2011年 春

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2011年3月

【3月5日】越沓掛山第一展望台の東屋

3月5日の九重連山は晴。6時前の牧ノ戸峠の気温は−8℃。3月を迎え、春の気配を感じることも多くなりました。菜の花が咲き始めているのはうれしいことではありますが、とりわけ2年前から症状を感じ始めた花粉症は、ここ10日間あまり悩ましい状況です。

昨日の寒の戻りで再びうっすらと雪化粧した沓掛山からの登路は、一部地面が露出して、固く凍り着いています。気温が上昇すれば、融けて泥濘地と貸すことは必至でしょうから、その意味でも早々に下った方が賢明です。登路を覆っていた雪はかなり融けていても、日陰では依然として固く締まった雪が凍り着いたまま残っています。扇ヶ鼻分岐から西千里付近の雪もほとんど融けていました。

御池は一度中央部付近が解氷した形跡があり、中央部付近は透明な氷に覆われています。ミシミシと不気味な音を立てており、渡るのは少々勇気がいりそうですが、なによりツルツルに滑る表面が最大のネックで、アイゼンを装着すればなんてことはありませんが、凹凸のある表面にうっすらと雪も載ってうかつに踏み込むと簡単に転倒してしまいそうです。中岳付近もうっすらと積雪している状態で、いよいよ春が間近という感じです。

【3月12日】残雪に埋もれるすがもり避難小屋

3月11日の15時前に三陸沖で発生した巨大地震により未曾有の災害が発生しました。地震発生直後から、テレビに流される惨状は想像を絶する規模であり、被害に遭われた方々はもとより、関係者の心労はいかばかりかと拝察する次第であります。

明けて3月12日の九重連山は晴のち曇。6時頃の長者原の気温は−5℃。前夜は刻々と伝えられる地震禍のテレビ報道から目が離せず、目覚めたのはすでに6時前で、朝食を済ませ睡眠不足で少々足下がおぼつかないまま、7時過ぎに入山しました。

すがもり避難小屋内部の雪は確実に減少し、埋もれたベンチの一部が見えるようになっています。天井部分まであった雪も半分程度にまで融けています。三俣山西峰から4峰にかけての積雪はすっかり減って、風は確実に春の気配を感じるものになっています。本峰南斜面では依然として残雪が多く残っているものの、大鍋周辺でも積雪が激減しています。

新雪がわずかに残る南峰山頂から、坊ガツルを見下ろすお気に入りのテラスに移動し、大休止。携帯の電池の残量を気にしつつ、しばしワンセグで報道番組を確認します。目を覆うばかりの被害状況は、これが現実の出来事だとは信じがたいものであります。

【3月19日】大船山御池

3月19日の九重連山は曇。6時頃の長者原の気温は4℃。野焼きを終えた久住高原へ出ると、上空には雲の切れ間に青空も望めるようになります。有氏牧野道をガラン台へ向かい、8時過ぎに入山しました。

周囲の木々の枝先はわずかに膨らみ、確実な春の訪れを実感します。少々気になるのは、根元のみ皮が剥がれた木々が点在していたことで、冬季の餌が不足する期間におそらく鹿などの野生動物が皮を剥いで食べたのではないかと思われます。登路脇の森の中に点々と根元の皮が剥がれた木々があり、これもあまり目にしたことがない光景であります。

登路の積雪はすっかり融けているかと思っていたら、入山公墓から鳥居窪付近に差し掛かる付近から周囲に雪が目立ち始め、鳥居窪から久住高原を見渡せるテーブル岩を過ぎて、山頂下に出る付近から登路の積雪が著しく増えてきます。それでも冬季のように登路が完全に嵩上げして、四つん這いになって進まなければならない場所はありません。

10時過ぎの山頂付近はすっかりガスに覆われ、周囲の眺望は全く開けません。時折ガスの切れ間に垣間見る御池は依然として氷結しているようですが、南側に解氷している場所があります。山頂を下り御池に着くと、周囲はまるで冬景色であります。

