2013年 夏

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2013年6月

【6月8・9日】喧噪の坊がつる野営場の昼と夜

【6月8日】

6月8日の九重連山は晴のち曇。14時頃の飯田高原の気温は18℃。ミヤマキリシマがピークを迎えた九重連山は驚愕の賑わいを見せています。今回は例によって友人とのミヤマキリシマ鑑賞山行です。朝食材を調達して鍋の準備を済ませてからのんびりと自宅を発ち14時頃に吉部へ着くと、すでに有料駐車場はほぼ満車で、山を下ってくる団体と逆行しながら鳴子川沿いの登路を坊ガつる野営場へ向かいます。

15時過ぎに野営場に着くと、まさに驚愕の賑わい。おびただしい数のテントが設営され、テントサイトからは早くも夕餉の調理の香りがそこはかとなく漂ってきます。早々にテントを設営し、法華院温泉山荘へ汗を流しに向かい、これまたおびただしい数の登山客に混じって浴場で汗を流し、ビールを大量に調達してテント場へ戻り早速宴会の始まりです。

山頂がミヤマキリシマで染まる平治岳を遠目に見ながら、酔うほどに飲むほどにヒートアップする坊ガつる野営場の夜は、喧噪に包まれたまま更けていきます。天気予報もいつしか夜半から雨・・・。そんなことはものともせず、酩酊してテントに転げ込んだのであります。うつつに聞こえるテントをたたく雨の音に気づいたのは22時前。もはや明日の予定は風前の灯火となり、それでもテントを揺らす風と雨にも負けず爆睡。恐るべし酒のパワーであります。

【6月9日】

テントを揺らす風と断続的に強くなる雨の音を聞きながら、日付が変わる頃からはふつつかながら度々目覚めてはテントをたたく雨の音に失望とも安堵ともつかない複雑きわまりない感慨を覚えつつ、いつしか気づけばすでに4時過ぎです。相変わらず雨は降り続いています。

相変わらず降り続ける雨と風を避けてテントの前室で調理し朝食を済ませ、雨が小降りになった7時過ぎに撤収し山を下ります。平治岳から大船山山頂はガスに覆われテいましたが、それでも入山してくる老若男女の集団からの挨拶を巧みにかわしながら、9時30分頃に吉部へ帰着。ともかく坊ガつるで宴席を楽しんだけで、およそ目的の9割は達成されているわけで、ミヤマキリシマはまた来年に期待することにして、今年のミヤマキリシマシーズンは無事終演となったわけであります。

【6月15日】雨の扇が鼻

6月15日の九重連山は雨。6時前の牧ノ戸峠の気温は18℃。すでにミヤマキリシマのピークは過ぎているものの、相変わらず九重連山は驚愕の賑わいを見せています。山開き当日とその後の週末には登山口(長者原)と牧ノ戸峠間の臨時バスも運行されるため、早朝から長者原付近も多くの登山客が押し寄せています。

牧ノ戸峠に着いた6時前にはガスの霧雨が徐々に大きな雨粒に変わってきました。カメラを防水カバーに入れていましたので、撮影が目的でしたらこの天気ではいかんともし難く、麓で温泉を楽しんだ方が賢明かも知れません。ひとまず扇ヶ鼻までは行くことにして淡々と歩きます。

扇ヶ鼻への登路に入り、さらに強くなる雨の中で注意深く観察すると、登路周辺には花が咲いた形跡がない株が目立ちます。扇ヶ鼻山頂付近にかけても同じ状態で、そもそも花芽が少なかったところに虫害が追い打ちをかけたというところでしょう。おそらくピーク時も、2割程度の株しか花を付けていなかったのではないでしょうか。

扇ヶ鼻山頂付近にかけて虫害を受けた株が目立ち、平治岳や北大船山で虫害の広がりがごく限定的だったことを思えば、扇ヶ鼻の惨状は痛々しいものであります。

シャクトリムシの蔓延に関しては、登山客が服やザックに付いているシャクトリムシを気づかないうちに運搬し、虫害が広がるのだという説もあります。真偽のほどはともかく、その程度で広がるなら人海戦術でボランティアを募り4〜500人程度が一斉に駆除作業をすれば、目に見えるほど改善が出来そうな気もします。実際これまでも駆除作業が行われていたようですが、平治岳や北大船山付近の状況が改善されていることが、駆除作業の成果かどうかは不明です。

