2012年 春

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2012年3月

【3月3日】坊がつるから望む大船山

3月3日の九重連山は曇のち晴。5時頃の長者原の気温は1℃。週なかばに降った晩冬の雪は、長者原付近ではすっかり融けています。ガス雨のような小雨が降り、上空は曇っていました。

ガスが晴れることに期待しつつ、のんびりと準備して8時前に入山。登路にわずかに雪が残るものの、風は暖かく冬季とは明らかに異なる春の気配を感じます。木々の芽吹きまでには今しばらくかかりそうですが、枝先のつぼみは確実に膨らんでいます。鳴子川の瀬音も優しく、お気楽な春の森の散策です。しかしながら、冬季の積雪の影響もあって倒木や折れた枝が登路をふさいでいる場所も増えています。

坊ガつる付近の残雪はほとんどなくなっています。野営場にはテントもなくひたすら静かなのですが、避難小屋の中には野営客のものと思われるザックやシュラフなども棚に積まれており、昨夜来の雨を避けて避難小屋に逃げ込んだのかも知れません。10時前には天気もすっかり回復し、山頂付近にわずかにガスがかかるものの、坊ガつるには暖かな春の日が注ぐようになりました。野営場付近をのんびりと散策してから、小休止の後に山を下りました。

【3月10日】登路の霧氷

3月10日の九重連山は雪。沓掛山登路は、昨日の雪に新雪が積もっている状態です。毎度の事ながら、氷結した第2展望台までの登路が最大の難所で、登りはともかくとしても下りはアイゼンを装着した方が無難です。沓掛山はガスがかかり、視界も開けず周囲の眺望も開けません。登路脇には、黄色い花弁をのぞかせるマンサクの枝を霧氷が覆い、マンサクも凍り付いています。膨らみ始めた木々の芽も一気に冬に逆戻りしたようです。

沓掛山から扇ヶ鼻分岐を経て西千里付近まで、ガスと横殴りの雪が吹き付けます。気温は−3℃程度で高めのためか、手袋やジャケットに付いた湿った雪が凍り付いています。厳冬期の痛みを感じるような寒さに比べるべくもない暖かな?雪で、季節が逆戻りしたような景色の中にも、確実な春の訪れを実感させてくれます。

登路脇の木々には見事な霧氷が見られるのですが、冬景色は食傷気味で何とも・・・。(苦笑)しかしながら、この春の積雪は今回が最後となり、雪の感触を味わうことができるのは、次の冬までお預けになるかも知れないので、心地よい雪の感触をしっかりと足に刻みつけながら歩きます。

のんびりと星生崎付近まで歩いた8時30分、ついにタイムリミットです。ガスがかかり雪が降り続ける山は視界が開けることもなく、11時に大分市まで戻るために山を下ります。2時間少々歩くことができただけでも幸い・・・という、何とも微妙な中途半端極まりない結果でした。(涙)

山を下った9時30分過ぎの牧ノ戸峠の気温は依然として−2℃。牧ノ戸峠付近にチェーン規制は出されていませんでしたが、路面にはうっすらと雪が積もり、除雪車が動いていました。今しばらくスタッドレスタイヤは必要なようです。<P>

【3月17日】ガスかかる長者原

3月17日の九重連山は雨。8時前の長者原の気温は11℃。昨夜来の雨は小康状態となったかと思われ、自宅を発ったものの、玖珠町付近から断続的に雨が降り、長者原はガスと雨に見舞われしばし待機。時間は刻々と過ぎ、雨脚が弱まり入山しようとすると再び雨脚が強まる状態が続きます。正午前になっても状況は変わらず、昼食を済ませてから貸し切りの温泉に浸かり、ひたすら粘り続けたものの、13時過ぎに山行を断念。上空に雲の切れ間が望めたので少々心残りではありましたが、順調にいけば20日も暦どおり休めそうなので実にお気楽なものです。

【3月20日】マンサク

3月20日の九重連山は曇。午前5時頃の長者原の気温は0℃。前夜は職場のある大分市から湯平温泉経由を経由して飯田高原に着いたのは22時前。わずかに星空が望める天気です。これまたお決まりのとおり、酩酊して爆睡してしまいました。悩ましい花粉症の症状のためか、夜半に鼻が詰まって口の中がカラカラに乾き目覚めたりしながらも、それなりに熟睡して目覚めた5時過ぎ、星空は昨夜より少々広がっています。