これが九州の3月の光景なのかと思えるほど残雪が多く、湖面も8割以上氷結したままです。さすがに一部が解氷し始めている状況ですから、湖面の氷に載るのははばかられ、湖岸を迂回して解氷している場所に近づいて確認しました。

御池湖岸は意外に風が冷たく、よく考えてみれば周囲は氷と雪に覆われているわけですから、しっかり冷やされていることは当然といえば当然のことでありまして、再び大船山頂へ戻り少々早めの昼食を兼ねてしばし至福の時を過ごします。1時間あまり山頂で待機したものの、周囲を覆うガスは切れる気配もなく、ガス雨も降り始めた11時過ぎに山頂を発ち山を下りました。

【3月26日】薄雪の雨ヶ池

3月26日の九重連山は雪。6時の長者原の気温は−5℃。大分自動車道で別府市を過ぎ湯布院へ差し掛かるあたりから気温がみるみる下がり、雪が舞い始めます。長者原に着いたのは6時で、路面はうっすらと雪が積み、駐車場も閑散としています。

この天気ですから、慌てて入山するのも気が引けて、車内でぬくぬくと7時までまどろみました。周囲の山頂付近にはガスがかかり、山頂へ向かっても眺望は開けないでしょうから、タデ原木道から入山し坊ガツルまでの往復のルートとなります。

この冬は厳しい寒さが続き、雪もコンスタントに残っていたわけで、雪景色には少々食傷気味であります。坊ガツルへ抜け、野営場へ着くとすでにテントが3張あります。名残雪はあるものの、切れるような厳冬の寒さとは異次元の暖かさです。

法華院山荘の談話室を借りて、しばし至福の時を過ごします。10時を過ぎ山荘を発ち、残雪が残る北千里ガ浜までの谷をすがもりへと急ぎます。雪景色の北千里ガ浜を抜けると、すがもり越もうっすらと雪に覆われていました。

2011年4月
【4月2日】星生山麓のマンサク

4月2日の九重連山は晴。7時の牧ノ戸峠の気温は5℃。毎週末お決まりのパターンとなりつつある宴席が続いていて、前夜は年度始めの恒例であります職場の歓迎会を終えて、早朝の出発に備えるべくまたしても歓楽街へのお誘いを辞退し早々に切り上げました。

またしても慌ただしい年度始めとなり、宿泊先の大分市を発ったのはすでに6時前。いつものコンビニで食料を調達し、一路九重連山へ向かいます。別府湾PA付近で水平線を覆う雲の上から朝日が昇り、一条の光の帯が別府湾に伸びています。先週とは打って変わった暖かさで、まさに春を感じさせる天候となりました。

長者原付近は車も少なく、それでも牧ノ戸Pは相変わらずの賑わいで、7時頃から入山していく登山客が続きます。早々に入山して沓掛山へ登るとマンサクの黄色い花が斜面を染め始めています。気温は高めですが、さすがに夜半には氷点下まで下がったようで、登路は凍り着いいていて、当然ながら融けるとぬかるみそうです。

午後からの出勤を気にしつつ、久住分れから御池を経て中岳山頂へ向かいます。山頂から望む坊ガツルはすでに野焼きを終え、黒々とした大地が広がっています。何だか春の恒例行事が終わっていることに安堵感を覚えてしまうのは不思議です。

【4月9日】坊ガツルのマンサクと大船山

4月9日の九重連山は晴。8時前の長者原の気温は8℃。午後の職場復帰に備えて早々に山行を終えなければならず、超お手軽な坊ガツルまでの往復となります。大曲の駐車スペースから8時過ぎに入山し、すがもり越へ向かいます。

星生山や三俣山斜面の谷には依然しっかり残雪が残っています。やはり今年は残雪も多めです。避難小屋内部に残雪はなく、すがもり避難小屋裏の残雪も残りわずかになっています。

春を迎え雪もすっかり融けたので、久々に北千里の祠にお参りしてから法華院山荘へ下ります。法華院への登路にも依然として残雪が残っていますが、それでもこの暖かさで確実に融けています。