扇ヶ鼻山頂付近で徐々に雨が強くなり、叩きつけるような雨で沓掛山へ下る登路は濁流と化しています。これだけ降ると開き直って実にすがすがしいもので、さしずめ松尾芭蕉なら「濁流を集めて早し登山道」と詠んだのではないかと、実にたわいもない妄想を巡らせながら山を下りました。(笑)

【6月22日】鳴子山のオオヤマレンゲ

6月22日の九重連山は曇。5時過ぎの長者原の気温は15℃。台風一過の晴天とはいかないまでも、梅雨時期にしては好天の週末になりました。曇りの予報でしたので飯田高原の借家を5時過ぎに発ち、長者原から牧ノ戸峠へ向かいます。

5時30分過ぎに入山、東の雲がわずかばかり朝焼けに染まり、天気は回復傾向かと期待したのですが、それほど甘くはありません。さすがに先週と先々週の2回連続で雨にたたられた山行でしたので、雨具を着用しないというのは実に快適です。扇ヶ鼻分岐から西千里にかけて登路を雨水が流れ、昨日までかなりの雨量があった形跡が残ります。

はやる気持ちを抑えつつ、南千里から稲星分れを経由して鳴子山に向かいます。片ヶ池から鳴子山斜面が望める場所で一望すると、点々とオオヤマレンゲの白い花が確認できます。しかし花を付けている株が今年は全体的に少なめです。枯れ花も見られるようになって花期もそろそろ後半になろうとしていますが、まだツボミもあります。

8時頃になって時折雨が降るようになり、その後も断続的に小雨が降っては止む天気でしたが、上空の雲は薄く本降りになることもなく雨具は着用せずに11時前に牧ノ戸峠へ帰着しました。

【6月29日】坊がつるのモウセンゴケ

6月29日の九重連山は雨。9時頃の長者原の気温は18℃。5時過ぎには霧雨が降っていたものの、予報では徐々に天気も回復傾向ということでありました。

三俣山方面はガスに覆われ、当分天気が回復する気配はありません。ガスが晴れるのを期待しつつ、雨具を着用して入山。汗をかかないようにゆっくり歩いてすがもり越へ向かいます。期待とは裏腹にガスはますます濃くなり、三俣山は断念して北千里へと下り、お手軽に法華院山荘へ向かうことにしました。

ガスで視界が開けずガス雨も降る中で坊ガつるを散策。足下にはモウセンゴケの葉が雨粒を帯びておもしろい形状を見せています。しばらく雨が小降りになるのを待ち、ガス雨が弱まった5分程度の間にかろうじて撮影したところであります。

風は相変わらず強く、断続的に吹き付けるガス雨で濡れながらすがもり越を過ぎると、長者原方面が一望できるほど天気は回復しています。大曲へ帰着した12時30分頃にはすっかりガスも切れていました。

2013年7月
【7月6日】西千里が浜のモウセンゴケ

7月6日の九重連山は雨。8時頃の牧ノ戸峠の気温は18℃。梅雨末期の特徴なのでしょうか、飯田高原でも週後半には短時間に強烈な雨が降り、昨年の大分県北・西部を襲った集中豪雨禍を思い起こさせる天気が続きました。

牧ノ戸峠駐車場は閑散として濃いガスが覆い、横殴りの強風が吹き駐車した車が揺れます。ほとんど入山者はなかったと思われ誰もいません。景色は望むべくもなく、強風で撮影もままならない状態で西千里へ向かいます。

西千里ヶ浜付近でモウセンゴケや湿地の様子を観察しようとしたのですが、強風と雨、ガスにたたられ呆然と立ちすくむのみです。10時過ぎまで雨の合間を縫ってモウセンゴケの撮影を試みたものの、さすがにマクロレンズもなくコンデジでの撮影には限界が・・・・。

今回の教訓は、コンデジだと実に身軽ということに尽きます。装備は通常の日帰り山行で15kg程度になっていますから、そろそろ撮影機材をダイエットすることも考慮する時期に来ているように感じています。

【7月13日】すがもり越の朝

7月13日の九重連山は晴のち曇。5時頃の長者原の気温は20℃。かなり早めの梅雨明けで、連日猛暑が続いています。飯田高原でも最高気温が30℃に迫り、恐るべき暑さとなっています。

日の出の時刻に大曲から入山し三俣山へ向かいます。風が強めに吹いていたため朝露も少なく快適です。爽快な風が吹くすがもり避難小屋で小休止の後、三俣山へ取り付きます。

朝日が注ぐようになった西峰登路をゆっくり歩き、大船山が望める西峰山頂付近へ着くと、久住山方面からガスが押し寄せるようになってきました。徐々に視界が効かなくなり、4峰下から南峰へ向かう頃には大鍋付近もガスに覆われるようになってきました。南峰に着くとすでに周囲はガスに覆われ眺望は望めません。