のんびりと朝食を摂り、6時前に大曲から入山。うっすらと雲が広がり日の出は望めそうにありませんでしたが、のんびりと歩いて6時30分過ぎにすがもり越着。すがもり避難小屋で小休止の後、三俣山西峰へ取り付きます。山頂を吹く風は依然冷たいものの、厳冬期のような痛みを感じるほどでもなく、霜柱が覆う登路を淡々と歩いて、本峰から南峰へ向かいます。

冬枯れの景色が広がる中、坊ガつるを見下ろすお気に入りのテラスで小休止の後、W峰を経て山を下りました。大急ぎの山行となった理由は、いずれお知らせします。ともかく春の雨にたたられた週末は山行もできず、長者原からはガスに覆われた山も望めないままで帰宅したわけで、ひとまず山行ができただけでも幸いでした。

【3月24日】御池湖岸の着氷

3月24日の九重連山は雪のち晴。午前7時過ぎの牧ノ戸峠の気温は−3℃。沓掛山付近にはガスがかかり、いまだ春遠い雪が舞う中を7時過ぎに入山。沓掛山登路はうっすらと白くなっています。第1展望台から山頂付近にかけて徐々に風が強まり、沓掛山を越えると、横殴りの雪が吹き付けるようになります。

星生崎下は、厳冬期とは比較すべきもなくささやかなものですが霧氷が覆い、さながら冬の雰囲気。久住分れ付近から体感する風も強くなり、御池に着くと強烈な風が吹き付けるようになります。湖水が風にあおられて吹き上げ、湖岸の木々は雨氷のように凍り付いています。強烈な風で直立することも困難なほどで、着衣に湖水が降りかかり、瞬く間に凍ってしまいます。

池の小屋付近は更に風が強く吹き、さながらブリザードの状況。池の小屋に入ると、まるで別天地であります。9時30分頃から1時間あまり待ちましたがガスは一向に晴れる気配もありません。予報では午後から天気回復傾向ということでありまして、小屋から眺めていると、時折ガスの切れ間から時折日が差し、にわかに明るくなるようにも感じます。

10時30分過ぎに池の小屋を出たところで、突然の突風にあおられて空中浮遊。かろうじて地面に足は着いたものの、そのまま10mほど飛ばされてしました。風上に向かうと目も開けられないほどです。空池の縁まで下ると、一気に風も弱まります。牧ノ戸峠のマンサクの開花は少々遅れ気味のようで、道路脇の高い場所に咲き始めたマンサクの株が点在している状態です。

【3月31日】北千里から望む大船山

3月31日の九重連山は雪のち晴。午前9時過ぎの長者原の気温は2℃。前夜半の強い風と雨は朝には弱まり、午後は晴天という予報です。早朝のライブカメラでは、牧ノ戸峠はガスと雨のようでしたので、8時頃まで自宅でくつろいでから、のんびりと現地へ向かいました。途中一時小雨もぱらつきましたが天気は回復傾向で、飯田高原に着いた9時過ぎには上空に青空も覗くようになっています。大曲へと移動し、10時過ぎに入山する頃には、三俣山上空にガスが時折かかるものの、徐々に青空が広がっていきます。

すがもり越付近は強烈な風が吹き抜け、周囲の岩には雪がたたきつけられたように付着しています。長者原付近に積雪がなかったわけで、昨夜降った雨も標高1500m付近では雪だったようです。それにしても、三俣山西峰上空に広がり始めた青空に誘われるように強風の吹く三俣山に取り付くべきか、先週野焼きを終えた坊ガつるへ向かうべきか、実に悩ましいところです。

雪も霧氷もさすがに春先ともなれば食傷気味でありまして、春を告げる野焼き後の黒々とした景色の方が、何かとうれしさを誘いますので、ともかく坊ガつるへ向かうことにします。北千里が浜へ下ると、すがもり越の強烈な風に比べはるかに風は弱く、冷たさの中にも春の気配があふれる早春の寒風に背中を押されながら、法華院山荘へと下ります。

先週なかばに野焼きを終えた坊ガつるも、昨夜の雨で焼け跡の灰も落ち着いたようで、黒から茶色へと変わり始めています。野営場から法華院山荘へ戻り、談話室前のテーブルで春の日を浴びながら昼食を済ませた後に山を下りました。

2012年4月
【4月7日】氷結する御池湖岸

4月7日の九重連山は晴。午前5時過ぎの牧ノ戸峠の気温は−2℃。ゆっくりと準備して5時30分頃にヘッドランプを灯して入山しました。徐々に明けゆく空が黎明のグラデーションを描き、それも薄れると荘厳な朝のショータイムの始まりです。