山荘で小休止の後、野焼きを終えた坊ガツルへ向かいます。アセビの花も咲き始めた野営場付近では、マンサクが満開です。野営には実に快適な季節となったわけでありますが、現状では週末を2日間費やすことはさすがにできず、野営はGWまでお預けです。

【4月16日】春・星生山麓のマンサク

4月16日の九重連山は晴。5時過ぎの長者原の気温は11℃。久々に週末の宴席がなく、長者原に着いたのは21時過ぎ。爆飲して見事に爆睡してしまいました。

目覚めるとすでに周囲が明るくなり始めた5時過ぎです。朝の牧ノ戸峠駐車場は思いの外車が少なく、閑散としています。

沓掛山付近では晴れていましたが、徐々にガスが濃くなり始め、扇ヶ鼻分岐から西千里を経て久住分れに着く頃に周囲はすっかりガスに覆われてしまいました。ガスは断続的に濃くなり周囲の視界も充分に開けないまま、淡々と歩いて御池へ向かいます。

御池付近に着く頃には再びガスも薄れ、済んだ湖水を湛えた御池の全容が見渡せるようになりました。湖岸を迂回し、中岳山頂で周囲の眺望を眺めながらしばし至福の時を過ごします。

周囲の景色は依然冬枯れのままで、それでもわずかに残る残雪も確実に減っており、木々の枝先が微妙に色付いたり、何だかとても贅沢な時間を堪能した後に山を下りました。

【4月23】泉水山麓のキスミレ

4月23日の九重連山は曇時々晴。8時過ぎの長者原の気温は7℃。長者原でガスが薄れるのをひたすら待ち、9時前に指山散策路付近の硫黄山取付け道路から入山し、まずはすがもり越へ向かいます。

すがもり越に着いた10時前には天気も回復し、大船山もはっきりと見渡せるようになっています。すがもり越を抜ける風は依然冷たいものの、4月下旬ともなれば、春の気配も濃厚となり、冷たい風にも春の香りを感じるようになります。山頂付近のガスもほとんど切れているので、予定どおり三俣山へ向かいます。

この冬は冷え込みも厳しく、腰まで雪に埋もれながらあえぎつつ登った西峰登路も、無雪期となった今では実に快適に歩けるようになっています。本峰下付近で再び山頂をガスが覆い始め、日を遮って視界も開けなくなります。

小鍋付近のマンサクは、すでにピークを過ぎてはいますが、まだ充分に色を保っています。再び南峰へ戻り、坊ガツルを見下ろすお気に入りのテラスで小休止。ガスは濃く、大船山はおろか坊ガツルも一望できません。早々に坊ガツルへ下り、雨ヶ池を経由し山を下りました。

【4月29・30】坊ガツルの夜は更けて

【4月29日】
4月29日の九重連山は晴。10時頃の飯田高原の気温は12℃。待望のGWに突入したものの、東日本大震災の影響か、何かにつけて自粛ムードが漂い、今一歩活気がない昨今であります。そうは言っても、やはり世間の喧騒に身を任せるべく、待望の坊ガツル野営の一夜を過ごすため、一路九重連山へ向かいます。

大分自動車道湯布院ICを降りて、いつになく空いた県道11号(やまなみハイウェイ)を飯田高原へ向かいますが、本当にGWがスタートしたのかというほど車も少なく、スムーズに吉部へ着きました。有料駐車場に駐車している車はなく、路肩の駐車スペースへオフシーズン並に駐車できてしまいました。出足が鈍いのか、GWの登山客そのものが少ないのかは不明ですが、それにしても意外なほどのあっけなさであります。

木々の芽吹きが始まり、コブシの花が咲き、足下にはヒトリシズカやハルトラノオも小さな花を咲かせています。葉が茂る前の森は明るく、大船林道をショートカットする鳴子川沿いの登路を快適に歩いて法華院山荘へ向かいます。ひとまず山荘で今夜のメイン食材?となるビール2リットル調達し、野営場の炊飯場裏で夕食に備えて冷やします。12時過ぎのテント場は、吉部付近に極端に車が少なかったことを思えばまずまずの出足とはいえ、それでも例年よりテントは少なめです。