南峰のお気に入りのテラスで遅めの朝食を食べ、しばし休憩してから山を下りました。あろうことか一昨日から咳が激しくなり、前夜はノドも痛くなっていました。山を下ってからすぐに病院で診察を受け感冒薬と炎症を抑える薬、気管を拡張する経皮薬を処方されました。(涙)

【7月20日】中岳下に咲くノリウツギ

7月20日の九重連山は曇。6時過ぎの牧ノ戸峠の気温は17℃。週末は恒例の宴席を一次会で失礼し、早々に宿に戻り温泉に浸かって早めに就寝。牧ノ戸峠に着いたのは6時過ぎ。朝焼け後の空には雲がかかり、朝日は注いでいませんので涼しげです。西千里に咲くノハナショウブ、葉を広げ茂り始めたイタドリ、緑濃い山々の輝きを堪能しつつ、御池を経由して中岳へ向かいます。

山頂を渡る風は涼やかで、曇り空が広がり日差しがなく暑さを感じることもなく、少々遅めの時間になりましたが依然として快適であります。

牧ノ戸峠に帰着した10時過ぎ、駐車場は満車で次々に登山客が入山していきます。近年盛夏の正午前後に久住山へのルートを歩いたた記憶がありません。盛夏は吉部から鳴子川の清流を渡る風を浴びつつ坊ガつるへ向かうルートや、大船山など樹木が茂り日陰があるルートが快適でお勧めです。

【7月27日】夏の坊がつる

7月27日の九重連山は曇。5時30分頃の長者原の気温は19℃。晴天ならすでに日の出の時刻ですから曇っていても周囲は十分明るく、大曲から入山した5時30分前にはヘッドランプは不要です。

すがもり越は強い風が吹き、三俣山西峰登路にはガスが押し寄せています。このようなガスのかかる天気が実に悩ましいものでありまして、三俣山は断念し、北千里を経て法華院山荘へ向かいます。

法華院山荘で小休止の後、のんびりと坊がつるを散策します。モウセンゴケは、ゼンマイのような形状の花茎を伸ばし、間もなく花が咲きそうです。サワギキョウやピークを過ぎたノハナショウブも咲いています。

夏の坊がつるは涼やかな風が吹き最高で、このまま居座りたい気になります。名残は尽きないものの、午後は職場に出なければならないため、9時過ぎに坊がつるを発ち山を下りました。

2013年8月
【8月3日】明けゆく九重連山

8月3日の九重連山は曇。午前4時過ぎの長者原の気温は18℃。4時前に目覚め、借家を発ち九重連山へ向かいます。硫黄山取り付け道路をすがもり越へ向かう4時30分過ぎ上空はガスに覆われているようです。

日の出の時刻を過ぎた5時30分頃、急激にガスが晴れ、大船山が望めるようになりました。上空は青空が広がり、先ほどまでのガスは一体何だったのかと思わせるほどの晴天です。天狗ヶ城や中岳にも朝駆けの登山客が多数確認できます。

西峰から本峰へ向かう登路を覆う笹は朝露とガスでぬれており、さすがにスパッツを着用します。本峰へ着いてしばし眺望を楽しんでいた6時30分頃、瞬く間にガスに覆われ視界が効かなくなりました。山の天気は変わりやすく、これほど劇的に変わるのも一興でありまして、1時間あまり4峰の岩陰で朝食タイムを楽しんだ後に山を下りました。

【8月9日】西千里のシモツケソウ

8月9日の九重連山は晴。午前5時前の長者原の気温は19℃。8月になり、日の出の時刻が5時30分を過ぎるようになると、日の出の約30分前、空が黎明に明けゆく時刻になるとヘッドランプは不要になります。かろうじて登路は見える状態で5時頃に牧ノ戸峠から入山。

爽快な朝の風を浴びながら順調に高度を上げ、シモツケソウやイヨフウロが咲く西千里を過ぎ、爽快な朝の登路脇に咲く花を愛でながら久住山へ向かいます。休日には驚愕の混雑で賑わう久住山も閑散としており、山頂でしばし至福の時を過ごします。

