の姿も垣間見えるわけで、早朝から入山する朝駆け専科の諸兄らには敬服するばかりです。

完全氷結した御池の湖面を横断し、中岳山頂から望む久住山方面は完全な雪景色で、遠く阿蘇方面から祖母・傾山系にかけてもはっきりと望むことができます。中岳山頂で風を避け、周囲の景色を堪能しつつしばし至福の時を過ごします。徐々に登山客が増え始めた10時過ぎに中岳山頂を発ち、天狗ガ城を経由して山を下ります。

11時を過ぎ、扇ヶ鼻付近まで下った頃には団体の登山客も次々にやって来るようになり、細いトレースは混雑します。山を下り牧ノ戸峠駐車場に着くと、駐車場付近は大混雑。下の他駐車場はすでに満車で、上の駐車場は積雪のため車が乗り入れらない状態でしたので、除雪して道路脇に雪がたまり細くなった道路に駐車する車が列を作り、バスが離合するのに困っている状態です。

雪景色を堪能したい気持ちは分かるのですが、やはり路上駐車は遠慮してもらいたいものです。長者原からでも入山はできますし、どうしても牧ノ戸峠から入山したいのならば、冬季は日の出前であれば駐車スペースに空きもあるでしょうから、早朝からの山行をお勧めします。

【1月15日】厳冬のすがもり越

1月15日の九重連山は雪。7時頃の飯田高原の気温は−5℃。気温は低くないものの雪混じり風が吹き、山頂にはガスもかかり視界が開けません。ガスがかかり吹雪いている中で入山しても撮影もままならないわけで、一瞬躊躇しましたが、すがもり越の避難小屋の様子も気になるところですし、すがもり越から北千里付近の状況を確認することにしました。

問題は入山の場所でありまして、先週までの積雪に加え新たな積雪もありますから、トレースが消えかかっている長者原からすがもりまでのルートを膝上まで雪に埋もれながら歩くほど粋狂ではありません。(苦笑)ついでに、これまでどうしても気になっていた、冬季とりわけ積雪時の駐車場事情も確認したいところで、大曲に駐車スペースを確保して入山することにしました。

大曲の駐車スペースは、除雪した雪が70〜80cmほどの高さで入り口を塞ぎ乗り入れができなくなっています。内部の駐車スペースは20〜30cm程度の積雪で、固まった状態ではありませんから、駐車スペース入り口の雪を排除すれば、乗り入れてもスタックしてしまうことはなさそうです。

幸い入り口を塞いでた雪は氷結した状態ではなかったので、ショベルでブロック状に切り出して除くことができます。入り口の雪を除くのに40分以上かかり汗びっしょりになるほどで、すでにかなりの体力を消耗してしまいました。

駐車スペースを確保して入山するまで1時間が経過し、時刻はすでに8時を過ぎています。雪掻きによる体力の消耗は意外に厳しく、入山前に汗までかいているものですから、寒風を受けると腕が異常に冷たく感じます。さらに先行者のトレースはほとんど消えかかっていて、吹雪いているのでトレースの痕跡を探すのもままなりません。先行者のトレースの痕跡をたどりながら慎重に歩いたためもあってか、大曲からすがもり越まで1時間40分もかかってしまいました。

10時過ぎに長者原から入山したという登山客がやってきました。久住山へ向かう予定ということでしす。しかし、吹雪いてガスがかかる天気でしたので、北千里まで下って様子をみてから判断するということです。私なんぞは、吹雪いて撮影もままならないことを言い訳にして、すがもり避難小屋で寒風を避けて至福の一時を過ごしているわけで、ストイックに吹雪の中へ向かっていく根性は欠落しているのであります。(苦笑)

1時間あまりすがもり避難小屋で過ごしてから、大曲へと下りました。大曲からのルートの往路に付けたトレースは、ほとんど消えかかっていました。駐車スペース入り口の除雪をしているので、何台か四駆車が乗り入れて雪が締まっていることを期待したのですが、空しくも期待は空振りです。駐車スペースからの脱出も特に問題はありませんでした。