テントの設営を済ませ、昼食タイムの後、青空を眺めつつシートに横になり惰眠をむさぼります。陽が注ぎ決して暑くはないものの、これは強烈に日焼けしそう・・・、と思う間もなく目覚めるとすでに14時です。夕刻までは今しばらく時間もありますので、炊飯場で水を補給し、のんびりと大船山頂へ向かいます。

山頂に着いた16時前、先行の登山客も休憩中。周囲はわずかに霞んでいるものの、上空はきれいに晴れ渡っています。西の空に雲がかかるので、日没まで待機するかどうか実に悩ましいところでありまして、そうは言っても折角の機会ですからいつものようにバーボンを・・・、スキットルを開けてみると、ゲッ、バーボンではない!!何と常飲のウイスキーではないですか。(涙)どうやら容器を間違えたようです。やはり傾き行く夕陽を眺めつつ飲むワイルドターキー12年物で格好良く決めたかったのですが、それでもおいしくいただけるのですから、ロケーションの威力は絶大であります。

日没を待つべきかどうか悩みつつ、結局17時30分前に山頂を後にして坊ガツルへ戻ります。振り返る山頂には新たな登山客が訪れているようであります。西空に雲が広がっていたものの、坊ガツルに帰着しても大船山には夕陽が注いでいましたので、それなりの夕景が楽しめたのではないかと少々心残りではあります。しかしそんな後悔も一瞬のことで、炊飯場裏で冷やしていたビールを片手にテントに戻るやいなや、再び至極の時を過ごすことになるのであります。(笑)

夜もしみじみと更ける頃には、いつしか酩酊してシュラフに潜り込み爆睡モード・・・のはずだったのですが、夜半から強烈な風に襲われ、周囲のテントのフライシートがはためく音が一際大きくなり期せずして目覚めてしまいました。私のテントはシングルウォールでフライシートは使っていませんので、時折テントが激しく揺れるものの、フレームがきしむほどの風でもなく、いつしか唸りを上げる風の音も子守歌のように心地よく聞こえるようになり、再び爆睡してしまいました。

【4月30日】
明けて30日。前夜1時30分頃から強烈に吹き抜けた風は依然として残り、隣のテントのフライシートがはためく音も一層けたたましく、徐々に明るくなり始めます。上空には薄く雲がかかり、それでも5時過ぎにはもぞもぞとテントから這い出しました。のんびりと朝食を済ませ、強烈な風に悪戦苦闘しつつテントを撤収します。

坊ガツルを発つ8時30分頃、熟年の団体がやってきました。その中の一人、何だか聞いたことのある声のような気がして、よく見ると岩崎元郎氏のようであります。そういえば、29日から法華院山荘でイベントがあるということを聞いていたので、間違いないはずです。さすが
にかなりご年配の取り巻きに囲まれていましたし、恥ずかしながら握手を求めたり記念撮影をしたりということは控えました。(笑)

2011年5月

【5月1日】ヤマシャクヤクのつぼみと坊ガツル野営場

5月1日の九重連山は雨のち晴。午前9時前の飯田高原の気温は11℃。恒例となっている山開き前夜の私的前夜祭?の下見を兼ね、友人と総勢8名の山行であります。坊ガツルでの野営初参加予定者も含めて、山開き前日は所用のため三々五々入山し、坊ガツル集合となるメンバーも少なくなく、docomoであれば携帯電話の電波状況も近年大変良くなった坊ガツルではありますが、softbankだとちょっと厳しかったりするため、混雑するテント場での合流の時間と場所調整に困難を極めています。

そんなことで、例年ほぼ同じ場所にテントが設営できるように、テントの設営班が朝入山し、食材を確保し調理の準備をした後続班が現地で合流ということも試みてきました。しかし、そこまでしなくても近年は何とかほぼ同じ場所にテントが設営できているので、その場所の確認と初参加のメンバーへのレクチャーを兼ねた山行であります。しかしながら、実態は当日の料理のメニューと、持参する酒を何にするか銘柄まで検討するという、きわめて目的が特化した事前調整であったりもします。(笑)