扇ガ鼻分岐手前で山頂付近に朝日が注ぎ始め、西千里を過ぎる頃には時折山頂付近にガスがかかり空を覆うようにもなってきます。久住分れから空池縁にかけては強い風が吹き、御池では強烈な風が湖面を波立たせ、時折湖水を吹き上げています。湖岸の岩には吹き上げられた湖水が氷結しています。厳冬期とは比べるべくもない、ささやかな氷結具合で、寒さの中にも確実な春の気配を感じることができます。

御池を迂回し、中岳山頂に向かう頃には山頂付近にガスがかかりはじめ、中岳山頂に着くと大船山方面にかけても上空をガスが覆い、太陽も望めなくなってきました。周囲の木々にはささやかながら霧氷も見られ、風も強くガスで太陽が遮られると異様に寒く感じます。それでも、岩陰にに隠れて静かに朝食を摂りながら周囲の景色を堪能し、8時前に山頂を発ち山を下ります。

牧ノ戸峠に帰着後長者原に戻り、午前10時の火入れを待ちます。輪地切りされた泉水山中腹から火が入り、徐々に山肌が漆黒の大地に姿を変えていくことを横目に見つつ、長者原から5分という至近距離にある職場に残務整理のため戻りました。

【4月14日】バイケイソウの新芽

4月14日の九重連山は曇のち晴。午前6時過ぎの飯田高原の気温は4℃。前夜宴席を終え、飯田高原に戻った22時頃、濃いガスが覆い小雨も降るあいにくの天気です。予報では14日午後にかけて天気も回復傾向ということでありますので、朝寝を決め込んで熟睡しました。それでも長年染みこんだ週末の習慣で、朝駆けするには少々遅い4時過ぎには目覚め、度々カーテンを開けて天気を覗います。ガスは晴れていますが、上空には雲が厚く、すぐに晴れそうな状況ではありません。

7時前にタデ原木道から入山、まずは雨ガ池へと向かいます。指山付近から上空はガスに覆われ、三俣山も全く望めないまま、ダデ原を過ぎうっすらとガスが覆う森を淡々と歩きます。朝の森は頭上から水滴が落ちてきて、うっすらとガス雨も降りますので雨具の上着を着用しました。

濃いガスに覆われた雨ガ池付近では、昨年来整備が進んでいた木道の全長が延び、登路のガイドロープを張るための杭が多数新設されています。ガスに覆われ、周囲の景色も望めないまま、坊ガつるへと下ります。比較的ガスがかかることが少ない坊ガつるも、今回はガスに覆われています。野営場では、残念ながら昨夜の雨の中で野営を終えた登山客が撤収中です。

相変わらずガスが濃いままで、天気の回復は遅めのようですから、法華院山荘へ向かいます。山荘は屋根の補修のためか足場が組まれ、GWまでには準備万端でお客様を迎える準備が着々と進んでいるようです。1時間あまり談話室で待機しましたが、相変わらずガスは晴れることもなく、10時前に山荘を発ち再び雨ガ池を経由して山を下りました。

【4月21日】野焼き後のタデ原木道

4月21日の九重連山は曇のち雨。午前6時前の長者原の気温は11℃。5時30分過ぎの牧ノ戸峠は強烈な風が吹き、駐車した車も大きく揺れます。風上側のドアを開けるのすら困難なほどで、気温は決して低くないものの、強風で体温を奪われるため体感気温は低く、手がかじかみます。東京から来たという10名ほどの登山客に続き、6時前に入山。沓掛山第1展望台手前で先行の登山客を抜くと、後は淡々と歩くだけです。

扇ガ鼻分岐を過ぎるとガスに覆われるようになり、西千里ガ浜から星生崎付近にかけては一段とガスが濃くなり、ガス雨が降り始めました。吹き付けるガスでずぶ濡れになるため久住山避難小屋で雨具を着用します。久住分れから御池付近も強い風が吹き抜けています。さすがに2週間前のように突風で体が浮いてしまう強烈な風は吹いてはいませんでしたが、中岳と天狗ガ城の稜線付近から池の小屋付近ではガス混じりの強い風が吹き、直立するのが困難なほどです。

迷うことなく池の小屋に直行します。正確にカウントしてはいませんが、晩冬から春にかけて週末ごとに天気が優れず、山行も何だか消化不良のまま過ぎています。この状況も考えようによっては好都合で、池の小屋や法華院山荘の談話室、坊ガつる避難小屋でまったりとした時間を楽しめます。