【1月22日】厳冬の三俣山へ向かう

1月22日の九重連山は晴。7時前の大曲の気温は−8℃。快晴の朝、前回は吹雪いて断念した三俣山方面へのリベンジ山行であります。大曲に着いて、まずは駐車場確保のためせっせと雪かきです。前回、道路から駐車スペースへの雪の壁を切りくずいていたので、今回は比較的楽に入り口を広げることができました。何台かが乗り入れているようで轍がかなり深くなっています。周囲の雪を切り崩して轍を埋めて乗り入れました。駐車スペース内部の積雪深は20〜30cmはありそうですが、特に問題なく車両の方向転換もできました。

積雪があるため大曲周辺の駐車場事情が厳しく、三俣山方面への登山口としてはメジャーな場所であるにもかかわらず、入山する登山客は少なくなっています。当然といえば当然のことでありまして、今回も大曲から硫黄山取付道路まで先行者のトレースは消失し、わずかに残るトレースの痕跡も細く、もしかすると前回残したトレースが残っているだけだったのかも知れません。

長者原から坊原の硫黄山取付道路をショートカットする登路と合流すると、トレースも広がり、ここからは楽に歩くことができます。すがもり越えまでの登路には一部に吹きだまりがあり、1mを超える積雪がある場所もあります。先週から新たな積雪もあったようで、わずかに積雪は増えているようです。

すがもり避難小屋は雪に埋もれ、小屋内部に吹き込んだ雪は先週より確実に増えています。見上げる三俣山上空には青空が広がり、雪原が手招きをしているように見えます。わずかに残る先行者の痕跡を探しつつ、西峰登路に取り付きます。積雪期は、通常の登路は見えるわけもなく、雪の状態の良い場所を探し、雪原からわずかに枝を除かせる木々の間を縫うようにステップが刻まれています。

西峰山頂付近は凍てつく強い風が吹き、乾燥した地面が覗くほど積雪が少ない場所もあります。しかしながら、積雪は30cm程度はありそうで、踏み抜くと腰上まで埋もれる場所も少なくありません。西峰から4峰と本峰の間にある雪原にステップを刻みながら4峰へ向かいます。やはり山頂付近は強い風が吹き、凍てつく寒さです。

雪原にルートを探しながら慎重に歩いたため、4峰へ着いたのは10時30分で、入山からすでに3時間以上が経過しています。無雪期の2倍以上の時間がかかっているわけであります。先週後半は出張で、毎度のことながら霞ヶ関周辺を駆け回っていました。当然ではありますが、出張中の残務整理のため、午後からの出勤を考慮すればタイムリミットであります。岩陰で風を避け、周囲の雪景色を堪能しつつ少々早めの昼食タイムを楽しんだ後、名残を惜しみつつ山を下ります。

11時過ぎには、山頂付近にも後続の登山客が訪れるようになり、12時前にすがもり避難小屋へ下った頃には、すでに小屋周辺では、いつもの喧騒が始まっていました。先週の吹雪いて閑散とした凍てつく避難小屋とは打って変わり、燦々と日が注ぐ雪景色の九重連山へは、今日も多くの登山客が訪れています。

【1月29日】厳冬の池の小屋にて

1月29日の九重連山は雪。7時前の牧ノ戸峠の気温は−7℃。この冬は近年の冬より明らかに寒さが長続きしており、九重連山周辺の積雪も多めに残っています。登路の積雪も多めに残っています。

ガスがかかり雪が舞う天気で朝の牧ノ戸峠を訪れている登山客も少なめ。7時に入山し沓掛山第1展望台で先行の登山客を追い抜くと、その祖は扇ヶ鼻手前で後続の登山客に追いつかれるまで、誰にも会うことはありません。新雪の積雪がほとんどなく、昨日までのトレースがはっきりと残っているので、踏みしめられた登路の雪は固く締まり、無雪期よりはるかに歩きやすいほどフラットな登路になっています。