今回も有料駐車場の利用者はなく、道路脇の駐車スペースに駐車できました。ことのほか登山客の出足も鈍いようであります。贅沢を言えばきりがないのですが、今回のGWは暦どおりの勤務であれば、前3日、中3日、後2日と切れているので、少々動きにくくなってるのかも知れません。個人的にはあまり連休が続いて休みぼけするよりも、1日勤務すればまた休みというのも悪くない気がします。

吉部から9時過ぎに入山。鳴子川沿いの登路をゆっくりと歩きます。何しろ野営装備を担いでの山行シミュレーションでありますから、ペース配分もぐっと落として、のんびり歩きます。足下のエイザンスミレやハルトラノオ、ヒトリシズカに加えて、森の中にはヤマシャクヤクも葉を広げています。ツボミを発見した1株はここ数日中には咲きそうな雰囲気です。坊ガツルに抜けた頃から11時過ぎにかけて一時雨が強く降ったものの、法華院山荘の談話室を借りての昼食タイム中で、ほとんど濡れることもありません。

正午頃から青空が広がり、雨上がりにもかかわらず黄砂で霞んだ景色が広がりました。法華院山荘を発ち、坊ガツル野営場でテントの設営予定場所の確認を済ませてから、上湯沢下の暮雨の滝側の登路を下り吉部に帰着しました。GW前半の山行はひとまず今回で終了です。中3日はお休みして所用を済ませる予定です。

【5月7日】沓掛山の東屋と春の三俣山

5月7日の九重連山は曇。5時頃の飯田高原の気温は14℃。前日大分市の職場から長者原へ直行。見事に爆睡して目覚めた5時頃、上空にはガスがかかり三俣山の山頂を覆うものの、東の空には雲も少なめで、徐々に明るくなって行きます。

6時前の牧ノ戸峠駐車場には駐車する車も少なく、早々に入山。すっかり明るくなった登路を淡々と歩いて沓掛山第1展望台着。東屋の床は昨夜の雨の名残で濡れており、三俣山上空に昇った太陽が眩しく輝きます。沓掛山周辺は木々の芽吹きが急速に進んでいて、未だ咲き残るマンサクの花はわずかにあるものの、ほとんどのマンサクの木は葉を広げ始めています。ムシカリ(オオカメノキ)の白い花も目立ち始めています。

駐車場に車が少なかっただけあって、さすがに登山客も少なく、久住分れの久住山避難小屋までの間で会った登山客はわずかに2組。往路は静かな山行となりました。久住分れ付近から再びガスに覆われ、御池付近はガスに霞んで周囲の眺望も効かなくなりました。冬季とは比べるべくもなく気温も高く、池の小屋に頼らなくても風さえ避ければ快適に休憩できそうです。池の小屋前でガスが晴れるのを1時間あまり待ちましたが、何度か中岳周辺が望めたものの、ガスが劇的に晴れることもなく、刻々と時間が過ぎていきます。

9時を過ぎても一向にガスが晴れてくれる気配もなく、予報どおりであれば午後には回復しそうな気もしましたが、待てるはずもなく早々に山を下りました。

これまであえて触れなかったことではありますが、久住山避難小屋には弁当の容器が散乱し、入り口に置かれていた排水用ホールには箸とたばこの吸い殻(フィルター)多量に捨てられていました。あまりに見苦しく目に余るので片づけておきましたが、これって一体・・・。

池の小屋も同様で、やはりたばこの吸い殻(フィルター)が多量に捨てられていました。投棄した本人は本質的な意味での確信犯で、普段からそのような生活習慣を持っている人たちでしょうから、投棄する行為そのものに対するためらいや罪悪感は皆無に違いありません。

氷結した御池の湖面に投石する行為も、山頂標識にびっしりと着いた海老の尻尾(霧氷)を削り取ってしまうことも、高齢の方に特徴的に見られるミカンやバナナの皮を平気で捨てる行為も、根本は変わらないのだと考えます。もっとも、入山する行為そのものが自然破壊にもなるわけで、私自信も限りないジレンマを抱えています。しかしながら、せめて後から訪れる人のためにも、日常以上の気遣いをしてもらえたらと願うばかりです。