池の小屋で1時間あまり待機し、早々に山を下ります。西千里ガ浜付近の風は一段と強くなっています。扇ガ鼻分岐を抜けるとガスの下に出て、急に視界が開けます。涌蓋山も鮮明に望め、登路脇の木々の芽吹きを実感しつつ9時頃に牧ノ戸峠に帰着しました。

【4月28】前岳の新緑とツクシシャクナゲ

4月28日の九重連山は快晴。午前6時前の飯田高原の気温は5℃。飯田高原の住人になって早くも1ヶ月が過ぎようとしています。毎朝の大吊り橋までのジョギングも恒例となりました。しかしながら楽しみにしていた毎日の温泉三昧というわけにはいかず、やっと27日夜になって、平日に筌ノ口温泉に足を運ぶことができました。時間がないわけではないのですが、何となくシャワーで済ませてしまうのです。週末の山行後はこれまでと同様に毎回温泉に向かうのですが、平日にはなかなかその気になりません。

週末の朝も同様で、これまでと同様に休日前夜は爆睡して寝過ごし、日の出の頃に借家を発つのが通例になっていて、長者原あたりで車中泊していた頃と何も変わりがありません。しかしながらこの4月に異動して、まだ1月も経っていないことを思えば、慌ただしく過ぎていく毎日に追われて、平常時のペースができるまで今しばらく時間がかかりそうです。そんなことで迎えたGWもイレギュラーの頻発となりそうな不安な予感が・・・。(苦笑)

ゆっくりと朝食を済ませ、6時前に出発。GW恒例の坊ガつる野営山行も今年は日程が合わず実施困難です。そうなるとGWのもう一つの目玉であります前岳付近のシャクナゲが気になるところで、由布市庄内町の白水鉱泉へと向かいます。男池駐車場は、29日(日)の黒岳山開きのイベントの準備中のため上側が閉鎖です。駐車場先で道路を歩いていたMatsuzaki氏を発見しピックアップしました。前岳から高塚山経由の縦走予定ということであります。

6時30分過ぎに白泉荘付近から入山。周囲のシャクナゲは移植されたものでしょうが、すでに満開を過ぎ始めています。朝の森に陽が注ぎすがすがしい気分です。新緑の蛍光色の緑もまぶしく、大地のパワーを感じます。自生しているシャクナゲも登山口から白水分れ付近までは、すでに見頃を迎えています。白水分れ手前で、朝の陽が注ぐシャクナゲを撮影してから、再びゆっくりと前岳へ向かいます。

阿蘇野を見下ろす標高1000m付近にあるテラス岩で小休止。周囲のシャクナゲはすでに花弁を膨らませ始めています。GW後半にかけて見頃を迎えるものと思われます。春先にマンサクのピークが遅れ、花も慎ましく咲いた程度だったことを思えば、今年の前岳付近のシャクナゲはそれなりに咲いています。大咲きこそしていませんが、そこそこ楽しめるはずです。新緑の蛍光色の緑と、シャクナゲの花が織りなす絶妙の色合いがまた格別です。前岳山頂でMatsuzaki氏からコーヒーをいただき、しばし歓談後に山を下ります。

2012年5月

【5月5日】ヤマシャクヤク

5月5日の九重連山は快晴。午前10時前の飯田高原の気温は19℃。いよいよGWも後半を迎えました。GW前半は全国的にも荒れた天気が続き、初日以外は九重連山でも雨模様でありました。快晴となった5月5日、恒例となった友人との春山行であります。

九重連山へと向かう道すがら、新緑の緑も鮮やかに輝く絶好の晴天であります。日焼けしそうだな〜ということで、日焼け止めをたっぷり塗り込む友人を横目で見つつ、春の日差しに少しばかり慣れておきたいということもあり日焼け止めは辞退し、半袖・半パンの出で立ちであります。山行後少々後悔することにはなりましたが・・・。(苦笑)

10時頃に吉部から入山。大船林道入り口付近の道路は、工事車両の通過のため再び路肩の駐車スペースの使用ができなくなっています。林道入り口手前に有料の駐車場が2カ所ありますので、そちらを利用しましょう。利用料金は日帰り利用で、それぞれ1000円と300円ということでかなり差がありますが、管理人が常駐していたり、4駆車なら気になりませんが、車高の低い車だと駐車場までの導入路の具合なども気になるところで、うまい具合にそれぞれ利用料金なりの施設かな〜という感じです。