このガスと粉雪が舞う天気はいかんともし難く、視界は限りなく悪く淡々と歩くだけです。西千里から久住分れを経て、御池へ向かいます。御池は、厳冬期特有の御神渡り状の氷の盛り上がりができ、かなり大きめの割れ目も形成されています。何より中央部付近の割れ目付近で氷の下が見えるのではないかと思われるような透明な氷で覆われている付近では、上に載った程度で割れることはないとはいえ、少々不気味です。

凍てつく厳冬の風は強烈で、立ち止まって撮影をしているとすぐに体が冷えてきます。こうなるともう池の小屋に逃げ込むしかない・・わけで、早々に池の小屋に向かいます。池の小屋付近は吹雪で、凍てつく寒さです。温度計を持参していなかったのですが、気温は−10度を下回っていることに間違いなく、このような状況では池の小屋のありがたさをひしひしと感じ、ひたすら感謝であります。

池の小屋には扇ヶ鼻分岐付近で追いついてきた先行の登山客も待機中です。ガスの濃いときでも、天気が回復気味の時は断続的に切れ間が出るものです。さすがに午後から冷え込みが強まるという予報で、明日にかけて寒波の流れ込みが予報されている状況では、ガスの切れる期待も空しく、全く薄れることもありません。それどころか一層ガスは濃くなり、雪も徐々に強く降るようになってきました。

2011年2月

【2月5日】厳冬の三俣山

2月5日の九重連山は曇のち晴。7時過ぎの長者原の気温は−3℃。昨年末からの記録的な寒波の継続で、依然として九重連山の積雪も多くなっています。前回までにも何度かお知らせしたところですが、2004年1月などの近年でも積雪量が多かった年に比べると、一度の降雪量はそれほど多くはありません。しかしながら、寒さが長続きしていて、1週間後になっても、融けた積雪は少なく、新たに降った雪が雪原のトレースを優しく消しているという状態です。

大曲付近の駐車場事情も同様で、先々週からほとんど積雪に変化はなく、依然として除雪した雪がガードレールを覆い隠し、駐車スペースには30cm程度の雪があります。今回は除雪不要で難なく駐車スペース内で方向転換もでき全く問題なく駐車しました。登路に入り振り返って見ると後続で乗り入れてきた乗用車タイプの4駆車はスタックしているようで、乗り入れることはできたのですが、車体の底がつかえ車輪が空転しているようです。車高がある程度高くて、デファレンシャルをロックできる機能がない場合は、頑張って雪掻きをしなければ駐車スペースを利用するのは今しばらく難しいのかも知れません。しかしながら、暖かさが続けば1週間程度で劇的に改善されると思います。

のんびり準備して8時頃に入山。確実に踏み固められている登路も、一歩踏み外すと膝上まで踏み抜いて転倒につながります。やはりここは注意して歩かなければいけません。坊原上からすがもり越にかけては2週間前とほとんど変わらない程度の積雪がありますが、すがもり越避難小屋前だけ積雪がほとんど融けて消失しています。相変わらず避難小屋内部に残る雪は多く、ベンチは完全に埋もれています。

すでに時刻は9時になっているものの、牧ノ戸峠から久住山周辺のルートに比べると登山客の出足ははるかに遅く、先行者は2〜3人程度のようです。西峰登路を覆っていた雪も随分融け、登路の路面が見える場所も増えています。雪原に残るトレースもしっかり残り、歩きやすくなっています。西峰登路で先行の登山客をパス、西峰から本峰を経由して南峰へ向かいます。

本峰から南峰下までの下りはトレースがなく、どうやら先行した登山客は4峰を経由して南峰へ向かったようです。雪原にはトラップが待ち受け、踏み抜いて腰まで埋もれつつ、南峰下着。南峰登路の積雪で登路が嵩上げしており、着衣やザックが木の枝に引っかかり歩きにくくなっています。それでも先行者が残したステップは南峰山頂まで確実に残っており、楽に山頂に着きました。

南峰山頂付近の積雪は少なく、山頂標識付近ではほとんど融けています。坊ガツルを見下ろすお気に入りのテラスに移動し、毎度のことながら至福の一時を過ごします。周囲の景色は少々霞み気味ではありましたが、風も弱く快適な大休止であります。早めの昼食を摂り、しばしまどろみそうになるのを我慢し、意を決して11時前に山頂を立ち山を下りました。