【5月14日】すがもり越の朝

5月14日の九重連山は晴。6時前の長者原の気温は9℃。週半ばは荒れ模様の天気が続き、久しぶりにまとまった雨も降りました。週末の朝は天気もすっかり回復して、すがすがしい春の朝となっています。平地より一足遅く、九重連山周辺にも芽吹きの季節が訪れ、野焼きを終えた山肌も、木々の枝先も柔らかな緑があふれるようになりました。今回は金曜の夜に所用のため帰宅して、久々に週末の自宅からの出発となりました。長者原に着いた6時前、駐車場の車もまばらで、GWを終え登山客の出足も遅くなっているようです。

ミヤマキリシマや紅葉のピーク時期は登山客の出足も早く、朝6時過ぎには駐車場が満車に近くなることもありますが、この時期はまだ出足も遅いためか午前6時頃であれば、駐車場はがらがらに空いています。GWを終え、ミヤマキリシマのシーズンまでのつかの間は端境期となっているようです。それでも9時を過ぎると登山客も急増してきます。大曲の駐車スペースも6時頃にはわずかに2台が駐車しているだけでしたが、山を下った10時頃には、周辺の道路脇のスペースには登山客の車が列をなして駐車している状態でした。

大曲から6時過ぎに入山。午後所用のため自宅に戻らなくてはならないため、今回も急ぎ足の山行となります。GW前に土石流で埋もれていた硫黄山取付け道路が整備されて以来、大曲からの登路は大変歩きやすくなっています。風が強く、体感気温は低めですが、うっすらと汗ばんでくるほど天気もよく、快適な山行日和です。閑散としたすがもり越は適度に防風効果があって快適です。わずかに雲が広がるものの、晴れた空が広がり、このまますがもり越でしばし至福の時間を過ごそうかと思いたくなるほど快適そのものです。

西峰から本峰下を抜けて南峰へ向かいます。4峰と本峰の谷付近のシャクナゲは依然としてつぼみのままで、いまだ咲く気配を見せません。大鍋付近も同様で、気のせいか少々遅れ気味のようです。4峰下で先行の登山客1人に会った以外は他の登山客もなく、閑散とした登路を淡々と歩いて8時前に南峰の坊ガツルを見下ろすお気に入りのテラス着。毎度のことながらしばし至福の時を過ごします。周囲は多少黄砂の影響が残っているのかはたまた春霞というべきか、少しばかり霞んではいますが、眺望もまずまずです。

2年前の3月末の火災で焼失したミヤマキリシマの株の根元からは。新たな枝が伸び始めています。回復するまでは相当な年月がかかることでしょうから、火災を起こした当事者はもちろん責任重大としても入山者は火の不始末に気をつけなければなりません。4月末にスキー場付近の合頭山でも火災が発生しています。こちらも登山客によるコンロの火の不始末が原因のようです。我々もコンロを使う機会が多いので、人ごとではありません。

【5月21日】ギンリョウソウ・大船林道4号集材路の新緑

5月21日の九重連山は曇。7時頃の長者原の気温は16℃。宇佐別府道路が夜間工事中で、朝6時まで通行できないことに加え、夕刻から諸兄らとの宴席のため、朝は少々遅めに自宅を発ち九重連山へ向かいます。7時過ぎの吉部付近には数台の車が駐車していますが、まだミヤマキリシマのハイシーズンには少々早く、登山客も少なめです。

7時過ぎに入山し、鳴子川沿いの登路を淡々と歩きます。登路付近にはチゴユリやユキザサも咲き、晩春から初夏へと確実に季節が移ろっています。気温が高めで、さすがに汗が流れる中、大船林道から平治岳北登路へ向かいます。緑のシャワーを浴びながら大船山4号集材路を歩き、平治の尾へ向かいます。