10時頃に大船林道ゲートを通過し、鳴子川をショートカットする登路に入ります。新緑が広がり木漏れ日も一際心地よく、快適に歩けます。木々の間から抜けてくる涼やかな春風を感じながら、鳴子川の瀬音も優しく快適な山行であります。登路脇に咲く花を楽しみつつ、実にゆっくり歩いて大船林道から坊ガつる北端へ向かいます。植物に関しては詳しいとは言いがたい、はっきり言ってかなり疎い私ですら名称を知っているほどメジャーな花が咲く登路は、まるで宝箱です。

坊ガつる北端からは快晴の空の下で周囲の山々の眺望を楽しみながら快適に歩き、正午過ぎに坊ガつる野営場着。野営客のテントも心なしか少なめです。飯田高原の住人になったとはいえ、山行は思いに任せず、今回のGWは所用が重なり日程調整ができず、結局野営は断念して、前半1回、後半に1回の日帰り山行となりました。まあ、こんなものかなと思いつつ、坊ガつる野営場で昼食を楽しみ、14時頃に坊ガつるを発ちました。

気になっていたヤマシャクヤクの群生地に開花状況の確認に向かいます。開花時期が短く、すぐに花弁が散ってしまうのでタイミング良く出向かないと花に会えません。期待を込めて観察してみると、今年は群落全体が見事に開花した状態でした。

これまでも休日の山行でタイミング良く花期に出会うことはまれでしたので、今回は実に幸運でした。いくら飯田高原の住人になったとはいえ、好きなときに好きなだけ山行できるわけもなく、GWのお楽しみは坊ガつる野営と前岳のシャクナゲ開花具合の確認、さらには花散策という3点セットで完結させたところでありますが、野営以外はひとまず完結していますので、まずまずの結果かなとポジティブに考えてみました。(笑)

【5月12日】新緑の大船林道4号集材路

5月12日の九重連山は快晴。午前6時前の飯田高原の気温は4℃。九重連山を代表する群生地である平治岳の状況を確認するため6時頃に吉部から入山。早朝には山頂付近をガスが覆っていたものの、6時頃にはほとんど切れて、樹間から朝日が注ぎ始めます。鳴子川の瀬音を聞きながら快適に歩いて、新緑が輝く大船林道4号集材路から平治岳北登路へ向かいます。登路にも緑の絨毯を敷き詰めたように草が芽生える大船林道4号集材路はまた格別です。

緑を堪能してから、平治岳北登路へ入ります。平治の尾付近でもまだつぼみは堅く、山頂より一足早く開花することを考慮しても開花まで2週間程度かかりそうです。山頂付近の株は花芽もそこそこに着いており、特に花芽が多いということではありませんが、今年もそれなりに楽しめそうな状態です。平治岳山頂から南の峰にかけても状況はほぼ同じで、南の峰から大戸越にかけても同様です。いずれも花芽はそこそこですが、まだ堅く締まったままで、開花時期は未定です。

大戸越付近では、一部の株ですでにつぼみが色付き、開花直前になっています。1週間もすればが少しばかり開花した株も見られそうです。ミヤマキリシマのシーズンには恐ろしく混雑する大戸越も今はまだ静かで、登山客もわずかです。満開のミヤマキリシマへと思いを馳せながら、しばし大戸越で休憩した後に山を下りました。

【5月18日】暮れゆくすがもり越

5月18日の九重連山は快晴。17時頃の飯田高原の気温は18℃。快適な空が広がる晴天の一日です。終日屋外にいましたので少しばかり日焼けをしたところですが、夕刻なると風も急激に涼しくなり始めます。定刻に職場を出て、飯田高原日没鑑賞スポット探訪に向かう予定でしたが、日没までには少しばかり時間がありましたので、17時30分に大曲から入山して三俣山に向かいます。西の空には薄雲が広がり、地平線付近は濃い霞がかかった状態のため、鮮烈な夕景を望むべくもありません。

18時過ぎのすがもり越は閑散としています。平日とはいえ正午前後であれば、間もなくミヤマキリシマのシーズンが始まるこの時期には、登山客もいるのでしょうが、さすがにこの時刻になると静かに夕暮れを待つばかりの山に居残る人も少なくなります。大曲から30分少々で着くため、すがもり越もある意味で飯田高原の日没スポットと言えるかも知れません。避難小屋のベンチに寝転んで、すがもり越で静かに日没を待とうかとも考えた・・・というよりも、毎度の誘惑を振り切って西峰へ取り付きます。