【2月12日】厳冬の雨ヶ池

2月12日の九重連山は雪。7時前の長者原の気温は−7℃。年末から1月にかけては全国的に厳しい寒さが続いており、九重連山でも近年いないほど積雪が多めに残っています。一度の降雪量は決して多くはないものの、融けずに残っている雪が多いため結果的に積雪が多めになっている場所が増えているという状態です。

長者原へ着いた6時過ぎ、ライトに照らされた路面は吹雪いており、この状況で吹きさらしとなる牧ノ戸から中岳周辺へのルートを選択するのも気が重いため、入山する場所を決めかねて一時待機しました。周囲が明るくなった7時過ぎに長者原から坊ガツルまで散策することにして、タデ原木道へ向かいます。

タデ原は吹雪で、強い風は雪を巻き上げ、強烈に吹き付けてきます。タデ原を抜け雨ヶ池登路に入ると、頭上の木々は強烈な風で唸りを上げ、時折枝先に積もった雪が頭上から降り注ぎます。昨日までのトレースの痕跡を探しながら慎重に歩きます。雨ヶ池手間では吹きだまりも多く、1mを超える雪がベンチを覆い隠し、登路脇の斜面を吹き上げた雪が雪庇のようになっています。

坊ガツルに下ると、野営場にはテントが数張りあり、厳冬期とはいえ3連休とあってそこそこの野営客の出足であります。吹雪く坊ガツルを抜けて法華院山荘着。談話室でしばし至福の時を過ごします。伺ったところによれば、北千里までの登路は雪は多くないが、北千里ガ浜の風が強く飛ばされそうになったということであります。

法華院山荘を発ち、北千里ガ浜への登路を淡々と歩きます。北千里ガ浜はやはり強烈な風が吹き抜け、ジャケットのフードの中にも容赦なく粉雪が吹き込んできます。すがもり避難小屋は相変わらず内部が雪に埋もれ、積み上がった雪の山はもうすぐ天井部にまで届きそうです。気温−10℃の厳冬のすがもり越は、訪れる登山客も少なめです。

【2月19】段原から望む大船山頂

2月19日の九重連山は晴のち曇。6時過ぎの飯田高原の気温は−7℃。7時に鳴子川沿いの登山道から入山。登路は新雪がわずかに降り積もり、根雪となった表面を覆う状態です。今年の寒波は長続きしており、年末に降った雪が残ったままです。九重連山では一度降った雪が一旦融けた後に再び積雪することがほとんどで、今冬のように昨年末からの雪が根雪となって残っていることはあったかな・・・・・、なかったような気もしますが自信があろません。(苦笑)鳴子川沿いの登路は、絡められた雪の登路の片側が鳴子川に滑り落ちそうに傾斜しており、完全に氷結してしまうと少々手強くなりそうです。

大船林道へ抜けると除雪された路面をうっすらと新雪が覆っています。昨日までの雨は、九重連山では後半は雪になったようす。完全凍結した路面に氷が張り、バリバリと音を立てながら朝日が注ぐ坊ガツルへ向かいます。午前8時過ぎの野営場の気温は−7℃。朝日が注ぐようになり、気温も上昇し始めています。炊飯場は完全に凍結し、蛇口から流れる水が氷の芸術を作っています。

大船山登路は先行者のトレースがはっきりと残っています。よく締まった雪が登路を嵩上げしているので、無雪期は全く気にならない頭上の木々の枝がザックに引っかかり歩きにくいことこの上ありません。所々に雪の重みでたわんだ木が登路を塞いでいる場所もあり、歩きにくくなっています。一部で融けた雪が凍結している場所もありましたが、アイゼンがなくても登れるほど登路の状態は良好でした。