平治の尾付近のミヤマキリシマは花芽は決して多くないものの、虫害は現状では皆無で、きわめて良好です。色づき始めたつぼみも目立ちますので、一部の株の開花は今週中となりそうです。そこそこ楽しめるのは10日から2週間ほど先というところでしょうか。淡々と歩いて山頂下に着くと、シャクナゲがピークです。そういえば、大船林道をショートカットする鳴子川沿いの登路を抜ける直前、暮雨の滝付近のシャクナゲもほぼピークを迎えていましたので、今年はやはり花の開花が10日前後遅れ気味という感じです。

平治岳山頂も虫害はなく、花芽はきわめて良好です。ただし、今年は花芽が際立って多いという状態でもありません。毎年のことでありますが、平治岳は虫害さえなければそれなりに花は咲いてくれます。山頂付近から大戸越付近にかけての登路では、ノリウツギなどの雑木がかなり大胆に伐採されています。ミヤマキリシマの植生保護や景観の維持のためと思われますが、それにしても大英断であります。

南の峰から大戸越にかけてのミヤマキリシマも順調で、こちらも花芽は多くはないものの、現時点では虫害の発生は確認できておらず順調に開花の時を待っているかのようです。ただし、大戸越に下った後に気がつけばはザックにシャクトリムシが1匹付着していました。ここ2〜3年は虫害の発生も限定的ですが、遅めの開花となれば、一部ではシャクトリムシとのマッチレースを繰り広げざるを得なくなるのでしょうか。冬の寒さが大変に厳しかったことが、どのような影響を残すのかも気になるところであります。

【5月28日】法華院山荘と観音堂前の白ミヤマキリシマ

5月28日の九重連山は雨。5時頃の長者原の気温は13℃。前夜22時過ぎ、大分市から長者原へ直行した頃には、一時降っていたと思われる雨もあがり、路面も乾燥した状態でした。翌日(28日)の天気は雨という予報です。朝は急ぐ必要もないので、例によって酩酊して爆睡してしまいました。

目覚めた5時前、断続的に雨が降っています。周囲はガスに覆われ、視界も開けません。雨が降っていても、延々と降り続くという状態ではなく、常時ガス雨と思われる雨は続いていても、一時的とはいえガスも薄れ雨もやむ状態です。雨の切れ間を見て7時頃に入山。雨具を着用すれば雨には濡れないものの汗で濡れてしまうし、そうはいっても急に降り出す雨に備えて雨具を着用して、なるべく汗をかかないようにゆっくり歩きます。

大曲からの登路に入ってすぐ目に飛び込んできたのは開花したミヤマキリシマです。九重連山でも場所により開花時期が絶妙にずれるため、開花した場所から順次楽しめる期間は結構長いものです。特に群生地である平治岳や北大船山、扇が鼻付近にかけては、微妙に満開となる時期がずれます。そのほか岩場にミヤマキリシマの滝ができる星生山周辺や、意外に見応えのある三俣山付近も満開となる時期は絶妙に異なり、うまくつなげばかなりの期間花を楽しむことができるものです。

すがもり越付近もガスに覆われ、時折ガス雨が強まり、このまま雨が降り始めるのかと思うほど怪しげな天気です。避難小屋でしばし至福の時を過ごして山を下るという甘い誘惑に負けそうになりながらも、ひとまず法華院山荘付近の開花状況を確認すべく北千里へと下ります。

山荘付近は、土石流対策のため砂防ダム周辺の護岸工事が始まるようで、杭が打たれています。山荘下には重機を渡すための鉄製の橋が仮設されるようです。観音堂周辺のミヤマキリシマは3分咲き程度でしょうか。6月5日の山開きの頃には、見応えが出てきそうです。談話室で小休止の後、雨が降り出す前に山を下ります。すがもり越付近で雨具を着用した熟年の団体とすれ違った以外は、ミヤマキリシマの開花が始まっている時期にしては登山客も少なく、静かな山行となりました。

いよいよ次週から6月になり、山開きを終えると九重連山にも夏が訪れます。山開き前夜は、恒例の友人との坊ガツルテント泊での私的前夜祭?を計画中であります。梅雨入りも間近なようですので、天気が気になるところです。


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