西峰山頂付近は風が吹き抜け、日没が近くなると気温も急激に下がり始め、手がかじかむほどの寒さです。静かに暮れゆく地味な夕景もまた一興というもので、派手さもなく刹那に西の空を染めて日没を迎えました。すがもり越付近でヘッドランプを灯し、大曲に帰着したのは20時前になりました。

【5月19日】イワカガミ

5月19日の九重連山は晴。5時頃の牧ノ戸峠の気温は5℃。5時過ぎに牧ノ戸峠から入山。黎明の薄明かりとはいえ、ヘッドランプはすでに不要です。三俣山方面の地平線もきれいに染まり、間もなく日の出を迎えます。

沓掛山山頂付近で三俣山の肩が急激に明るくなり、扇ヶ鼻や涌蓋山の山頂付近に朝日が注ぎ始めます。荘厳な朝の儀式は淡々と進行し、すがすがしい晩春の朝が明けていきます。しかしながら、さすがに山の朝は冷えたらしく、星生山の陰となっている西千里ガ浜付近は朝日が注ぎ始めるのも遅れ、霜で真っ白になっています。登路には霜柱もあり、夜半には0℃近くまで冷え込んでいたようです。昨日夕刻、三俣山西峰山頂でかじかむ寒さを感じたことを思えば、不思議なことではありません。

さすがに日が注ぎ始めると気温は急激に上昇し始め、久住分れから御池を経て中岳山頂に着いた7時頃になると、中岳山頂はわずかに風が吹くものの実に心地よく、昨夕の三俣山西峰山頂で感じたかじかむ寒さは感じません。貸し切りの山頂でゆっくり朝食を摂りながら、周囲の景色を堪能。わずかに霞んでいたものの、阿蘇山系から祖母・傾山系、由布岳方面まで見渡せる絶景であります。混雑を避けて。9時頃までには牧ノ戸峠に帰着したかったのですが、ついつい長居をしてしまい、8時過ぎに中岳山頂を発ち山を下りました。

【5月26日】大戸越(上)と段原(下)のミヤマキリシマ

5月26日の九重連山は曇。5時頃の飯田高原の気温は8℃。5時過ぎに吉部から入山。上空を薄く雲が覆い、日の出前でしたがすでにヘッドランプは不要です。鳴子川西岸の森の登路に入ると足下は薄暗く、慎重に歩いて6時30分過ぎに坊ガつる野営場着。

昨夜の天気が雨だったためか、テントは2張りと少な目です。昨夜の雨を避け、避難小屋に逃れていたと思われる登山客もテントの設営を始めており、週末の坊ガつる野営場は賑わいそうです。坊ガつるでの野営に関しては、5月から6月初旬と9月から10月初旬が快適です。もちろん1年中野営は可能ですし、厳冬期でも水の確保ができるので問題ありません。しかしながら、やはり夏に野営装備を担いで坊ガつるまで歩くのはひたすら暑さとの闘いです。

テントを設営する登山客をうらやましく眺めつつ、野営場で小休止の後に大船山へ向かいます。登路の状態は著しい荒れもなく良好です。順調に高度を上げ、段原を通過し山頂へ直行し8時過ぎに山頂着。に段原下付近で、野営組と思われる1組の登山客と会ったのみで山頂は閑散としています。緑が眩しい山頂から望む景色は相変わらずの絶景で思わずうっとりとしてしまいます。眺望の見とれて思わず長居をしてしまい、気づけばもう9時前です。時折薄日が差すものの、曇り空が広がり風も弱く快適な山頂を後にして、気になる北大船山付近のミヤマキリシマの開花状況を確認に向かいます。

北大船山から大戸越にかけてのミヤマキリシマの開花状況は以下のとおりです。

段原付近・・・・・咲き始め。花芽の数は普通。色付き始めたつぼみや葉に虫害は確認できず良好。ピークは2週間以上先。
北大船付近・・・・咲き始め。こちらも段原付近と状況は同じです。わずかに虫害を認めますが被害は限定的です。
北大船北斜面・・・咲き始め。大戸越側の斜面にかけて虫害が広がり初め、葉が荒らされています。花芽は生きています。
大戸越付近・・・・1分咲き。開花が始まっています。大戸越から平治岳南の峰斜面の下側3分の1付近まで色付いています。

北大船山から平治岳付近のピークは2週間以上先になり、6月中旬になりそうです。ほぼ例年並みというところです。花芽は決して多くはありませんが、虫害の少ない段原付近から北大船山、大戸越付近ではきれいな花を楽しめそうです。


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