段原から望む大船山頂方面は坊ガツル側斜面の木々の枝を雨氷が覆っています。枝を氷でコーティングした状態で晩冬の陽にきらめいています。霧氷とは一味違う美しさで、しばし見とれながらゆっくりと歩きます。毎度のこととはいえ、段原から大船山頂は雪で登路が嵩上げしており、無雪期は登路の頭上を覆っている木々の枝が、胸のあたりに当たるうえザックが枝に引っかかり、実に歩きにくいのです。特に大船山頂下付近は雪が深く、1mほど雪が積もっているようで登路の木々の下の雪面を四つん這いで進まなければならない場所もあります。

10時過ぎに大船山頂着。無雪期より少々時間はかかったものの、山頂直下以外では手こずる場所も少なく難なく山頂に着きました。見渡す九重連山中央部は雪化粧しており、阿蘇から祖母・傾方面、由布岳、石鎚山?方面まではっきりと見渡せました。

12時頃の坊ガツルは気温も5℃まで上昇し、氷結していた路面も融けています。日だまりの坊ガツル野営場で昼食を兼ねて大休止の後山を下りました。晩冬を迎えた九重連山は確実に暖かくなってきました。雪景色に名残惜しさも感じますが、今冬は一際寒さが厳しかったため、春の訪れが実に待ち遠しく感じます。

【2月26日】すがもり越と三俣山?峰下

2月26日の九重連山は晴。6時前の長者原の気温は−6℃。前夜はまたしても週末恒例?の宴席を1次会で失礼し、ひたすら爆睡を警戒しつつ朝に備えたのでありますが、性懲りもなく目覚めたのはすでに4時過ぎです。大分市を発ったのは先週より少々早く4時30分頃になっていました。大分自動車道を経由し湯布院ICを出て、先週よりわずかに早めの行程で飯田高原へと向かいます。それにしても大分市街地の気温が7℃でしたので、長者原付近がこれほど冷えているとは思いませんでした。上空には晴天の星空が広がり、放射冷却で冷えたようです。

6時過ぎに大曲から入山。先週のまとまった雨に続き、今週後半の春を思わせる陽気のせいか、登路の雪は激減しています。大曲から硫黄山道路までの登路は一部がぬかるみ、その上を氷が覆っている状態で、氷を踏むと割れて、ぬかるんだ登路が見えるようになります。それでもさすがに残雪は多めで、星生山麓の硫黄山道路では1mを超える雪が覆っている場所もあります。

間もなくヘッドランプも不要になり、すがもり越えに着いた7時前には周囲の山頂に朝日が注ぎ始めています。すがもり越はほぼ無風で、長者原よりかなり暖かく感じます。晴天の朝の放射冷却で冷え込むと飯田高原に冷気が溜まり、山頂に近い方が気温が高くなっていることがよくあります。すがもり越から望む西峰斜面の積雪もほぼ消失し、登路を覆うササが見えています。

西峰へ取り付き順調に高度を上げていくと暖かいというよりも暑くなり、シャツ1枚でちょうど快適なほどです。西峰から4峰にかけて一部積雪が残る場所もありますが、1月後半に比べるべくもなく激減しており、春が近づいていることを感じさせます。それでも南峰登路は雪で嵩上げしており、ザックが木の枝に引っかかり歩きにくい場所もありました。

9時頃に南峰山頂へ着き、毎度の坊ガツルを見下ろすテラスで、しばし至福の時を過ごします。眼下の坊ガツルにはテントが設営され、晩冬の野営を楽しんでいる登山客もいるようです。まるで春を思わせるような陽気で南峰を渡る風も不思議に暖かく、季節が確実に冬から春へと移ろっていることを感じさせます。ことのほか厳しく感じたこの冬の冷え込みは、ここに来て急に春の暖かさへとシフトしているようです。

登路の氷が融けるとぬかるんで泥濘地と化す恐れがあるため長居はできす、早々に休憩を切り上げて山を下りました、幸いなことに登路はかろうじてぬかるむ手前でしたので、大曲への下りは実に楽でした。この冬はとりわけ積雪した登路を歩き慣れていたわけで、無雪の登路がこんなにも楽に歩けるものだということを改めて実感した次第です。