閑散とした山頂で遅めの朝食を摂り、しばし至福の時を過ごします。眼下の西千里は、すでに団体の登山客の長蛇の列ができ、恐ろしいほどの喧噪に包まれています。沓掛山からも歓声が聞こえてきますので、後続の団体もあるようです。西千里へ下り、登路脇のシモツケソウやイヨフウロを撮影しながら団体をやり過ごして山を下り、11時過ぎに牧ノ戸峠へ帰着しました。

【8月16日】盛夏の坊がつる

8月16日の九重連山は晴。午前11時前の飯田高原の気温は25℃。この夏は、飯田高原でもそれなりに暑い日が続いており、標高820mの職場付近の最高気温が30℃近くになる日も少なくありません。

夏季休暇ながら午前中は所用ため出勤になり、所用を終えた後に無謀にも大船山へ向かったのであります。

11時前に吉部から入山。坊ガつる野営場で水を補給し大船山へ向かうのですが、無風で着衣がずぶ濡れになるほど汗をかき、流れ落ちた汗でシューズの中まで湿っぽくなる始末。

発汗しすぎて脱水症状を起こし始め山頂で1時間以上大休止をして体調を整えました。山頂を吹く風はひたすら快適です。15時に山頂を発ち、テントが増えていく坊ガつる野営場を経て17時30分に吉部へ帰着しました。

【8月20日】池の小屋上の梵字塔

8月20日の九重連山は晴。午前5時頃の飯田高原の気温は16℃。驚異的とも言える酷暑が続いているこの夏は、飯田高原でも依然として最高気温が30℃になる日も多く異常な暑さです。

早朝の牧ノ戸峠は限りなく快適で、むしろ寒さを感じるほどであります。半袖では寒かったためベストを着用してセメント舗装の登路を歩き始めて間もなく、夜明を迎える時刻にはすっかり体も温まり絶好調です。

盛夏に繁殖した藻類の残骸でしょうか、御池の湖面には藻の腐ったような浮遊物が浮かんでいます。久しぶりに神明水へ向かいます。先週の山行で危うく脱水症状になりかけたため、湧水のある場所を確認してみることにしました。今回も水量は多くはないものの湧水を確認出来ました。早速神明水で汲んだ水を沸かし遅めの朝食を済ませ、久住高原を眺めながらしばし至福の時を過ごします。

9時を過ぎると、中岳山頂にも登山客が訪れるようになります。登路が混雑する前に山を下るため久住山を経由して牧ノ戸峠へ戻りました。

【8月24日】ガスかかるすがもり越

8月24日の九重連山は雨。午前8時頃の長者原付近の気温は21℃。4時過ぎには依然として小雨が降っています。8時過ぎに雨の中を雨具を着用して入山しました。

雨具を着用しているので、ペースを落として汗をかかないようにゆっくり歩くのですが、それでもさすがに徐々に蒸れてきます。すがもり越に着いた9時過ぎ、ガスが流れ西峰登路は霞んでいます。天気の回復は期待が薄いため、しばらく様子を見て山を下ることにして、すがもり避難小屋で大休止。

峰を下ってきた登山客によれば、山頂付近は強烈な風が吹いているとのことです。今週初めに山行をしていることもあって、気持ちにも余裕がありますので、あえてガスの中を山頂に向かう必要もありません。徐々に登山客が増え始めた10時過ぎに、すがもり避難小屋を発ち大曲へ下りました。

【8月31日】西千里が浜のワレモコウ

8月31日の九重連山は雨。午前8時頃の牧ノ戸峠の気温は18℃。5時前の飯田高原では雨は小降りではあったものの、雷鳴がとどろき閃光が走る荒れた天気になりました。

雷鳴が聞こえなくなり、雨が小降りになった8時前に借家を発ちお手軽な山行へ向かうことにしました。荒れ模様の天気で登山客も激減しているはずの牧ノ戸峠から久住山周辺まで歩いてみることにして、長者原へ向かいます。

牧ノ戸峠駐車場は閑散とし、駐車している車は1台もありません。雨具を着用しゆっくり歩いて発汗を抑えます。沓掛山を下り鍋谷から吹き上げてくる風は強烈で雨具のフードが何度も風にめくれ、それでも濡れるのはいやで再びフードをかぶって歩きます。

久住分れにある久住山避難小屋も濃いガスに霞みます。今回の山行はここで断念し、小休止の後山を下ります。ひとしきり強い雨が降り、その後小降りになった隙を突いて10時過ぎに小屋を出て星生崎を下を通過。扇ヶ鼻分岐を過ぎたところで強烈な雨が降り始め、雷鳴が轟き始めました。大急ぎで沓掛山を下り牧ノ戸峠に帰着しました。


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