2011年12月
【12月3日】硫黄山道路から望む三俣山

12月3日の九重連山は雨のち曇。13時頃の長者原の気温は5℃。山行不可のはずだったのですが、正午前になって午後からフリーになることが判明。たまたま?山行装備が車に載っていたので、九重連山へまっしぐらであります。(笑)正午前の大分市内は、朝まで降っていた雨もあがり、少々風が強いものの、雲間から青空も見えます。夕駆け日和かな〜、などと安直に考えていたのですが、大分自動車道で湯布院ICを過ぎ水分峠から県道11号にさしかかると、大粒の雨が降り始めました。しかしながら天気は現地に着くまでわからないもので、楽観的に考えていたものの、現実はそんなに甘くはなく長者原付近は弱い雨が降り、山にはガスがかかっています。

長者原の気温が5℃ということは山頂付近は0℃。期待はできないものの初雪の可能性もありますし、ガスがかかっていれば霧氷が見られるかも、という期待も込め、ガス雨をやり過ごし14時頃に硫黄山道路から入山しました。通常は、坊原付近の硫黄山道路をショートカットする登路に入るのですが、ぬかるんだ登路に入るのも気が引け、そのまま舗装されている硫黄山道路を直進。

高度を上げるにつれ徐々にガスが濃くなり、すがもり越付近はすっかりガスに覆われています。15時前のすがもり越の気温は2℃。このまま三俣山に取り付けば、山頂付近の気温は間違いなく0℃近くまで下がっているはずです。しかしこのガスでは眺望も開けず、しかも強烈な風が吹き、とにかく寒いのです。

晴れていれば夕駆けのチャンスなのですが、このガスですからね・・・。迷った時は潔くやめるという山行の鉄則に従い、30分後にはすがもり避難小屋を発ち長者原へと下ります。夕景に期待し、飯田高原北端の朝日台の先にある涌蓋山の撮影ポイントである大石原付近で待機しましたが、涌蓋山もガスに隠れたまま夕暮れを迎えてしまいました。

【12月10日】凍てつく沓掛山の東屋と氷結した御池

12月10日の九重連山は曇。8時過ぎの牧ノ戸峠の気温は−5℃。12月になり、いよいよ忘年会も佳境を迎える時期となりました。ご多分にもれず前夜は臼杵市でふぐを堪能したところです。宿を発ち、九重連山へ向かう途中、7時過ぎの東の空にご来光も望め、今回は晴天に恵まれるかも、という淡い期待を抱かせます。しかしながら、やはり寒波が襲来した九重連山の天気は雪。1500mから山頂付近にかけてはガスが覆っています。道路にチェーン規制はなく、牧ノ戸と峠までスムーズに着きました。

私すでにスタッドレスタイヤに換装しており、過信は禁物とはいえ圧雪路でも問題ないのですが、毎年のように普通タイヤで飯田高原に乗り入れて、スタックしたり事故を起こした車を見かけます。これから厳冬季は、最低でもタイヤチェーンは持参するようにしましょう。スコップと牽引ロープ、乾燥砂もあるとなにかと重宝するのですが、九州では持参している人をほとんど見かけません。

9時前に牧ノ戸峠から入山。沓掛山登路はうっすらと雪が覆っています。新雪であれば問題なく登れるはずなのですが、思いの外良く滑ります。どうやらセメント舗装の登路は少しばかり凍り、その上を雪が覆っているようです。慎重に歩いて、沓掛山第1展望台は着くと、山頂付近にかけてはうっすらとガスがかかっています。周囲の木々には見事な霧氷が着き、先週とは打って変わって完全な冬景色になっています。

1年ぶりの雪の感触を楽しみながら、ガスがかかる登路を淡々と歩くと、扇ヶ鼻分岐付近からは一気に風が強くなります。気温は−7℃近く、まだ耐寒感覚が戻ってこないため、露出している顔面も凍り付きそうなほど寒さを感じます。久住分れ付近からさらに風が強まり、御池にかけては厳冬期を思わせる寒さです。当然ながら御池は完全氷結し、湖岸の岩には岩氷がびっしりと着いています。

ガスもかかり山頂に向かう気もなくし、寒さを避けて池の小屋に逃げ込みます。池の小屋で30分あまり待機し、11時30分頃には池の小屋を発ち山を下りました。積雪はわずかでしたが、やっと冬景色も堪能でき、確実な季節の移ろいを実感しました。やはり今年は高温傾向が続いたため、体感的にも秋が極端に短く、夏から一気に冬になってしまった気がします。やはり、季節は行きつ戻りつしながら、ゆっくりと移ろう方が心にも体にも優しく嬉しいものです。年々秋が短くなっているような気もしているのですが・・・。<P>

【12月17日】霧氷輝く三俣山

12月17日の九重連山は快晴。10時前の長者原の気温は−4℃。今年も残すところ2週間余りとなり、年末恒例の忘年会は、先週に続き懇親会や情報交換会など多岐にわたる名称で催されるものの、いずれも紛うことなき忘年会の趣であります。

大分市を発ったのはすでに9時前で、大分自動車道湯布院ICから県道11号に入ります。この冬初のチェーン規制が出され、山下湖付近では路面に圧雪がある場所もあります。厳冬期は水分峠から阿蘇一宮まで完全に圧雪路になることを思えばささやかなものですが、雪道の感覚を忘れているため、少々不安です。さらに長者原から牧ノ戸峠にかけても一部圧雪路があり、無謀にも普通タイヤで乗り入れて坂を登れず、車線の中央にハザードを点灯させて駐まっている車もあり、全く困ったものです。

すでに10時を過ぎ、上空に青空が広がる中を大曲から入山。はやる気持ちを抑え、霧氷と雪で真っ白になった三俣山へ向かいます。晴天ですから、気温が上昇すれば霧氷が落ちてしまうのではないかと気が気ではありません。

それでも11時前にすがもり越に着くと、枝先の霧氷もほぼ完全に残っています。晴天ではありますが、意外に気温が低く霧氷がほとんど落ちていません。冬の日に輝く真っ白な霧氷を、しばしうっとりと眺めながらすがもり越で小休止。早々西峰の霧氷に覆われた斜面に取り付きます。

高度を上げていくと、木々の枝先には見事な霧氷が着き、大船山や久住山周辺も霧氷と雪で真っ白になっています。痛みを感じるほど冷たくもなく、それでも手袋をはずすとかじかむ寒さも心地よいほどで、西峰山頂付近から本峰にかけて広がる一面の霧氷原は、冬の到来を実感する光景で、うっとりと眺めながら歩きます。

本峰から南峰付近ではさらに見事な霧氷原が広がり、青空を背景に真っ白な霧氷が冬の日に輝く様子は本当に美しいものです。ザックが触れる度に頭上から降り注ぐ霧氷の洗礼を受けつつ南峰に着いた時には、すでに12時を過ぎています。

13時30分過ぎに南峰を発ち山を下ります。氷結していた登路も日あたりが良い場所では融け始め一部がぬかるんでいます。それでも気温は氷点下ですから泥濘地と化すこともありません。15時頃に大曲へ帰着した頃の気温は−3℃で、山の気温は終日氷点下で、本格的な冬の到来となったようです。

【12月23日】ガスかかる西千里と凍てつく池の小屋

12月23日の九重連山は曇。5時過ぎの牧ノ戸峠の気温は−8℃。忘年会の狭間を縫って2週間ぶりとなる山行前夜から現地入りです。静かに夜は更け、目覚めた4時過ぎ、上空にわずかに星は輝いていますが、どうやら山にはガスがかかっているようです。

寒くなるとシュラフから抜け出すのがおっくうになるのは毎度のことで、少々手間取ったものの5時30分前にヘッドランプの明かりを頼りに牧ノ戸峠から入山。沓掛山上空はガスに覆われているようですが、状況もよくわかりません。

汗をかいてもこの気温では着替える場所もなく、確実に冷えて厳しくなるので、ゆっくりと歩いて沓掛山を越え高度を上げるにつれ、やはりガスが濃くなっていきます。6時30分過ぎに西千里の星生山分岐に着いたときは、周囲は濃いガスに覆われ、ご来光撮影のために星生山へ向かう気力も確実に失せてしまいます。

日の出の時刻が最も遅くなる冬至であれば、朝駆けが苦手な私ですら日の出の時刻に山頂に立つことも、そんなに難しくありません。しかしながら、濃いガスに覆われた−11℃の山頂で撃沈するのはやはり辛いでしょうから、迷うことなく山頂へ向かうことは断念しました。とにかくこのガスが切れないとご来光はおろか撮影もままならないわけで、ガスが切れることを願いつつ中岳方面へ向かいます。

星生崎下から強い風が吹き抜ける久住分れを過ぎ、日の出の時刻を迎えるようになると急激に明るくなります。周囲は一面の霧氷原が広がり、凍てつく寒さが襲います。完全氷結した御池の湖面は、当然ながらつるつるに滑りますので慎重に歩いて、とりあえず毎回お世話になる池の小屋へ向かいます。

池の小屋で8時30分頃まで待機。ガスが薄れ何度か太陽の輪郭が望めることはあったものの、結局周囲の眺望が開けることもありません。日の出の時刻が遅い冬至だからというお気軽な理由だけで、のんびりと朝駆けしたものの見事に撃沈。またしても池の小屋で寒さをしのいで、スゴスゴと退散したただけになりました。

【12月31日】明け行くすがもり越と三俣山の霧氷

12月31日の九重連山は快晴。5時過ぎの飯田高原の気温は−9℃。先週の朝駆け撃沈のリベンジとなった大晦日、快晴の朝は放射冷却で冷え込んでいます。何とか無事に山行ができた1年でありまして、実に至らぬことを書き連ねただけのサイトもいよいよ開設以来16年目にさしかかりました。これまでご来訪いただいた方々に改めて感謝する次第であります。

さて、昨年を回顧してみると、年始め全国的に豪雪となり九重連山でも数年ぶりに雪がたっぷり降りました。春先には未曾有の大震災に見舞われ、週末ごとに雨の続く夏は過ぎ、高温が続いた秋はごく短期間で終わり一気に冬になるという自然の驚異といいますか、当たり前のことが大きく覆るという諸行無常の念を抱いた1年でした。まあ個人的には大過なく過ぎたので、それはそれでよかったのかな〜、と楽観的に考えていたりもします。今年も気の向くままお気楽な山行を続けていきますので、お付き合いいただけると幸いです。

今回の山行に関しては、昨年断行した禁断の元旦山行も考えなくはなかったのですが、元旦の天気は曇りのようですし、ここは一つ1年を締めくくるため、お気楽な大晦日山行ということで、大曲から三俣山までの往復に決定して6時過ぎに入山しました。雲一つない三俣山上空の空が徐々に明るくなり、7時前にはヘッドランプも不要になります。まだ明けやらぬすがもり避難小屋はほぼ無風で、ここで日の出を待つことにします。

周囲の山々に朝日が注ぎ始めた7時20分頃、天狗ヶ城山頂にも人影が見られます。贅沢を言えばきりがなく、雲一つないピーカンとはいえガスで撃沈した先週よりもはるかにましで、それでもすがもり越に日が差し始めるまでは30分以上かかり、8時前になってやっと日が注ぎ始めます。山頂より少々遅れ気味のご来光を堪能した後、西峰登路に取り付きます。

日が当たり始めると体感する気温は徐々に上りはじめます。さすがに厳冬の山の朝は寒さもひとしおで、西峰山頂付近は霧氷に覆われ、朝日に輝いています。登路に積雪はなく、地面は固く氷結しています。西峰から?峰と本峰の谷を経て、一路南峰へ向かいます。南峰斜面の霧氷は2週間前より控えめというか、物足りない感は否めないほどでしたが、快晴の空に映えて一際美しく、ザックが枝先に触れて頭上から降り注ぐ霧氷のシャワーを浴びながら、南峰山頂へ着きました。

坊ガツルを見下ろすテラスに移動すると、眼下には野営場のテントが数張り。越年野営の登山客も多いのでしょうが、なかなか思うに任せない身上としては、実にうらやましい限りであります。南峰でしばし至福の時を過ごした後、早々に山を下り11時前に大曲に帰着


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